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【番外編】楽園の果実(3P編)
【1】
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「いってらっしゃい」
玄関まで送りに来た馨に言われ、真理は靴を履きながら「月曜日には戻るから」と言った。
声にはほんの少し、馨に対する後ろめたさがある。
「真理」
顔を見たくないのに名前を呼ばれて、仕方なく真理は馨の顔を見上げる。
「楽しんでおいで」
馨の手が伸びて、頬に触れた。
優しい眼差しで見つめられて心が苦しくなる。
「他の男に会いに行くのに、なんとも思わないのか」
心の動揺を隠すために、真理はわざと拗ねてそう言った。
馨は返事に困ったように眉を寄せ、真理を引き寄せて緩く抱きしめる。
「もちろん、本当は行かせたくないよ。だけど、話あって決めたことでしょう。オレのことは気にしないで、たくさん愛してもらっておいで」
「馨…」
軽く唇を重ねたあと馨は真理を解放した。
恋人だった不破尊が米国での仕事を終え日本に帰国したとき、些細な誤解から、有沢馨と養子縁組をして一緒に暮らしていた水波真理は、馨か、不破かを選択しなければならなかった。
3人は何度も会って話し合ったが、話し合いに決着はつかなかった。
馨も不破も真理と別れるつもりはなく、真理は二人のうちどちらか一人を選ぶことが出来なかった。
そして導き出した結論が、不破と馨の二人で真理を共通する、というものだった。
真理はそれまで通り世間的には有沢馨との関係を公表し、馨と暮らしながら不破の都合のつくときに不破の部屋に通うという二重生活をしている。
公認の上での関係なので、馨にも不破にも後ろめたく思う必要はなかったが、そうかと言って簡単に割り切れる類のことでもなかった。
***
マンションのドアを開けるなり、不破に抱きしめられる。
「ちょっと、不破、苦しい!」
抗議して真理は不破の身体を離した。
「中に入れろって。外、寒かった。お腹も空いたし…なんか食うものある?」
「食うもんって真理、色気なさすぎ。オレに会いたくなかったのか」
不破を押し避けて通い慣れた部屋の中に入って行く真理の後ろ姿にそんな不平を言う。
「時間はあるんだから、なにも玄関先で抱きついてくることないだろ。あ、なにこれ。うまそう」
まっすぐにキッチンに向かい、コンロの上の圧力鍋の蓋をとって中を覗き込んだ真理が言う。
「牛タンのシチューだよ。うまいよ、昨日から煮込んでるから。ワインも真理の好きなボルドーのシャトーマルゴー買ってあるし」
真理の背後に立ち、後ろから腕を回してわざと耳元で答える。
「時間、そんなにないよ。月曜までだろ、オレのとこにいられるの。たったの週末3日間じゃん。馨はずりぃよな。おまえと一緒に暮らして」
「仕方ないだろ。馨とは籍を入れてるんだ。おまえは世間で言う愛人、っていうやつ」
「そうだよ、どうせオレは愛人だよ。ただし、ダンナ公認の、ね」
後ろから身体を緩く拘束している不破の手が、服の上から身体を撫でる。
「…不破、先に食事」
「だめ…先におまえを食べる」
「やだってば……」
強引に真理の顔を自分の方に向け、口づける。
さっきまで外気に触れていた冷たい唇は不破の舌でくすぐられてすぐに熱く熟れた。
「…あっ…た、ける…」
開くことを催促されるように上唇を舌で舐められ、吐息と共にそこを解放した。
隙間から不破の舌が入ると、それまで軽い抵抗を見せていた真理の身体から強ばりがとけ、体重を不破に預けて、身を任せるように不破に口内の蹂躙を許す。
「…あ、ん…」
キスの合間の呼吸はすっかり濡れている。
軽く閉じた瞼が痙攣していた。
「どうする?真理。オレはここでしてもいいけど」
濃厚な口づけだけですっかり身体に火をつけられた真理は不破を睨んで「ベッド」と言った。
玄関まで送りに来た馨に言われ、真理は靴を履きながら「月曜日には戻るから」と言った。
声にはほんの少し、馨に対する後ろめたさがある。
「真理」
顔を見たくないのに名前を呼ばれて、仕方なく真理は馨の顔を見上げる。
「楽しんでおいで」
馨の手が伸びて、頬に触れた。
優しい眼差しで見つめられて心が苦しくなる。
「他の男に会いに行くのに、なんとも思わないのか」
心の動揺を隠すために、真理はわざと拗ねてそう言った。
馨は返事に困ったように眉を寄せ、真理を引き寄せて緩く抱きしめる。
「もちろん、本当は行かせたくないよ。だけど、話あって決めたことでしょう。オレのことは気にしないで、たくさん愛してもらっておいで」
「馨…」
軽く唇を重ねたあと馨は真理を解放した。
恋人だった不破尊が米国での仕事を終え日本に帰国したとき、些細な誤解から、有沢馨と養子縁組をして一緒に暮らしていた水波真理は、馨か、不破かを選択しなければならなかった。
3人は何度も会って話し合ったが、話し合いに決着はつかなかった。
馨も不破も真理と別れるつもりはなく、真理は二人のうちどちらか一人を選ぶことが出来なかった。
そして導き出した結論が、不破と馨の二人で真理を共通する、というものだった。
真理はそれまで通り世間的には有沢馨との関係を公表し、馨と暮らしながら不破の都合のつくときに不破の部屋に通うという二重生活をしている。
公認の上での関係なので、馨にも不破にも後ろめたく思う必要はなかったが、そうかと言って簡単に割り切れる類のことでもなかった。
***
マンションのドアを開けるなり、不破に抱きしめられる。
「ちょっと、不破、苦しい!」
抗議して真理は不破の身体を離した。
「中に入れろって。外、寒かった。お腹も空いたし…なんか食うものある?」
「食うもんって真理、色気なさすぎ。オレに会いたくなかったのか」
不破を押し避けて通い慣れた部屋の中に入って行く真理の後ろ姿にそんな不平を言う。
「時間はあるんだから、なにも玄関先で抱きついてくることないだろ。あ、なにこれ。うまそう」
まっすぐにキッチンに向かい、コンロの上の圧力鍋の蓋をとって中を覗き込んだ真理が言う。
「牛タンのシチューだよ。うまいよ、昨日から煮込んでるから。ワインも真理の好きなボルドーのシャトーマルゴー買ってあるし」
真理の背後に立ち、後ろから腕を回してわざと耳元で答える。
「時間、そんなにないよ。月曜までだろ、オレのとこにいられるの。たったの週末3日間じゃん。馨はずりぃよな。おまえと一緒に暮らして」
「仕方ないだろ。馨とは籍を入れてるんだ。おまえは世間で言う愛人、っていうやつ」
「そうだよ、どうせオレは愛人だよ。ただし、ダンナ公認の、ね」
後ろから身体を緩く拘束している不破の手が、服の上から身体を撫でる。
「…不破、先に食事」
「だめ…先におまえを食べる」
「やだってば……」
強引に真理の顔を自分の方に向け、口づける。
さっきまで外気に触れていた冷たい唇は不破の舌でくすぐられてすぐに熱く熟れた。
「…あっ…た、ける…」
開くことを催促されるように上唇を舌で舐められ、吐息と共にそこを解放した。
隙間から不破の舌が入ると、それまで軽い抵抗を見せていた真理の身体から強ばりがとけ、体重を不破に預けて、身を任せるように不破に口内の蹂躙を許す。
「…あ、ん…」
キスの合間の呼吸はすっかり濡れている。
軽く閉じた瞼が痙攣していた。
「どうする?真理。オレはここでしてもいいけど」
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