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【第16部】グランドフィナーレ・物理帝国編 ~神様、残業代(寿命)はいりません。この世界は最高に退屈しませんもの!~
第174話 大陸横断鉄道計画(始動):盗賊? 轢き飛ばせば遅延はありませんわ
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結婚式から数ヶ月。
大陸中央に興った新国家「ヴィータヴェン・アクシス連邦皇国」の中枢では、次なる巨大プロジェクトに向けた準備が着々と進められていた。
薄暗い会議室の空中に、東の島国トヨノクニとの魔導通信ウィンドウが展開されている。
映し出されているのは、トヨノクニ執権アシカガ・ムネノリと、天下人オダ・ノブナガだ。
「――タケダ領からの『紅蓮魔石』の供給ルート、およびサツマ領からの特殊木材の搬入スケジュール、共に確認いたしました」
宰相ミリアが、手元のタブレットと空中のホログラムを照らし合わせながら、テキパキと確認を進めていく。
「概ね問題ありません。……しかし、これほどの物量を一体……」
画面の向こうで、ムネノリが書類の束を前に眉をひそめた。
「都市の拡張用にしては、資材の質が偏りすぎている。特に耐熱・耐圧に優れた魔石と鋼材の量が尋常ではない。……一体何を造るおつもりですか?」
ムネノリの疑問はもっともだ。国家予算が吹き飛ぶほどの資源を、一点に集中させようとしているのだから。
わたしが口を開こうとしたその時、ムネノリの横で酒を煽っていたノブナガが、ニヤリと笑って口を挟んだ。
「別に隠すほどのものでもなかろう。『鉄道』じゃろ?」
ノブナガは扇子で画面を指した。
「お主らがトヨノクニにおったころから、インフラ整備の案にあったアレじゃろ。しかも……この物量、ただの鉄道ではないな。『大陸横断鉄道』ほどの規模と見た。……カッカッカ! 相変わらずお主らはやることの規模がデカい!」
「……ふふ。お見通しですのね」
わたしは苦笑しながら、鉄扇を広げた。
「ええ。この大陸を西から東まで貫く、鋼鉄の大動脈を造りますわ。……人や物が、風のように行き交う世界にするために」
「長い付き合い、とは言えんが、短くもない付き合いじゃからな。それくらいはわかるわ」
ノブナガは満足げに頷いた。
「さて、メインの資材はトヨノクニと帝国、それに西方連邦からということになるわけじゃが、物量はかまわんぞ。なにしろお主らが好き放題に開発したおかげで、トヨノクニのインフラは万全じゃからな」
トヨノクニでは既に、魔導トラックによる物流網が完成し、経済が爆発的に回っている。
「国内に鉄道を、という構想もあるにはあるが、こちらはこちらで民と歩調を合わせて進めるつもりじゃ。……ここ数年は急激すぎる変化だったからのう。まずは地盤を固める」
ノブナガの言葉に、為政者としての冷静な判断が見て取れる。
「……だが、一つ条件がある!」
突然、ノブナガの声色が鋭くなった。
隣に座っていたアレクセイが、わずかに身を乗り出す。
「なんでしょう、ノブナガ殿? 交易品の拡大あたりでしょうか?」
「カカッ、馬鹿を言え。そんな小事をこれだけ大きな案件にかませるつもりはないわ」
ノブナガは身を乗り出し、画面越しに私たちを見据えた。
「こちらからも技師を派遣したい。……というか、受け入れてくれ。頼む」
「はい?」
天下人の口から出たのは、意外な懇願だった。
「戻ってきたヒデヨシはともかく……お主らが国を興してからというもの、『行かせろ行かせろ』とうるさくてかなわんのじゃ」
ノブナガが心底うんざりしたように頭を抱える。
その言葉に、わたしとミリアは顔を見合わせた。心当たりは、ありすぎるほどにあった。
「……まさか」
「その『まさか』よ。――ガンテツとドワーフども、それにギエモンらのからくり技師どもよ」
ノブナガは苦笑しながら告げた。
「あやつら、『レヴィーネの姐さんがまたデカイことを始める匂いがする』と騒ぎ出しおってな。『オワリの仕事は弟子に任せられる、俺たちは最前線で新しいオモチャを作らせろ』と、連日直訴に来よる」
目に浮かぶようだ。筋肉達磨のドワーフと、偏屈な爺さんが、ノブナガに詰め寄る姿が。
「条件は『開発した技術のフィードバック』じゃ。……あやつらの腕と情熱、引き取ってはくれんか?」
「……ふふっ。望むところですわ!」
わたしは満面の笑みで答えた。
「彼らがいてくれれば、百人力ですわ。……ええ、最高の『オモチャ』を用意して待っているとお伝えください」
「恩に着る! ……おい、聞いたかお主ら! 許可が出たぞ! さっさと荷物をまとめんか!」
ノブナガが画面外に怒鳴ると、「うおおおおおッ!」「やっとじゃあああ!」という野太い歓声が聞こえてきた。
どうやら、扉の向こうで聞き耳を立てていたらしい。
こうして、かつてトヨノクニで「魔導デコトラ」や「ガラケー」を生み出した伝説の職人集団が、再びわたしの元へと集結することになった。
彼らの到着を待って、いよいよ大陸横断鉄道計画が本格始動する――はずだった。
この時はまだ、誰も予想していなかったのだ。
彼らが持ち込んだ情熱と、わたしの気まぐれが化学反応を起こし、最新鋭のリニア計画を「蒸気と煙の怪物」へと変貌させることになろうとは。
◆◆◆
【皇都アクシス近郊・鉄道試験場】
「――ご覧なさい。あれが、わが国の『血管』を流れる、最初の赤血球ですわ」
わたし、レヴィーネ・ヴィータヴェンは、扇子を開いて高らかに指し示した。
目の前のレールの上に鎮座しているのは、黒光りする巨大な鉄の塊。
いや、それはもはや列車というよりは、線路の上を走る「攻城兵器」に近かった。
先頭車両の前面には、鋭利なスパイクがついた巨大な「衝角」と、線路上の障害物を跳ね飛ばすための「排障器」が装備されている。その形状は、まるで獲物に食らいつこうとする深海魚の顎のようだ。
ボイラーからは、魔素を燃焼させたどす黒い煙が、威嚇するように噴き上がっている。
「……なるほど。これが『ブラック・ヴィータヴェン号』の貨物型か」
隣に立つ夫のアレクセイが、呆れたような、しかしどこか感心したような声で呟いた。
「見た目は凶悪そのものだが……確かにこれなら、護衛の兵士を乗せる必要はなさそうだね」
「ええ。物流における最大のコストは『安全確保』と『遅延』ですもの」
わたしはニヤリと笑った。
「盗賊が出る? 魔獣が線路を塞ぐ? それがどうしましたの? 止まる必要はありませんわ。轢き飛ばして進めば、ダイヤは乱れません」
その言葉に、整備ドックから煤だらけの二人の男が飛び出してきた。
トヨノクニから招聘した伝説の職人、ドワーフのガンテツと、からくり師のギエモンだ。
「おうよ! 姐さんの言う通りだぜ!」
ガンテツが巨大なスパナを担いで吠える。
「この先頭車両の装甲は、戦艦並みの厚さがある! しかも前面のラムには、ドワーフ秘伝の『衝撃吸収術式』と『質量増加エンチャント』を組み込んであるんだ! ドラゴンが寝てても撥ね飛ばせるぜ!」
「フォッフォッフォ。わしの出番も忘れてもらっては困るぞ」
ギエモンがルーペを覗き込みながら補足する。
「車輪周りのサスペンションには、最新のからくり技術を使ってある。たとえ岩を砕こうが、死体を乗り越えようが、貨物室の荷物は卵ひとつ割れんほどの安定性を保つ! ……まさに『走る要塞』じゃな」
彼らの自信満々な説明に、控えていた宰相ミリアが眼鏡を光らせた。
「素晴らしいです。護衛費用の削減と、天候や治安に左右されない定時運行……。これにより、物流コストは従来の馬車輸送の十分の一以下に圧縮できます。まさに『革命』です!」
「さあ、論より証拠ですわ。……イリス、試運転開始よ!」
『了解。……障害物、セット完了』
わたしの号令と共に、線路の遥か前方に、試験用の巨大な岩と、廃棄予定のゴーレムが配置された。
『動力炉、臨界点へ。……ブラック・ヴィータヴェン号、発進』
ブオォォォォォォォォンッ!!!
腹の底に響くような、魔獣の咆哮にも似た汽笛。
巨大な動輪が軋みを上げて回転し、黒い鉄塊が加速を始める。
ズシン、ズシン、と地面が揺れる。それは優雅な列車の旅立ちではない。破壊の権化の突撃だ。
「いっけぇぇぇぇッ!! 粉砕だァァッ!!」
ガンテツの絶叫と共に、列車はトップスピードで障害物エリアへ突入した。
ブレーキなどかけない。減速などしない。
ドゴォォォォォォォォンッ!!!
凄まじい衝撃音。
巨大な岩が粉々に砕け散り、ゴーレムがパーツ単位に分解されて宙を舞う。
だが、黒い列車は揺らぐことさえなく、黒煙をなびかせてその残骸を突き抜けていった。
「……ッ! ははっ、これは凄いな」
アレクセイが顔を引きつらせながら笑う。
「『遅延』という概念を、物理的に排除するとはね。……君らしい解決策だ」
「でしょう? 物流は国の血液ですもの。……血管に詰まったゴミ如きで、血流を止めるわけにはいきませんわ」
わたしは鉄扇を開き、遠ざかる黒い影を満足げに見送った。
「これが、わたくしが放つ『鉄道三本の矢』の第一……『貨物(物流支配)』ですわ!」
◆◆◆
【皇都アクシス・鉄道開発局 プレゼンルーム】
破壊的な貨物列車の試運転を終え、場所を室内に移した私たちは、次なる計画の発表に移っていた。
「――続きまして、第二の矢。『急行列車』についてです」
宰相ミリアが指揮棒を振るうと、空中に新たな車両のホログラムが浮かび上がった。
先ほどの無骨な「走る要塞」とは打って変わり、多くの窓と座席を備えた、大衆向けの客車だ。
「この車両の目的は、安価で大量の人員輸送……ではありません」
ミリアが眼鏡をキラリと光らせる。
「真の目的は、『駅弁経済圏』の構築です」
「駅弁経済圏……?」
聞き慣れない単語に、同席していた各都市の代表者たちが首を傾げる。
ミリアは地図を展開し、線路沿いに設置予定の「駅」を指し示した。
「人は、移動すれば腹が減ります。そして、旅に出れば『その土地の珍しいもの』を食べたくなるものです。そこで、各駅にその土地の特産品を使った『駅弁』を開発・販売させます」
ミリアの熱弁が続く。
「例えば、海岸沿いの駅では『海鮮ちらし』。山間部では『キノコおこわ』。あるいは『魔獣カツサンド』。……これらを駅ごとの限定品とすることで、乗客はそれを目当てに下車し、金を落とします。地方の特産品を掘り起こし、消費を促す。鉄道網はそのまま、巨大な『市場』となるのです!」
「なるほど……!」
「ただ人を運ぶだけではない、カネと食欲を循環させる装置か!」
代表者たちが唸る。隣で聞いていたアリスが、こっそりと私に耳打ちした。
「すごいねミリアちゃん……。『旅の楽しみ』を完璧にシステム化してお金に変えようとしてるよ」
「ええ。頼もしい限りだわ。……でもアリス、あなたも楽しみでしょう?」
「うん! 私、『全駅制覇』目指すから! スタンプラリーも企画しちゃおうかな!」
アリスの瞳が輝いている。平和な悩みだ。
だが、私の本命はそこではない。
「……さて。庶民の足と胃袋はミリアに任せるとして」
私はパン! と鉄扇を鳴らし、職人たちの方を向いた。
そこには、ドワーフのガンテツと、からくり師のギエモンが腕組みをして待機している。
「第三の矢。……私が最も重要視する『豪華特急』についてですわ」
ホログラムが切り替わる。
映し出されたのは、金と漆塗りで装飾された、走る宮殿のような車両だ。
「私は言いましたわね? 『移動時間は食事を楽しむための優雅な拘束時間である』と」
わたしは職人たちを見据え、絶対的な要求を突きつけた。
「この車両は、全席が食堂車仕様。厨房にはダンジョン産の『万能調理器』を完備し、一流のシェフがその場で作ったフルコースを提供します。……そこで、あなたたちに命じたいのはただ一つ」
わたしはワイングラスを手に取り、テーブルに置いた。
「時速70キロで走行中、このグラスに注いだワインが……一滴たりとも波立たない『乗り心地』を実現なさい」
「「なっ……!?」」
ガンテツとギエモンが絶句する。
「無茶だぜ姐さん! 鉄の車輪で砂利の上を走るんだぞ!? 揺れないわけがねえ!」
「左様! いくらなんでも物理の法則を無視しすぎじゃ!」
二人の職人が抗議の声を上げる。
だが、わたしは冷ややかに言い放った。
「おやおや。……トヨノクニの技術力は、その程度でしたの? スープがこぼれるようなガタガタした荷車で、優雅な食事ができるとでも?」
わたしの挑発に、二人の職人の目に火がついた。
「……ケッ! 言ってくれるじゃねえか!」
ガンテツがハンマーを握りしめる。
「上等じゃ! わしの『からくりサスペンション』と、イリス嬢ちゃんの『姿勢制御魔法』を組み合わせれば……!」
ギエモンが図面をひったくる。
「やってやろうじゃねえか! 『走る貴賓室』、作ってみせらぁ!!」
職人たちが怒号と共に作業場へ走っていく。
それを見送りながら、わたしは満足げに微笑んだ。
「……ふふ。やはり男は煽てて使うものね」
「レヴィーネ……君、本当に楽しそうだね」
アレクセイが呆れたように、しかし愛おしげに笑った。
◆◆◆
数日後。
皇都アクシスの中央駅には、完成したばかりの「編成列車」が横たわっていた。
先頭には、黒い蒸気を吐く巨大な「魔導SL」。それに続くのは、装甲化された貨車、大衆向けの客車、そして最後尾に連結された、煌びやかな豪華車両。
三つの矢が、一本の形になった瞬間だ。
「……見なさい、アレク」
出発式。わたしはアレクセイの隣に立ち、動き出した黒い怪物を見送った。
ボオォォォォォッ!!
腹の底に響く汽笛と共に、列車がゆっくりと、しかし力強く加速していく。
「あれが、わが国の『血管』よ」
わたしは遠ざかる列車を指差した。
「盗賊というウィルスは貨車が轢き潰し、経済という栄養は客車が運び、文化という酸素は特急が届ける。……この大陸の隅々まで、血を通わせる鋼の血管ですわ」
線路の先には、かつて不毛だった荒野が、今は緑豊かな穀倉地帯となって広がっている。
その中を、黒煙を上げて走る列車。
それは、私がこの世界に来て、積み上げてきた「物理」と「食」の集大成でもあった。
「ああ。……君が心臓なら、あれは確かに血管だ」
アレクセイが私の肩を抱き寄せ、眩しそうに列車を見つめた。
「世界はまた、君によって健康になっていくな」
「あら、嫌ですわ。……『健やか』と言ってくださる?」
わたしは彼に寄り添い、幸せなため息をついた。
「さあ、わたくしたちも参りましょう。……『一番列車』の食堂車で、フルコースが待っていますわ」
「揺れないワインと、熱々のスープがね」
わたしたちは手を取り合い、次の列車へと歩き出した。
汽笛の音が、どこまでも広がる青空に吸い込まれていく。
その音は、この国が迎える新しい時代の、力強い産声のようだった。
大陸中央に興った新国家「ヴィータヴェン・アクシス連邦皇国」の中枢では、次なる巨大プロジェクトに向けた準備が着々と進められていた。
薄暗い会議室の空中に、東の島国トヨノクニとの魔導通信ウィンドウが展開されている。
映し出されているのは、トヨノクニ執権アシカガ・ムネノリと、天下人オダ・ノブナガだ。
「――タケダ領からの『紅蓮魔石』の供給ルート、およびサツマ領からの特殊木材の搬入スケジュール、共に確認いたしました」
宰相ミリアが、手元のタブレットと空中のホログラムを照らし合わせながら、テキパキと確認を進めていく。
「概ね問題ありません。……しかし、これほどの物量を一体……」
画面の向こうで、ムネノリが書類の束を前に眉をひそめた。
「都市の拡張用にしては、資材の質が偏りすぎている。特に耐熱・耐圧に優れた魔石と鋼材の量が尋常ではない。……一体何を造るおつもりですか?」
ムネノリの疑問はもっともだ。国家予算が吹き飛ぶほどの資源を、一点に集中させようとしているのだから。
わたしが口を開こうとしたその時、ムネノリの横で酒を煽っていたノブナガが、ニヤリと笑って口を挟んだ。
「別に隠すほどのものでもなかろう。『鉄道』じゃろ?」
ノブナガは扇子で画面を指した。
「お主らがトヨノクニにおったころから、インフラ整備の案にあったアレじゃろ。しかも……この物量、ただの鉄道ではないな。『大陸横断鉄道』ほどの規模と見た。……カッカッカ! 相変わらずお主らはやることの規模がデカい!」
「……ふふ。お見通しですのね」
わたしは苦笑しながら、鉄扇を広げた。
「ええ。この大陸を西から東まで貫く、鋼鉄の大動脈を造りますわ。……人や物が、風のように行き交う世界にするために」
「長い付き合い、とは言えんが、短くもない付き合いじゃからな。それくらいはわかるわ」
ノブナガは満足げに頷いた。
「さて、メインの資材はトヨノクニと帝国、それに西方連邦からということになるわけじゃが、物量はかまわんぞ。なにしろお主らが好き放題に開発したおかげで、トヨノクニのインフラは万全じゃからな」
トヨノクニでは既に、魔導トラックによる物流網が完成し、経済が爆発的に回っている。
「国内に鉄道を、という構想もあるにはあるが、こちらはこちらで民と歩調を合わせて進めるつもりじゃ。……ここ数年は急激すぎる変化だったからのう。まずは地盤を固める」
ノブナガの言葉に、為政者としての冷静な判断が見て取れる。
「……だが、一つ条件がある!」
突然、ノブナガの声色が鋭くなった。
隣に座っていたアレクセイが、わずかに身を乗り出す。
「なんでしょう、ノブナガ殿? 交易品の拡大あたりでしょうか?」
「カカッ、馬鹿を言え。そんな小事をこれだけ大きな案件にかませるつもりはないわ」
ノブナガは身を乗り出し、画面越しに私たちを見据えた。
「こちらからも技師を派遣したい。……というか、受け入れてくれ。頼む」
「はい?」
天下人の口から出たのは、意外な懇願だった。
「戻ってきたヒデヨシはともかく……お主らが国を興してからというもの、『行かせろ行かせろ』とうるさくてかなわんのじゃ」
ノブナガが心底うんざりしたように頭を抱える。
その言葉に、わたしとミリアは顔を見合わせた。心当たりは、ありすぎるほどにあった。
「……まさか」
「その『まさか』よ。――ガンテツとドワーフども、それにギエモンらのからくり技師どもよ」
ノブナガは苦笑しながら告げた。
「あやつら、『レヴィーネの姐さんがまたデカイことを始める匂いがする』と騒ぎ出しおってな。『オワリの仕事は弟子に任せられる、俺たちは最前線で新しいオモチャを作らせろ』と、連日直訴に来よる」
目に浮かぶようだ。筋肉達磨のドワーフと、偏屈な爺さんが、ノブナガに詰め寄る姿が。
「条件は『開発した技術のフィードバック』じゃ。……あやつらの腕と情熱、引き取ってはくれんか?」
「……ふふっ。望むところですわ!」
わたしは満面の笑みで答えた。
「彼らがいてくれれば、百人力ですわ。……ええ、最高の『オモチャ』を用意して待っているとお伝えください」
「恩に着る! ……おい、聞いたかお主ら! 許可が出たぞ! さっさと荷物をまとめんか!」
ノブナガが画面外に怒鳴ると、「うおおおおおッ!」「やっとじゃあああ!」という野太い歓声が聞こえてきた。
どうやら、扉の向こうで聞き耳を立てていたらしい。
こうして、かつてトヨノクニで「魔導デコトラ」や「ガラケー」を生み出した伝説の職人集団が、再びわたしの元へと集結することになった。
彼らの到着を待って、いよいよ大陸横断鉄道計画が本格始動する――はずだった。
この時はまだ、誰も予想していなかったのだ。
彼らが持ち込んだ情熱と、わたしの気まぐれが化学反応を起こし、最新鋭のリニア計画を「蒸気と煙の怪物」へと変貌させることになろうとは。
◆◆◆
【皇都アクシス近郊・鉄道試験場】
「――ご覧なさい。あれが、わが国の『血管』を流れる、最初の赤血球ですわ」
わたし、レヴィーネ・ヴィータヴェンは、扇子を開いて高らかに指し示した。
目の前のレールの上に鎮座しているのは、黒光りする巨大な鉄の塊。
いや、それはもはや列車というよりは、線路の上を走る「攻城兵器」に近かった。
先頭車両の前面には、鋭利なスパイクがついた巨大な「衝角」と、線路上の障害物を跳ね飛ばすための「排障器」が装備されている。その形状は、まるで獲物に食らいつこうとする深海魚の顎のようだ。
ボイラーからは、魔素を燃焼させたどす黒い煙が、威嚇するように噴き上がっている。
「……なるほど。これが『ブラック・ヴィータヴェン号』の貨物型か」
隣に立つ夫のアレクセイが、呆れたような、しかしどこか感心したような声で呟いた。
「見た目は凶悪そのものだが……確かにこれなら、護衛の兵士を乗せる必要はなさそうだね」
「ええ。物流における最大のコストは『安全確保』と『遅延』ですもの」
わたしはニヤリと笑った。
「盗賊が出る? 魔獣が線路を塞ぐ? それがどうしましたの? 止まる必要はありませんわ。轢き飛ばして進めば、ダイヤは乱れません」
その言葉に、整備ドックから煤だらけの二人の男が飛び出してきた。
トヨノクニから招聘した伝説の職人、ドワーフのガンテツと、からくり師のギエモンだ。
「おうよ! 姐さんの言う通りだぜ!」
ガンテツが巨大なスパナを担いで吠える。
「この先頭車両の装甲は、戦艦並みの厚さがある! しかも前面のラムには、ドワーフ秘伝の『衝撃吸収術式』と『質量増加エンチャント』を組み込んであるんだ! ドラゴンが寝てても撥ね飛ばせるぜ!」
「フォッフォッフォ。わしの出番も忘れてもらっては困るぞ」
ギエモンがルーペを覗き込みながら補足する。
「車輪周りのサスペンションには、最新のからくり技術を使ってある。たとえ岩を砕こうが、死体を乗り越えようが、貨物室の荷物は卵ひとつ割れんほどの安定性を保つ! ……まさに『走る要塞』じゃな」
彼らの自信満々な説明に、控えていた宰相ミリアが眼鏡を光らせた。
「素晴らしいです。護衛費用の削減と、天候や治安に左右されない定時運行……。これにより、物流コストは従来の馬車輸送の十分の一以下に圧縮できます。まさに『革命』です!」
「さあ、論より証拠ですわ。……イリス、試運転開始よ!」
『了解。……障害物、セット完了』
わたしの号令と共に、線路の遥か前方に、試験用の巨大な岩と、廃棄予定のゴーレムが配置された。
『動力炉、臨界点へ。……ブラック・ヴィータヴェン号、発進』
ブオォォォォォォォォンッ!!!
腹の底に響くような、魔獣の咆哮にも似た汽笛。
巨大な動輪が軋みを上げて回転し、黒い鉄塊が加速を始める。
ズシン、ズシン、と地面が揺れる。それは優雅な列車の旅立ちではない。破壊の権化の突撃だ。
「いっけぇぇぇぇッ!! 粉砕だァァッ!!」
ガンテツの絶叫と共に、列車はトップスピードで障害物エリアへ突入した。
ブレーキなどかけない。減速などしない。
ドゴォォォォォォォォンッ!!!
凄まじい衝撃音。
巨大な岩が粉々に砕け散り、ゴーレムがパーツ単位に分解されて宙を舞う。
だが、黒い列車は揺らぐことさえなく、黒煙をなびかせてその残骸を突き抜けていった。
「……ッ! ははっ、これは凄いな」
アレクセイが顔を引きつらせながら笑う。
「『遅延』という概念を、物理的に排除するとはね。……君らしい解決策だ」
「でしょう? 物流は国の血液ですもの。……血管に詰まったゴミ如きで、血流を止めるわけにはいきませんわ」
わたしは鉄扇を開き、遠ざかる黒い影を満足げに見送った。
「これが、わたくしが放つ『鉄道三本の矢』の第一……『貨物(物流支配)』ですわ!」
◆◆◆
【皇都アクシス・鉄道開発局 プレゼンルーム】
破壊的な貨物列車の試運転を終え、場所を室内に移した私たちは、次なる計画の発表に移っていた。
「――続きまして、第二の矢。『急行列車』についてです」
宰相ミリアが指揮棒を振るうと、空中に新たな車両のホログラムが浮かび上がった。
先ほどの無骨な「走る要塞」とは打って変わり、多くの窓と座席を備えた、大衆向けの客車だ。
「この車両の目的は、安価で大量の人員輸送……ではありません」
ミリアが眼鏡をキラリと光らせる。
「真の目的は、『駅弁経済圏』の構築です」
「駅弁経済圏……?」
聞き慣れない単語に、同席していた各都市の代表者たちが首を傾げる。
ミリアは地図を展開し、線路沿いに設置予定の「駅」を指し示した。
「人は、移動すれば腹が減ります。そして、旅に出れば『その土地の珍しいもの』を食べたくなるものです。そこで、各駅にその土地の特産品を使った『駅弁』を開発・販売させます」
ミリアの熱弁が続く。
「例えば、海岸沿いの駅では『海鮮ちらし』。山間部では『キノコおこわ』。あるいは『魔獣カツサンド』。……これらを駅ごとの限定品とすることで、乗客はそれを目当てに下車し、金を落とします。地方の特産品を掘り起こし、消費を促す。鉄道網はそのまま、巨大な『市場』となるのです!」
「なるほど……!」
「ただ人を運ぶだけではない、カネと食欲を循環させる装置か!」
代表者たちが唸る。隣で聞いていたアリスが、こっそりと私に耳打ちした。
「すごいねミリアちゃん……。『旅の楽しみ』を完璧にシステム化してお金に変えようとしてるよ」
「ええ。頼もしい限りだわ。……でもアリス、あなたも楽しみでしょう?」
「うん! 私、『全駅制覇』目指すから! スタンプラリーも企画しちゃおうかな!」
アリスの瞳が輝いている。平和な悩みだ。
だが、私の本命はそこではない。
「……さて。庶民の足と胃袋はミリアに任せるとして」
私はパン! と鉄扇を鳴らし、職人たちの方を向いた。
そこには、ドワーフのガンテツと、からくり師のギエモンが腕組みをして待機している。
「第三の矢。……私が最も重要視する『豪華特急』についてですわ」
ホログラムが切り替わる。
映し出されたのは、金と漆塗りで装飾された、走る宮殿のような車両だ。
「私は言いましたわね? 『移動時間は食事を楽しむための優雅な拘束時間である』と」
わたしは職人たちを見据え、絶対的な要求を突きつけた。
「この車両は、全席が食堂車仕様。厨房にはダンジョン産の『万能調理器』を完備し、一流のシェフがその場で作ったフルコースを提供します。……そこで、あなたたちに命じたいのはただ一つ」
わたしはワイングラスを手に取り、テーブルに置いた。
「時速70キロで走行中、このグラスに注いだワインが……一滴たりとも波立たない『乗り心地』を実現なさい」
「「なっ……!?」」
ガンテツとギエモンが絶句する。
「無茶だぜ姐さん! 鉄の車輪で砂利の上を走るんだぞ!? 揺れないわけがねえ!」
「左様! いくらなんでも物理の法則を無視しすぎじゃ!」
二人の職人が抗議の声を上げる。
だが、わたしは冷ややかに言い放った。
「おやおや。……トヨノクニの技術力は、その程度でしたの? スープがこぼれるようなガタガタした荷車で、優雅な食事ができるとでも?」
わたしの挑発に、二人の職人の目に火がついた。
「……ケッ! 言ってくれるじゃねえか!」
ガンテツがハンマーを握りしめる。
「上等じゃ! わしの『からくりサスペンション』と、イリス嬢ちゃんの『姿勢制御魔法』を組み合わせれば……!」
ギエモンが図面をひったくる。
「やってやろうじゃねえか! 『走る貴賓室』、作ってみせらぁ!!」
職人たちが怒号と共に作業場へ走っていく。
それを見送りながら、わたしは満足げに微笑んだ。
「……ふふ。やはり男は煽てて使うものね」
「レヴィーネ……君、本当に楽しそうだね」
アレクセイが呆れたように、しかし愛おしげに笑った。
◆◆◆
数日後。
皇都アクシスの中央駅には、完成したばかりの「編成列車」が横たわっていた。
先頭には、黒い蒸気を吐く巨大な「魔導SL」。それに続くのは、装甲化された貨車、大衆向けの客車、そして最後尾に連結された、煌びやかな豪華車両。
三つの矢が、一本の形になった瞬間だ。
「……見なさい、アレク」
出発式。わたしはアレクセイの隣に立ち、動き出した黒い怪物を見送った。
ボオォォォォォッ!!
腹の底に響く汽笛と共に、列車がゆっくりと、しかし力強く加速していく。
「あれが、わが国の『血管』よ」
わたしは遠ざかる列車を指差した。
「盗賊というウィルスは貨車が轢き潰し、経済という栄養は客車が運び、文化という酸素は特急が届ける。……この大陸の隅々まで、血を通わせる鋼の血管ですわ」
線路の先には、かつて不毛だった荒野が、今は緑豊かな穀倉地帯となって広がっている。
その中を、黒煙を上げて走る列車。
それは、私がこの世界に来て、積み上げてきた「物理」と「食」の集大成でもあった。
「ああ。……君が心臓なら、あれは確かに血管だ」
アレクセイが私の肩を抱き寄せ、眩しそうに列車を見つめた。
「世界はまた、君によって健康になっていくな」
「あら、嫌ですわ。……『健やか』と言ってくださる?」
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「さあ、わたくしたちも参りましょう。……『一番列車』の食堂車で、フルコースが待っていますわ」
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