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3章 高校だよ! 勇者さま
13話 入学式だよ 勇者さま
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新羅高校の新入生は総勢3570名である。
これは、各科10名ずつ、補欠入学者がいるためで、本来なら入学を取りやめて、他の高校へ行く生徒のための調整枠であるのだが、公立高校である新羅高校の入学を取りやめて他の高校へ行く者は、ほとんどいないため、毎年この総数になっていた。
であれば、当然、3570名分のクラス分け表が提示されることになるため、かなりの大きさというか、長さになる。
神(しん)は、校門での受付を終えて、校舎横にある校庭に提示されているクラス分けを見に来たのだが、受付の女子生徒がすぐ分かると言った意味に納得するとともに、この中から探すのかと溜め息がでる思いであった。
しかし、クラス分け表の前に来ると、各科に分けて提示されており、各科の表の前には何か操作するためのディスプレイが置かれていた。
神(しん)は、そのディスプレイのところにいき、表示画面を見ると、タッチパネルに学生証カードを当てるように書かれていたので、指示に従って、学生証カードを当ててみた。
すると、画面に
普通科一般 1-1 藤原 神
と表示された。
「おお!さっそく、学生証カードを使って、クラス分け表を見るわけか。どおりで他の生徒が並んで名前を探してない訳か」
神(しん)の前にはクラス分けを見に行った新入生が多くいるはずなのに、その新入生が数名しかいなかった。
神(しん)は、あれだけ混雑していた受付後のクラス分けの前には、多くの新入生が並んで見ているだろうと思っていたので、学生証カードの利便性に感心していた。
そして、神(しん)は、クラス分けを見らずに教室へ向かった。
神(しん)は、クラス分けを見ないほうが教室へ行った時の楽しみが増すと思って見らずに教室へ向かったので、クラス分け表に書かれていた担任教師の名前も当然見らずに向かうことになり、余計に驚くことになるとは知る由もなかった。
神(しん)が向かった普通科一般1-1教室は、昇降口があるコの形をした本棟の校舎から扇状に7つ直線に建てられた校舎の左から数えて4番目の校舎の3階の手前から2番目にある。
この扇状に建てられた7つの校舎は、本棟から見て左から工業科、建築科、農業科、神職科、普通科、商業科、看護科となっており、それぞれの渡り廊下出入口にプレートで表示されていたため、神(しん)が自分の教室を探すのに苦労はしないで済んでいた。
ちなみに、クラスは各科1-1から1-9と1特進となっており、特進は入試では分けて受験になるが、前期後期の試験順位で入れ替えが行われ、各科上位50位が特進クラスとなる。
つまり、年2回ほどクラス替えが行われることになる。
ここで、各科の偏差値を示しておく、神職科75、看護科60、商業科55、普通科55、農業科50、建築科45、工業科45で、新羅高校としては平均値の偏差値55となっている。
よって、通年通りなら各学年の首席は神職科の1位がなっており、学籍番号はその年の入試順位が割り当てられるため、自分の入試順位が明らかになる仕組みになっていた。
だからといって、入学後に学籍番号が変わるのかというと、そうではなく、あくまで入試順位だけを割り当てられた番号であるため、卒業まで変わることはない。
しかし、転科は認められており、転科試験に合格すれば転科出来るようになっている。
ただ、神職科だけは、特殊学科であるため、神職を目指す者である必要があるので、面接も行われて合否が決まる。
では、なぜ神(しん)が首席であるのかというと、クラス分けのためと受けた試験の各教科2問の内1問は、神職科試験の各教科最終問で超難問の問題であり、毎年この問題を全ての教科で解答できた首席はいないほどである。
それを神(しん)は、全ての教科において満点であったため、首席となったのである。
この結果は、校長と教頭も驚くことになった。
まさか、クラス分けのための試験として、問題の解答の過程を見てクラスを決めようと採点していたのに、教師でも超難問の問題を完全解答されるとは思いもよらず、採点していた教頭が驚いたため、校長以下全ての教師が知ることになった。
そのため、神(しん)を神職科の生徒として入学させるべきとの意見が出たのであるが、そこは公立高校試験であるため、願書外の学科での合格通知は問題となるとして願書通り普通科一般で早急に合格通知を出したのである。
早急に出した理由は、校長と教頭以外の教師も、神(しん)はぜひ入学して貰うべき学生であり、すぐに通知すべきだ!と意見したためであった。
神(しん)は、昇降口で同じようにタッチパネルで下駄箱の位置を確認し、指定された下駄箱を開けようとしたら鍵がかかっていたので、学生証をかざすと「カチャ」と音とともに下駄箱の扉が開いたため、この学校ではこの学生証が全ての鍵になっていることを理解して『絶対にこの学生証カードを落とせねえ』と思っていた。
「おお!新品の上履きが入ってる。でも、これってスポーツシューズなんだな。指定靴なんだろうけど、踵の所に名前を書くとこあるんだな。色々用意されてそうだ。」
神(しん)は、上履きに履き替えて校舎内に入っていった。
どうやら、一階は全て昇降口と玄関口になっているみたいだな。
本棟の校舎は、コの形をしているのだが、コの内側中心に玄関口があり、その正面には階段があり、玄関口の両脇にはそれぞれ2機のエレベーターが設けられ、それ以外のところは、昇降口になっている。
玄関口の校舎反対側は、渡り廊下となっていて、そこから扇状に各科の教室棟、両サイドは食堂になっていた。
本棟は、8階建てで玄関口の案内板で、2階に事務総務室と売店、保健室、3階に職員室、4階には図書室、PC室、5階に音楽室、視聴覚室、6階には家庭科室、科学室、看護科室、7階に放送室、生徒会室、部活連室、会議室、8階は校長室、宿直室と表示されていた。
校舎の大きさからしたら、まだ他にも部屋はあるのだろうが、案内板には主なものを表示しているのだろう。
教室棟は、本棟と同じ8階建てで各階の教室数は4つで1階に1-6から1-9、2階に1-2から1-5、3階に2-8、2-9、1-1、1特進、4階に2-4から2-7、5階に2特進、2-1から2-3、6階に3-6から3-9、7階に3-2から3-5、8階に3-1、3特進となっており、各棟同じようだ。
まさに上に上がるだな。
俺は、教室棟1階の配置図を確認して3階へと階段を昇っていった。
教室棟の両端には、階段とエレベーターが設けられており、上層階の生徒はエレベーターで昇っているようだ。
エレベーターを使わないなら、自然と身体を鍛えれるなと思ったが、8階まで階段を使う奴はいないようだ。
3階についたので、廊下を歩いて行くと、手前の特進クラスには10名ほど集まっており、1-1からも数名の声が聞こえている。
1-1は6名の生徒が各々指定された席に座り、話しているようだ。
その内の3名は知っている気配で、俺が手前側のスライドドアを開けると、教室内の6人が一斉に視線を向けてきたので、知っている3名に向けて
「おはよう!美奈子、雪子、桜、まさか同じクラスになるとは思ってなかったよ」
と声をかけた。
6人は、神(しん)の姿を見て固まり、同時に顔を赤面させた。
「おおい!挨拶を無視されると哀しいぞ」
「え?お、おはよう」
「お、おはよう」
「ウハ!おはよう」
「桜?ウハってなんだ?ウハって!」
「まさか、3人とも俺の顔を忘れたか?」
「「「忘れる訳ない!」」」
「アハハ、そうか!相変わらず、揃っているな(´^ω^`)」
ズキューン!6人とも神(しん)の笑顔に撃ち抜かれた。
「ねえ、神(しん)くん?いつの間に身長が伸びたの?」
「そうだよ!」
「大きい・・・・・素敵❤」
「あ!そういえば、身長が伸びたんだった!通りで3人とも驚いていたのか。」
「「「そうだよ!」」」
「俺が悪かったな。無視だなんて言って」
「ううん、こちらこそ、ゴメンね。挨拶が遅れて・・」
「あ!私も」
「私も悪かった・・ゴメンなさい」
『何?あの綺麗な男子は?』
『えええ!カッコイイ!!』
『何?あのカッコイイ人は?あの3人と知り合いなの?同じ中学なの?』
神(しん)は、自分の身長が伸びて、雰囲気がガラッと変わっていることを忘れており、そのため、大晦日の動画で有名になった神(しん)に今まで会った人達が気付いていない結果になっていることにも気付いていなかった。
さすがに顔だけを見たら気付いても良いのだろうが、今の神(しん)は長身の美男子である。
気付けよと言われても、それは酷なことである。
神(しん)は、3人に自分の席のことを聞くと
雪子が
「机に学籍番号が書かれたシールが張られてるよ」
と答えてくれたので、探すと、教室の黒板を正面にして右側が廊下、左側がベランダとなっている教室で、縦7列横8列に並んだ机の左側後ろ角の机と分かり、机の上には、1台の携帯端末が置かれていた。
「この端末は何?」
神(しん)がつぶやいた疑問に今度は美奈子が答えた
「それの説明が黒板に書かれているよ。」
「へえ、そうか」
神(しん)は黒板に書かれていた端末の説明を読み始めた。
黒板には、
・机の携帯端末は、学生システム手帳です。
・端末のカード差し込み口に学生証カードを差し込み、認証させ、パスワードを設定してください。
・パスワードを他人に教えないこと。
・この学生システム手帳に、学校からの連絡やカリキュラムの日程、成績結果などが配信されますので、なくさないように。
・また、ロッカーや下駄箱などの認証は、今後、学生システム手帳で行いますので、学生証カードだけでは認証させませんので気をつけてください。
・学生システム手帳の外側のパネルは、太陽光発電のパネルですので、充電に活用してください。
・学生システム手帳の充電は、机の左上の差し込み口で、自宅では机内の充電器で行ってください。
・詳しい取り扱い説明は、学生システム手帳のヘルプアプリで確認するように
と書かれていた。
『やけにハイテクだな。制服の内ポケットの一つに、変な所に蓋付きボタン止めになっていたのは、これを入れるためか。なるほどね。改造する時に、何の意味がある内ポケットだと思っていたけど、残して正解だったな。』
神(しん)が、学生システム手帳を弄りだしたのを見て、美奈子達も扱いながら、お互いに教えあっていた。
お!どうやら、学生システム手帳を机に差し込むと、充電と共に出席も取られるみたいだ。
たぶん、代理返事防止のためだろうな。
差し込むと、さっそく今日の日程が送られてきたな。
神(しん)が、学生システム手帳を机に差し込むと、着信音と共に、画面上に自動的に日程が表示されていた。
神(しん)が学生システム手帳を弄っている間に教室内の生徒は40人ほど集まっていた。
あとから教室内に入ってきた新入生は、神(しん)に気付くと皆それぞれに違いはあるものの、驚くことになっていた。
中には、男装した女子ではないかと疑う生徒もおり、隣りの生徒に尋ねて、美奈子達情報として、ちゃんとした男子生徒であることを聞き、驚きを隠せない生徒がいた。
そのことに神(しん)は全く気付いておらず、学生システム手帳に夢中であった。
当然、周囲の注目には気付いていたが、悪意あるものでないため、スルーしていた。
9時30分になると、新入生全員の出席が取れたようで、手帳に一斉送信での大講堂へ移動する連絡が着信し、画面には教室から大講堂までのマップも表示された。
すると、校内放送で「新入生は大講堂に移動してください。」という放送があったので、俺も席を立ち、学生システム手帳を内ポケットにしまってから向かい始めたが、数人ほど、学生システム手帳を机に差し込んだままだったので、声をかけ持って行かせた。
俺のクラスは位置的に大講堂の入場が最後になり、しかも、声をかけていた俺が一番最後になっていた。
大講堂には、入場に合う音楽が流れていて、父兄が拍手で迎えていた。
大講堂の出入り口手前側には席は順に奥から座っていた。父兄がパイプ椅子に並んで座っており、周りを見ると2階観覧席にも父兄が座っていた。
さすが、マンモス校。父兄も多い。母ちゃんと巫女は、2階右サイド側観覧席にいるようだ。
そして、新入生は2列で中央の通路を通り、左右に別れる形で壇上側から順に奥へ座っていた。
在校生は新入生と父兄の間のようで、先頭の列は生徒会腕章を着けた生徒が座って、父兄と同じように拍手をしている。
最後に俺が入場すると、会場内が一斉にざわついた。
巫女が俺に手を振ってくる。
俺が笑顔で巫女に手を挙げて答えると、さらに会場内のざわめきが増したようだ。
俺は直ぐに姿勢を正して、優雅な足取りで中央通路を歩いて行き、最後に残された椅子に着席した。
『ん?麗奈先生の気配があるな。中学教員として入学式に参加だろうか?』
俺は、教員列の末席に麗奈先生がいることに気付いたが、中学教員も大変だなと思い意識を外した。
入学式が始まり、校長のあいさつになったところで、新入生代表のあいさつがあることを思い出して、何も考えていないことに気付き、校長の話そっちのけで考え始めた。
次に生徒会長のあいさつとなり、俺の横の中央通路を歩いて行く女子生徒がいた。
あれ?俺を受け付けしてくれた女子生徒だな。
生徒会長だったのか。
少し、霊力が多いようだが、神職科の生徒なのだろう。
ほう!喉に霊力を集めて声のとおりを良くしたか。
なかなか優秀なようだ。
「新入生のみなさん。入学おめでとうございます。私は、生徒会長の金剛院彩日花です。この晴れた良き日に入学式を迎えたことを嬉しく思います。これからみなさんは、新羅高校の生徒として、勉学、スポーツと精進されることと思います。我々生徒会及び在校生は、より良い学生生活に力を入れ、自己研鑽に努めて参りました。みなさんは、新たにその仲間となって互いに切磋琢磨していただきたいと願っています。これから一緒に頑張りましょう。これで生徒会長のあいさつとさせていただきます。」
生徒会長の金剛院彩日花が、中央通路を通り、俺の横を通過する。
この時、金剛院会長は俺に笑顔を向けてきた。
たぶん、新入生代表のあいさつを頑張ってということだろう。
しかし、俺は悪戯心が湧き上がって中二病状態になってしまった。
「新入生代表!普通科一般 藤原 神(しん)!」
「はい!」
俺は、席を立つと同時に制服に付加した威風堂々を発動させ、マントを翻して颯爽と中央通路を歩き始めた。
そして、俺は、霊力を使った金剛院会長への意趣返しとして、悪戯心で武勇神として顕現した。
俺の周囲には光る風として、神気が吹き廻り、両肩の龍の頭部を模した意匠からマントをなびかせている。
この時、会場内にいる神職の要人や神職の能力を有する教員や生徒は、神の顕現を感じ取り、一斉に片膝をつき頭を垂れた。
当然、校長や司会者の教頭、神職科で構成された生徒会の面々に生徒会長が頭を垂れており、少し遅れて、その事に驚いていたそのほかの者達全てが神の顕現を感じ取り頭を垂れた。
神(しん)は、壇上に上がり、神気が乗った澄んだ声で、頭を垂れている全ての人の心に響くように声をかける。
「皆、面を上げて欲しい」
神(しん)からの声掛けで全ての人が顔を上げ、壇上の神(しん)を見た。
頭を垂れていた全ての人は、混乱していた。
なぜ、自分は頭を下げているのだろう?と
なぜか頭を上げてはいけないと
そして、新入生代表の声に従い、顔を上げて後光が差す神(しん)の御姿を見たとき、畏怖を感じると共に、畏敬の念を抱いていた。
この御方に礼を失していけないと
神(しん)は、神として顕現しているのに、あくまでも新入生代表として、中二病全開で声を発した。
「我は、藤原神(しん)、神と書いて しん と読む。我から新入生代表として言葉を贈る。」
「勇往邁進し、白首窮経である」
「簡単だが、これを新入生代表の言葉とする」
神(しん)は、代表あいさつを終えると同時に、威風堂々を辞め、神気を抑えて壇上から降り始めた。
この時、神(しん)の姿は、普通の制服姿で、荘厳なマントが消えており、会場内の人は狐に摘ままれたような感じで呆けることになった。
神(しん)は、内心で悪戯が成功したと思い、笑顔で席へと戻って行き、着席前に金剛院会長へと笑顔を返した。
この会場内にいる全ての人は、神(しん)の神気に充てられたことで、神職の能力がなかった者には能力の開眼を、すでに有している者は能力の劇的な向上となり、より神事を行うことができるようになって日本の神々の信仰が深まることとなった。
そして、神(しん)の神気によって新羅学園内に設置された社の清浄化が為され、社に奉られた神の力も次第に戻りつつあった。
その後、入学式は恙無く無事に終わり、神(しん)達新入生は、一旦は教室に戻って行った。
これは、各科10名ずつ、補欠入学者がいるためで、本来なら入学を取りやめて、他の高校へ行く生徒のための調整枠であるのだが、公立高校である新羅高校の入学を取りやめて他の高校へ行く者は、ほとんどいないため、毎年この総数になっていた。
であれば、当然、3570名分のクラス分け表が提示されることになるため、かなりの大きさというか、長さになる。
神(しん)は、校門での受付を終えて、校舎横にある校庭に提示されているクラス分けを見に来たのだが、受付の女子生徒がすぐ分かると言った意味に納得するとともに、この中から探すのかと溜め息がでる思いであった。
しかし、クラス分け表の前に来ると、各科に分けて提示されており、各科の表の前には何か操作するためのディスプレイが置かれていた。
神(しん)は、そのディスプレイのところにいき、表示画面を見ると、タッチパネルに学生証カードを当てるように書かれていたので、指示に従って、学生証カードを当ててみた。
すると、画面に
普通科一般 1-1 藤原 神
と表示された。
「おお!さっそく、学生証カードを使って、クラス分け表を見るわけか。どおりで他の生徒が並んで名前を探してない訳か」
神(しん)の前にはクラス分けを見に行った新入生が多くいるはずなのに、その新入生が数名しかいなかった。
神(しん)は、あれだけ混雑していた受付後のクラス分けの前には、多くの新入生が並んで見ているだろうと思っていたので、学生証カードの利便性に感心していた。
そして、神(しん)は、クラス分けを見らずに教室へ向かった。
神(しん)は、クラス分けを見ないほうが教室へ行った時の楽しみが増すと思って見らずに教室へ向かったので、クラス分け表に書かれていた担任教師の名前も当然見らずに向かうことになり、余計に驚くことになるとは知る由もなかった。
神(しん)が向かった普通科一般1-1教室は、昇降口があるコの形をした本棟の校舎から扇状に7つ直線に建てられた校舎の左から数えて4番目の校舎の3階の手前から2番目にある。
この扇状に建てられた7つの校舎は、本棟から見て左から工業科、建築科、農業科、神職科、普通科、商業科、看護科となっており、それぞれの渡り廊下出入口にプレートで表示されていたため、神(しん)が自分の教室を探すのに苦労はしないで済んでいた。
ちなみに、クラスは各科1-1から1-9と1特進となっており、特進は入試では分けて受験になるが、前期後期の試験順位で入れ替えが行われ、各科上位50位が特進クラスとなる。
つまり、年2回ほどクラス替えが行われることになる。
ここで、各科の偏差値を示しておく、神職科75、看護科60、商業科55、普通科55、農業科50、建築科45、工業科45で、新羅高校としては平均値の偏差値55となっている。
よって、通年通りなら各学年の首席は神職科の1位がなっており、学籍番号はその年の入試順位が割り当てられるため、自分の入試順位が明らかになる仕組みになっていた。
だからといって、入学後に学籍番号が変わるのかというと、そうではなく、あくまで入試順位だけを割り当てられた番号であるため、卒業まで変わることはない。
しかし、転科は認められており、転科試験に合格すれば転科出来るようになっている。
ただ、神職科だけは、特殊学科であるため、神職を目指す者である必要があるので、面接も行われて合否が決まる。
では、なぜ神(しん)が首席であるのかというと、クラス分けのためと受けた試験の各教科2問の内1問は、神職科試験の各教科最終問で超難問の問題であり、毎年この問題を全ての教科で解答できた首席はいないほどである。
それを神(しん)は、全ての教科において満点であったため、首席となったのである。
この結果は、校長と教頭も驚くことになった。
まさか、クラス分けのための試験として、問題の解答の過程を見てクラスを決めようと採点していたのに、教師でも超難問の問題を完全解答されるとは思いもよらず、採点していた教頭が驚いたため、校長以下全ての教師が知ることになった。
そのため、神(しん)を神職科の生徒として入学させるべきとの意見が出たのであるが、そこは公立高校試験であるため、願書外の学科での合格通知は問題となるとして願書通り普通科一般で早急に合格通知を出したのである。
早急に出した理由は、校長と教頭以外の教師も、神(しん)はぜひ入学して貰うべき学生であり、すぐに通知すべきだ!と意見したためであった。
神(しん)は、昇降口で同じようにタッチパネルで下駄箱の位置を確認し、指定された下駄箱を開けようとしたら鍵がかかっていたので、学生証をかざすと「カチャ」と音とともに下駄箱の扉が開いたため、この学校ではこの学生証が全ての鍵になっていることを理解して『絶対にこの学生証カードを落とせねえ』と思っていた。
「おお!新品の上履きが入ってる。でも、これってスポーツシューズなんだな。指定靴なんだろうけど、踵の所に名前を書くとこあるんだな。色々用意されてそうだ。」
神(しん)は、上履きに履き替えて校舎内に入っていった。
どうやら、一階は全て昇降口と玄関口になっているみたいだな。
本棟の校舎は、コの形をしているのだが、コの内側中心に玄関口があり、その正面には階段があり、玄関口の両脇にはそれぞれ2機のエレベーターが設けられ、それ以外のところは、昇降口になっている。
玄関口の校舎反対側は、渡り廊下となっていて、そこから扇状に各科の教室棟、両サイドは食堂になっていた。
本棟は、8階建てで玄関口の案内板で、2階に事務総務室と売店、保健室、3階に職員室、4階には図書室、PC室、5階に音楽室、視聴覚室、6階には家庭科室、科学室、看護科室、7階に放送室、生徒会室、部活連室、会議室、8階は校長室、宿直室と表示されていた。
校舎の大きさからしたら、まだ他にも部屋はあるのだろうが、案内板には主なものを表示しているのだろう。
教室棟は、本棟と同じ8階建てで各階の教室数は4つで1階に1-6から1-9、2階に1-2から1-5、3階に2-8、2-9、1-1、1特進、4階に2-4から2-7、5階に2特進、2-1から2-3、6階に3-6から3-9、7階に3-2から3-5、8階に3-1、3特進となっており、各棟同じようだ。
まさに上に上がるだな。
俺は、教室棟1階の配置図を確認して3階へと階段を昇っていった。
教室棟の両端には、階段とエレベーターが設けられており、上層階の生徒はエレベーターで昇っているようだ。
エレベーターを使わないなら、自然と身体を鍛えれるなと思ったが、8階まで階段を使う奴はいないようだ。
3階についたので、廊下を歩いて行くと、手前の特進クラスには10名ほど集まっており、1-1からも数名の声が聞こえている。
1-1は6名の生徒が各々指定された席に座り、話しているようだ。
その内の3名は知っている気配で、俺が手前側のスライドドアを開けると、教室内の6人が一斉に視線を向けてきたので、知っている3名に向けて
「おはよう!美奈子、雪子、桜、まさか同じクラスになるとは思ってなかったよ」
と声をかけた。
6人は、神(しん)の姿を見て固まり、同時に顔を赤面させた。
「おおい!挨拶を無視されると哀しいぞ」
「え?お、おはよう」
「お、おはよう」
「ウハ!おはよう」
「桜?ウハってなんだ?ウハって!」
「まさか、3人とも俺の顔を忘れたか?」
「「「忘れる訳ない!」」」
「アハハ、そうか!相変わらず、揃っているな(´^ω^`)」
ズキューン!6人とも神(しん)の笑顔に撃ち抜かれた。
「ねえ、神(しん)くん?いつの間に身長が伸びたの?」
「そうだよ!」
「大きい・・・・・素敵❤」
「あ!そういえば、身長が伸びたんだった!通りで3人とも驚いていたのか。」
「「「そうだよ!」」」
「俺が悪かったな。無視だなんて言って」
「ううん、こちらこそ、ゴメンね。挨拶が遅れて・・」
「あ!私も」
「私も悪かった・・ゴメンなさい」
『何?あの綺麗な男子は?』
『えええ!カッコイイ!!』
『何?あのカッコイイ人は?あの3人と知り合いなの?同じ中学なの?』
神(しん)は、自分の身長が伸びて、雰囲気がガラッと変わっていることを忘れており、そのため、大晦日の動画で有名になった神(しん)に今まで会った人達が気付いていない結果になっていることにも気付いていなかった。
さすがに顔だけを見たら気付いても良いのだろうが、今の神(しん)は長身の美男子である。
気付けよと言われても、それは酷なことである。
神(しん)は、3人に自分の席のことを聞くと
雪子が
「机に学籍番号が書かれたシールが張られてるよ」
と答えてくれたので、探すと、教室の黒板を正面にして右側が廊下、左側がベランダとなっている教室で、縦7列横8列に並んだ机の左側後ろ角の机と分かり、机の上には、1台の携帯端末が置かれていた。
「この端末は何?」
神(しん)がつぶやいた疑問に今度は美奈子が答えた
「それの説明が黒板に書かれているよ。」
「へえ、そうか」
神(しん)は黒板に書かれていた端末の説明を読み始めた。
黒板には、
・机の携帯端末は、学生システム手帳です。
・端末のカード差し込み口に学生証カードを差し込み、認証させ、パスワードを設定してください。
・パスワードを他人に教えないこと。
・この学生システム手帳に、学校からの連絡やカリキュラムの日程、成績結果などが配信されますので、なくさないように。
・また、ロッカーや下駄箱などの認証は、今後、学生システム手帳で行いますので、学生証カードだけでは認証させませんので気をつけてください。
・学生システム手帳の外側のパネルは、太陽光発電のパネルですので、充電に活用してください。
・学生システム手帳の充電は、机の左上の差し込み口で、自宅では机内の充電器で行ってください。
・詳しい取り扱い説明は、学生システム手帳のヘルプアプリで確認するように
と書かれていた。
『やけにハイテクだな。制服の内ポケットの一つに、変な所に蓋付きボタン止めになっていたのは、これを入れるためか。なるほどね。改造する時に、何の意味がある内ポケットだと思っていたけど、残して正解だったな。』
神(しん)が、学生システム手帳を弄りだしたのを見て、美奈子達も扱いながら、お互いに教えあっていた。
お!どうやら、学生システム手帳を机に差し込むと、充電と共に出席も取られるみたいだ。
たぶん、代理返事防止のためだろうな。
差し込むと、さっそく今日の日程が送られてきたな。
神(しん)が、学生システム手帳を机に差し込むと、着信音と共に、画面上に自動的に日程が表示されていた。
神(しん)が学生システム手帳を弄っている間に教室内の生徒は40人ほど集まっていた。
あとから教室内に入ってきた新入生は、神(しん)に気付くと皆それぞれに違いはあるものの、驚くことになっていた。
中には、男装した女子ではないかと疑う生徒もおり、隣りの生徒に尋ねて、美奈子達情報として、ちゃんとした男子生徒であることを聞き、驚きを隠せない生徒がいた。
そのことに神(しん)は全く気付いておらず、学生システム手帳に夢中であった。
当然、周囲の注目には気付いていたが、悪意あるものでないため、スルーしていた。
9時30分になると、新入生全員の出席が取れたようで、手帳に一斉送信での大講堂へ移動する連絡が着信し、画面には教室から大講堂までのマップも表示された。
すると、校内放送で「新入生は大講堂に移動してください。」という放送があったので、俺も席を立ち、学生システム手帳を内ポケットにしまってから向かい始めたが、数人ほど、学生システム手帳を机に差し込んだままだったので、声をかけ持って行かせた。
俺のクラスは位置的に大講堂の入場が最後になり、しかも、声をかけていた俺が一番最後になっていた。
大講堂には、入場に合う音楽が流れていて、父兄が拍手で迎えていた。
大講堂の出入り口手前側には席は順に奥から座っていた。父兄がパイプ椅子に並んで座っており、周りを見ると2階観覧席にも父兄が座っていた。
さすが、マンモス校。父兄も多い。母ちゃんと巫女は、2階右サイド側観覧席にいるようだ。
そして、新入生は2列で中央の通路を通り、左右に別れる形で壇上側から順に奥へ座っていた。
在校生は新入生と父兄の間のようで、先頭の列は生徒会腕章を着けた生徒が座って、父兄と同じように拍手をしている。
最後に俺が入場すると、会場内が一斉にざわついた。
巫女が俺に手を振ってくる。
俺が笑顔で巫女に手を挙げて答えると、さらに会場内のざわめきが増したようだ。
俺は直ぐに姿勢を正して、優雅な足取りで中央通路を歩いて行き、最後に残された椅子に着席した。
『ん?麗奈先生の気配があるな。中学教員として入学式に参加だろうか?』
俺は、教員列の末席に麗奈先生がいることに気付いたが、中学教員も大変だなと思い意識を外した。
入学式が始まり、校長のあいさつになったところで、新入生代表のあいさつがあることを思い出して、何も考えていないことに気付き、校長の話そっちのけで考え始めた。
次に生徒会長のあいさつとなり、俺の横の中央通路を歩いて行く女子生徒がいた。
あれ?俺を受け付けしてくれた女子生徒だな。
生徒会長だったのか。
少し、霊力が多いようだが、神職科の生徒なのだろう。
ほう!喉に霊力を集めて声のとおりを良くしたか。
なかなか優秀なようだ。
「新入生のみなさん。入学おめでとうございます。私は、生徒会長の金剛院彩日花です。この晴れた良き日に入学式を迎えたことを嬉しく思います。これからみなさんは、新羅高校の生徒として、勉学、スポーツと精進されることと思います。我々生徒会及び在校生は、より良い学生生活に力を入れ、自己研鑽に努めて参りました。みなさんは、新たにその仲間となって互いに切磋琢磨していただきたいと願っています。これから一緒に頑張りましょう。これで生徒会長のあいさつとさせていただきます。」
生徒会長の金剛院彩日花が、中央通路を通り、俺の横を通過する。
この時、金剛院会長は俺に笑顔を向けてきた。
たぶん、新入生代表のあいさつを頑張ってということだろう。
しかし、俺は悪戯心が湧き上がって中二病状態になってしまった。
「新入生代表!普通科一般 藤原 神(しん)!」
「はい!」
俺は、席を立つと同時に制服に付加した威風堂々を発動させ、マントを翻して颯爽と中央通路を歩き始めた。
そして、俺は、霊力を使った金剛院会長への意趣返しとして、悪戯心で武勇神として顕現した。
俺の周囲には光る風として、神気が吹き廻り、両肩の龍の頭部を模した意匠からマントをなびかせている。
この時、会場内にいる神職の要人や神職の能力を有する教員や生徒は、神の顕現を感じ取り、一斉に片膝をつき頭を垂れた。
当然、校長や司会者の教頭、神職科で構成された生徒会の面々に生徒会長が頭を垂れており、少し遅れて、その事に驚いていたそのほかの者達全てが神の顕現を感じ取り頭を垂れた。
神(しん)は、壇上に上がり、神気が乗った澄んだ声で、頭を垂れている全ての人の心に響くように声をかける。
「皆、面を上げて欲しい」
神(しん)からの声掛けで全ての人が顔を上げ、壇上の神(しん)を見た。
頭を垂れていた全ての人は、混乱していた。
なぜ、自分は頭を下げているのだろう?と
なぜか頭を上げてはいけないと
そして、新入生代表の声に従い、顔を上げて後光が差す神(しん)の御姿を見たとき、畏怖を感じると共に、畏敬の念を抱いていた。
この御方に礼を失していけないと
神(しん)は、神として顕現しているのに、あくまでも新入生代表として、中二病全開で声を発した。
「我は、藤原神(しん)、神と書いて しん と読む。我から新入生代表として言葉を贈る。」
「勇往邁進し、白首窮経である」
「簡単だが、これを新入生代表の言葉とする」
神(しん)は、代表あいさつを終えると同時に、威風堂々を辞め、神気を抑えて壇上から降り始めた。
この時、神(しん)の姿は、普通の制服姿で、荘厳なマントが消えており、会場内の人は狐に摘ままれたような感じで呆けることになった。
神(しん)は、内心で悪戯が成功したと思い、笑顔で席へと戻って行き、着席前に金剛院会長へと笑顔を返した。
この会場内にいる全ての人は、神(しん)の神気に充てられたことで、神職の能力がなかった者には能力の開眼を、すでに有している者は能力の劇的な向上となり、より神事を行うことができるようになって日本の神々の信仰が深まることとなった。
そして、神(しん)の神気によって新羅学園内に設置された社の清浄化が為され、社に奉られた神の力も次第に戻りつつあった。
その後、入学式は恙無く無事に終わり、神(しん)達新入生は、一旦は教室に戻って行った。
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