異世界帰りの勇者さま

ノリ君

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1章 帰ってきた勇者さま

1話 帰ってきた勇者さま

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 俺は、藤原 神。
 中学生最後の冬休みに家族と共に過ごす予定だったクリスマスに、妄想というか欲望というか、そんな感じの願いをノリでサンタさんにお願いしてたら(この年になってもサンタクロースの存在を信じてました)
                クリスマスプレゼントという名の勇者召喚
をされて異世界に行ってきました。
 なぜ、過去形かと言うと、
                すでに行ってきて魔王どころか魔神まで倒してきちゃった
からです。( °∇^)]
 いやあ、さすがに魔神まで倒すのに20年掛かったけど
無事倒すことができて、しかも、魔神を倒したおかげで
                俺、武勇神っていう神
になったんだよね。
 俺が行ってた異世界って魔王が魔物を使って世界を支配していた世界で、当然、魔法もある世界なんだけど、元の世界に戻る方法とか魔法がなかったもんで 永住するしかないなあって思ってたんだよ。
 しかぁーし、神になったおかげで、無事に召喚された直後の現代時間軸に帰ってきたわけ。
 しかも、姿は、召喚時の背丈と顔に戻してね。
 おっと、そこの君、「ん、背丈と顔だけ?」と思っただろう。
 当然だろう、だって、20年も掛かったら、俺の年齢35歳だぜ。
 買い物から帰ってきた息子が、いきなり35歳になりましたなんって言ったら、母ちゃんと父ちゃんから信じて貰えず、住居侵入罪で逮捕、しかも、15歳の中学生が35歳の大人になるってことは、当然、俺の戸籍なんかも証明できないわけだから、ずっと牢屋行き確定なんてことになるだろ。
 だから、神力使って戻ったわけさ。
 精神年齢は年食ってないぞ、俺の精神年齢は中二で止まっているから。
 あ、ちなみに、俺にクリスマスプレゼントをくれたのは、正真正銘サンタクロースっていう神からで、勇者としてやっていけるようにって、神っていうチートスキルを貰ったんだよ。
 まあ、こっちに帰って来るときに会えたから分かったんだけど、神スキルって
                頑張ったら、神になれるかもね
って感じで渡したらしくて、本当に頑張って神になって帰ってくるとは思ってなかったてさ。
 思わず、
                おい、サンタさん、プレゼント渡すだけかい !(# ゜Д゜)
って叫んだら、
                良い子に渡すだけじゃ!!(*`Д´)ノ!!!
って怒鳴られて怒られてしまったよ
 思わず、だよねえって思って、謝ったよ。
                ごめんなさいm(._.)m
って…
 まあ、そんなこんなでゲームを買いに行った帰りに勇者召喚されて、現代に帰ってきたわけだけど、買ったゲームソフトは、テンプレどおりにゴブリンに襲われた時に盾として、見事に使命を果たしてしまい、手元にはないわけで、代わりにアイテムボックス内には、大量の鉱石やら魔物の素材やら貴金属やらが、わんさかとあるんだけどなあ。
 さすがに、母ちゃんから貰った金で買ってきた親からのクリスマスプレゼントが
                俺の命がわりに盾になりました
って言ったら、
                ワケわからん
って言われて怒られてしまう。
 俺としては20年ぶりに会う両親だから、そういったやり取りは嬉しいイベントになるんだけど、母ちゃんにしてみたら、1時間前に家を送り出しただけで、1時間ぶりの息子のわけなんだよねえ。
 どうしたもんかねえ。
 神スキルで複製しようにもゲームの中身を知らないから複製できないし、金貨を日本円に換金しようにも、身分証明がない中学生にできるはずないし、って成人になった俺で、質屋の店員を幻惑して身分証確認したことにしてしまえばいいじゃん。
 んー、偽物の金貨を換金する訳じゃあないし、実年齢も20歳過ぎているから犯罪には抵触しないよな?
 よし、OKってことで、質屋に行って換金しようという事で、質屋にやってきた。
 当然、姿は、35歳時の俺になってるぜ。
 だって、金を売るのに20歳くらいだったら、不審に思うだろうけど、35歳なら一財産を売る感じで不審に思われることもないだろう。
 神力でどうにでもなるだろうって思うだろうけど、防犯カメラを誤魔化してどうのこうのってめんどくさいから、写ってても後で不審に思われることもないだろうってことでね。
 さて、入るか
 小さな質屋だから、ドアを開けたら、店内は狭く、ガラスショーケースの中には、高そうな腕時計が並べられて、ショーケースをカウンターにして70歳くらいのじいさんがいるだけか
 お、今の金のレートは1g4634円か、表示されてて助かったぜ。
 という事で、アイテムボックス内で金貨を200gの金の棒にしてっと、端から見たらスーツ姿の男がポケットに手を入れて店内に入って来ただけにしか見えないな。
                      「すみません、金を売りたいんですけど。」
じいさんは俺に気付いていたみたいだな
                      「ほう、金ですか。身分証がないと買い取れんのじゃけど、ありますかな?」
やっぱり、言われたか、予定どおり幻惑魔法をかけてっと
 ちなみに、幻惑魔法は闇魔法に分類されててな、認識を誤魔化す場合の幻惑魔法は、目を見ながらかけると効果抜群なんだぜ
                      「ほいほい、免許証を確認させて貰ったよ。で、その金とは?」
                      「ああ、これなんだけどな。」
俺はじいさんの問いに答えながら、スーツの懐から出すように見せて、アイテムボックスから布に包まれた金の棒を取り出して、じいさんに渡した。
                 「ほう、金の棒ですか。どれ刻印はっと、200gの99,9%か。」
                      「どれ、今日の金のレートはいくらじゃったかな?1g4634円か、なら926,800円じゃな」
                          「しかし、金の棒を売りに来るのは珍しいのう、どうしてじゃ?」
おろ、じいさんに興味を持たれたか、無難な答えを返しておくか
                  「なあに、ちょっと仕事で金がいるから、
                                      じいさんの遺産を売らせてもらいに来ただけだよ。」
と俺が苦笑いしながら答えると
                      「そうじゃったか、良い祖父じゃな、遺産を残してくれとるんだから」
とじいさんは笑顔で話してきた。
    俺は、内心で
                     『悪いなじいさん、異世界の金貨を換金したいだけなんだ。』
と思いながらも、
                    「ありがとな、じいさん。おかげで助かってるよ。」
と笑顔で返しながら、質屋を後にした。



 質屋から出た俺は、すぐに路地裏の人目がつかない通り来ると、姿を中学生に戻し、ゲーム屋に向かって、無事にゲームソフトを買ってきた。


 「しかし、俺の記憶にある買ってきたゲームソフトが「デーモンクエスト」って、まんま俺が行ってた異世界と同じストーリーじゃねーか。」

 『もしかして、サンタさんの計らいで、持ってたゲームソフトの世界に勇者召喚されたってことかねえ。改めて、ソフトのパッケージのあらすじを見て思ったよ。
 最初に買った時は、嬉しくて自宅に帰るまで急いでて、パッケージを見てなかったからなあ。
 召喚直後のゴブリンの棍棒攻撃で盾として潰れて放置したから反撃できて倒せたんだよなあ。
 まあ、自宅に帰ったら、ゲームするかね。』

 「予定より時間かかって夕方になってるし、母ちゃんがクリスマスの料理作って待っててそうだから、早く帰るか。」

    神(しん)は、中学生にしては、ちょっと早い速度で、いや、ずいぶん早い速度で走って自宅に向かった。
    途中、神(しん)が走って帰る姿を、クリスマスパーティーをしようと同級生の家に向かうクラスメートの女子数名が目撃して声をかけようとしていた。

美奈子    「あれ?あそこ走ってるの藤原くんじゃない?」
雪子        「え?ああ、藤原くんだ、美奈子、藤原くんも誘う?クリスマスパーティーに」
桜            「え、(*ノ▽ノ)藤原くんを誘うの?」
美奈子    「二人とも良いの?o(^o^)o藤原くんを誘っても?」
桜、雪子「「当然だよ(^^)d 」」

    雪子が、神(しん)をクリスマスパーティーに誘うとしているのは、この3名が神(しん)のことが好きで、3人一緒に卒業前に告白して、神(しん)を3人で共有する彼氏にしようと計画していたからである。
    まあ、女子が計画したハーレム計画というもので、実は神(しん)、見た目が整っており、中性的で一見すると女性と間違われるみたいな顔で、サンタさんも認める、正義感がある明るく優しい性格の男子なのである。
    そのため、神(しん)を好きな女子は他にも数十名いるのだが、肝心の召喚前の神(しん)は、ゲーム大好き中二病患者で、女子に全く目が行っておらず、モテモテだったことに全く気付いていない鈍感男子だった。
    帰還した神(しん)はというと、当然、20年の間に知り合った女性達が積極的だった結果、鈍感男子でもハーレムを築き上げていた。
    神(しん)は、魔神との戦いをソロで行い勝利し、その戦いのレベルアップで神になったことで、現代へ戻れることが分かり、その戦いで勝利後、力尽きて死んだことにして、積極的過ぎて搾り取る異世界の嫁達に別れを告げてきていた。
    神(しん)の異世界の嫁達は、神(しん)が神になったことで、契りを交わした番い達ということで半神となっており、神になった神(しん)が生きていることに勘づいた嫁達は、神(しん)を追い掛けて異世界転移する計画をしていた。
    まあ、知らぬは神(しん)ばかり成り    という感じで、走っていた神(しん)は、妻たちが発する気配に悪寒を感じ、立ち止まって周囲を確認していた。
    立ち止まった神(しん)に美奈子達は駆け寄り声をかけた。
美奈子     「藤原くん!どこ行くの?」
雪子        「藤原く〜ん、一緒にクリスマスパーティーしよう‼」
桜             「藤原くん!」ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ   抱き


神(しん)            「うぉ( ; ゜Д゜)、ウィ・・じゃない ?  ・・・・・  春野 桜さん か?」

『うおい、なんか寒気を感じて周囲を確認してたら、抱きつかれたので、思わず嫁達の誰かかと思って、焦っちまった。あと、鑑定眼で抱きついてきた小さい女の子を見たら、クラスメートの桜かよ。見た顔だけど名前を思い出せなかったから、思わず鑑定眼使ったけど。あぶねえ・・・おもわず嫁の名前言いそうになった。』

    立ち止まっていた神(しん)に桜が抱きついたことで、美奈子と雪子は青筋を出して嫉妬に満ちた顔で桜に詰め寄った


美奈子、雪子   「「桜、抱きつくなんてズルイ(TдT)」」

神(しん)            「え?」

 神(しん)は、抱きついた桜の行動に驚き、さらに詰め寄った二人の顔を見て、思わず嫁たちを思い出し戦慄を覚えていた。
 狭い住宅街の道で、20年振りに遭遇したクラスメートの女子中学生から、溜まらず(いろんな意味で)逃げてくる形で別れを告げてきた異世界の嫁たちと同じ雰囲気を出されたら、思わず戦慄を覚えてしまうのもしかたないことである。

 そして、戦慄を覚えて固まっていた神(しん)についでとばかりに、二人も抱きつき、神(しん)を逃がさんと言わんばかり囲い込むように抱きついていた。

神(しん)  「なんだ三人とも、なぜ、抱きつく?」


美奈子、雪子、桜   
「「「だって、走っていたから急いで逃げると思ったから!!」」」

 三人は、両手を上げて立っていた神(しん)の問いかけに対し、シンクロするように同じ言葉を返していたが、告白もまだなのに抱きついていたことに気付いて、おずおずと神(しん)から離れていく。

美奈子  「藤原くん、私たちは今からクリスマスパーティに行くんだけど、参加しない?」

神(しん) 「ごめんね。家で家族と久しぶり〚20年振りとは言えない〛のパーティだから、参加できないよ。」

雪子 「そっかあ、それじゃあしょうが無いね」

桜  「んー残念」

神(しん) 「それじゃあ、またね」

 神(しん)は、三人に挨拶すると、足早に自宅に向かって離れて行った。

美奈子  「残念だったけど、思わず抱き付けて良かったよ。」

雪子   「ダヨねえ。桜が抜け駆けして抱きついたおかげだねえ」

桜    「我慢できなくて(*ノω・*)」
 
 女子三人組は、神(しん)から断られたことに対して、あまりショックを受けていない様子で、姦しく話しながらパーティ会場になる同級生の家に向かって行った。
 神(しん)は、久しぶりに通る帰り道が変わりないことを噛み締めながら、徐々に走る速度を落としていき、古き良き時代を思わせる木造2階建て住居の前で立ち止まった。

おおお、我が家は変わらずだなあ。よし(๑•̀ㅂ•́)و✧帰り着くまでが遠足(異世界召喚という名の遠足で帰れるとは思ってなかったけどね)だぜ。
 いやあ、感動するねえ。俺としては、20年振りだもんなあ。
 帰り道に、ちょっとしたイベントがあったけど無事に帰れて良かったぜ。

神(しん)   「母ちゃん、ただいまぁー(≧▽≦)」

 神(しん)は、感慨深い想いで玄関のドアを開けて、家に居るはずであろう母親に帰宅の言葉を掛けながら、自宅に帰宅帰って行った。
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