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【第三章】HEAVEN'S DOOR
エピローグ
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真理の葬儀の日、爽やかな五月の青空が広がった、海の見える丘の上の墓地で、ROSYのメンバーは久し振りに顔を揃えた。
「馨君」
泣き腫らした目の大輔に声をかけられて、馨は慰めるように微笑んで見せる。
「久し振りだね」
顔を合わせると、また大輔の目尻には新しい涙が浮かんだ。
「大輔…」
「馨君…オレ、オレね、最後に真理君に会ったとき、酷いこと、言ったんだ」
「酷いこと?」
「真理君は、幸せになっちゃいけないって」
あのときは杏理を傷つけた真理を許せないと思った。
けれど、大輔は知らなかったのだ。
人は時間によって癒される、ということを。
今は杏理も立ち直って、笑って日々を暮らしてる。
そんな杏理と一緒にいて自分も幸せだ。
そろそろみんなに発表して、籍もちゃんと入れようかと話しをしたのはつい最近だった。
「大輔、もう過ぎたことだよ」
「でも…」
自分がそう言ったから真理は幸せになれなかったような気がして、訃報を聞いてからずっと重すぎる後悔に押しつぶされそうだった。
「真理君、オレのこと、きっと恨んでたと思う」
言葉にしたら、尽きることを知らない涙が頬を伝う。
本当は真理のことを、とても好きだったのに。
どうして優しくなれなかったのだろう。
今の大輔には、わかる。
今はこんなに悲しくて涙が止まらなくても、時間が心の傷を癒してまた笑えるようになること。
真理のことを忘れて、笑ったり怒ったりできる日はいつか来る。
人は残酷で冷たい生き物だ。
「大輔、真理は誰のことも恨んでなんかなかったよ」
そう真理は自分の運命さえ恨んではいなかった。
ただ精一杯、一途な愛に生きただけだ。
「恨んでも嫌ってもいいから、生きていて欲しかった」
会えたら、謝ることも出来たかもしれない。
そしてまた昔みたいな関係を築きたかった。
時間がかかっても、いつか6人で笑い合える日が来るかもしれないと、夢物語にでも願うことは出来たのだ。
生きてさえいてくれれば。
「オレ、自分のこと、許せないよ、馨君…」
「大輔…」
最期まで真理を見送ることの出来た自分には、大輔のように後悔がないだけ、ましかもしれない。
大輔、と真理によく似た口調で名前を呼んで、馨は自分より背の高い大輔の頭に触れた。
「真理はね、病室のベッドで大輔のことを心配してたよ。歩のことも、暁のこともね。彼は死の間際には、またオレたちの、ROSYの水波真理に戻ったみたいだった」
はっとして、大輔は馨を見つめる。
「馨君のことも、不破君のことも?」
「そうだね」
馨は苦笑して頷いた。
自分が生き方を見失っていることを、大輔に指摘された気がした。
ふと気になって視線で不破を探すと、一人離れたところで泣くことも出来ず、放心したように無表情で立っていた。
彼はこれからどう生きていくのだろう。
失くしたものがあまりに大きすぎるし、空っぽの人生をやっていくにはまだ若過ぎる。
そう思いながらその姿を見ていたら、不意に大粒の涙が地面に落ちた。
「馨君、馨君!泣かないでよ」
突然、声もなく泣き出した馨に驚いて、大輔は馨を抱きしめる。
「大丈夫…心配しないで。オレが、許さない。ちゃんと、見ててやるから」
空に向かって馨は言った。
馨の視線の先を追って、大輔も空を見上げる。
泣きたくなるほど青い空に赤く染まりはじめた雲が音もなく流れていた。
いつかどこかで見たことのあるような、懐かしい夕闇がはじまっていた。
FIN
「馨君」
泣き腫らした目の大輔に声をかけられて、馨は慰めるように微笑んで見せる。
「久し振りだね」
顔を合わせると、また大輔の目尻には新しい涙が浮かんだ。
「大輔…」
「馨君…オレ、オレね、最後に真理君に会ったとき、酷いこと、言ったんだ」
「酷いこと?」
「真理君は、幸せになっちゃいけないって」
あのときは杏理を傷つけた真理を許せないと思った。
けれど、大輔は知らなかったのだ。
人は時間によって癒される、ということを。
今は杏理も立ち直って、笑って日々を暮らしてる。
そんな杏理と一緒にいて自分も幸せだ。
そろそろみんなに発表して、籍もちゃんと入れようかと話しをしたのはつい最近だった。
「大輔、もう過ぎたことだよ」
「でも…」
自分がそう言ったから真理は幸せになれなかったような気がして、訃報を聞いてからずっと重すぎる後悔に押しつぶされそうだった。
「真理君、オレのこと、きっと恨んでたと思う」
言葉にしたら、尽きることを知らない涙が頬を伝う。
本当は真理のことを、とても好きだったのに。
どうして優しくなれなかったのだろう。
今の大輔には、わかる。
今はこんなに悲しくて涙が止まらなくても、時間が心の傷を癒してまた笑えるようになること。
真理のことを忘れて、笑ったり怒ったりできる日はいつか来る。
人は残酷で冷たい生き物だ。
「大輔、真理は誰のことも恨んでなんかなかったよ」
そう真理は自分の運命さえ恨んではいなかった。
ただ精一杯、一途な愛に生きただけだ。
「恨んでも嫌ってもいいから、生きていて欲しかった」
会えたら、謝ることも出来たかもしれない。
そしてまた昔みたいな関係を築きたかった。
時間がかかっても、いつか6人で笑い合える日が来るかもしれないと、夢物語にでも願うことは出来たのだ。
生きてさえいてくれれば。
「オレ、自分のこと、許せないよ、馨君…」
「大輔…」
最期まで真理を見送ることの出来た自分には、大輔のように後悔がないだけ、ましかもしれない。
大輔、と真理によく似た口調で名前を呼んで、馨は自分より背の高い大輔の頭に触れた。
「真理はね、病室のベッドで大輔のことを心配してたよ。歩のことも、暁のこともね。彼は死の間際には、またオレたちの、ROSYの水波真理に戻ったみたいだった」
はっとして、大輔は馨を見つめる。
「馨君のことも、不破君のことも?」
「そうだね」
馨は苦笑して頷いた。
自分が生き方を見失っていることを、大輔に指摘された気がした。
ふと気になって視線で不破を探すと、一人離れたところで泣くことも出来ず、放心したように無表情で立っていた。
彼はこれからどう生きていくのだろう。
失くしたものがあまりに大きすぎるし、空っぽの人生をやっていくにはまだ若過ぎる。
そう思いながらその姿を見ていたら、不意に大粒の涙が地面に落ちた。
「馨君、馨君!泣かないでよ」
突然、声もなく泣き出した馨に驚いて、大輔は馨を抱きしめる。
「大丈夫…心配しないで。オレが、許さない。ちゃんと、見ててやるから」
空に向かって馨は言った。
馨の視線の先を追って、大輔も空を見上げる。
泣きたくなるほど青い空に赤く染まりはじめた雲が音もなく流れていた。
いつかどこかで見たことのあるような、懐かしい夕闇がはじまっていた。
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