悪役令嬢の兇器はドス黒い鈍器《パイプ椅子》です ~前世は病弱、今世は物理最強。魔法もチートも私には勝てません~

みやもと春九堂@月館望男

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【第11部】トヨノクニ黄金狂時代(ジパング・ラプソディ) ~技術と筋肉の力技で、数百年分の文明開化を「強制執行」しますわ~

第107話 破壊日記:本日の天気は「爆破」。ランチは水竜の蒲焼き、デザートは「カチコミ」です

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 トヨノクニでの生活も板についてきたある日。
 ミリアが涙目で「レヴィーネ様、お願いですから日々の業務報告書を出してください! 経費の計算が合いません!」と泣きついてきた。
 わたしは文字を書くのが嫌いではないが、報告書という堅苦しい形式は肌に合わない。
 代わりに「日記」をつけることにした。これなら文句はあるまい。

 以下は、この国を変える(物理)日々の記録である。

 ◆○月×日 天気:快晴
 今日は、旧ミノ領の街道整備に出かけた。ノブナガが「馬が通りにくい」とボヤいていた峠道だ。
 行ってみると、確かに大きな岩盤が突き出ていて邪魔だった。黒鉄隊の連中がつるはしでカンカンやっていたが、日が暮れても終わらなそうだったので、わたしが手伝うことにした。
 「漆黒の玉座」でフルスイングしたら、岩盤どころか峠そのものが消し飛んで、綺麗な平地になった。風通しが良くなって気持ちがいい。
 ついでに、掘り返した大穴からお湯が噴き出した。
 味見をしたら少ししょっぱかった。硫黄の匂い。温泉だ。

 【本日の成果】
 ・峠の消滅(地図の書き換えが必要)
 ・温泉の発見
 【食べたもの】
 ・温泉卵(30個)
 【備考】
 タケダ・シンゲンに「温泉が出たから掘っといて」と伝書鳩を飛ばした。

 ◆○月△日 天気:豪雨
 梅雨だ。ジメジメして髪がうねる。
 キソ川が氾濫しそうだというので、黒鉄隊を連れて土嚢を積みに行った。泥だらけになって働く男たちの背中は美しいが、作業効率が悪すぎる。
 川を見ていたら、氾濫の原因がわかった。川底に巨大な「水竜(淡水性リヴァイアサン)」が住み着いて、せきを作っていたのだ。
 「どきなさい」と言ったのに水を吹いてきたので、川ごと蒸発させる勢いで殴って陸に上げた。
 晩御飯は水竜の蒲焼きにした。ミリアのリュックから出した山椒を大量にかけたら、泥臭さが消えて絶品だった。ご飯が止まらない。

 【本日の成果】
 ・治水工事完了(物理)
 ・水竜の革素材ゲット(ミリアの財布にする)
 【食べたもの】
 ・うな重特盛(タカニシキ5合)

 ◆○月□日 天気:曇り
 今日はタカニシキの作付け拡大のため、荒れ地の開墾を行った。
 わたくしの可愛い部下たち「黒鉄隊」も、だいぶ身体が仕上がってきた。最初はくわすら持てなかった元野盗や貧農だったものたちが、今ではパワードスーツを着こなしてトラクターのように土を耕している。
 ただ、問題がある。道具が貧弱すぎるのだ。
 私が「ちょっと本気」を出して鍬を振るうと、パワーに耐えきれずに柄が折れてしまうのだ。これでは仕事にならない。結局今日も玉座で土地を均すくらいしか仕事ができなかった。

 【本日の成果】
 ・鍬50本の破損
 【食べたもの】
 ・おにぎり(具なし・塩のみ)
 【備考】
 壊れない農具が欲しい。リョウマに和紙の手紙を書いた。「北にいるドワーフを拉致してでも連れてこい。美味しい酒ならいくらでも出す」と。

 ◆○月◎日 天気:猛暑
 暑い。タケダから氷が届いたので、かき氷を作って食べた。アリス乳業の練乳をかけたら悪魔的に美味かった。
 だが、冷たいものを食べたら、逆に塩気のある魚が食べたくなった。
 海が見たい。そして、新鮮な魚が食べたい。
 脂の乗ったマグロ。光り輝くコハダ。ハマチ、サバ、イワシにアジ。新鮮な刺身を酢飯に乗せて、ワサビを効かせて……。
 想像しただけでヨダレが出る。瘴気が祓われたエド湾(東京湾)には、最高の魚がいるはずだ。

 【本日の悩み】
 ・寿司が食べたい。今すぐ食べたい。
 ・でも、エドへ行くには「ハコネの関所」を通らなければならない。
 【問題点】
 ・斥候のカエデからの報告によると、ホウジョウ家がハコネの関所を「完全封鎖」しているらしい。
 ・なんでも、以前私が通った時に門を破壊したのがトラウマになって、「二度とあいつを入れるな!」と引きこもっているとか。

 ……失礼しちゃうわね。
 私はただ、通りたかっただけなのに。
 美味しい寿司を食べるためには、新鮮な魚と、それを運ぶ物流、そして職人がいる「平和な街」が必要だ。
 ホウジョウの土木技術があれば、廃墟になったエドを最高の「寿司の都」に復興できるはずなのに、引きこもって才能を腐らせているなんて。

 決めた。
 日記を書くのは今日で終わりにする。書いている暇があったら、殴りに行ったほうが早い。

 「ミリア、出かけるわよ。……引きこもりのドアを、ノック物理破壊しにいくわ」

 (※この日記が机に残された翌日、ミリアの絶叫がオワリ城に響き渡った。「レヴィーネ様ァァァ! また事後報告ですかァァァッ!!」)
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