HEAVENーヘヴンー

フジキフジコ

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【第一章】シャングリラ

2.同性婚

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不破の結婚報道が日本を騒然とさせたのは、不破がアメリカに渡って3ケ月もしない時期だった。
共演していたアメリカ人女優とロケ先のニュージーランドで電撃結婚した、というニュースは当人がいないだけに、あたかも真実のように報道された。
ロケ先は極秘で本人に事実確認を取ることが出来ず、事務所でさえ結婚の事実を認めるコメントを出してしまった。

真理は予想もしていなかった不破の裏切りに傷つき、衝動的に手首を切って自殺を図った。
けれどやはりROSYのメンバーである有沢馨に助けられその一命をとり止めた。
しかし真理の自殺未遂は公になり、それがきっかけでROSYは解散せざるを得なかった。
恋人と、生きがいの両方を失った真理は心を閉ざした。
そんな真理を献身的に看病し、世間から守りながら支えたのが馨だった。

やがて二人は自然に愛し合うようになり、真理は芸能界を引退し、家族の反対を押し切って、馨と暮らしはじめた。
暮らし始めてしばらくして、二人の関係が週刊誌に同性愛疑惑として取り上げられた。
世間は驚いたが、馨は関係を隠すことなく、堂々とカミングアウトした。

「オレは水波真理を愛しています。この気持ちを誇りに思う。誰にも、後ろめたいとは思ってません」
馨の会見をテレビのワイドショーで見て、真理は泣いた。
自分のために、馨に大きな犠牲を強いてしまったことに。
けれど同時に馨の気持ちが嬉しかった。
馨と、幸せになれると思った。

元人気アイドルグループ内で起きた同性愛発覚事件はしばらくマスコミを賑わせたが、馨の潔さに対し世間は概ね好意的で、仕事への悪影響はほとんどないと言えた。
以前から馨は舞台の仕事が一番性に合っていると言っていたとおり、ROSY解散後は、主に舞台を中心に質のいい仕事をしている。

ようやく身辺も落ち着き、平凡だが幸福で穏やかな生活が出来るようになった頃、不破の帰国のニュースを知った。

皮肉なことに、同時に不破がアメリカ人女優と結婚したというのが誤報だったことも明らかになった。
けれどいまさらそれを知ってどうなるというのだろう。
自分は馨と一緒に生きていくことを選んだ。

同性同士の結婚は認められていないから、せめてもと、馨は養子縁組の手続きまでした。
戸籍上、水波真理はもういない。
自分は、有沢真理に変わった。
有沢真理の心と身体は、有沢馨のものだ。

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