異世界帰りの勇者さま

ノリ君

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2章 中学最後の時期

8話 始業式だね 勇者さま

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 『ああ、とうとう明日から中学最後の三学期が始まるなぁ。
 取りあえず、明日の始業式の準備でもするかな?
 さてと、学生服はっと・・・クローゼットの中か』

 「ありゃ、ちと小さくなってる。」

 神(しん)が、学生服をクローゼットから出して20年ぶりに着てみると、学生服はピチピチになっていた。
 それは当然である。召喚前の神(しん)は、どちらかと言えば、もやしっ子であったが、今では武闘派の細マッチョで、召喚前とは比較にならないほどの筋肉になっている。
 今では、某アニメの主人公のように気合いを入れただけで、服が弾け飛ぶことになるほどで、実は冬休みの自室でゲームに没頭していたとき、気合いを入れてしまい、服が弾け飛びコントローラーを壊すという珍事を起こしていた。
 よって、神(しん)は、学生服が着れなくなっているかもしれないと思い、始業式の前日に学生服を着て確認していた。

 「やっぱりか~」

 俺は、この前、ゲームに夢中になるあまりに気合いを入れてしまい、服を弾け飛してしまった。
 それで、学生服も小さくなってるかもと思って着てみると、案の定、小さくなっていた。
 「あと少ししか着ないだろうから新しく買うわけにもいかんから、改造するか。」
 俺は、学生服をいったん脱いで改造することにした。
 改造といっても極端に短くするとかじゃないからな。元から短ランボンタンだから、これ以上短くするとか変になってしまうし!
 
 よし、じゃあ始めるかな。

 俺は、付与魔法を無詠唱で起動させると、学生服が宙に浮いて、魔法陣が組み込まれていき、
自動伸縮・繊維強化・汚損無効・瞬時着装
が付与された。

 付与した効果を説明すると
 自動伸縮 : 俺が気合いを入れても自動で伸縮して弾け飛ぶことがない
 繊維強化 : 着心地は良いのに弾丸も通らない強度に強化されている
 汚損無効 : 一切汚れない(フローラルな香り付き)
        醤油やケチャップ、血などがついても綺麗に落ちて新品同様になる
 瞬時着装 : 神(しん)が着ようと思ったら瞬時に着た状態になる
となっている。

 まあ、肌身であっても弾丸程度では、傷一つ付かないけどな。
 ただ、自害の意志がある時は別だけどね。だって、予防注射なんかで針が刺さらないとかなると、絶対に面倒くさいことになるからね。
 といっても、病気や毒に犯されることは一切無いけどね。

 あ、一つ付け忘れてたよっと。
 付与:エアーコントロール

 あ、もう分かるよね。そう、周囲を快適な空間にする付与だね。
 え?温度じゃないのかって?ノンノン、それじゃあ、毒ガス地帯や真空状態だったら快適じゃあ無いよね。もし、毒ガス地帯なら無毒化で快適に、真空状態なら新鮮な空気を生成して快適にって感じで、たとえ水の中であっても快適空間にする付与だよ。
 俺自身に毒や真空状態が効かないとはいえ、不快には思うからの付与だね。
 ゆっくりのんびりしたい俺は自重しません!ビバ!のんびり空間!

 さてと、明日の準備も終わったことだし寝ますかね。

コンコン!

 ん?巫女がきたみたいだけど、どうしたのかな?

 「ん~あいてるよお。」
カチャ、キ~
 巫女が寝間着姿に枕を抱えて入ってきた。

「ねえ、お兄ちゃん。一緒に寝てもいい?」

 「どした~巫女?こわいテレビでも見たのか?」

「違うよ。ただ一緒に寝たいだけ・・ダメ?」

 「いいよっおいで!」

 俺は、布団をめくって巫女を誘った。巫女は、嬉しそうに布団に飛び込んできて俺に抱き付いた。 俺は巫女に布団を掛けてあげて眠った。







 
 チチチ・・・チュンチュン


 ん~朝か~ここ数日はゲーム三昧だったから、早朝に起きるのが辛い・・・・・・はっ!二度寝しそうになった。
 アブねぇ、巫女を起こしてあげないといけんのに、寝坊するとこだった。
 さてと、巫女を起こすかね。


 「巫女~朝だぞ~起きないとお兄ちゃんがちゅ~しちゃうぞ~」

「ん~にいちゃん。していいよ~ウフフフ(´∀`*)ウフフ」

 「ありゃ、寝ぼけてるな?揺すってみるか」

グラグラ・・・・むにゅ!

 巫女の寝顔の可愛さに思わずほっぺに指差してしまった。

「う~~おはよう。お兄ちゃん。ほっぺ痛い・・」

 「お?起きたか。おはよう、巫女!ほっぺが痛かったか、ごめんな」

チュ(^з^)-☆Chu!!
 俺は、謝りながら指差していたほっぺにキスをして、同時に治癒魔法を掛けて痛みを消した。

 巫女は、俺からキスされたことで一気に覚醒し、顔を真っ赤にしていた。

 『ありゃ?怒ったか?』


『お兄ちゃんがほっぺにちゅ~してくれた~うれしいな(´∀`*)ウフフ』

 巫女は嬉恥ずかしさから顔を赤面させたが、神(しん)は、鈍感勇者の称号が働いて、あさってのことを思っていた。ん~残念!

「ウフフ、お兄ちゃん!今日も寒いみたいだから、私がプレゼントしたマフラーをつけて学校に行ってね。」

 「おう、分かった。じゃあまずは、顔を洗って朝ご飯だな。始業式の日に遅刻は、できないぞ。」

「うん。」







 さてと、朝ご飯も食べて、昨日改造した学生服も着心地良好っと!
 巫女からのマフラーはっと・・・あったあった。

 ん?ありゃ?マフラーの片側にSIN❤って編み込んであるな おお、巫女から愛されてるのか?少し恥ずかしいが巫女からのプレゼントだからな。
 お兄ちゃんは、しっかりと身に付けて愛用するぞ!

 俺は、魔改造した快適な学生服を着て、首にはしっかりと巫女からのマフラーをつけて玄関に向かった。
 巫女もランドセルを背負って学校に行く準備万端で待っていた。
 俺と巫女は「「行ってきます!」」と言って玄関を出て大通りまで出てきた。
 
 「じゃあ、巫女。気をつけていくんだぞ!」

「うん、お兄ちゃんもね!」

 ここで俺たちが別れるのは小学校と中学校が反対方向にあるためで、小学校までは約15分、中学校までは約25分と中学校の方が遠い。
 しかし、徒歩通学であるため、俺は大通りを寒そうに歩く通勤途中のサラリーマンの間を縫って颯爽と歩いていった。
 

 「あれって、あの子じゃない?」
   「あ、あの子だ」
  「いやん、ショタじゃないのに濡れちゃう」
      「は~~カッコいい!」
    「あふん、たべちゃいたい」


 ん?やけに女性ばかりに注目されてないか?最後の女性なんか、恍惚としてヤバい顔をしていたぞ!おかしい!女性がワラワラと寄ってきてる。
 なんか身の危険というか貞操の危険を感じるぞ?ブルル(~_~;)
   いかん!認識阻害起動!!



 「「あれ?あの子は?」」
  「「「「「「あら?あの子はどこに?」」」」」」

 ふう!?危なかった。このまま行っていたら囲まれてたな。
 おかしいな?初詣の時は人が離れていったのに、今日は逆に寄ってきてるし、しかも女性ばかり。
 まるで、サキュバスに魅了された男共のように・・・ん?魅了されたような?

 まさか・・・・・・・・・げ!マフラーに魅了(特効)の付与だと!!!!これのせいか!!

 俺は、マフラーを鑑定して魅了(特効)の付与に気付いたので、歩きながら付与の解除を試みたが、何故だか解除されない。
 俺は、さらに上位スキルである看破でマフラーを観てみた。


 すると、
   品名 : 赤いヒーローマフラー

   効果 : 繊維強化・魅了(特効)固定化(創造神話級)

   説明 : 決して魔神の力でも破れることはなく、すべての女性を魅了するヒーローのマフラー

 うはっ!固定化(創造神話級)だと?神話級のさらに上位じゃねえか・・・・こりゃあ俺が創造神級の神とはいえ、そう簡単には解除できないぞ。
 しかも、看破した効果説明の内容がときどきぼやけるってことは、固定化がさらに強固になってるってことか・・・・魔法をかけるときにどんだけ強固なイメージでかけたんだよ俺ぇ・・・

 魅了は認識されないとかからねえから、認識阻害で今はどうにかなってるけど、巫女のてまえ、マフラーをつけない訳にはいかねえし。
 どうしようか?新学期早々多難だぞ!?こりゃあ。
 まさか、神になっても困ることがあって、しかも、自業自得って・・・・(´Д`)ハァ…帰りたくなってきた。
 あと少しで学校だから、認識阻害のままでもいられないし、ん~帰ってコタツで餅が食いたくなってきた・・鏡餅を割って食うと旨いんだよなあ。けど、なんで鏡餅は餅を重ねるんだ?はぁ~現実逃避はイカンぞ・は!!重ねる??
 偉いぞ俺!そうだよ!解除できないなら相反する効果を重ねたらいい!!
 魅了の相反する効果は・・・幻滅か?

 ヒーローのイメージを打ち消すなら相反するのは幻滅だな!
 
 よし、じゃあ幻滅を付与

   品名 : 赤いヒーローマフラー

   効果 : 繊維強化・魅了(特効)固定化(創造神話級)・幻滅

   説明 : 決して魔神の力でも破れることはなく、身近な女性を魅了するヒーローのマフラー

ヨッシャー!説明が変わった!これでマシになったな。まあ、身近な女性ってのがどの位身近なのかが気になるが、まあ、すべて女性よりはマシだ!
 グッジョブ、俺!

 ハア…登校時点で疲れたよ精神的に。

 さてと、間もなく学校だから認識阻害を止めないとな。

 俺はいったん路地裏に移動して認識阻害を解除して、校門に向かった。

 「ハア疲れた」

   「よお!明けましておめでとう!藤原。」

 「ん?ああ、おめでとう。佐藤。」

 いかん、久し振りすぎて同級生の顔と名前が一致しないうえに思い出せんかった。思わず、鑑定して名前を見て応えてしまった。

 「んん!?なんかゾクゾクとしたぞ?寒気か?」

 やっぱりか、人に鑑定を使うと違和感を与えるのは、この世界でも同じか・じゃあ違和感を与えない看破眼で視るしかねえな。

 これすると目の中に六角形内に六方星ある印が浮き出るんだよなあ。
 まあ、同級生の顔と名前が一致するまでは、しょうがないか・・・・

   「そういえば、有名人だな藤原。全国放送のNG大賞見たぞ!」

 「え?何のことだ?」

   「ええ・・NG大賞で大晦日のお前を見たニュースキャスターの女性が、思わず叫んでしまって詫びるっていうNGが大賞を穫ったじゃんか」

 「ああ、新年にあるNG大賞のことか、俺はゲームに夢中で見とらん!」

   「威張って言うことかよ。相変わらずゲーム三昧だったわけね?」
 「おう、デーモンクエストにハマってた!」
   「ああ、あれか~たしかにあれは面白いてハマるな。選択肢次第でエンディングが変わるのは今までにもあったけど、あれのエンディングの数は半端ないからなあ。いったいどんだけあるんだって感じだもんなあ。」

 「俺は、遅れてクリスマスに買ったから内容を言うなよ。」

   「ああ、分かった。言わねえよ!じゃあ、さっさと教室行こうぜ。」

 俺は、佐藤と話しながら教室に向かっていたため、周囲を特に気にしていなかった。

 この時、称号の鈍感勇者がかなり働いていた。

 鈍感勇者:恋愛ごとに対して超絶に鈍感な勇者になる称号 決して鈍感な勇者に与えられる称号では無い。

 神(しん)が、称号の影響で超絶に鈍感な勇者になっていたのは、校門近くで神(しん)を拝もうと待ち構えていた神(しん)の親衛隊150名のせいであり、異世界の嫁たちによって与えられた称号は一生懸命働いて、神(しん)に近寄る女性に神(しん)が気づかないように頑張っていた。
 さすがの称号も弱体化していない巫女からのマフラーに付与された魅了(特効)には勝てなかったが、弱体化した効果には勝てると頑張ったようである。
 ん~称号も異世界の嫁たちは恐ろしいようである。

 佐藤は、新年のテレビ番組のNG大賞で、俺が話題になっていたことを興奮気味に話しており、俺は変に注目されることに霹靂としていた。

「藤原!聞いてんのか?だから、お前が太宰府天満宮にある門から登場とこから音楽で演出されてたの!んで、周りの人たちが離れて道があくと、お前は笑顔でその道を歩いて行くんだけど、そこで更にカッコいい音楽がかかるわけ!


『おいおい、みんなが見てるぞ。』

「わかった。わかった。まったく、みんなが見てるぞ。」

「え?そりゃあ、みんなはお前を見てるんだろ?」

「違うだろ。興奮して話すお前を見てんの!気付けよ!」

 俺は、佐藤が興奮して注目されているのを諭して、教室に入っていった。

 ガラッ

 「おはようさん!」

 俺が教室に入ると、すでに登校しておのおのの机で話している同級生たちが一斉に見てきたので、朝の挨拶をみんなに向けて言った。

 「あ、おはよう」
 「おはよう、藤原くん」
 「おお・おはよう・・」

 教室にいたうちの数人が、神(しん)の挨拶に声を返してきたが、それぞれに驚愕した顔を出していた。

 「あれ??お前って、そういうキャラだっけ?」

 佐藤が、俺に対して不思議そうな顔をして聞いてきた。

『ん?そういえば、召喚前の俺は、どちらかといえば、大人しいほうだった。ひさびさで召喚前の俺を演じてなかった。』

 「ねえ、藤原くんって、こんなに明るかったっけ?」
「ん~ん。休みの間で変わったね。それに、なんだか今まで以上にカッコいい♡」
  「あ、それは思った。なんだか藤原くん、よけいにカッコ良くなった?」
「だよね~」


「藤原、おはよう!なんか元気だな?冬休みに良いことでもあったか?」


「良いことっていえば、ゲームくらいかな?デーモンクエストを買った。」


「なに?藤原も買ったの?あれは面白いよな。」

  「ん?藤原氏も買ったのですか?」

 神(しん)が、明るく挨拶したことは、冬休みに良いことでもあったと捉えて、男女たちは声を返してきたが、女子はマフラーの影響で魅了され始めていた。

 まあ、同じクラスメートは身近なものとなるので、魅了の効果がしだいに効き始めていた。
 俺は、自分の机の位置を思い出しながら、マフラーを外してカバンの中に入れると、机の横にあるフックにカバンをかけて椅子に座った。

 すると、太った男子が一人、神(しん)に声を掛けてきた。

 「藤原氏もデーモンクエストを買ったのですか?」

 「買ったよ。おかげで大晦日以外は部屋に引きこもってた。」

 「おお・で、どこまで進めたので?」

 俺は、声をかけてきた男子が中二病の田中くんであることを思い出して応えていた。
 「けっこう進めたよ。田中くんは?」
 「それがしは、バッドエンドを2度ほど・・今は、3度に」
「ああ、エンディングの数が多いんだったね。俺はまだエンディングまで進めてないよ。」

 違和感があるだろう?俺は召喚前、クラスでは、大人しいいい子で通っていたから思い出しながら演じることにして、これ以上目立ったことにならないようにしようと思っていた。

 俺が田中くんとゲームの話をしていると、教室に学校で有名な女子3人が入ってきた。

美奈子
「おはよう、みんな元気にしてた?」

「明けましておめでとう!私は元気にしてたよ~!」
雪子
「明けましておめでとうございます。桜、うるさいわよ。もう少し抑えてくれない?」

 美奈子は、教室に入ると落ち着いた感じでみんなに声をかけ、桜は元気いっぱいに声をかけてはしゃいでおり、雪子は新年の挨拶をしながら、桜に注意していた。

 教室にいたクラスメートも、美少女三人組に新年の挨拶を返しながら、三人を中心に集まっていった。
 神(しん)は、その様子を見ながら、田中とゲームの話しをしていた。

   『あれから三人とも、特にトラブルに巻き込まれることもなく冬休みを過ごしたみたいだし、特に問題ないようだな。』

 神(しん)は、三人にクリスマスの出来事で関与したことはバレていないと思っていたため、声をかけて注目されるのを避けていた。
 それは、大人しくて女子に声をかけることができない男子と周囲に思われているはずの神(しん)が、声をかけると注目されるからである。
 神(しん)は、自分が美麗な男子として女子に注目されていることに気付いておらず、自分は大人しくて目立たない男子と思っていた。

 よって、三人が田中と話し込んでいる神(しん)に向かっていることに気付くのが遅れてしまい、三人に囲まれる形で声を掛けられることになった。

「「「明けましておめでとう」だよ~」ございます」

「おめでとう。」

「あ、あ、あけ、明けましておめでとうございます。」

『おいおい、田中くん。どもっているぞ。』
神(しん)とゲームの話をしていた田中は、学校の三大美少女が声をかけきたことに狼狽して、どもっていた。
 そして、三人が詰め寄ったことで身を引く形で離れていった。

 詰め寄った三人は、神(しん)にだけ聞こえる声量で
「助けてくれてありがとう!」
と言って、羨望の眼差しを向けた。

「ん?何のこと?」

 神(しん)はクリスマスの事はバレていないと思っていたので、惚けてみせた。
 三人は、マフラーや服装から神(しん)が助けてくれたことに気付いて確信していたため、神(しん)が惚けるだろうということは予想通りで、だから、神(しん)にだけ聞こえる声量でお礼を言ったのだが、神(しん)は気付いていなかった。
 三人はお互いに顔を見合わせて頷くと、
「本当にありがとう。」と応えて自分の席に別れて行った。



 あれ??バレていないはずだよな??
 まあ、いっか。
 バレたらバレたで誤魔化そう。


 俺は、互いの席に向かう三人を見ながら嘆息していた。
 すると、佐藤が不思議そうな顔をしながら、声をかけてきた。

 「なあ、藤原。三人と何かあったのか?」

  「いや、何も?俺、ゲーム三昧で家をほとんど出てないし。」

 「そういえば、大晦日以外は部屋に籠もってたって言っていたな。」 

「ああ、おかげでいろいろ楽しい冬休みだったよ。『いろんな意味で』」


 ここで、ちょうど始業の鐘が鳴り、「ガラガラ」と前方の教室の扉が開いて紺色のレディーススーツを着こなした20代中頃の女性が、ポニーテールをなびかせながら教室に入ってきた。
 「明けましておめでとう!元気にしてたか?」
 颯爽と教室に入ってきて、教卓に立った女教師は、生徒である俺たちの顔をそれぞれ伺いながら声を掛けてきた。

 そういえば、この綺麗な先生は生徒たちに人気だったな、実際には35歳になる俺としては、正にビンゴな女性だなぁ。
 まあ、今は15歳の中学生だから、恋愛対象には見ないだろう。

 この綺麗な先生は、近条 麗奈こんじょう れいなという先生で、歳は25歳、バスト90ウエスト64ヒップ85というプロポーションで、顔も猫科を思わせる美人という女性なため、男子生徒のみならず男性教師にもかなり人気があるようだ。

 おや?先生に睨まれてしまった。
 これが、俗に言う、女性に年齢は禁句というやつか。
 けど、なんで気付いた?声にしてないのに・・・

 俺以外の生徒たちは、先生からの問いに元気に答えていた。

 「元気そうで何よりだ。若干一名は、正月の間だというのにしっかりと元気そうなのが分かったけどな。あと、変なことを考えてないか?」

 麗奈先生は、俺を睨んで問いかけてきたため、みんなの注目を集めてしまった。

「何も思ってませんよ。あと、誰のことですか?」

「おいおい、実家のコタツでのんびりしてたら我が生徒がニュース番組に出てきて、さらに新年のテレビ番組にも出てきたら驚くし、元気そうなのも分かるだろう!」

 「いや、俺はゲーム三昧で、テレビ番組を見ませんでしたので。」

「な!?あの放送を見てないのか?」
 
 「はい。ゲームで引きこもってました。」

   「さすが、藤原氏」

「そんなことを自信もって言うじゃない!仮にも受験生だろう!大丈夫か?」

 「大丈夫ですよ、先生。志望校には合格してみせますから。」

「本当か?ほんとに本当か?大事なことだから二度聞くぞ。」
 
 「まあ、大丈夫ですよ『だって、俺、神だよ。参考書は一度読んで覚えてしまったから、大学レベルの参考書読み始めてしまったし、このままだと博士クラスもすぐ修めるだろうから、高校受験は大丈夫だろう。』ちゃんと、参考書を読んでますから」

 「そうか?心配だから、藤原が行く高校について行くぞ?」

「そんなに心配なら、ついてきて良いですよ。ちゃんと志望校に行きますから」

 「言質は取ったぞ。では、ずっとついて行く。」

「はい、OKですよ。」

 何故か麗奈先生が満面の笑みになっているぞ?そんなに心配だったのか?

 「あ、そうだ、今から体育館で始業式があるんだった。」

 麗奈先生がそう言っていたとき、廊下からザワザワと声が聞こえてきたので、他のクラスの連中が体育館へ移動を始めたのだろう。
 「では、体育館に移動するように」


 俺は、クラスメートたちと体育館に移動し並んで座っている。
 そろそろ、始業式が始まるようだ。

「では、始業式を始めます。」おろ?麗奈先生が司会をしてる。
 あ、校長が壇上にあがっていった。
 「皆さん、明けましておめでとう。これより新学期が始まりますが、それぞれの学年で・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


 校長の話が始まってすぐに寝てしまった。
 なぜか、校門の話を聞くと寝てしまう。催眠効果でもあるのだろうか?

 「これで!始業式を終わります!起立!礼!解散!」

 おお、終わったようだ。みんなが立ったので、慌てて立ち上がって礼をした。

 さぁ、今日はもう授業もないし、HRがあったら下校だ。

 俺は一眠りしたおかげか、元気になって教室へ戻って行った。
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