セカンドパートナー*夫婦交換*

フジキフジコ

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遊佐和也

【2】完璧な夜

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4人でダイニングテーブルにつき、グリルで焼いた丸焼きのチキンや野菜、チーズや生ハムをつまみながらワインを飲んだ。

話題は江梨子が次々に提供し、途切れることがない。
思い出話のほかに世間話や時事ネタ、適度に下品な下ネタが混じるが、誰も不快には感じない。

笑い声の堪えない大人の会話で、大人の時間だった。
美沙都さんも、わたしと二人のときには見せない顔で、笑っていた。

わたしと高梨さんも、共通の話題、金融業界について意見を交換し、江梨子と美紗都さんは主婦目線で話に加わった。
わたしたちはまるで昔からよく知っている、気心の知れた仲の良いふた組の夫婦のようだった。

いつもよりワインが美味しく感じた。
心が解放され、なにか自由になったような気分がした。
それは不思議な夜だった。

「そろそろ、寝ましょう」
江梨子がそう言って、唐突に宴が終わる。
多分、誰もが寂しいと感じていた。

「あなたと美沙都は主寝室を使って。わたしと弘樹はゲストルームで寝るわ。美沙都、先にバスルーム使っていいわよ」

寝る、というのが睡眠の意味には聞こえない。
もちろん、江梨子は眠るつもりなどないのだろう。
高梨さんの手を引いて、ゲストルームに入っていく。
美沙都さんはその後ろ姿を目でずっと、追いかけていた。

「美沙都さん、本当にいいんですか?」
声をかけると、はっとして、美沙都さんは立ち上がった。
「あの、わたし、先にお風呂入ってきますね」
逃げるようにいなくなった。

美沙都さんの後で、わたしも風呂に入った。
美沙都さんの姿はリビングになく、奥の主寝室にいた。
家から持ってきたのか、シンプルなパジャマを着ている。
所在なげに、キングサイズのベッドの端に、腰掛けていた。

わたしは風呂上りで、バスローブ姿だった。
いつもと同じ感覚でそうしたのだが、美沙都さんは、わたしを見て怯えたような顔をした。

「美沙都さん。何もしないので、隣に座ってもいいですか」
美沙都さんは、黙って頷いた。

「どうしてこの旅行を、了承したんですか」
「わたしは…どうして、でしょう。わかりません。和也さんは、江梨子のこと、怒ってないんですか」
わたしは返事を躊躇った。
どう説明していいのか、戸惑ったのだ。

「江梨子からは、すべて聞いてました。江梨子はわたしに隠し事はしないんです。妻はとても誠実なんですよ」
「誠実?」
美沙都さんは意外な言葉を聞いた、という顔で、わたしを見る。

「隠し事をしているのは、わたしのほうです。美沙都さん、わたしは江梨子と別れるつもりです」




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