異世界帰りの勇者さま

ノリ君

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3章 高校だよ! 勇者さま

14話 闇だよね? 勇者さま

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 生徒会長の金剛院は、驚愕していた。
 それは、向上した能力によって、神羅高校の敷地内が浄化されたことが理解ったからである。
 金剛院を含め、生徒会の面々は、神事を執り行うことから悪霊と戦うこともあって、神羅高校の敷地内浄化よって校内に入り込んでいた悪霊を殲滅していた。
 神羅高校の敷地内には、数ヶ所に社が設置され、結界が張られているが、この結界を超えて来る強い悪霊がいるため、その悪霊を排除するのも生徒会の仕事とされていた。
 当然、生徒会だけでなく、教師の内で神事を行える能力を持つ者も悪霊退治を行う。
 この教師は、だいたいが神羅高校及び、神羅大学神職科の卒業生である。
 それは、神羅高校の校長が筆頭となって組織された討伐部隊【神羅万象対策機構】であった。
 神羅高校は公立の高校であるので、神羅万象対策機構も国の機関であり、神羅高校は、早期に能力者を発見し育成する学校でもあったので、学校上位の能力者で構成された生徒会は、神羅万象対策機構の下部組織であり、生徒会長は学徒隊の隊長であった。
 なので、金剛院は神羅高校内に侵入出来るだけ強い悪霊が殲滅されたことに驚愕していた。
 
 ここで、生徒会の構成を説明すると、生徒会長(学徒隊隊長)1名、副会長2名(第1部隊長、第2部隊長)、書記(作戦参謀)1名、会計(学徒隊隊長秘書)1名、生徒会員(学徒隊員)46名である。
 これは、神職科特進のクラスが生徒会であり、その特進クラスに入ることは、生徒会入りするのと同義で、神羅高校は生徒会長等生徒会の面々を公募することはなく、3年神職科特進クラスを生徒会とするとして、校則で決められていた。
 神羅万象対策機構は、隠密機関であり、一般私人は知らされていない機関である。
 よって、学徒隊でもある生徒会に一般人を入れることはできず、必ず、神職能力者であることが前提であった。
 神職科の試験は、学力試験だけでなく、能力試験もあり、その総合によって神職科内順位が出され、その総合トップが生徒会長である。
 能力試験は加点上限無しであるため、強い能力者が当然として上位になる。
 ちなみに、学内順位は一般教科学力試験のみで全ての科を含め出されるため、順位は、1位から3570位まである。
 各科内順位は、一般科以外は各科別試験があるため、別に出される。


 金剛院は、入学式が終わったあと、毎年恒例の校内浄化作戦を実施することを隊員に指示していた。
 毎年恒例になっていたのは、入学式などの行事を行なうと多数訪れる生徒の父兄や一般人に紛れて悪霊が侵入するためで、また、中には取り憑かれている者もいるので、毎年、浄化除霊を行っていたのである。
 
 金剛院は、今後の指示に迷っていた。
「校内の浄化は全て終わっていて、結界内に神気が満ちてるなんて、今まで無かったのに」

 「会長!今後の予定ですが、予定どおり副会長以下全ての生徒会員に例の作戦実施を行いますが良いですか?」

「え?橘会計は気付いていないの?」

 「何をですか?会長」

「ええ?校内の浄化は全て終わっていることよ?」

 「え?まだ、浄化作戦は実施していませんが?」

「全て終わっているわよ。校内に悪霊の類いはいないことを感じているから」

 「会長、校内に悪霊が侵入していないってことですか?」

「いいえ。侵入していた悪霊や取り憑いていた悪霊全てが浄化され消えているの」

 「は?すでに浄化され消えているということですか?」

「ええ、そうよ」

 「いつ浄化されたのですか?」

「私ではないわよ。まだ、私一人では無理だもの」

 「ですよね?では、機構本隊が浄化されたのですか?」 

「そうじゃないわ。入学式の途中でアナタは神気を感じ取れた?」

 「はい。あの新入生代表が壇上に立つ際に」

「やっぱり橘会計も感じ取れたのね。彼が浄化してしまったの。入学式会場内にいた父兄に取り憑いていた悪霊も、校内の侵入していた悪霊も全て」

 「は?悪霊浄化は会長も言われたとおり、生徒会トップの会長でも一人では無理で、機構本隊の隊長クラスでやっとなんですよ?それが、彼一人で広域浄化のうえ、取り憑かれている人の悪霊除霊も行ったと言われるんですか?」

「あり得ないと思うけど、事実、校内の悪霊は感じ取れないし、父兄に取り憑いていた悪霊も消えてるわ」

 「なんですか、その規格外は?まだ、感じ取れない私をおちょくっているんですか会長は?」
 「というか、会長?」
「なに?」
 「校内の状況を感じ取れているということは、能力が上がったのですか?」

「そうなのよ。なぜか向上してるの。橘会計も向上している感じがするのだけど?」
 「私ではまだ感じ取れませんよ?感応系は弱いので」

「あ!?近くには悪霊がいないから感じ取れるわけないわね」
 「では、悪霊がいたら感じ取れるだけ私も能力が向上していると言うのですか?」
「ええ、そう感じるわね。それは、アナタだけじゃあなく、能力者全てに能力向上が認められると思うわよ。」
 「どうしてそんなことになったのでしょうか?」
「わからないわ。とりあえず、一度、生徒会室に全員集合して、打ち合わせるわよ。」
 「分かりました。では、そのとおりに」

 金剛院が今後の行動を決める上で一度、生徒会室に集合する旨を指示したことを会計の橘は各生徒会員に伝えに向かった。

 神(しん)が拡げた神気は、神気で満たされた神羅高校結界内を悪霊が侵入できない神域に変えたが、校外はそのまま拡散し、悪霊を殲滅しながら弱まっていった。
 そして、神羅高校を中心にして、およそ100キロ圏内は悪霊が滅せられ、空白地帯となった。
 そのため、その空白地帯を得ようと悪霊達が集まっていた。
 その中、悪霊を取り込んで大きくなっていく闇があり、それは黒雲となって空白地帯を埋める勢いで迫っていた。
 
 その頃、神(しん)は、入学式後の教室に戻り、教師が来るのを新クラスメートと共に待っていた。
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