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第21章
【暖かな場所へ】
しおりを挟むなにやら眩しい光に包まれて、エイミーは目を覚ました。
寝ぼけ眼で目を擦り、そっと開けると、そこは何故かマンホールの上だった。
太陽がカンカンと照りつけている。
しかし、少し寒い。
慌てて起き上がり、服に付いた砂誇りを両手で払う。
どうやらしばらくの間、このマンホールの上で寝ていたらしい。
見慣れている、どこにでもあるマンホールだ。
こんなところで寝入ってしまっていたのだろうか。
でも、何故?こんなところで?
経緯が分からない。
目が覚める前の記憶が、何故だか全く無かった。
エイミーは時計を見ようと、腕に目をやった。
しかし、時計が無い。
荷物も無くなっていた。
こんなところで寝ていようものなら、盗まれても文句は言えない。
エイミーは首を傾げ、心底不思議に思いながら家の方へと歩き出した。
………
家に近づくと、ドアの前でお婆ちゃんが落ち着かない様子で歩き回っていた。
「お婆ちゃん!」
近づきながら声をかけると、お婆ちゃんはすぐさまこちらを見て、エイミーに駆け寄った。
「エイミー!一体どこへ行ってたんだい!
昨日からなかなか帰らないから、心配していたんだよ!」
「それが私もよく分からないの。
道端で寝入ってしまっていたみたいで」
エイミーが申し訳なさそうに答えると、お婆ちゃんはびっくりして言った。
「道端で寝ていたなんて、一体どういうことだい!」
エイミーは困り果てながら答えた。
「私にもなにがなんだか分からないのよ。
ごめんなさい」
お婆ちゃんは不安げな表情でエイミーを抱きしめて言った。
「もう2度と、お婆ちゃんに心配かけるんじゃあないよ」
エイミーはお婆ちゃんの腕の中で泣き出しそうな気持ちになった。
何故だかは分からない。
泣く理由などなにも無いはずだ。
「心配かけて、ごめんなさい」
エイミーは呟くと、お婆ちゃんをぎゅっと抱きしめ返した。
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