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十二話
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上半身を起こし、山崎さんの目の前で、手を振ってまつ毛が動かないのを確認する。
愛おしい気持ちが生まれ、その頬に、そっと唇を優しく着けてから、すぐに離した。
山崎さんの寝顔を見つめ、少しだけ髪を撫でてから寝室を出た。
リビングに向かう途中で、洗面所に行き、洗濯機を回しながら、顔を洗い、リビングのドアを開けた。
キッチンに入り、冷蔵庫から、卵二個とベーコン、レタス、キュウリ、トマトを取り出し、棚から食パンを出して朝食を作り始めた。
久々に作るから、味に自信はない。
だが、今朝は無性に作りたくなった。
レタスとキュウリを混ぜ、器に盛り、櫛切りにしたトマトを飾り、ドレッシングを掛ける。
ベーコンを焼いて、片目焼きを作り、皿に盛って、食パンをトースターに入れる。
お湯を沸かしながら、それらとフォークをカウンターに、並べていた時、リビングのドアが開いて、山崎さんが、慌てて入ってきた。
「すみません!!今、朝食を…」
カウンターに並んだ料理を見て、山崎さんは、言葉を途中で切り、驚いた顔をしていた。
「もう出来てるよ」
そう言って、トーストを二枚と一枚で、それぞれ乗せた皿をカウンターに置いた。
お湯を注ぎ、コーヒーの入ったマグカップを持って、キッチンから出ると、ボーッと、ドアの前に突っ立っていている山崎さんに、笑ってしまった。
「何してんの?」
我に返った山崎さんが、カウンターに近付き、私の作った朝食を見下ろした。
「これって…」
「味は保証しないからね」
可愛くない言い方で、山崎さんのマグカップをトーストが、二枚乗ってる皿の隣に置いて、椅子に座った。
コーヒーを飲んで、トーストをかじる私を見下ろして、山崎さんは、嬉しそうに微笑んだ。
隣に座り、サラダを食べて、片目焼きを口に運ぶ。
この時、口から出てきそうな程、私の心臓は飛び跳ねていた。
しょっぱくないか。
ドレッシングは掛け過ぎてないか。
食パンは焦げてないか。
そう思いながらも、冷静を装って、横目で、山崎さんの横顔を見ていたが、いつの間にか、顔を向けていた。
「だい…じょうぶ?」
「美味しいですよ」
口角を上げて、ニッコリ笑った山崎さんに、心底安心した。
止めていた息を吐き出すと、山崎さんは、クスクスと笑った。
「すみませんね。久々で」
「でも、急にどうしたんですか?」
不思議そうな顔をして、山崎さんに聞かれ、黙ってサラダを口に運んだ。
絶対、教えない。
暫くは、私の横顔を見つめていたが、困った顔になり、鼻で溜め息をついて、トーストにかじりついた。
終始無言のまま、朝食を食べ終え、食器を重ねて、上のカウンターに置くと、山崎さんが洗い始めた。
換気扇の下で、タバコを吸い始めたが、口の中に苦味が残り、変な感じで、早々にタバコを消した。
「大丈夫ですか?」
食器を洗い終わった山崎さんが、私を見つめ、心配そうな顔をしていた。
「なにが?」
「顔色が悪いですよ?具合悪いんじゃないですか?」
自分の顔を触ってみたが、いつもより、少し熱いくらいで、それ以外は、変わりない気がした。
「別に。ちょっと、熱いくらいかな」
「本当ですか?無理しないで下さいね?」
「分かったよ。山崎さんって心配性だよね」
笑いながら、コーヒーを淹れたマグカップを持って、キッチンから出て、リビングのドアに近付き、山崎さんに振り返って言った。
「洗濯しといたからお願いね」
頷いた山崎さんに、軽く手を振り、仕事部屋に行き、デスクにマグカップを置いた。
パソコンの電源を入れ、昨日の山崎さんとのことを思い出しながら、手を加えて、官能小説の続きを保存した。
新たなフォルダを作り、コピー用紙を取り出して、あらすじや登場人物などの詳細を書く。
小説を書き始めると、不意に、官能小説のネタが浮かび、書いていた小説を保存した。
官能小説のフォルダを開いて、書き足してた時、唐突に思い付いた。
私は、仕事の手を止めて、山崎さんを探した。
リビングのソファーで、コーヒーを飲みながら、本を読んで、くつろいでいる山崎さんを見付け、静かに近付き、肩を掴んだ。
ビクッと肩が揺れ、目を見開いたまま、ゆっくりと顔を向けた山崎さんは、ソファーの背もたれに、頭を着けて、天上を見上げた。
「心臓に悪いですよ」
「仕事何時?」
「五時からです」
「じゃ、二時までに帰って来れば余裕?」
「そうですけど」
「ならちょっと付き合ってよ」
私は、山崎さんの手を掴んで、引っ張るように、リビングを出た。
「どうしたんですか?」
「いいから。いいから」
和室の障子を開け、山崎さんを引っ張り、庭の片隅にある物置に向かった。
キョロキョロと視線を動かし、次々に段ボールの蓋を開ける。
「いい加減教えて下さいよ」
「お弁当箱。探して」
「…はい?」
段ボールの中身を手で、掻き回すように探し、山崎さんに視線を向けず、違う段ボールを開けながら言った。
「ちょっと行きたい所があるんだ。お弁当持って行けば楽じゃん?」
山崎さんは、暫く、私の背中を見つめていたが、鼻からため息を吐いて、私の後の段ボールを開けた。
それをチラッと見て、次の段ボールを開けながら、私は、ニヤニヤと笑っていた。
「これですか?」
山崎さんに近付いて、弁当箱を受け取り、壊れてないか確認した。
水色の大きめな弁当箱は、思い出がたくさん詰まっていた。
ヒビもなく、綺麗な弁当箱に、頬を緩ませ、山崎さんの手を掴んで引っ張り、家の中に入ってからの手を離した。
「早く着替えてね」
「マコトさんは?」
「私も準備するよ?あとで、一緒に作ろうね」
弁当箱を見せてながら、寝室に行き、ブラウスとハーフパンツに着替えた。
大きめのバックと弁当箱を待って、仕事部屋に向かい、マグカップとジャケットを持って、リビングに向かう。
ジャケットとバックをカウンターに置き、弁当箱を洗い始めた。
いくら綺麗でも、長年使ってなかったのだからと、ちゃんと洗い、キッチンペーパーで拭いた。
山崎さんが、着替えを済ませ、リビングに入ってくると、二人で、弁当を作り始めた。
だし巻き玉子やウインナーなど、簡単なおかずと一口サイズのおにぎりを弁当箱に詰めていく。
これが、結構楽しかった。
バックにお弁当を入れ、ジャケットを着ようとした私に、山崎さんは、首を傾げて言った。
「今日は、ジャケットだと暑いですよ?」
「そうなの?」
「気温上がるらしいです。薄手のセーターかカーディガンの方が、いいんじゃないですか?」
「って言われても、持ってないし」
「全くですか?」
私が頷くと、山崎さんは、呆れたような、納得したような、複雑な顔をして、鼻で溜め息をついた。
「仕方ないですね」
そう言って、着ていたカーディガンを脱いで、私の肩に掛けた。
山崎さんを見上げると、肩に手を置いて、優しく微笑んでいた。
「これ着てください」
「いいの?」
頷く山崎さんに、自然と頬が上がり、カーディガンに腕を通した。
手が出ない袖で、鼻を覆うと、山崎さんの匂いした。
若くて男性的なのに、温かくて優しい匂いに安心する。
「ブカブカ」
「仕方ないですよ。これでも、小さい方なんですよ?」
「そうなんだ。でも大きい」
苦笑いしている山崎さんに、満面の笑みを向けて、両手を広げ、バサバサと袖を振った。
「ほら。早くしないと行けなくなりますよ?」
「はぁ~い」
袖から手が出ないまま、返事をすると、苦笑いしたまま、弁当の入ったバックを山崎さんが持つ。
私は、ジャケットから携帯と鍵を取り出して、並んで玄関に向かった。
下駄箱から、動きやすい靴と小さめのレジャーシートを取り出して家を出た。
玄関に鍵を掛け、車に向かいながら、山崎さんに車の鍵を渡す。
「運転。よろしく」
「…はい!?私がするんですか?」
「そう」
「人を乗せたのは、教習の時くらいなんですよ?」
「わぁ~い。山崎さんの初めてだぁ。嬉しいなぁ」
棒読みで言うと、山崎さんは、慌てて、助手席に向かう私の腕を掴んだ。
「そうじゃなくて」
「大丈夫だよ。危なくなったら、逃げるから」
「走ってる車から、どうやって逃げんですか」
「それは冗談」
「もうちょっと、真面目に聞いて下さいよ」
山崎さんに向き直り、真剣な顔をすると、山崎さんは、不安そうな顔をした。
「帰りは運転するから。行きだけ。お願い」
表情を崩しながら、そう言って、顔の前で、両手を合わせてお願いする。
なんとなく、山崎さんが、これに弱いと思っていた。
案の定、山崎さんは、溜め息をついて、ムッとしながらも、運転席に向かい鍵を開けた。
私も助手席に回り、シートベルトをして、ナビに地図を呼び出した。
「どうなっても知りませんからね」
「はぁ~い。ありがとう」
弁当の入ったバックを受け取って抱えると、山崎さんの運転で、車が走り出した。
実は、タバコを吸ってから、ずっと、あの苦味が、口の中に残っていた。
正直、ちょっと気持ち悪い。
運転に支障はないが、長時間は辛い。
それでも、あの場所へ、山崎さんと行きたくなったから、外へ出た。
途中のコンビニで、ペットボトルのお茶と缶コーヒーを二本ずつ買って、また車に揺られる。
カーナビ通りに走る山崎さんの運転は、とても上手で、想像してたよりも、乗り心地がよかった。
「マコトさん」
肩を揺らされ、いつの間にか、寝ていたのを知って、少し申し訳なかった。
「着きましたよ」
瞼を擦りながら、窓の外を見ると、蓮の葉が浮かぶ、懐かしい景色が広がっていた。
車を降り、バックを持ったまま、背伸びをして、空気を胸いっぱいに吸い込んで吐き出した。
「風が気持ちいいですね」
山崎さんも車から降り、私の隣に立って、目を閉じ、空に顔を向けた。
そよ風で、山崎さんの髪がなびく。
その横顔を見上げて、改めて、山崎さんの顔立ちが整っているのを実感した。
「見惚れましたか?」
ボーッと、山崎さんを見上げていると、口角を上げ、得意気な顔をした。
横目で見下ろされ、私は、山崎さんと同じように、空を見上げて、目を閉じた。
「ちょっとだけ」
「最近、素直ですね」
「元からだし」
「そうでしたか?最初は、真っ赤な顔して、違うって叫んでたような」
「それは、お互い様。山崎さんだって、最初は優しかったじゃん」
「今でも優しくしてますよ?」
横目で、山崎さんを見てから、前に視線を戻して、背中を向け、座れそうな場所を探そうと歩き出した。
「乱暴だよ」
少し後ろを歩き、山崎さんも、周りを見渡しながら、私と一緒に座れそうな場所を探した。
「優しくしてますって」
「あっちこっち痛い」
「拒絶するからですよ」
「素直に下に敷かれてるよ」
「そんな事言ってたら、私もあちこち痛いですよ」
「自業自得」
「何なら、ここでしますか?」
座れそうな場所に広げたレジャーシートに座りながら、ニコニコと笑っている山崎さんが、ちょっと怖い。
「遠慮します。でも、本当に痛いんだよ?掴まれた所とか、アザみたいになってるし」
「そんな力入れてないですよ」
無言でカーディガンとブラウスの袖を捲り、手首のアザを見せた。
指の形に、ハッキリ残ったアザに、山崎さんの頬が、少し赤くなった。
「お互い、無意識だから仕方ないけどさ。これは酷くない?」
「すみませんでした」
顔を真っ赤にして、レジャーシートに寝転び、腕で目元を隠した山崎さんは、呟くように言った。
それを見下ろし、愛らしいと思いながら、膝を抱えて、そよ風に揺れる蓮の葉を見つめた。
「…ありがとう」
私が呟くと、山崎さんは、少しだけ、腕をずらし、私の背中を白い雲が流れる空と共に見つめた。
「全身のアザも、キスマークも、見ると恥ずかしいし、ちょっと、ムカッてするけど、前の事が、忘れられるんだ。やってる事は、変わらないかもしれないけど、それでも、前より、気持ち的には、穏やかでいれるよ」
山崎さんは、真っ直ぐ空を見上げて、真剣な顔をしていた。
膝を離し、足を伸ばして、後ろに手を着いた。
「知ってる?蓮の花は、綺麗な池では、小さな花しか咲かないんだよ?」
「へぇ~」
山崎さんも起き上がり、私と同じように、後ろに手を着いて、池の蓮たちを見つめた。
「泥水であればある程、大輪の花を咲かせるんだって」
「不思議ですね」
「でしょ?そんな花が、何故、お釈迦様の台座になってると思う?」
「そうですねぇ。見栄えがいいからでしょうか?」
ゆっくり首を振って否定し、私は、また膝を抱えて池を見つめた。
「仏教では、泥水を人生に置き換えて、辛い事や悲しい事だとされてる」
「へぇ~」
「花の中に実があって、その実が悟りとされ、そういうことがなければ、人は、幸せを感じる事が出来ないって」
「泥沼から大輪の花を咲かせ、実を結ぶなんて素敵ですね」
「そうだよねぇ~。だけど、一部では、救ってくださいって意味で、使われることもあるんだってよ?」
「確かに、合ってますねぇ」
「蓮の花言葉は、知ってる?」
「それなら知ってます。 神聖や清らかな心ですよね?」
「それだけじゃなんだよ?離れゆく愛ってのもある」
「詳しいですね?」
「花屋さんに聞いたり、ネットで調べたりしたんだ」
「博学ですね」
「これでも作家だよ?」
「あ~。そういえばそうでしたね」
横目で睨み付けると、山崎さんは、わざとらしい微笑みを浮かべていた。
「歩いて帰ってね」
「それは、さすがにキツいです」
「あっそ」
私は、バックの中から、単行本を取り出して開いた。
「あ。ズルいですよ」
「あと二冊あるよ」
バックから二冊を取り出して、山崎さんとの間に置くと、上の単行本を手に取り、タイトルを見ながら言った。
「いつの間に入れてたんですか?」
「かなり前に、入れてたのをそのまま」
「相変わらず、ズボラですね」
「すみませんね」
それから無言になって、ページを捲り、読み進めたが、一度、読んでしまった内容に、飽きてしまった。
私が、山崎さんに視線を向けると、山崎さんは、真剣な表情で、夢中になっていた。
携帯を取り出し、カメラを起動させ、少しずつ位置をずれた。
「ススムさん」
急に名前を呼ばれ、驚きながら、こっちを向いた山崎さんに向かって、シャッターボタンを押した。
カシャッと音が鳴り、ニヤリと笑った私に、山崎さんの頬が赤くなった。
「飽きっぽいんですね」
目元を手で覆って、そう言った山崎さんに、写真を保存しながら答えた。
「一回読んでるからね」
「だからって、撮らなくてもいいのでは?」
「いいじゃん」
溜め息をついて、単行本を閉じ、後ろの方に置いた。
「どんな感じですか?」
間の単行本を後ろに、移動しながら、私に近付いた。
「別に。いつもと変わらないかな」
携帯のフォルダを開いて、保存した山崎さんの写真を呼び出す。
体を寄せ、背中に腕を回すように、手を着くと、山崎さんは、携帯を覗き込んだ。
「モデルにでもなれば?」
「イヤです。マコトさんの専属ならいいですけど?」
「いらないし」
そう言った私の頬に、柔らかい物が触れ、山崎さんに顔を向けた。
さっきの私と同じように、ニヤリと笑っているのが、視界いっぱいにあった。
体を反らそうとしたが、山崎さんの手が、肩を掴んで、逆に引き寄せられた。
オデコとオデコを着け、山崎さんの瞳に映る私しか見えない状況に、顔が熱くなる。
山崎さんの穏やかな鼻息が、私の頬に当たり、更に頬が熱くなった。
唇が一瞬重なり、すぐに離れると、山崎さんは、優しく微笑んで、携帯を取り出し、時間を確認した。
「そろそろお昼ですね」
「携帯」
バックから弁当を持ち上げ、私を見つめたまま、目を点にして首を傾げた。
「持ってんなら教えてよ」
私がそう言うと、納得したように頷き、意地悪する時の微笑みと声色で言った。
「聞かれなかったので」
私がムッとすると、ニコニコと笑いながら、弁当を広げた。
「その言い方腹立つ」
憎まれ口を叩いて、おにぎりに手を出そうとすると、おしぼりを差し出された。
一瞬固まり、おしぼりを受け取って、手を拭き、おにぎりを口に、放り込んだ。
私が食べ始めると、何も言わず、山崎さんもおしぼりで、手を拭き、おにぎりを掴んで口に入れた。
コンビニで買ったお茶のペットボトルを突き出すと、山崎さんは、ニコニコと笑ったまま、ペットボトルを受け取った。
「ありがとうございます」
ペットボトルを開け、お茶を飲む、山崎さんから、視線を反らし、池をって見ながら、だし巻き玉子を口に入れた。
無言のまま、弁当を食べ終わり、山崎さんが、空になった弁当箱を片付けた。
暫くして、立ち上がって、背伸びをすると、山崎さんに向き直った。
「帰ろっか」
「そうですね」
単行本をバックに突っ込んで、レジャーシートをたたんで、山崎さんが、全てを持って車に戻った。
「鍵」
私が手を出して、車の鍵を受け取ろうとしたが、山崎さんは、運転席のドアを開けて言った。
「運転しますよ」
運転席に乗り込んだのをボーッと、見つめると、助手席の窓が開き、山崎さんの顔が見えた。
「どうかしましたか?」
「何でもない」
ぶっ垂れたならが、そう言って、助手席に乗り込み、山崎さんから荷物を受け取った。
足元に置いて、シートベルトをして、窓の外を見つめた。
「金山さん」
苗字を呼ばれ、驚いて顔を向けると、唇が重なった。
チュッと音を発てて、山崎さんの顔が離れていき、車は、自宅に向かって走り出した。
帰りも途中から寝てしまい、起きた時は、自宅近くにまで戻ってきていた。
目を擦りながら、車から降りると、山崎さんが、心配そうな顔をしていた。
優しく微笑むと、山崎さんも、優しく微笑んで玄関に向かった。
鍵を開け、リビングに向かい、弁当箱を流しに置き、お湯を沸かして、マグカップにコーヒーを淹れた。
マグカップを持ち、仕事部屋に行き、椅子に座って、コーヒーを一口飲んでから、仕事の続きを書き始めた。
五分くらい経った時、携帯が部屋に鳴り響き、ビクッと肩を揺らしてから、携帯を手に取った。
画面を確認して、受話ボタンを押して耳に着けた。
「はい」
『ご無沙汰しています。深美(フカミ)です』
「可奈(カナ)さん?どうしました?」
『おかげさまで、読み切りの継続が決定しました』
「そうですか。おめでとうございます」
『ありがとうございます。マコトさんのおかげです』
「私は、お手伝いしただけで、可奈さんが頑張った結果ですよ」
『いえ。私の無茶なお願いを聞いてもらったのに、あんな素敵なお話をお書きなったのは、マコトさんですから』
「ありがとうございます。可奈さんの気持ちに、答えられて嬉しいですよ」
可奈さんと笑い合うと、可奈さんは、本題を切り出した。
『これからも、お願い出来ればと思うんですけど、大丈夫ですか?』
「私で良ければ、喜んで」
『ありがとうございます。それで、次回の打ち合わせなんですけど』
「それなら、メールにテーマと〆切を書いて送信して下さい。ある程度、構想や詳細が出来たら連絡します」
『それで、いいんですか?』
「そうすれば、前回みたいに、二度手間にならずに済みますから」
暫く、黙ってから、可奈さんは、納得したように言った。
『分かりました。では、後程、テーマと〆切をメールします』
「分かりました。お待ちしてます」
『はい。では、失礼します』
「失礼します」
終話ボタンを押して、携帯を切って、また、続きを書こうとした時、急に耳元で声が聞こえた。
「キスをすると、目尻が、垂れ下がり、蕩けた顔になった。それでも、必死に、声を押し殺す。顔を高揚させ、汗ばんだ背中を反らし、逃げようもするが、膣に力が入り、腕にしがみつく」
パソコン画面に写し出された官能小説の一文を読み上げられ、驚きながら、後ろに顔を向け、モニターに抱き付き、椅子から立ち上がった。
「私が言おうとした事ですね?」
「勝手に見ないでよ」
「前回は、見ても何も言われませんでしたよ?」
「あの時は、まだ初盤だったからよかったの」
「そうですか?ケイコと鉢合わせした時と、同じような状況がありましたね?」
「どこまで読んだ」
「二人で、出掛けたところまでです」
「どこから」
「主人公が、ホテルでやったところからです」
「いつからいたの」
「可奈さんって方と電話してた時からです」
「最初っからじゃん!!」
クスクスと笑う山崎さんを睨みながら、内心は、あの短い時間で、全文を読んだのを感心していた。
私は、溜め息をついて、パソコンを離し、椅子に座って、目を閉じて、天上に顔を向けた。
「小説と言うより、日記のようですね?」
「すみませんね。知識が乏しいもんで」
「博学じゃないんですか?」
「さっきみたいなのだけね」
「また調べたりすれば、いいんじゃないですか?」
「無理。ネットで調べても、こうゆうのは出てこない」
「人に聞けば、いいんじゃないですか?」
「聞いたよ?龍之介や祐介に、AV見せてもらったりもしたし。でも分からなかった」
「そうなんですか?」
「そうなの」
仕事部屋を見回してから、山崎さんは、私が座る椅子の背もたれに、手を置いて、パソコンの画面を見つめて、改めて、実感したように言った。
「マコトさんと初めてしたのは、ここでしたよね?」
私は、その時の事を思い出して、頬が赤くなった。
「言わないでよ」
「続きしますか?」
「…はぁ?!」
私が顔を向けると、あの時と同じように、山崎さんの手が頬を包み、一気に唇を重ねられた。
ついばむような、キスを何度もされ、唇が離れる度に、チュっと、音がした。
山崎さんの腕を掴んで、押し返そうとしたが、微動だにしないのを再確認した。
唇が離れると、至近距離で見つめ合い、山崎さんは、小さく呟くように言った。
「あの時とは、違いますね」
確かに違う。
あの時は、理性が邪魔をして、素直な反応ではなかったと思う。
今は、もう理性なんか働かない。
ボーッとする私に、艶やかな微笑みを見せた山崎さんは、噛み付くように唇を重ねた。
口内を舐め回して、舌を絡めると、荒くなり始め、互いの鼻息が頬を掠めた。
腕を掴む手から、完全に力が抜けて、ただ腕に触れているだけになる。
力の抜けた手首を掴んで、肘置きに押し付け、何度も、位置を変え、絡んでくる舌に、私も舌を絡ませた。
至近距離で見つめ、山崎さんの瞳に映る私は、蕩けた顔をしていた。
山崎さんの唇が、軽くキスをすると、頬を撫でるのを嫌がるフリをして、顔を反らして、首筋を差し出した。
「んん…」
完全に従順になった私の首筋に、山崎さんの唇が、吸い付いて、頭に頬を寄せた。
チュッっと音がすると、噛み付くように、歯を立てられ、ヌルっとした舌の感覚が、首筋を撫でる。
体が震えると、腰の奥が疼き、淡い痺れが、全身に広がっていく。
「ふ…ぅ…」
鼻から短い声と息を吐き出し、体を捩り、山崎さんの舌と荒い鼻息を肌に感じた。
首筋を伝いながら、鎖骨に向かう舌の感覚が唇に変わり、鎖骨から喉を撫でるように動く。
口を半開きにして、熱い息を吐き出した。
「あ…ふぅ…」
わざとらしく、声を出す私の手首から、山崎さんの手が離れた。
ブラウスの裾から、素肌に触れられ、その冷たさに背中が震える。
「ふ…ん…」
腕に触れていた手に力が入り、山崎さんを引き寄せた。
山崎さんの手が、素肌を撫でるように、動かされると腰が浮く。
喉から横に反れた山崎さんの唇が、頬に移り、唇に重なった。
素肌に触れていた手が離れ、ブラウスのボタンを器用に外す。
舌を絡ませ合いながら、ブラウスのボタンが、全て外されるのを待った。
ブラの上から胸を掴み、ブラ越しに揉み始めた。
口の中で、短い息と声を反響させ、頭に響かせると、ブラの下をなぞるように、手が背中に移動する。
ホックが外され、胸の締め付けが緩むと、山崎さんは、胸をブラに乗せるように持ち上げた。
勃起した乳首を撫でられ、下腹部に熱が集まり、無意識の内に、太股を擦り合わせるように動かしていた。
唇が離れると、瞳に映る自身を見つめるように、見つめ合った。
「可愛い」
「ば…かぁ…ふ…ぅん…」
顔が熱くなり、顔を反らしながら呟くと、あの時と同じように、乳首を弄られ、吐息と短い声が混ざり合った。
「痛い?」
首を縮めて、首を振り、乳首の痛みに、背中を震わせた。
両膝を着いて、椅子に座った状態の体に、のし掛かるようして、胸元に顎を乗せられた。
熱を帯びた視線で、見つめられると、その熱が伝染したように、体が熱くなる。
その視線と自分の熱に、体を震わせて目を閉じた。
乳首を引っ張ったり、離したりしながら、時折、先っぽを撫でられ、浮いた腰から痺れが背中を駆け抜ける。
「あ…ぁあ…んん…」
背もたれに頭を押し付けて、背中を反らし、体を捩ると、乳首に吸い付かれて淡い期待が膨れた。
「は…ぁ…ぅん…ふ…ふぅ…」
片方の乳首を転がすように、舐められながら、もう一方の乳首を指で撫でられる。
前は逃げようとしていたが、今は、自分から押し付けた。
背中を反らして、全身に走る疼きと痺れに、全てを委ねる。
細く目を開け、山崎さんを見下ろすと、私に視線を向けながら、吸い付いていた乳首を離した。
谷間を撫でるように、舌を動かし、指で触れていた乳首の先っぽを弾き、撫でるように舐める。
吸い付いていた乳首を強く掴み、人差し指と親指で挟んでシゴかれる。
「ん…んん…ぁ…」
目を閉じ、広がる痺れに背中を震わせると、乳首に触れていた手が、脇腹を撫で下ろした。
ベルトに手を掛けられても、もう抵抗しない。
乳首から唇が離れ、喉に噛み付かれて、首を縮めると、頬を唇で撫でられる。
唇に舌先で触れられ、私は、舌を出して舌を絡ませた。
互いの荒い鼻息が頬を撫で合い、互いの熱を共用する。
ベルトとジーパンのボタンが外れ、下腹部に解放感を感じながら、チャックが下ろされる音を聞いていた。
唇が離れ、山崎さんの荒くなった息を頬に感じ、細く目を開けると、熱を帯びた視線で、私を見つめていた。
顔が近付き、わざと顔を反らし、横を向くと、耳たぶに噛み付かれ、淡い痛みが全身に走り、背中が震えた。
「ん…ぅ…んん…ふ…ぁ…」
山崎さんの舌が耳を舐める音が、頭に響き、腰が浮く。
自然と足が広がり、手が内腿に侵入し、陰部を掴んだ。
「あぁ…」
耳を舐めていた山崎さんの舌が、首筋へと移動し、同時に、陰部を掴んでは離されを繰り返されて、膣の奥が圧迫感を欲した。
首筋から鎖骨に唇が、撫で下ろされ、小さな痛みが走り、チュッと音を響かせた。
「ふ…んん…」
胸を揉んでいた手が、私の体をなぞるように伝い、頬に触れると、耳を指で探るように動かされた。
逆の耳は舐められ、膣の疼きが増したように腰を浮かせて、背中を反らして、腕にしがみついた。
「ふ…ん…んん…は…ぁ…あ…」
体を震える度、椅子が、ガタガタと揺れる音が部屋に響き、喘ぎ声と混ざり合う。
「も…ぁ…あ…あぁ…は…ぁん…」
山崎さんにすがり付き、体を震わせると、答えるように、陰部で動かされていた手が、勃起した蕾に触れた。
刺激を与えられ、腰ざ浮き上がり、耳に触れていた手が移動し、ジーパンと腰の隙間に手を押し入れた。
耳を舐めていた舌が体を伝い降りて、下腹部に向かっていく。
「あ…ぁあ…ぁふ…ん…はぁ…ぁ…あ…」
微かに、下腹部に触れる山崎さんの髪が、疼きを強くさせ、背中を反らして、体を震わせる。
舌と髪の感覚に、腰を浮かせると、両手で、ジーパンを下ろされた。
「あ…」
肩を掴んで、見つめると、山崎さんも私を見つめ返した。
熱を帯びた視線が、絡み合い、互いに、あの時とは違うのを確信していた。
「やま…ざ…」
囁くように名前を呼ぶと、山崎さんは、私の顔に顔を近付けて、囁くように言った。
「欲しい?」
その言葉に、熱を帯びた頬が、更に、熱くなると、急に、恥ずかしさが込み上げてきた。
「ちが…う…も…」
「嘘はよくないよ?」
そう言って、チュッと音を発てて、キスをすると、山崎さんは、耳に頬を寄せた。
「欲しい?」
同じように 熱を帯びているはずなのに、余裕がある声にムッとした。
だが、耳を撫でて、チュッと音を発てるのに、体を震える。
「いら…な…い…」
「本当に?」
耳に掛かる吐息で、体は、熱を増して、素直に反応する。
だが、このまま言いなりになるのが、シャクだった。
「ぃら…な…ぃ…もん…」
耳に息を吹き付けられ、首を曲げると、唇が頬を優しく撫でた。
「ま…て…」
「イヤだ」
撫でながら喋っていた唇が重なり、口内を舐める山崎さんの舌に、私も舌を絡めた。
唇が離れて頬を滑り、喉に噛み付かれ、肩を揺らすと、首筋に吸い付かれた。
ジーパンを掴んでいた手に、腰を撫でられて浮かせた。
「ぁ…んん…」
首筋から唇が離れ、撫でていた手を止め、片腕を回して抱えると、あの時と同じように椅子を押した。
「ふわぁ!!」
座席の半分まで、お尻が滑り、変な声を出した私の目の前に、山崎さんの顔が現れ、見つめ合った。
「可愛い」
そう囁いて、艶やかに微笑む山崎さんに抱え直されると、一気に椅子を押し、床に引きずり下ろした。
「いった!!」
あの時と同じように、尻餅を着き、山崎さんに押し倒されて、首筋に、ヌルッと舌の感覚がして、体が震えた。
「ふ…ぁ…んん…ん…ふ…ぅ…」
山崎さんの頭に頬を付けると、腰を抱き寄せ、首筋から耳に向かって、舐め上げられた。
耳たぶに噛み付き、耳を舌で探るように動かされると、グチュグチュと湿った音が頭に響いた。
圧迫感を求めるように、背中を反らして、腰を浮かせた。
「あ…ふぅ…ん…は…ぁ…ぅん…ぁ…」
耳を舐めながら、陰部に、股間の堅い物を擦り付けるように動かされると、膣に力が入る。
「ん…やぁ…」
腰を抱えていた手を離して、手首を掴んで、頭の上に押さえ付けられ、ブラウスがはだけ、胸が露になった。
「あ…ふぅ…ん…」
舌先で、乳首を弾くように、微かに舐められ、背中を反らし、喘ぎ声を響かせた。
乳首に吸い付き、転がすように、舐め回され、体を捩る。
「ぁ…ん…んん……ふ…ぅ…ん…ぅ…」
ボーッとしながら喘ぎ、背中を反らし、腰を浮かせる。
時折、乳首を吸ったまま引っ張り、チュッと音を発てながら離れると、電気のような痺れが広がり、体を震わせた。
「んぁ!!あ…ふ…ぅ…んん…ぁ…」
頭の上で、押さえ付けていた手首を腰まで、引き下ろしながら、舌が下腹部に向かって下りていく。
微かに触れる髪が、圧迫感を求める体に、刺激を与えて腰を浮かせた。
「ん…ぁ…ふ…ぅ…ん…あ…ぁ…」
陰部に押し付けられていた腰が離れ、手首を掴んでいた手も離されて、ジーパンを一気に下ろされた。
「あ…」
首筋に噛み付かれ、唇で頬を撫でると、唇が重なり、口内を舐め回す舌に、自分の舌を絡ませた。
腰に腕を回され、体を抱き上げられると、向かい合うように、山崎さんの上に股がった。
「や…ま…」
「なに?」
開かれた陰部に触れると、濡れた下着を擦った。
「お漏らし?」
「ちが…ぁ…な…んん…ふ…ぅ…」
勃起する蕾を下着越しに、爪で弾かれ、体を震わせると、肩を掴んで爪を立てた。
「ぁ…あ…ぁ…ん…ん…ん…ふぁ…」
蕾を擦る山崎さんの手に、自ら押し付ける。
「グチャグチャ」
「も…い…わぁ…あ…ん…ふぁ…ひぃ…」
入り口に、下着を張り付けるように指を押し付けられ、腰に回していた腕に力が入れられた。
「スゴい事になってる。分かる?」
恥ずかしさに、赤い顔をもっと赤くして、視線を反らすと、押し付けられた指が、突き立てられた。
浅く膣(ナカ)に入り、円を描くように動かされると、体が物足りないと訴える。
「あ…ぁ…ふ…ぅ…んん…ふ…」
背中を丸めて抱き付き、膝の上で、喘ぎながら、刺激に腰を落とした。
手を止められ、目の前の瞳を見つめた。
「続けていい?」
肩で息をしながら、目を閉じて、静かに頷くと、山崎さんは、満足したように、優しく微笑んだ。
下着を押し退け、蕾を直に爪で弾かれ、背中を反らそうとしたが、肩を抱えられて、反らせなかった。
「あ…ひ…ぁ…は…ひ…ん…ん…あ…ぁ…」
「気持ちいい?」
「ん…ん…」
喘ぎ声を抑えながら、小さく頷くと、嬉しそうに笑った山崎さんの指が、膣に入ってきた。
ゆっくり奥に向かって、撫で上げられ、体が震える。
「ふ…ぅわ…ぁ…」
奥まで入り、膣をかき混ぜるように動かされる指に、物足りなさを感じる。
「あ…やぁ…ま…ぅ…も…とぉ…」
「もっと?」
「ふ…ん…んん…ぁ…」
山崎さんの膝の上で、立ち膝のままで頷くと、山崎さんは、更に、嬉しそうに笑った。
「どうしようかな」
肩を掴んでいた手が離れ、腰を抱くように回し、膣の奥で動いていた指が止まった。
私は、背中を伸ばしたまま、腰を揺らそうとしたが、回された腕に阻止された。
「な…ん…ぁ…」
指を曲げ、指先でツボを押され、背中を丸めて、山崎さんに抱き付いた。
「や…ふぁ…も…ぉ…だ…めぇ…ぁ…」
「ここ?」
ツボを強く押されて、体が震え、山崎さんを求める。
前は、必死に理性を引き寄せて、山崎さんを拒む為に力を入れていたのに、今は、逆に山崎さんを引き寄せる為に力を入れる。
「あ…め…ゆび…や…もぉ…あ…ら…」
「なに?」
「ゆび…いや…らぁ…あ…あ…あぁ…」
ツボを強く押されたまま、指を動かされ、痺れが頭を突き抜け、もう何を言いたいか、自分でも分からない。
「ぁんーーも!!やらぁ!!」
背中を反らし、首を振り回すと、指を止めて、床に寝かせされた。
「や…まぁ…」
「どうしたい?」
指を二本に増やされ、膣に圧迫感を与えられて、腕を引き寄せるように、腕に力を入れながら、背中を反らした。
「あ…あぁあ…い…やぁ…」
「イキたい?」
何度も頷くと、ツボを突き上げるように、二本の指を前後に激しく動かされた。
全身が痺れ、腰を手に押し付けた。
「ああぁーーー!!あ!!あぁ!!も!!だぁ!!」
後頭部を床に押し付け、背中を反らすと、腰を抱えてられ、膣を激しく掻き回された。
痺れと熱が、一気に頭に打ち寄せて、叫ぶようにして喘ぐと、手が止まり、耳元で囁かれた。
「このままイクの?」
大きくなった痺れが、全身を駆け回り、沸騰するような感覚に、足を広げて、手に蕾と膣を押し付けていた。
私は、山崎さんの肩にしがみつき、腰を浮かせたまま、体を震わせた。
「も…ぅ…だ…め…イキたい…」
追い込まれ、そう呟いた私を抱えて、ゆっくり、蕾を擦り、膣をかき回す指に腰を押し付け、首を振った。
山崎さんは、意地悪な微笑みを浮かべて、いきなり手の動きを速めた。
「あぁああーーーー!!」
膣に全てを引き寄せるように、力が入りそうになり、しがみつく手に力が入る。
また山崎さんの手が止まり、私は、絶頂を逃された。
「なぁ…ん…で…」
そう呟くと、膣から指が抜かれ、肩から、腕に手を滑り下ろした。
山崎さんは、腰に回している腕に力を入れ、私を抱え上げると、胡座になった自分の膝を股がらせた。
自分の肩に、私の顎を置かせ、また耳元で囁いた。
「一人でイクの?」
山崎さんの胡座が崩され、膝を外側に向け、足を広げると、両腕が太ももの付け根に回された。
「腰上げて」
肩から顎を離して、腕を掴む手に力を入れ、山崎さんの顔の前に、谷間を寄せるように、体を浮かせた。
股下に腕が回されてると、ベルトを外す微かな音がした。
「ひぃ!!ん…ん…」
目を閉じて、部屋に響く微かな音と自分の呼吸音を聞いていると、急に、下着越しに蕾を弾かれた。
下着を押し退けて、膣に指が入ってくるのに、背中を伸ばした。
「欲しい?」
頷いても、膣に入ってきたのは、山崎さんの指が一本で、私が期待した圧迫感はなかった。
それでも、膣を掻き回される感覚は、体を痺れさせ、熱を上げていく。
「やぁ…ま…ぁ…あ…」
「違う?」
私が頷くのを見て、山崎さんは、意地悪に微笑んで、膣から指を抜いた。
「ゆっくり、腰下ろして」
言われた通りに、腰を下ろしていくと、膣に肉棒の頭が触れ、淡い期待が、大きく膨れ上がった。
更に、腰を下ろそうとしたが、山崎さんの腕が、そうさせてくれない。
目で訴えると、山崎さんの顔が近付いてきた。
私も顔を近付け、互いの唇を重て、チュッと音をさせ、視線を絡ませた。
再び唇を重ねると、舌を絡ませ合い、互いの頬に荒い鼻息を掛け合う。
背中を丸めるように、腰を前に出すと、山崎さんの腕が、少しずつ力を緩める。
座るように、少しずつ腰を下ろすと、肉棒が押し進んでくる。
欲していた圧迫感が、膣を満たし、背中を震わせながら、口の中で、声が反響し、互い鼻息が荒さを増した。
肉棒を全て飲み込み、唇を離して、互いの視線を絡ませてから、頬を寄せ合い、唇で撫で合う。
山崎さんの唇が、耳に移動しようとするのに、私は、耳を寄せて差し出した。
舌先で耳をなぞるように触れると、ゆっくり、体を持ち上げられた。
腕から力が抜けると、自分の体重で、一気に膣の奥深くに、肉棒が突き刺さる。
その刺激が、背大きな痺れと熱を起こし、腕を掴んでいる手に力が入った。
「あ!!ん…あ!!んん…い!!ぃ…ふ!!ぅ…ふあ!!ひ…」
何度か、それを繰り返すと、太ももの付け根に回していた腕が動き、お尻を撫でながら、腰に移動した。
腰を抱えると、肉棒が、奥に押し付けられた。
床に寝かされ、ゆっくり腰が動き始める。
「ん…んん…ぁ…あ…ふ…ん…は…ぁ…あ!!あぁ!!あ!!ぁ!!んん!!」
腰の動きが一気に速まり、後頭部を床に押し付け、背中を反らした。
腰に回された腕にも、力が入れられ、膣の奥に肉棒を打ち付けられた。
「あぁーーー!!あ!!ぁ!!あ!!ぁ!!」
体を震わせ、腕に爪を食い込ませて、引き寄せるように力を入れた。
騒ぐように喘ぎ、頭を揺らしながら、床に後頭部を擦り付け、腰を浮かせた。
部屋に響く喘ぎに混じり、時折、山崎さんの短い声が聞こえ、奥歯を噛み締めて見上げた。
山崎さんは、目を閉じて、顔を歪めて、奥歯を食い縛り、膣を擦る肉棒の刺激を耐えてるようだった。
「や…ぁ…」
名前を呼ぼうとしたが、途中でやめて、山崎さんを見つめて、掴んでいた手を離した。
「すぅ…すむ…」
それまで閉じていた山崎さんの目が、ゆっくり開いた。
山崎さんに向かって、腕を伸ばし、手のひらを見せた。
「すすむ…」
腰に回されていた腕が離れ、顔を近付ける頬を包むように、伸ばした手で触れた。
顔の横に片手を着き、もう片方の手で、頬に触れる山崎さんの手は、熱を帯び熱くなっていた。
床に肘を着き、私の肩を抱くように、腕を回すと、耳元に、山崎さんの荒い呼吸音が聞こえた。
「マコト」
荒くなった呼吸で、優しい声色が、私の名前を呼ぶと、渇きが潤っていく感覚になった。
腰の動きが速まって、自分の腰を押し付けるように、浮かせて、頬に触れていた手を肩に回した。
「ふ!!あ!!ぁ!!ん!!んん!!ん!!んぅ!!んん!!」
「ダメ…我慢…しないで」
肉棒が打ち付けられ、耳元で声を上げそうになり、唇を噛んで、押し込めると、頬を唇で撫でながら囁き、腰の動きが更に速くなった。
「い!!あ!!ぁ!!ぁふ!!ん!!あ!!あ!!あぁ!!ああぁ!!も!!」
「一緒…ふぅ…くっ」
「ああぁーーー!!っふ…」
一度逃された分、絶頂を迎える感覚に敏感になり、膣の奥深くに射精される熱さに背中を丸めた。
腰を押し付け、山崎さんの足に自分の足を絡ませて、膣をいっぱいにする体液を受け止めた。
いつもより、大きく上下に揺れる肉棒が、全てを吐き出すまで、私は、そのままでいた。
互いに抱き合う形で、体にのし掛かる山崎さんの重みが心地よかった。
「起きていいですか?」
腕を引き抜こうとする山崎さんの肩に顔を隠し、呟くように言った。
「だめ」
耳元で、山崎さんが、鼻で溜め息をついたので、きっと、困った顔をしてると思った。
頬を撫でる唇の感覚に、私は、腕の力を抜いた。
見上げた山崎さんは、優しく微笑みながらも、満足そうな顔をしていた。
「そろそろ準備したいんですけど」
「もう?」
「このまま行ったら、確実にバレますからね」
「シャワー浴びたいと」
「一応」
「時間ないくせに、何やってんのよ」
「前みたいに、邪魔が入るか、怒られると思ってたので、ここまでするつもりはなかったですよ」
「実際、やってんじゃん」
「マコトさんが可愛くて、ついつい」
「私が悪いんか」
「ノリノリだったじゃないですか」
「流されただけだもん」
「まぁ。その辺は、お互い様として。そろそろ、本気でヤバいので、離してくれません?」
私が首を傾げると、山崎さんが、頬を赤くしながら、苦笑いで言った。
「止まらなくなりそうです」
その言葉で、山崎さんの肉棒が、また固くなってることに気付いた。
「ば!!…ごめん」
山崎さんの肩から腕を離すと、山崎さんは、私の肩を抱いたまま、体を起こした。
私も床に座るように、起き上がり、後ろに手を着いた。
「ちょっと、すみません」
肩に回されていた手が、床に着いた手に重なり、見上げていると、顔を歪めながら、腰を後ろに引いてく。
膣からゆっくり、肉棒が引き抜かれる感覚を強く感じ、背中が震え、咄嗟に、顔を下に向けてしまった。
足を広げる自分の陰部から、山崎さんの肉棒が見え、膣に力が入った。
膣から引き抜かれた肉棒が、蕾を撫で上げ、肩が揺れた。
オデコに優しく唇が触れて、チュッと音を発てた。
「自分の視線で感じました?」
顔を真っ赤にして、視線を向けると、山崎さんは、ニコニコと笑っていた。
「ざけんな!!ばか!!さっさと行け!!」
笑いながら、仕事部屋から出て行く背中を睨み、ドアが完全に閉まってから、膝を抱えて下腹部の痛みを耐えた。
ジーパンを引き寄せ、痛みを耐えながら履き、ブラのホックをして、ブラウスのボタンを止める。
椅子を掴み、デスクに手を着いて、立ち上がり、椅子に深く座って、天井を見上げ、目を閉じた。
愛おしい気持ちが生まれ、その頬に、そっと唇を優しく着けてから、すぐに離した。
山崎さんの寝顔を見つめ、少しだけ髪を撫でてから寝室を出た。
リビングに向かう途中で、洗面所に行き、洗濯機を回しながら、顔を洗い、リビングのドアを開けた。
キッチンに入り、冷蔵庫から、卵二個とベーコン、レタス、キュウリ、トマトを取り出し、棚から食パンを出して朝食を作り始めた。
久々に作るから、味に自信はない。
だが、今朝は無性に作りたくなった。
レタスとキュウリを混ぜ、器に盛り、櫛切りにしたトマトを飾り、ドレッシングを掛ける。
ベーコンを焼いて、片目焼きを作り、皿に盛って、食パンをトースターに入れる。
お湯を沸かしながら、それらとフォークをカウンターに、並べていた時、リビングのドアが開いて、山崎さんが、慌てて入ってきた。
「すみません!!今、朝食を…」
カウンターに並んだ料理を見て、山崎さんは、言葉を途中で切り、驚いた顔をしていた。
「もう出来てるよ」
そう言って、トーストを二枚と一枚で、それぞれ乗せた皿をカウンターに置いた。
お湯を注ぎ、コーヒーの入ったマグカップを持って、キッチンから出ると、ボーッと、ドアの前に突っ立っていている山崎さんに、笑ってしまった。
「何してんの?」
我に返った山崎さんが、カウンターに近付き、私の作った朝食を見下ろした。
「これって…」
「味は保証しないからね」
可愛くない言い方で、山崎さんのマグカップをトーストが、二枚乗ってる皿の隣に置いて、椅子に座った。
コーヒーを飲んで、トーストをかじる私を見下ろして、山崎さんは、嬉しそうに微笑んだ。
隣に座り、サラダを食べて、片目焼きを口に運ぶ。
この時、口から出てきそうな程、私の心臓は飛び跳ねていた。
しょっぱくないか。
ドレッシングは掛け過ぎてないか。
食パンは焦げてないか。
そう思いながらも、冷静を装って、横目で、山崎さんの横顔を見ていたが、いつの間にか、顔を向けていた。
「だい…じょうぶ?」
「美味しいですよ」
口角を上げて、ニッコリ笑った山崎さんに、心底安心した。
止めていた息を吐き出すと、山崎さんは、クスクスと笑った。
「すみませんね。久々で」
「でも、急にどうしたんですか?」
不思議そうな顔をして、山崎さんに聞かれ、黙ってサラダを口に運んだ。
絶対、教えない。
暫くは、私の横顔を見つめていたが、困った顔になり、鼻で溜め息をついて、トーストにかじりついた。
終始無言のまま、朝食を食べ終え、食器を重ねて、上のカウンターに置くと、山崎さんが洗い始めた。
換気扇の下で、タバコを吸い始めたが、口の中に苦味が残り、変な感じで、早々にタバコを消した。
「大丈夫ですか?」
食器を洗い終わった山崎さんが、私を見つめ、心配そうな顔をしていた。
「なにが?」
「顔色が悪いですよ?具合悪いんじゃないですか?」
自分の顔を触ってみたが、いつもより、少し熱いくらいで、それ以外は、変わりない気がした。
「別に。ちょっと、熱いくらいかな」
「本当ですか?無理しないで下さいね?」
「分かったよ。山崎さんって心配性だよね」
笑いながら、コーヒーを淹れたマグカップを持って、キッチンから出て、リビングのドアに近付き、山崎さんに振り返って言った。
「洗濯しといたからお願いね」
頷いた山崎さんに、軽く手を振り、仕事部屋に行き、デスクにマグカップを置いた。
パソコンの電源を入れ、昨日の山崎さんとのことを思い出しながら、手を加えて、官能小説の続きを保存した。
新たなフォルダを作り、コピー用紙を取り出して、あらすじや登場人物などの詳細を書く。
小説を書き始めると、不意に、官能小説のネタが浮かび、書いていた小説を保存した。
官能小説のフォルダを開いて、書き足してた時、唐突に思い付いた。
私は、仕事の手を止めて、山崎さんを探した。
リビングのソファーで、コーヒーを飲みながら、本を読んで、くつろいでいる山崎さんを見付け、静かに近付き、肩を掴んだ。
ビクッと肩が揺れ、目を見開いたまま、ゆっくりと顔を向けた山崎さんは、ソファーの背もたれに、頭を着けて、天上を見上げた。
「心臓に悪いですよ」
「仕事何時?」
「五時からです」
「じゃ、二時までに帰って来れば余裕?」
「そうですけど」
「ならちょっと付き合ってよ」
私は、山崎さんの手を掴んで、引っ張るように、リビングを出た。
「どうしたんですか?」
「いいから。いいから」
和室の障子を開け、山崎さんを引っ張り、庭の片隅にある物置に向かった。
キョロキョロと視線を動かし、次々に段ボールの蓋を開ける。
「いい加減教えて下さいよ」
「お弁当箱。探して」
「…はい?」
段ボールの中身を手で、掻き回すように探し、山崎さんに視線を向けず、違う段ボールを開けながら言った。
「ちょっと行きたい所があるんだ。お弁当持って行けば楽じゃん?」
山崎さんは、暫く、私の背中を見つめていたが、鼻からため息を吐いて、私の後の段ボールを開けた。
それをチラッと見て、次の段ボールを開けながら、私は、ニヤニヤと笑っていた。
「これですか?」
山崎さんに近付いて、弁当箱を受け取り、壊れてないか確認した。
水色の大きめな弁当箱は、思い出がたくさん詰まっていた。
ヒビもなく、綺麗な弁当箱に、頬を緩ませ、山崎さんの手を掴んで引っ張り、家の中に入ってからの手を離した。
「早く着替えてね」
「マコトさんは?」
「私も準備するよ?あとで、一緒に作ろうね」
弁当箱を見せてながら、寝室に行き、ブラウスとハーフパンツに着替えた。
大きめのバックと弁当箱を待って、仕事部屋に向かい、マグカップとジャケットを持って、リビングに向かう。
ジャケットとバックをカウンターに置き、弁当箱を洗い始めた。
いくら綺麗でも、長年使ってなかったのだからと、ちゃんと洗い、キッチンペーパーで拭いた。
山崎さんが、着替えを済ませ、リビングに入ってくると、二人で、弁当を作り始めた。
だし巻き玉子やウインナーなど、簡単なおかずと一口サイズのおにぎりを弁当箱に詰めていく。
これが、結構楽しかった。
バックにお弁当を入れ、ジャケットを着ようとした私に、山崎さんは、首を傾げて言った。
「今日は、ジャケットだと暑いですよ?」
「そうなの?」
「気温上がるらしいです。薄手のセーターかカーディガンの方が、いいんじゃないですか?」
「って言われても、持ってないし」
「全くですか?」
私が頷くと、山崎さんは、呆れたような、納得したような、複雑な顔をして、鼻で溜め息をついた。
「仕方ないですね」
そう言って、着ていたカーディガンを脱いで、私の肩に掛けた。
山崎さんを見上げると、肩に手を置いて、優しく微笑んでいた。
「これ着てください」
「いいの?」
頷く山崎さんに、自然と頬が上がり、カーディガンに腕を通した。
手が出ない袖で、鼻を覆うと、山崎さんの匂いした。
若くて男性的なのに、温かくて優しい匂いに安心する。
「ブカブカ」
「仕方ないですよ。これでも、小さい方なんですよ?」
「そうなんだ。でも大きい」
苦笑いしている山崎さんに、満面の笑みを向けて、両手を広げ、バサバサと袖を振った。
「ほら。早くしないと行けなくなりますよ?」
「はぁ~い」
袖から手が出ないまま、返事をすると、苦笑いしたまま、弁当の入ったバックを山崎さんが持つ。
私は、ジャケットから携帯と鍵を取り出して、並んで玄関に向かった。
下駄箱から、動きやすい靴と小さめのレジャーシートを取り出して家を出た。
玄関に鍵を掛け、車に向かいながら、山崎さんに車の鍵を渡す。
「運転。よろしく」
「…はい!?私がするんですか?」
「そう」
「人を乗せたのは、教習の時くらいなんですよ?」
「わぁ~い。山崎さんの初めてだぁ。嬉しいなぁ」
棒読みで言うと、山崎さんは、慌てて、助手席に向かう私の腕を掴んだ。
「そうじゃなくて」
「大丈夫だよ。危なくなったら、逃げるから」
「走ってる車から、どうやって逃げんですか」
「それは冗談」
「もうちょっと、真面目に聞いて下さいよ」
山崎さんに向き直り、真剣な顔をすると、山崎さんは、不安そうな顔をした。
「帰りは運転するから。行きだけ。お願い」
表情を崩しながら、そう言って、顔の前で、両手を合わせてお願いする。
なんとなく、山崎さんが、これに弱いと思っていた。
案の定、山崎さんは、溜め息をついて、ムッとしながらも、運転席に向かい鍵を開けた。
私も助手席に回り、シートベルトをして、ナビに地図を呼び出した。
「どうなっても知りませんからね」
「はぁ~い。ありがとう」
弁当の入ったバックを受け取って抱えると、山崎さんの運転で、車が走り出した。
実は、タバコを吸ってから、ずっと、あの苦味が、口の中に残っていた。
正直、ちょっと気持ち悪い。
運転に支障はないが、長時間は辛い。
それでも、あの場所へ、山崎さんと行きたくなったから、外へ出た。
途中のコンビニで、ペットボトルのお茶と缶コーヒーを二本ずつ買って、また車に揺られる。
カーナビ通りに走る山崎さんの運転は、とても上手で、想像してたよりも、乗り心地がよかった。
「マコトさん」
肩を揺らされ、いつの間にか、寝ていたのを知って、少し申し訳なかった。
「着きましたよ」
瞼を擦りながら、窓の外を見ると、蓮の葉が浮かぶ、懐かしい景色が広がっていた。
車を降り、バックを持ったまま、背伸びをして、空気を胸いっぱいに吸い込んで吐き出した。
「風が気持ちいいですね」
山崎さんも車から降り、私の隣に立って、目を閉じ、空に顔を向けた。
そよ風で、山崎さんの髪がなびく。
その横顔を見上げて、改めて、山崎さんの顔立ちが整っているのを実感した。
「見惚れましたか?」
ボーッと、山崎さんを見上げていると、口角を上げ、得意気な顔をした。
横目で見下ろされ、私は、山崎さんと同じように、空を見上げて、目を閉じた。
「ちょっとだけ」
「最近、素直ですね」
「元からだし」
「そうでしたか?最初は、真っ赤な顔して、違うって叫んでたような」
「それは、お互い様。山崎さんだって、最初は優しかったじゃん」
「今でも優しくしてますよ?」
横目で、山崎さんを見てから、前に視線を戻して、背中を向け、座れそうな場所を探そうと歩き出した。
「乱暴だよ」
少し後ろを歩き、山崎さんも、周りを見渡しながら、私と一緒に座れそうな場所を探した。
「優しくしてますって」
「あっちこっち痛い」
「拒絶するからですよ」
「素直に下に敷かれてるよ」
「そんな事言ってたら、私もあちこち痛いですよ」
「自業自得」
「何なら、ここでしますか?」
座れそうな場所に広げたレジャーシートに座りながら、ニコニコと笑っている山崎さんが、ちょっと怖い。
「遠慮します。でも、本当に痛いんだよ?掴まれた所とか、アザみたいになってるし」
「そんな力入れてないですよ」
無言でカーディガンとブラウスの袖を捲り、手首のアザを見せた。
指の形に、ハッキリ残ったアザに、山崎さんの頬が、少し赤くなった。
「お互い、無意識だから仕方ないけどさ。これは酷くない?」
「すみませんでした」
顔を真っ赤にして、レジャーシートに寝転び、腕で目元を隠した山崎さんは、呟くように言った。
それを見下ろし、愛らしいと思いながら、膝を抱えて、そよ風に揺れる蓮の葉を見つめた。
「…ありがとう」
私が呟くと、山崎さんは、少しだけ、腕をずらし、私の背中を白い雲が流れる空と共に見つめた。
「全身のアザも、キスマークも、見ると恥ずかしいし、ちょっと、ムカッてするけど、前の事が、忘れられるんだ。やってる事は、変わらないかもしれないけど、それでも、前より、気持ち的には、穏やかでいれるよ」
山崎さんは、真っ直ぐ空を見上げて、真剣な顔をしていた。
膝を離し、足を伸ばして、後ろに手を着いた。
「知ってる?蓮の花は、綺麗な池では、小さな花しか咲かないんだよ?」
「へぇ~」
山崎さんも起き上がり、私と同じように、後ろに手を着いて、池の蓮たちを見つめた。
「泥水であればある程、大輪の花を咲かせるんだって」
「不思議ですね」
「でしょ?そんな花が、何故、お釈迦様の台座になってると思う?」
「そうですねぇ。見栄えがいいからでしょうか?」
ゆっくり首を振って否定し、私は、また膝を抱えて池を見つめた。
「仏教では、泥水を人生に置き換えて、辛い事や悲しい事だとされてる」
「へぇ~」
「花の中に実があって、その実が悟りとされ、そういうことがなければ、人は、幸せを感じる事が出来ないって」
「泥沼から大輪の花を咲かせ、実を結ぶなんて素敵ですね」
「そうだよねぇ~。だけど、一部では、救ってくださいって意味で、使われることもあるんだってよ?」
「確かに、合ってますねぇ」
「蓮の花言葉は、知ってる?」
「それなら知ってます。 神聖や清らかな心ですよね?」
「それだけじゃなんだよ?離れゆく愛ってのもある」
「詳しいですね?」
「花屋さんに聞いたり、ネットで調べたりしたんだ」
「博学ですね」
「これでも作家だよ?」
「あ~。そういえばそうでしたね」
横目で睨み付けると、山崎さんは、わざとらしい微笑みを浮かべていた。
「歩いて帰ってね」
「それは、さすがにキツいです」
「あっそ」
私は、バックの中から、単行本を取り出して開いた。
「あ。ズルいですよ」
「あと二冊あるよ」
バックから二冊を取り出して、山崎さんとの間に置くと、上の単行本を手に取り、タイトルを見ながら言った。
「いつの間に入れてたんですか?」
「かなり前に、入れてたのをそのまま」
「相変わらず、ズボラですね」
「すみませんね」
それから無言になって、ページを捲り、読み進めたが、一度、読んでしまった内容に、飽きてしまった。
私が、山崎さんに視線を向けると、山崎さんは、真剣な表情で、夢中になっていた。
携帯を取り出し、カメラを起動させ、少しずつ位置をずれた。
「ススムさん」
急に名前を呼ばれ、驚きながら、こっちを向いた山崎さんに向かって、シャッターボタンを押した。
カシャッと音が鳴り、ニヤリと笑った私に、山崎さんの頬が赤くなった。
「飽きっぽいんですね」
目元を手で覆って、そう言った山崎さんに、写真を保存しながら答えた。
「一回読んでるからね」
「だからって、撮らなくてもいいのでは?」
「いいじゃん」
溜め息をついて、単行本を閉じ、後ろの方に置いた。
「どんな感じですか?」
間の単行本を後ろに、移動しながら、私に近付いた。
「別に。いつもと変わらないかな」
携帯のフォルダを開いて、保存した山崎さんの写真を呼び出す。
体を寄せ、背中に腕を回すように、手を着くと、山崎さんは、携帯を覗き込んだ。
「モデルにでもなれば?」
「イヤです。マコトさんの専属ならいいですけど?」
「いらないし」
そう言った私の頬に、柔らかい物が触れ、山崎さんに顔を向けた。
さっきの私と同じように、ニヤリと笑っているのが、視界いっぱいにあった。
体を反らそうとしたが、山崎さんの手が、肩を掴んで、逆に引き寄せられた。
オデコとオデコを着け、山崎さんの瞳に映る私しか見えない状況に、顔が熱くなる。
山崎さんの穏やかな鼻息が、私の頬に当たり、更に頬が熱くなった。
唇が一瞬重なり、すぐに離れると、山崎さんは、優しく微笑んで、携帯を取り出し、時間を確認した。
「そろそろお昼ですね」
「携帯」
バックから弁当を持ち上げ、私を見つめたまま、目を点にして首を傾げた。
「持ってんなら教えてよ」
私がそう言うと、納得したように頷き、意地悪する時の微笑みと声色で言った。
「聞かれなかったので」
私がムッとすると、ニコニコと笑いながら、弁当を広げた。
「その言い方腹立つ」
憎まれ口を叩いて、おにぎりに手を出そうとすると、おしぼりを差し出された。
一瞬固まり、おしぼりを受け取って、手を拭き、おにぎりを口に、放り込んだ。
私が食べ始めると、何も言わず、山崎さんもおしぼりで、手を拭き、おにぎりを掴んで口に入れた。
コンビニで買ったお茶のペットボトルを突き出すと、山崎さんは、ニコニコと笑ったまま、ペットボトルを受け取った。
「ありがとうございます」
ペットボトルを開け、お茶を飲む、山崎さんから、視線を反らし、池をって見ながら、だし巻き玉子を口に入れた。
無言のまま、弁当を食べ終わり、山崎さんが、空になった弁当箱を片付けた。
暫くして、立ち上がって、背伸びをすると、山崎さんに向き直った。
「帰ろっか」
「そうですね」
単行本をバックに突っ込んで、レジャーシートをたたんで、山崎さんが、全てを持って車に戻った。
「鍵」
私が手を出して、車の鍵を受け取ろうとしたが、山崎さんは、運転席のドアを開けて言った。
「運転しますよ」
運転席に乗り込んだのをボーッと、見つめると、助手席の窓が開き、山崎さんの顔が見えた。
「どうかしましたか?」
「何でもない」
ぶっ垂れたならが、そう言って、助手席に乗り込み、山崎さんから荷物を受け取った。
足元に置いて、シートベルトをして、窓の外を見つめた。
「金山さん」
苗字を呼ばれ、驚いて顔を向けると、唇が重なった。
チュッと音を発てて、山崎さんの顔が離れていき、車は、自宅に向かって走り出した。
帰りも途中から寝てしまい、起きた時は、自宅近くにまで戻ってきていた。
目を擦りながら、車から降りると、山崎さんが、心配そうな顔をしていた。
優しく微笑むと、山崎さんも、優しく微笑んで玄関に向かった。
鍵を開け、リビングに向かい、弁当箱を流しに置き、お湯を沸かして、マグカップにコーヒーを淹れた。
マグカップを持ち、仕事部屋に行き、椅子に座って、コーヒーを一口飲んでから、仕事の続きを書き始めた。
五分くらい経った時、携帯が部屋に鳴り響き、ビクッと肩を揺らしてから、携帯を手に取った。
画面を確認して、受話ボタンを押して耳に着けた。
「はい」
『ご無沙汰しています。深美(フカミ)です』
「可奈(カナ)さん?どうしました?」
『おかげさまで、読み切りの継続が決定しました』
「そうですか。おめでとうございます」
『ありがとうございます。マコトさんのおかげです』
「私は、お手伝いしただけで、可奈さんが頑張った結果ですよ」
『いえ。私の無茶なお願いを聞いてもらったのに、あんな素敵なお話をお書きなったのは、マコトさんですから』
「ありがとうございます。可奈さんの気持ちに、答えられて嬉しいですよ」
可奈さんと笑い合うと、可奈さんは、本題を切り出した。
『これからも、お願い出来ればと思うんですけど、大丈夫ですか?』
「私で良ければ、喜んで」
『ありがとうございます。それで、次回の打ち合わせなんですけど』
「それなら、メールにテーマと〆切を書いて送信して下さい。ある程度、構想や詳細が出来たら連絡します」
『それで、いいんですか?』
「そうすれば、前回みたいに、二度手間にならずに済みますから」
暫く、黙ってから、可奈さんは、納得したように言った。
『分かりました。では、後程、テーマと〆切をメールします』
「分かりました。お待ちしてます」
『はい。では、失礼します』
「失礼します」
終話ボタンを押して、携帯を切って、また、続きを書こうとした時、急に耳元で声が聞こえた。
「キスをすると、目尻が、垂れ下がり、蕩けた顔になった。それでも、必死に、声を押し殺す。顔を高揚させ、汗ばんだ背中を反らし、逃げようもするが、膣に力が入り、腕にしがみつく」
パソコン画面に写し出された官能小説の一文を読み上げられ、驚きながら、後ろに顔を向け、モニターに抱き付き、椅子から立ち上がった。
「私が言おうとした事ですね?」
「勝手に見ないでよ」
「前回は、見ても何も言われませんでしたよ?」
「あの時は、まだ初盤だったからよかったの」
「そうですか?ケイコと鉢合わせした時と、同じような状況がありましたね?」
「どこまで読んだ」
「二人で、出掛けたところまでです」
「どこから」
「主人公が、ホテルでやったところからです」
「いつからいたの」
「可奈さんって方と電話してた時からです」
「最初っからじゃん!!」
クスクスと笑う山崎さんを睨みながら、内心は、あの短い時間で、全文を読んだのを感心していた。
私は、溜め息をついて、パソコンを離し、椅子に座って、目を閉じて、天上に顔を向けた。
「小説と言うより、日記のようですね?」
「すみませんね。知識が乏しいもんで」
「博学じゃないんですか?」
「さっきみたいなのだけね」
「また調べたりすれば、いいんじゃないですか?」
「無理。ネットで調べても、こうゆうのは出てこない」
「人に聞けば、いいんじゃないですか?」
「聞いたよ?龍之介や祐介に、AV見せてもらったりもしたし。でも分からなかった」
「そうなんですか?」
「そうなの」
仕事部屋を見回してから、山崎さんは、私が座る椅子の背もたれに、手を置いて、パソコンの画面を見つめて、改めて、実感したように言った。
「マコトさんと初めてしたのは、ここでしたよね?」
私は、その時の事を思い出して、頬が赤くなった。
「言わないでよ」
「続きしますか?」
「…はぁ?!」
私が顔を向けると、あの時と同じように、山崎さんの手が頬を包み、一気に唇を重ねられた。
ついばむような、キスを何度もされ、唇が離れる度に、チュっと、音がした。
山崎さんの腕を掴んで、押し返そうとしたが、微動だにしないのを再確認した。
唇が離れると、至近距離で見つめ合い、山崎さんは、小さく呟くように言った。
「あの時とは、違いますね」
確かに違う。
あの時は、理性が邪魔をして、素直な反応ではなかったと思う。
今は、もう理性なんか働かない。
ボーッとする私に、艶やかな微笑みを見せた山崎さんは、噛み付くように唇を重ねた。
口内を舐め回して、舌を絡めると、荒くなり始め、互いの鼻息が頬を掠めた。
腕を掴む手から、完全に力が抜けて、ただ腕に触れているだけになる。
力の抜けた手首を掴んで、肘置きに押し付け、何度も、位置を変え、絡んでくる舌に、私も舌を絡ませた。
至近距離で見つめ、山崎さんの瞳に映る私は、蕩けた顔をしていた。
山崎さんの唇が、軽くキスをすると、頬を撫でるのを嫌がるフリをして、顔を反らして、首筋を差し出した。
「んん…」
完全に従順になった私の首筋に、山崎さんの唇が、吸い付いて、頭に頬を寄せた。
チュッっと音がすると、噛み付くように、歯を立てられ、ヌルっとした舌の感覚が、首筋を撫でる。
体が震えると、腰の奥が疼き、淡い痺れが、全身に広がっていく。
「ふ…ぅ…」
鼻から短い声と息を吐き出し、体を捩り、山崎さんの舌と荒い鼻息を肌に感じた。
首筋を伝いながら、鎖骨に向かう舌の感覚が唇に変わり、鎖骨から喉を撫でるように動く。
口を半開きにして、熱い息を吐き出した。
「あ…ふぅ…」
わざとらしく、声を出す私の手首から、山崎さんの手が離れた。
ブラウスの裾から、素肌に触れられ、その冷たさに背中が震える。
「ふ…ん…」
腕に触れていた手に力が入り、山崎さんを引き寄せた。
山崎さんの手が、素肌を撫でるように、動かされると腰が浮く。
喉から横に反れた山崎さんの唇が、頬に移り、唇に重なった。
素肌に触れていた手が離れ、ブラウスのボタンを器用に外す。
舌を絡ませ合いながら、ブラウスのボタンが、全て外されるのを待った。
ブラの上から胸を掴み、ブラ越しに揉み始めた。
口の中で、短い息と声を反響させ、頭に響かせると、ブラの下をなぞるように、手が背中に移動する。
ホックが外され、胸の締め付けが緩むと、山崎さんは、胸をブラに乗せるように持ち上げた。
勃起した乳首を撫でられ、下腹部に熱が集まり、無意識の内に、太股を擦り合わせるように動かしていた。
唇が離れると、瞳に映る自身を見つめるように、見つめ合った。
「可愛い」
「ば…かぁ…ふ…ぅん…」
顔が熱くなり、顔を反らしながら呟くと、あの時と同じように、乳首を弄られ、吐息と短い声が混ざり合った。
「痛い?」
首を縮めて、首を振り、乳首の痛みに、背中を震わせた。
両膝を着いて、椅子に座った状態の体に、のし掛かるようして、胸元に顎を乗せられた。
熱を帯びた視線で、見つめられると、その熱が伝染したように、体が熱くなる。
その視線と自分の熱に、体を震わせて目を閉じた。
乳首を引っ張ったり、離したりしながら、時折、先っぽを撫でられ、浮いた腰から痺れが背中を駆け抜ける。
「あ…ぁあ…んん…」
背もたれに頭を押し付けて、背中を反らし、体を捩ると、乳首に吸い付かれて淡い期待が膨れた。
「は…ぁ…ぅん…ふ…ふぅ…」
片方の乳首を転がすように、舐められながら、もう一方の乳首を指で撫でられる。
前は逃げようとしていたが、今は、自分から押し付けた。
背中を反らして、全身に走る疼きと痺れに、全てを委ねる。
細く目を開け、山崎さんを見下ろすと、私に視線を向けながら、吸い付いていた乳首を離した。
谷間を撫でるように、舌を動かし、指で触れていた乳首の先っぽを弾き、撫でるように舐める。
吸い付いていた乳首を強く掴み、人差し指と親指で挟んでシゴかれる。
「ん…んん…ぁ…」
目を閉じ、広がる痺れに背中を震わせると、乳首に触れていた手が、脇腹を撫で下ろした。
ベルトに手を掛けられても、もう抵抗しない。
乳首から唇が離れ、喉に噛み付かれて、首を縮めると、頬を唇で撫でられる。
唇に舌先で触れられ、私は、舌を出して舌を絡ませた。
互いの荒い鼻息が頬を撫で合い、互いの熱を共用する。
ベルトとジーパンのボタンが外れ、下腹部に解放感を感じながら、チャックが下ろされる音を聞いていた。
唇が離れ、山崎さんの荒くなった息を頬に感じ、細く目を開けると、熱を帯びた視線で、私を見つめていた。
顔が近付き、わざと顔を反らし、横を向くと、耳たぶに噛み付かれ、淡い痛みが全身に走り、背中が震えた。
「ん…ぅ…んん…ふ…ぁ…」
山崎さんの舌が耳を舐める音が、頭に響き、腰が浮く。
自然と足が広がり、手が内腿に侵入し、陰部を掴んだ。
「あぁ…」
耳を舐めていた山崎さんの舌が、首筋へと移動し、同時に、陰部を掴んでは離されを繰り返されて、膣の奥が圧迫感を欲した。
首筋から鎖骨に唇が、撫で下ろされ、小さな痛みが走り、チュッと音を響かせた。
「ふ…んん…」
胸を揉んでいた手が、私の体をなぞるように伝い、頬に触れると、耳を指で探るように動かされた。
逆の耳は舐められ、膣の疼きが増したように腰を浮かせて、背中を反らして、腕にしがみついた。
「ふ…ん…んん…は…ぁ…あ…」
体を震える度、椅子が、ガタガタと揺れる音が部屋に響き、喘ぎ声と混ざり合う。
「も…ぁ…あ…あぁ…は…ぁん…」
山崎さんにすがり付き、体を震わせると、答えるように、陰部で動かされていた手が、勃起した蕾に触れた。
刺激を与えられ、腰ざ浮き上がり、耳に触れていた手が移動し、ジーパンと腰の隙間に手を押し入れた。
耳を舐めていた舌が体を伝い降りて、下腹部に向かっていく。
「あ…ぁあ…ぁふ…ん…はぁ…ぁ…あ…」
微かに、下腹部に触れる山崎さんの髪が、疼きを強くさせ、背中を反らして、体を震わせる。
舌と髪の感覚に、腰を浮かせると、両手で、ジーパンを下ろされた。
「あ…」
肩を掴んで、見つめると、山崎さんも私を見つめ返した。
熱を帯びた視線が、絡み合い、互いに、あの時とは違うのを確信していた。
「やま…ざ…」
囁くように名前を呼ぶと、山崎さんは、私の顔に顔を近付けて、囁くように言った。
「欲しい?」
その言葉に、熱を帯びた頬が、更に、熱くなると、急に、恥ずかしさが込み上げてきた。
「ちが…う…も…」
「嘘はよくないよ?」
そう言って、チュッと音を発てて、キスをすると、山崎さんは、耳に頬を寄せた。
「欲しい?」
同じように 熱を帯びているはずなのに、余裕がある声にムッとした。
だが、耳を撫でて、チュッと音を発てるのに、体を震える。
「いら…な…い…」
「本当に?」
耳に掛かる吐息で、体は、熱を増して、素直に反応する。
だが、このまま言いなりになるのが、シャクだった。
「ぃら…な…ぃ…もん…」
耳に息を吹き付けられ、首を曲げると、唇が頬を優しく撫でた。
「ま…て…」
「イヤだ」
撫でながら喋っていた唇が重なり、口内を舐める山崎さんの舌に、私も舌を絡めた。
唇が離れて頬を滑り、喉に噛み付かれ、肩を揺らすと、首筋に吸い付かれた。
ジーパンを掴んでいた手に、腰を撫でられて浮かせた。
「ぁ…んん…」
首筋から唇が離れ、撫でていた手を止め、片腕を回して抱えると、あの時と同じように椅子を押した。
「ふわぁ!!」
座席の半分まで、お尻が滑り、変な声を出した私の目の前に、山崎さんの顔が現れ、見つめ合った。
「可愛い」
そう囁いて、艶やかに微笑む山崎さんに抱え直されると、一気に椅子を押し、床に引きずり下ろした。
「いった!!」
あの時と同じように、尻餅を着き、山崎さんに押し倒されて、首筋に、ヌルッと舌の感覚がして、体が震えた。
「ふ…ぁ…んん…ん…ふ…ぅ…」
山崎さんの頭に頬を付けると、腰を抱き寄せ、首筋から耳に向かって、舐め上げられた。
耳たぶに噛み付き、耳を舌で探るように動かされると、グチュグチュと湿った音が頭に響いた。
圧迫感を求めるように、背中を反らして、腰を浮かせた。
「あ…ふぅ…ん…は…ぁ…ぅん…ぁ…」
耳を舐めながら、陰部に、股間の堅い物を擦り付けるように動かされると、膣に力が入る。
「ん…やぁ…」
腰を抱えていた手を離して、手首を掴んで、頭の上に押さえ付けられ、ブラウスがはだけ、胸が露になった。
「あ…ふぅ…ん…」
舌先で、乳首を弾くように、微かに舐められ、背中を反らし、喘ぎ声を響かせた。
乳首に吸い付き、転がすように、舐め回され、体を捩る。
「ぁ…ん…んん……ふ…ぅ…ん…ぅ…」
ボーッとしながら喘ぎ、背中を反らし、腰を浮かせる。
時折、乳首を吸ったまま引っ張り、チュッと音を発てながら離れると、電気のような痺れが広がり、体を震わせた。
「んぁ!!あ…ふ…ぅ…んん…ぁ…」
頭の上で、押さえ付けていた手首を腰まで、引き下ろしながら、舌が下腹部に向かって下りていく。
微かに触れる髪が、圧迫感を求める体に、刺激を与えて腰を浮かせた。
「ん…ぁ…ふ…ぅ…ん…あ…ぁ…」
陰部に押し付けられていた腰が離れ、手首を掴んでいた手も離されて、ジーパンを一気に下ろされた。
「あ…」
首筋に噛み付かれ、唇で頬を撫でると、唇が重なり、口内を舐め回す舌に、自分の舌を絡ませた。
腰に腕を回され、体を抱き上げられると、向かい合うように、山崎さんの上に股がった。
「や…ま…」
「なに?」
開かれた陰部に触れると、濡れた下着を擦った。
「お漏らし?」
「ちが…ぁ…な…んん…ふ…ぅ…」
勃起する蕾を下着越しに、爪で弾かれ、体を震わせると、肩を掴んで爪を立てた。
「ぁ…あ…ぁ…ん…ん…ん…ふぁ…」
蕾を擦る山崎さんの手に、自ら押し付ける。
「グチャグチャ」
「も…い…わぁ…あ…ん…ふぁ…ひぃ…」
入り口に、下着を張り付けるように指を押し付けられ、腰に回していた腕に力が入れられた。
「スゴい事になってる。分かる?」
恥ずかしさに、赤い顔をもっと赤くして、視線を反らすと、押し付けられた指が、突き立てられた。
浅く膣(ナカ)に入り、円を描くように動かされると、体が物足りないと訴える。
「あ…ぁ…ふ…ぅ…んん…ふ…」
背中を丸めて抱き付き、膝の上で、喘ぎながら、刺激に腰を落とした。
手を止められ、目の前の瞳を見つめた。
「続けていい?」
肩で息をしながら、目を閉じて、静かに頷くと、山崎さんは、満足したように、優しく微笑んだ。
下着を押し退け、蕾を直に爪で弾かれ、背中を反らそうとしたが、肩を抱えられて、反らせなかった。
「あ…ひ…ぁ…は…ひ…ん…ん…あ…ぁ…」
「気持ちいい?」
「ん…ん…」
喘ぎ声を抑えながら、小さく頷くと、嬉しそうに笑った山崎さんの指が、膣に入ってきた。
ゆっくり奥に向かって、撫で上げられ、体が震える。
「ふ…ぅわ…ぁ…」
奥まで入り、膣をかき混ぜるように動かされる指に、物足りなさを感じる。
「あ…やぁ…ま…ぅ…も…とぉ…」
「もっと?」
「ふ…ん…んん…ぁ…」
山崎さんの膝の上で、立ち膝のままで頷くと、山崎さんは、更に、嬉しそうに笑った。
「どうしようかな」
肩を掴んでいた手が離れ、腰を抱くように回し、膣の奥で動いていた指が止まった。
私は、背中を伸ばしたまま、腰を揺らそうとしたが、回された腕に阻止された。
「な…ん…ぁ…」
指を曲げ、指先でツボを押され、背中を丸めて、山崎さんに抱き付いた。
「や…ふぁ…も…ぉ…だ…めぇ…ぁ…」
「ここ?」
ツボを強く押されて、体が震え、山崎さんを求める。
前は、必死に理性を引き寄せて、山崎さんを拒む為に力を入れていたのに、今は、逆に山崎さんを引き寄せる為に力を入れる。
「あ…め…ゆび…や…もぉ…あ…ら…」
「なに?」
「ゆび…いや…らぁ…あ…あ…あぁ…」
ツボを強く押されたまま、指を動かされ、痺れが頭を突き抜け、もう何を言いたいか、自分でも分からない。
「ぁんーーも!!やらぁ!!」
背中を反らし、首を振り回すと、指を止めて、床に寝かせされた。
「や…まぁ…」
「どうしたい?」
指を二本に増やされ、膣に圧迫感を与えられて、腕を引き寄せるように、腕に力を入れながら、背中を反らした。
「あ…あぁあ…い…やぁ…」
「イキたい?」
何度も頷くと、ツボを突き上げるように、二本の指を前後に激しく動かされた。
全身が痺れ、腰を手に押し付けた。
「ああぁーーー!!あ!!あぁ!!も!!だぁ!!」
後頭部を床に押し付け、背中を反らすと、腰を抱えてられ、膣を激しく掻き回された。
痺れと熱が、一気に頭に打ち寄せて、叫ぶようにして喘ぐと、手が止まり、耳元で囁かれた。
「このままイクの?」
大きくなった痺れが、全身を駆け回り、沸騰するような感覚に、足を広げて、手に蕾と膣を押し付けていた。
私は、山崎さんの肩にしがみつき、腰を浮かせたまま、体を震わせた。
「も…ぅ…だ…め…イキたい…」
追い込まれ、そう呟いた私を抱えて、ゆっくり、蕾を擦り、膣をかき回す指に腰を押し付け、首を振った。
山崎さんは、意地悪な微笑みを浮かべて、いきなり手の動きを速めた。
「あぁああーーーー!!」
膣に全てを引き寄せるように、力が入りそうになり、しがみつく手に力が入る。
また山崎さんの手が止まり、私は、絶頂を逃された。
「なぁ…ん…で…」
そう呟くと、膣から指が抜かれ、肩から、腕に手を滑り下ろした。
山崎さんは、腰に回している腕に力を入れ、私を抱え上げると、胡座になった自分の膝を股がらせた。
自分の肩に、私の顎を置かせ、また耳元で囁いた。
「一人でイクの?」
山崎さんの胡座が崩され、膝を外側に向け、足を広げると、両腕が太ももの付け根に回された。
「腰上げて」
肩から顎を離して、腕を掴む手に力を入れ、山崎さんの顔の前に、谷間を寄せるように、体を浮かせた。
股下に腕が回されてると、ベルトを外す微かな音がした。
「ひぃ!!ん…ん…」
目を閉じて、部屋に響く微かな音と自分の呼吸音を聞いていると、急に、下着越しに蕾を弾かれた。
下着を押し退けて、膣に指が入ってくるのに、背中を伸ばした。
「欲しい?」
頷いても、膣に入ってきたのは、山崎さんの指が一本で、私が期待した圧迫感はなかった。
それでも、膣を掻き回される感覚は、体を痺れさせ、熱を上げていく。
「やぁ…ま…ぁ…あ…」
「違う?」
私が頷くのを見て、山崎さんは、意地悪に微笑んで、膣から指を抜いた。
「ゆっくり、腰下ろして」
言われた通りに、腰を下ろしていくと、膣に肉棒の頭が触れ、淡い期待が、大きく膨れ上がった。
更に、腰を下ろそうとしたが、山崎さんの腕が、そうさせてくれない。
目で訴えると、山崎さんの顔が近付いてきた。
私も顔を近付け、互いの唇を重て、チュッと音をさせ、視線を絡ませた。
再び唇を重ねると、舌を絡ませ合い、互いの頬に荒い鼻息を掛け合う。
背中を丸めるように、腰を前に出すと、山崎さんの腕が、少しずつ力を緩める。
座るように、少しずつ腰を下ろすと、肉棒が押し進んでくる。
欲していた圧迫感が、膣を満たし、背中を震わせながら、口の中で、声が反響し、互い鼻息が荒さを増した。
肉棒を全て飲み込み、唇を離して、互いの視線を絡ませてから、頬を寄せ合い、唇で撫で合う。
山崎さんの唇が、耳に移動しようとするのに、私は、耳を寄せて差し出した。
舌先で耳をなぞるように触れると、ゆっくり、体を持ち上げられた。
腕から力が抜けると、自分の体重で、一気に膣の奥深くに、肉棒が突き刺さる。
その刺激が、背大きな痺れと熱を起こし、腕を掴んでいる手に力が入った。
「あ!!ん…あ!!んん…い!!ぃ…ふ!!ぅ…ふあ!!ひ…」
何度か、それを繰り返すと、太ももの付け根に回していた腕が動き、お尻を撫でながら、腰に移動した。
腰を抱えると、肉棒が、奥に押し付けられた。
床に寝かされ、ゆっくり腰が動き始める。
「ん…んん…ぁ…あ…ふ…ん…は…ぁ…あ!!あぁ!!あ!!ぁ!!んん!!」
腰の動きが一気に速まり、後頭部を床に押し付け、背中を反らした。
腰に回された腕にも、力が入れられ、膣の奥に肉棒を打ち付けられた。
「あぁーーー!!あ!!ぁ!!あ!!ぁ!!」
体を震わせ、腕に爪を食い込ませて、引き寄せるように力を入れた。
騒ぐように喘ぎ、頭を揺らしながら、床に後頭部を擦り付け、腰を浮かせた。
部屋に響く喘ぎに混じり、時折、山崎さんの短い声が聞こえ、奥歯を噛み締めて見上げた。
山崎さんは、目を閉じて、顔を歪めて、奥歯を食い縛り、膣を擦る肉棒の刺激を耐えてるようだった。
「や…ぁ…」
名前を呼ぼうとしたが、途中でやめて、山崎さんを見つめて、掴んでいた手を離した。
「すぅ…すむ…」
それまで閉じていた山崎さんの目が、ゆっくり開いた。
山崎さんに向かって、腕を伸ばし、手のひらを見せた。
「すすむ…」
腰に回されていた腕が離れ、顔を近付ける頬を包むように、伸ばした手で触れた。
顔の横に片手を着き、もう片方の手で、頬に触れる山崎さんの手は、熱を帯び熱くなっていた。
床に肘を着き、私の肩を抱くように、腕を回すと、耳元に、山崎さんの荒い呼吸音が聞こえた。
「マコト」
荒くなった呼吸で、優しい声色が、私の名前を呼ぶと、渇きが潤っていく感覚になった。
腰の動きが速まって、自分の腰を押し付けるように、浮かせて、頬に触れていた手を肩に回した。
「ふ!!あ!!ぁ!!ん!!んん!!ん!!んぅ!!んん!!」
「ダメ…我慢…しないで」
肉棒が打ち付けられ、耳元で声を上げそうになり、唇を噛んで、押し込めると、頬を唇で撫でながら囁き、腰の動きが更に速くなった。
「い!!あ!!ぁ!!ぁふ!!ん!!あ!!あ!!あぁ!!ああぁ!!も!!」
「一緒…ふぅ…くっ」
「ああぁーーー!!っふ…」
一度逃された分、絶頂を迎える感覚に敏感になり、膣の奥深くに射精される熱さに背中を丸めた。
腰を押し付け、山崎さんの足に自分の足を絡ませて、膣をいっぱいにする体液を受け止めた。
いつもより、大きく上下に揺れる肉棒が、全てを吐き出すまで、私は、そのままでいた。
互いに抱き合う形で、体にのし掛かる山崎さんの重みが心地よかった。
「起きていいですか?」
腕を引き抜こうとする山崎さんの肩に顔を隠し、呟くように言った。
「だめ」
耳元で、山崎さんが、鼻で溜め息をついたので、きっと、困った顔をしてると思った。
頬を撫でる唇の感覚に、私は、腕の力を抜いた。
見上げた山崎さんは、優しく微笑みながらも、満足そうな顔をしていた。
「そろそろ準備したいんですけど」
「もう?」
「このまま行ったら、確実にバレますからね」
「シャワー浴びたいと」
「一応」
「時間ないくせに、何やってんのよ」
「前みたいに、邪魔が入るか、怒られると思ってたので、ここまでするつもりはなかったですよ」
「実際、やってんじゃん」
「マコトさんが可愛くて、ついつい」
「私が悪いんか」
「ノリノリだったじゃないですか」
「流されただけだもん」
「まぁ。その辺は、お互い様として。そろそろ、本気でヤバいので、離してくれません?」
私が首を傾げると、山崎さんが、頬を赤くしながら、苦笑いで言った。
「止まらなくなりそうです」
その言葉で、山崎さんの肉棒が、また固くなってることに気付いた。
「ば!!…ごめん」
山崎さんの肩から腕を離すと、山崎さんは、私の肩を抱いたまま、体を起こした。
私も床に座るように、起き上がり、後ろに手を着いた。
「ちょっと、すみません」
肩に回されていた手が、床に着いた手に重なり、見上げていると、顔を歪めながら、腰を後ろに引いてく。
膣からゆっくり、肉棒が引き抜かれる感覚を強く感じ、背中が震え、咄嗟に、顔を下に向けてしまった。
足を広げる自分の陰部から、山崎さんの肉棒が見え、膣に力が入った。
膣から引き抜かれた肉棒が、蕾を撫で上げ、肩が揺れた。
オデコに優しく唇が触れて、チュッと音を発てた。
「自分の視線で感じました?」
顔を真っ赤にして、視線を向けると、山崎さんは、ニコニコと笑っていた。
「ざけんな!!ばか!!さっさと行け!!」
笑いながら、仕事部屋から出て行く背中を睨み、ドアが完全に閉まってから、膝を抱えて下腹部の痛みを耐えた。
ジーパンを引き寄せ、痛みを耐えながら履き、ブラのホックをして、ブラウスのボタンを止める。
椅子を掴み、デスクに手を着いて、立ち上がり、椅子に深く座って、天井を見上げ、目を閉じた。
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無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
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