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【第13部】天を衝く悪役令嬢編 ~空に道がないなら、番人をへし折って「お迎え」にすればよろしいのです~
第144話 天空の入国審査(リドル):合格? 誤差? ……なら、貴方が「タクシー」になりなさい!
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タネガシマの上空を塞ぐ、全長600メートルはあろうかという巨体。
その赤い複眼が、豆粒のようなわたしたちを捕捉した瞬間だった。
『――警告。排除対象を捕捉』
カッ! と目が光った。
直後、凄まじい「重力」が島全体を襲った。
ズズンッ……!!
物理的な攻撃ではない。ただの「視線」だ。
だが、その眼圧だけで、わたしたちが立っていた岬の地面が数メートル陥没し、周囲の海面が爆ぜた。
「きゃあああ!? なにこれ、体が潰れちゃうよぉぉ!!」
アリスが悲鳴を上げながら、慌てて杖を掲げる。
金色の魔力が瞬時に広がり、彼女と、その隣にいたミリアを包み込む。
「アリス、ミリアとあなただけに結界を集中させて耐えなさい。わたしは大丈夫だから!」
わたしの言葉に、アリスは驚愕の表情を浮かべた。
「ええっ!? でもレヴィちゃん、生身でこれを受けたら――」
「言ったでしょう? 心配いりませんわ」
わたしは結界の範囲から悠然と一歩踏み出し、機械龍の視線のド真ん中に立った。
全身の筋肉を硬化させ、骨格を魔力で補強し、重力波を「物理的に」受け流す。
足元の岩盤がミシミシと砕けていくが、わたしの背筋は一本の鋼鉄のように真っ直ぐに伸びたまま、涼しい顔で上空を見上げた。
改めて見れば、現れたのは生物ではなかった。
その偉容は、生命の姿から大きく逸脱している。
流体金属のような滑らかな装甲。背中から噴出する幾何学的な光の翼。
それは、神話に語られる『機械龍』――あるいは『機神』と呼ぶべき、圧倒的な威圧感の塊だった。
「……あら、随分と手荒な『視線』ですこと。挨拶もなしにジロジロ見るなんて、躾がなっていなくてよ?」
『……? 圧力耐性、閾値を突破。……思考プロセス変更。問おう』
機械龍がわずかに降下し、その巨大な顔を岬の先端に立つわたしたちへ近づけてきた。
物理的な排除から、対話による「審判」へと切り替えたのだ。
『問う。何故、空を望む? 空を制すれば、地上のあらゆる場所へ攻撃が可能となる。汝もまた、高みからの「支配」を望むか?』
「支配? ……ハッ、くだらない!」
わたしは鉄扇で重圧を払い退け、鼻で笑った。
そんな陳腐な野望と一緒にされるのは心外だ。
これの前に、わたしは自分の中にあった疑問と解釈を、この機械のような存在にぶつけることにした。
「そもそも、空にある『天蓋の揺り籠』とやらは、地上が住めなくなった場合のための避難施設なのでしょう? だからこそ、『一切の対地武装をしない』ことを条件に、浮上を許された。かつての文明が犯した過ち。その制約こそが、この静止軌道の理だわ」
わたしの指摘に、機械龍は無機質な音声を返した。
『肯定。……天上の観測衛星が許容されているのも同じ理由。我は開発者によって作られた、空を守る番人にして監視者。天蓋や衛星より地上への攻撃がなされた場合、それを無力化し、破壊するのが役割だ』
機械龍の言葉に、わたしは頷いた。
やはり、そうだ。こいつはただの怪物ではない。この世界の「安全装置」なのだ。
「あなたが警戒しているのは、高高度爆撃や大陸間弾道ミサイルといった、種を絶滅させかねない『破滅的な技術』の進歩。……開発者とやらは、好奇心や開拓者精神そのものを否定しているわけではないはずよ。鳥人族の飛翔や魔法による飛行を制限していないのがその証拠だわ」
『……然り。汝らが望む先に、根絶やしレベルの大陸間戦争が起こるのであれば、本末転倒。ならばと制約として我を置いた。……故に問う。汝が空を望む理由は何か。その力で、何を成す?』
機械龍の複眼が、わたしを射抜く。
ここからが本番だ。魂の質を問う「試問」。
「事情は色々とございますけれど、簡潔にまとめれば……『食事』のためですわ」
『……食事? 栄養摂取のことか?』
機械龍がわずかに首を傾げたように見えた。
わたしは鉄扇をパチンと鳴らし、眼下に広がる地上の「既得権益」を指差した。
「ええ。つい先日のことですわ。地上の浅ましい商人たちが、私の船を止めようと、理不尽な規約で道を塞いできましたの。海も、陸も、小賢しい理屈や手垢にまみれて狭すぎるのです。だから、空を望むのよ」
思い出しても腹が立つ。あのロックウェルとかいう狸の顔が脳裏をよぎり、わたしはギリリと鉄扇を握りしめた。
「空なら、誰にも邪魔をされずに、世界中の美味を最速で求めることができる……なにか間違っていて? 既得権益も、国境も、関税もない。馬鹿どもが手の届かない高さにある、最速で、最短で、真っ直ぐな『私だけの道』。それを切り拓きたい。ただそれだけですわ!」
『……解析。地上の経済摩擦および腐敗した社会システムからの「離脱」。……極めて利己的だが、「地上の支配」とは対極にある』
機械龍の瞳の明滅速度が変わる。第一段階はクリアしたようだ。
だが、すぐに次の問いが飛んでくる。
『問う。……汝が力を持てば、争いは生まれる。戦となれば、空からの武力を行使するか?』
「まさか。そんな無粋な真似、いたしませんわ」
わたしは自分の拳を握りしめ、不敵に笑った。
「そんなもの、私一人でなんとかしますわ。……わたしが最大の戦力であり、最小の戦力ですもの。わざわざ空から爆撃などせずとも、直接乗り込んでへし折った方が、よほど早くて確実ですわよ?」
一人で完結する武力。それはシステム側からすれば、最も管理しやすい「誤差」の範疇に見えたのかもしれない。
『……個への武力集約。戦略兵器の否定。……では問う。その力、未来永劫に渡り管理できるか? 汝の子孫が空を悪用せぬ保証は?』
機械龍は、わたしの未来を透かそうとするかのように視線を強める。
「今のところ結婚は考えていませんわ!」
わたしは即答した。
色恋沙汰より、今は美味しいご飯と冒険の方が大事だ。
『……生殖本能の欠如、あるいは保留。理解不能だが、リスク評価は低下した。……問う。随伴個体らよ。汝らもまた、この「特異者」と共に、世界の理から外れる覚悟があるか?』
機械龍の問いに、ミリアがアリスの結界の中から身を乗り出し、眼鏡の奥の瞳で機械龍を睨み返した。
「レヴィーネ様の覚悟が、私の覚悟です! この方が切り拓く未来こそが、私の投資すべき全てですから!」
ミリアの言葉に続き、アリスも杖を掲げて叫んだ。
「私もだよ! 世界中の子どもたちに笑顔と温もりを届けるのが、私の覚悟だよ! そのためなら、どんな理不尽だって踏み越えていくよ!」
二人の言葉を聞き、わたしは満足げに頷いた。
迷いのない、共犯者たちの声。
「聞いたかしら? それに……『消滅させる』ですって? やれるものならやってみなさい。その思い上がり、叩き潰してあげますわ」
『……その傲慢さに、後悔はないか?』
「傲慢でなくて、悪役はつとまりませんわ!!」
わたしの啖呵が、タネガシマの空に響き渡った。
数秒の沈黙。
やがて、機械龍の赤い複眼が、鮮やかな青色へと変化した。
『――認証完了』
機械龍の周囲に展開されていた重力場が霧散した。
システム音声が、事務的に告げる。
『合格。認定カテゴリ:「開拓者」。……空域封鎖、解除。対象に対し、高度制限の撤廃、および座標ポイント「天蓋の揺り籠」への接近を許可する』
「……は?」
あまりのあっけなさに、わたしは拍子抜けした。
機械龍は「許可」を告げると、興味を失ったように高度を上げ、再び雲の中へ帰ろうとしている。
まるで、検問でパスポートを確認した警備兵が、「通ってよし」と手を振るような素っ気なさだ。
「……ちょっと、待ちなさい」
わたしは慌てて声を張り上げた。
このまま行かせるわけにはいかない。
「待ちなさいと言っていますの! ……『許可』は分かりましたけれど、私の『足』を奪っておいて、どの面下げて帰るつもりですの!?」
そう。コイツは登場と同時に、せっかくビーコンで呼び出した「お迎え」を塵一つ残さず消滅させているのだ。
『照会。……当該機は、未確認対象への警告射撃により消去した。当機の管轄は「空域防衛」のみであり、「輸送」および「損害賠償」は管轄外だ。自力で向かうか、再度ビーコンで呼び直すがいい。……開発者は開拓者の歓迎を受けるが、個人の移動コストなど、我が監視システムにおいては「誤差」に過ぎん』
あまりにも官僚的な答え。
わたしはピキリとこめかみを引きつらせた。
「誤差……ですって? 人の『足』を奪っておいて、よくそんな台詞が吐けますわね?」
『……事実だ。汝らの武勇も意志も、この惑星規模の監視機構においては数値化すら不要な、微細な揺らぎに過ぎない。……待機空間へ帰還する』
機械龍はそれだけ告げると、再び巨体を翻した。
ブチッ。
わたしの中で、理性の糸が完全に弾けた。
「……誰が『行ってよし』と言いましたの? 新しく呼び直すまでもありませんわ。――ここに大きな『足』があるじゃありませんの?」
わたしは、自身の足元――影が伸びる岩肌へと視線を落とした。
淑女の笑みを捨て、悪役の顔で。
わたしは右手を、自身の影の中へとゆっくりと沈めていく。
ズブブ……と、底なし沼のような感触。
その奥底、「暗闇の間」の最深部に鎮座する、絶対的な質量と冷たさを鷲掴みにする。
「責任、取っていただきますわよ!!」
わたしの怒声に、上昇しかけていた機械龍がピタリと止まった。
そして、わたしは影から「相棒」を――一気に引き抜いた。
ズヌゥッ……!
重苦しい、何かが空間を擦るような音と共に引きずり出されたのは、光さえも吸い込む深淵の黒。
ガチャリ、と重厚な駆動音を立てて展開したそれは、ドワーフのロストテクノロジー『黒鋼』で構成された鈍器――『漆黒の玉座』だ。
ドォォン!!
わたしが岬の岩盤に「玉座」を据えると、地面がその質量に耐えかねて派手な音を立てて沈み込んだ。
『漆黒の玉座』を携えたわたしは、上空の巨大な頭部を睨みつける。
ゴゥゥゥン……。
巨大な質量が、再びゆっくりと降下してきた。
雲を払い、600メートルの巨躯を蛇のように曲げ、その巨大な頭部を、わたしの目の前――触れんばかりの至近距離まで近づけてきたのだ。
『…………』
赤い複眼が、わたしと、わたしの横に鎮座する黒い鉄塊を、じろじろと捕捉しスキャンする。
値踏み。品定め。
数秒の沈黙の後、機械龍は排気口からプシューッという音を漏らした。
『……解析。材質、高密度質量体――黒鋼か。……だが、無意味だ。その物体を含めたとしても、貴様の存在になど何の影響力もない。所詮は「誤差」だ』
丁寧に確認し、その武器が希少金属の塊であることすら見抜いた上で、それでもなお「ゴミ」だと断じたのだ。
完全なる侮蔑。絶対強者の余裕。
「……へぇ。これを含めても誤差、ですか。……そうですか」
全身の筋肉が軋みを上げ、魔力が沸騰する。
わたしは笑った。獰猛に、凶悪に。
二度の生を駆け抜け、この世界で積み上げてきた全てを今、この一瞬に集束させる。
「だったら――その『誤差』の痛みを、骨の髄まで教えてあげますわッッッ!!!!」
ドォォンッ!!!
わたしは地面を力強く蹴り、跳躍した。
身体強化の爆発力を足場に、空を蹴り、嘲笑う機械龍の鼻先へと肉薄する。
『――明確な敵意を確認。……無駄なコストだ』
機械龍の周囲に、対・塵埃用の自動防御障壁が展開される。
蚊が止まった程度の認識。
だが、わたしの相棒は、その瞬間に未知の輝きを放った。
ゴォォォォォ……!!
わたしの底なしの魔力が、パイプ椅子の黒いフレームへと吸い込まれていく。
限界という概念を力尽くで書き換えるような、かつてない高密度の身体強化。
鋼を凌駕する筋繊維が、黒鋼の椅子を「質量そのもの」へと変貌させる。
「うおおおおおおおおおッッ!!!」
渾身のスイング。
ガギィィィッ……!!
激突した椅子が、機械龍のパッシブバリアに阻まれる。
だが、止まらない。
ギシギシ……ミシミシッ……!!
力場と鉄塊が激突し、火花を散らしながら、空間そのものを削り取るような異音を上げる。
数秒、いや数分にも感じられる拮抗。
わたしの全身の血管が、魔力の奔流で焼き切れそうになる。
「貫けぇぇぇッ!!!!」
わたしの絶叫が爆発した。
バキィィィィンッ!!!
絶対防御であるはずの障壁が、ついに耐えきれず、鏡のように砕け散った。
勢いそのままに、パイプ椅子の先端が、機械龍の白銀の装甲へと深々とめり込む。
ドゴォオオオオオオオオオオオンッッ!!!!
600メートルの巨躯が、一人の少女の打撃によって、わずかに、けれど確実に「のけぞった」。
衝撃波が雲海を割り、遥か彼方の水平線まで海面を切り裂いていく。
「ああっ! かなりの確率でやるとは思っていましたけど!」
「許可もらったのに! レヴィちゃんのおばかー! 戦闘民族! 悪役令嬢!」
下方から聞こえる二人の悲鳴交じりのツッコミを背に受けながら、わたしは着地した。
「……はぁ、……はぁ、……ッ」
足元が揺らぐ。
魔力も気力も、全てを使い果たした一撃。
膝が笑い、視界がチカチカと明滅する。今にもフラつきそうになる身体を、わたしは悪役の矜持だけで繋ぎ止めた。
震えそうになる足に、残った全気力で「立て」と命じる。
一歩も退かず、一点の曇りもない傲慢な笑みを湛えたまま、わたしはのけぞった機神を見上げた。
「……言ったはずよ。わたしが、最大の戦力だと。……測定外? 誤差? 笑わせないでくださる?」
わたしは椅子を担ぎ直し、凹んだ機械龍の鼻先をコツコツと叩いた。
「さあ、責任を取っていただきますわよ」
不敵に睨みつけるわたしの渾身の一撃。これまでの敵なら例外なく消滅していたはずの一撃だ。
だが、機械龍は――傷つきはしたものの、依然として圧倒的な威容を保ったまま、静かにこちらを見下ろしていた。
一撃を入れさせることはできても、倒すことなど遥か彼方。
それが、開発者が用意した「監視者」という存在の、絶望的なまでの強大さだった。
『……照会。脅威判定……個の武勇。……「誤差」の範疇を逸脱。測定不能なイレギュラーとして新規認定』
機械龍の瞳が、激しく明滅する。
それは機械的な処理落ちではなく、AIが初めて「未知」に遭遇した際の、強烈な演算の嵐。
『……興味深い。開拓者レヴィーネ・ヴィータヴェン。汝の行動は、論理的予測を全て破壊した。……要求を受諾する。被害を最小限に抑えるための最適解を選択』
プシュウゥゥゥ……。
機械龍の背中の装甲が重厚な音を立ててスライドし、巨大な格納庫へのハッチが開いた。
「……ふん。物わかりがよろしくて大変結構ですわね?」
わたしは満足げに頷き、下方にある結界の中で待つアリスたちに手を振った。
立っているのがやっとだが、声だけは堂々と響かせる。
「行きましょう、アリス、ミリア! ……新しい『タクシー』の到着よ!」
こうして。
空の番人を物理的に「屈服」させ、あまつさえ移動手段にしたわたしたちは、ついに天蓋の揺り籠へと向かうことになったのだった。
* * *
神話級の番人だろうが、世界のシステムだろうが関係ありません。
道がなければ物理でこじ開ける、これぞレヴィーネ流の「空の旅」です!
規格外すぎる解決法に笑ってしまった方、ドラゴンの鼻先をへし折る一撃にスカッとした方は、ぜひ【24hポイント】や【お気に入り登録】で、彼女たちの旅を応援してください!
皆様のポイントが、レヴィーネの「燃料(カロリー)」になります!
さあ、タクシー(ドラゴン)に乗っていざ天空へ!
▼次回のレヴィーネは?
第14部「天空の箱舟・物理ハッキング編」。
空飛ぶ古代都市は、お宝の山……と思いきや、まさかの「巨大冷蔵庫」!?
古代のセキュリティ? もちろん物理で「開錠(破壊)」して、中身を美味しくいただきます!
お楽しみに!
その赤い複眼が、豆粒のようなわたしたちを捕捉した瞬間だった。
『――警告。排除対象を捕捉』
カッ! と目が光った。
直後、凄まじい「重力」が島全体を襲った。
ズズンッ……!!
物理的な攻撃ではない。ただの「視線」だ。
だが、その眼圧だけで、わたしたちが立っていた岬の地面が数メートル陥没し、周囲の海面が爆ぜた。
「きゃあああ!? なにこれ、体が潰れちゃうよぉぉ!!」
アリスが悲鳴を上げながら、慌てて杖を掲げる。
金色の魔力が瞬時に広がり、彼女と、その隣にいたミリアを包み込む。
「アリス、ミリアとあなただけに結界を集中させて耐えなさい。わたしは大丈夫だから!」
わたしの言葉に、アリスは驚愕の表情を浮かべた。
「ええっ!? でもレヴィちゃん、生身でこれを受けたら――」
「言ったでしょう? 心配いりませんわ」
わたしは結界の範囲から悠然と一歩踏み出し、機械龍の視線のド真ん中に立った。
全身の筋肉を硬化させ、骨格を魔力で補強し、重力波を「物理的に」受け流す。
足元の岩盤がミシミシと砕けていくが、わたしの背筋は一本の鋼鉄のように真っ直ぐに伸びたまま、涼しい顔で上空を見上げた。
改めて見れば、現れたのは生物ではなかった。
その偉容は、生命の姿から大きく逸脱している。
流体金属のような滑らかな装甲。背中から噴出する幾何学的な光の翼。
それは、神話に語られる『機械龍』――あるいは『機神』と呼ぶべき、圧倒的な威圧感の塊だった。
「……あら、随分と手荒な『視線』ですこと。挨拶もなしにジロジロ見るなんて、躾がなっていなくてよ?」
『……? 圧力耐性、閾値を突破。……思考プロセス変更。問おう』
機械龍がわずかに降下し、その巨大な顔を岬の先端に立つわたしたちへ近づけてきた。
物理的な排除から、対話による「審判」へと切り替えたのだ。
『問う。何故、空を望む? 空を制すれば、地上のあらゆる場所へ攻撃が可能となる。汝もまた、高みからの「支配」を望むか?』
「支配? ……ハッ、くだらない!」
わたしは鉄扇で重圧を払い退け、鼻で笑った。
そんな陳腐な野望と一緒にされるのは心外だ。
これの前に、わたしは自分の中にあった疑問と解釈を、この機械のような存在にぶつけることにした。
「そもそも、空にある『天蓋の揺り籠』とやらは、地上が住めなくなった場合のための避難施設なのでしょう? だからこそ、『一切の対地武装をしない』ことを条件に、浮上を許された。かつての文明が犯した過ち。その制約こそが、この静止軌道の理だわ」
わたしの指摘に、機械龍は無機質な音声を返した。
『肯定。……天上の観測衛星が許容されているのも同じ理由。我は開発者によって作られた、空を守る番人にして監視者。天蓋や衛星より地上への攻撃がなされた場合、それを無力化し、破壊するのが役割だ』
機械龍の言葉に、わたしは頷いた。
やはり、そうだ。こいつはただの怪物ではない。この世界の「安全装置」なのだ。
「あなたが警戒しているのは、高高度爆撃や大陸間弾道ミサイルといった、種を絶滅させかねない『破滅的な技術』の進歩。……開発者とやらは、好奇心や開拓者精神そのものを否定しているわけではないはずよ。鳥人族の飛翔や魔法による飛行を制限していないのがその証拠だわ」
『……然り。汝らが望む先に、根絶やしレベルの大陸間戦争が起こるのであれば、本末転倒。ならばと制約として我を置いた。……故に問う。汝が空を望む理由は何か。その力で、何を成す?』
機械龍の複眼が、わたしを射抜く。
ここからが本番だ。魂の質を問う「試問」。
「事情は色々とございますけれど、簡潔にまとめれば……『食事』のためですわ」
『……食事? 栄養摂取のことか?』
機械龍がわずかに首を傾げたように見えた。
わたしは鉄扇をパチンと鳴らし、眼下に広がる地上の「既得権益」を指差した。
「ええ。つい先日のことですわ。地上の浅ましい商人たちが、私の船を止めようと、理不尽な規約で道を塞いできましたの。海も、陸も、小賢しい理屈や手垢にまみれて狭すぎるのです。だから、空を望むのよ」
思い出しても腹が立つ。あのロックウェルとかいう狸の顔が脳裏をよぎり、わたしはギリリと鉄扇を握りしめた。
「空なら、誰にも邪魔をされずに、世界中の美味を最速で求めることができる……なにか間違っていて? 既得権益も、国境も、関税もない。馬鹿どもが手の届かない高さにある、最速で、最短で、真っ直ぐな『私だけの道』。それを切り拓きたい。ただそれだけですわ!」
『……解析。地上の経済摩擦および腐敗した社会システムからの「離脱」。……極めて利己的だが、「地上の支配」とは対極にある』
機械龍の瞳の明滅速度が変わる。第一段階はクリアしたようだ。
だが、すぐに次の問いが飛んでくる。
『問う。……汝が力を持てば、争いは生まれる。戦となれば、空からの武力を行使するか?』
「まさか。そんな無粋な真似、いたしませんわ」
わたしは自分の拳を握りしめ、不敵に笑った。
「そんなもの、私一人でなんとかしますわ。……わたしが最大の戦力であり、最小の戦力ですもの。わざわざ空から爆撃などせずとも、直接乗り込んでへし折った方が、よほど早くて確実ですわよ?」
一人で完結する武力。それはシステム側からすれば、最も管理しやすい「誤差」の範疇に見えたのかもしれない。
『……個への武力集約。戦略兵器の否定。……では問う。その力、未来永劫に渡り管理できるか? 汝の子孫が空を悪用せぬ保証は?』
機械龍は、わたしの未来を透かそうとするかのように視線を強める。
「今のところ結婚は考えていませんわ!」
わたしは即答した。
色恋沙汰より、今は美味しいご飯と冒険の方が大事だ。
『……生殖本能の欠如、あるいは保留。理解不能だが、リスク評価は低下した。……問う。随伴個体らよ。汝らもまた、この「特異者」と共に、世界の理から外れる覚悟があるか?』
機械龍の問いに、ミリアがアリスの結界の中から身を乗り出し、眼鏡の奥の瞳で機械龍を睨み返した。
「レヴィーネ様の覚悟が、私の覚悟です! この方が切り拓く未来こそが、私の投資すべき全てですから!」
ミリアの言葉に続き、アリスも杖を掲げて叫んだ。
「私もだよ! 世界中の子どもたちに笑顔と温もりを届けるのが、私の覚悟だよ! そのためなら、どんな理不尽だって踏み越えていくよ!」
二人の言葉を聞き、わたしは満足げに頷いた。
迷いのない、共犯者たちの声。
「聞いたかしら? それに……『消滅させる』ですって? やれるものならやってみなさい。その思い上がり、叩き潰してあげますわ」
『……その傲慢さに、後悔はないか?』
「傲慢でなくて、悪役はつとまりませんわ!!」
わたしの啖呵が、タネガシマの空に響き渡った。
数秒の沈黙。
やがて、機械龍の赤い複眼が、鮮やかな青色へと変化した。
『――認証完了』
機械龍の周囲に展開されていた重力場が霧散した。
システム音声が、事務的に告げる。
『合格。認定カテゴリ:「開拓者」。……空域封鎖、解除。対象に対し、高度制限の撤廃、および座標ポイント「天蓋の揺り籠」への接近を許可する』
「……は?」
あまりのあっけなさに、わたしは拍子抜けした。
機械龍は「許可」を告げると、興味を失ったように高度を上げ、再び雲の中へ帰ろうとしている。
まるで、検問でパスポートを確認した警備兵が、「通ってよし」と手を振るような素っ気なさだ。
「……ちょっと、待ちなさい」
わたしは慌てて声を張り上げた。
このまま行かせるわけにはいかない。
「待ちなさいと言っていますの! ……『許可』は分かりましたけれど、私の『足』を奪っておいて、どの面下げて帰るつもりですの!?」
そう。コイツは登場と同時に、せっかくビーコンで呼び出した「お迎え」を塵一つ残さず消滅させているのだ。
『照会。……当該機は、未確認対象への警告射撃により消去した。当機の管轄は「空域防衛」のみであり、「輸送」および「損害賠償」は管轄外だ。自力で向かうか、再度ビーコンで呼び直すがいい。……開発者は開拓者の歓迎を受けるが、個人の移動コストなど、我が監視システムにおいては「誤差」に過ぎん』
あまりにも官僚的な答え。
わたしはピキリとこめかみを引きつらせた。
「誤差……ですって? 人の『足』を奪っておいて、よくそんな台詞が吐けますわね?」
『……事実だ。汝らの武勇も意志も、この惑星規模の監視機構においては数値化すら不要な、微細な揺らぎに過ぎない。……待機空間へ帰還する』
機械龍はそれだけ告げると、再び巨体を翻した。
ブチッ。
わたしの中で、理性の糸が完全に弾けた。
「……誰が『行ってよし』と言いましたの? 新しく呼び直すまでもありませんわ。――ここに大きな『足』があるじゃありませんの?」
わたしは、自身の足元――影が伸びる岩肌へと視線を落とした。
淑女の笑みを捨て、悪役の顔で。
わたしは右手を、自身の影の中へとゆっくりと沈めていく。
ズブブ……と、底なし沼のような感触。
その奥底、「暗闇の間」の最深部に鎮座する、絶対的な質量と冷たさを鷲掴みにする。
「責任、取っていただきますわよ!!」
わたしの怒声に、上昇しかけていた機械龍がピタリと止まった。
そして、わたしは影から「相棒」を――一気に引き抜いた。
ズヌゥッ……!
重苦しい、何かが空間を擦るような音と共に引きずり出されたのは、光さえも吸い込む深淵の黒。
ガチャリ、と重厚な駆動音を立てて展開したそれは、ドワーフのロストテクノロジー『黒鋼』で構成された鈍器――『漆黒の玉座』だ。
ドォォン!!
わたしが岬の岩盤に「玉座」を据えると、地面がその質量に耐えかねて派手な音を立てて沈み込んだ。
『漆黒の玉座』を携えたわたしは、上空の巨大な頭部を睨みつける。
ゴゥゥゥン……。
巨大な質量が、再びゆっくりと降下してきた。
雲を払い、600メートルの巨躯を蛇のように曲げ、その巨大な頭部を、わたしの目の前――触れんばかりの至近距離まで近づけてきたのだ。
『…………』
赤い複眼が、わたしと、わたしの横に鎮座する黒い鉄塊を、じろじろと捕捉しスキャンする。
値踏み。品定め。
数秒の沈黙の後、機械龍は排気口からプシューッという音を漏らした。
『……解析。材質、高密度質量体――黒鋼か。……だが、無意味だ。その物体を含めたとしても、貴様の存在になど何の影響力もない。所詮は「誤差」だ』
丁寧に確認し、その武器が希少金属の塊であることすら見抜いた上で、それでもなお「ゴミ」だと断じたのだ。
完全なる侮蔑。絶対強者の余裕。
「……へぇ。これを含めても誤差、ですか。……そうですか」
全身の筋肉が軋みを上げ、魔力が沸騰する。
わたしは笑った。獰猛に、凶悪に。
二度の生を駆け抜け、この世界で積み上げてきた全てを今、この一瞬に集束させる。
「だったら――その『誤差』の痛みを、骨の髄まで教えてあげますわッッッ!!!!」
ドォォンッ!!!
わたしは地面を力強く蹴り、跳躍した。
身体強化の爆発力を足場に、空を蹴り、嘲笑う機械龍の鼻先へと肉薄する。
『――明確な敵意を確認。……無駄なコストだ』
機械龍の周囲に、対・塵埃用の自動防御障壁が展開される。
蚊が止まった程度の認識。
だが、わたしの相棒は、その瞬間に未知の輝きを放った。
ゴォォォォォ……!!
わたしの底なしの魔力が、パイプ椅子の黒いフレームへと吸い込まれていく。
限界という概念を力尽くで書き換えるような、かつてない高密度の身体強化。
鋼を凌駕する筋繊維が、黒鋼の椅子を「質量そのもの」へと変貌させる。
「うおおおおおおおおおッッ!!!」
渾身のスイング。
ガギィィィッ……!!
激突した椅子が、機械龍のパッシブバリアに阻まれる。
だが、止まらない。
ギシギシ……ミシミシッ……!!
力場と鉄塊が激突し、火花を散らしながら、空間そのものを削り取るような異音を上げる。
数秒、いや数分にも感じられる拮抗。
わたしの全身の血管が、魔力の奔流で焼き切れそうになる。
「貫けぇぇぇッ!!!!」
わたしの絶叫が爆発した。
バキィィィィンッ!!!
絶対防御であるはずの障壁が、ついに耐えきれず、鏡のように砕け散った。
勢いそのままに、パイプ椅子の先端が、機械龍の白銀の装甲へと深々とめり込む。
ドゴォオオオオオオオオオオオンッッ!!!!
600メートルの巨躯が、一人の少女の打撃によって、わずかに、けれど確実に「のけぞった」。
衝撃波が雲海を割り、遥か彼方の水平線まで海面を切り裂いていく。
「ああっ! かなりの確率でやるとは思っていましたけど!」
「許可もらったのに! レヴィちゃんのおばかー! 戦闘民族! 悪役令嬢!」
下方から聞こえる二人の悲鳴交じりのツッコミを背に受けながら、わたしは着地した。
「……はぁ、……はぁ、……ッ」
足元が揺らぐ。
魔力も気力も、全てを使い果たした一撃。
膝が笑い、視界がチカチカと明滅する。今にもフラつきそうになる身体を、わたしは悪役の矜持だけで繋ぎ止めた。
震えそうになる足に、残った全気力で「立て」と命じる。
一歩も退かず、一点の曇りもない傲慢な笑みを湛えたまま、わたしはのけぞった機神を見上げた。
「……言ったはずよ。わたしが、最大の戦力だと。……測定外? 誤差? 笑わせないでくださる?」
わたしは椅子を担ぎ直し、凹んだ機械龍の鼻先をコツコツと叩いた。
「さあ、責任を取っていただきますわよ」
不敵に睨みつけるわたしの渾身の一撃。これまでの敵なら例外なく消滅していたはずの一撃だ。
だが、機械龍は――傷つきはしたものの、依然として圧倒的な威容を保ったまま、静かにこちらを見下ろしていた。
一撃を入れさせることはできても、倒すことなど遥か彼方。
それが、開発者が用意した「監視者」という存在の、絶望的なまでの強大さだった。
『……照会。脅威判定……個の武勇。……「誤差」の範疇を逸脱。測定不能なイレギュラーとして新規認定』
機械龍の瞳が、激しく明滅する。
それは機械的な処理落ちではなく、AIが初めて「未知」に遭遇した際の、強烈な演算の嵐。
『……興味深い。開拓者レヴィーネ・ヴィータヴェン。汝の行動は、論理的予測を全て破壊した。……要求を受諾する。被害を最小限に抑えるための最適解を選択』
プシュウゥゥゥ……。
機械龍の背中の装甲が重厚な音を立ててスライドし、巨大な格納庫へのハッチが開いた。
「……ふん。物わかりがよろしくて大変結構ですわね?」
わたしは満足げに頷き、下方にある結界の中で待つアリスたちに手を振った。
立っているのがやっとだが、声だけは堂々と響かせる。
「行きましょう、アリス、ミリア! ……新しい『タクシー』の到着よ!」
こうして。
空の番人を物理的に「屈服」させ、あまつさえ移動手段にしたわたしたちは、ついに天蓋の揺り籠へと向かうことになったのだった。
* * *
神話級の番人だろうが、世界のシステムだろうが関係ありません。
道がなければ物理でこじ開ける、これぞレヴィーネ流の「空の旅」です!
規格外すぎる解決法に笑ってしまった方、ドラゴンの鼻先をへし折る一撃にスカッとした方は、ぜひ【24hポイント】や【お気に入り登録】で、彼女たちの旅を応援してください!
皆様のポイントが、レヴィーネの「燃料(カロリー)」になります!
さあ、タクシー(ドラゴン)に乗っていざ天空へ!
▼次回のレヴィーネは?
第14部「天空の箱舟・物理ハッキング編」。
空飛ぶ古代都市は、お宝の山……と思いきや、まさかの「巨大冷蔵庫」!?
古代のセキュリティ? もちろん物理で「開錠(破壊)」して、中身を美味しくいただきます!
お楽しみに!
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