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「あの日は、エルドノアが私の彼を殺そうとしていたわ。私は当然、彼を守ろうとしたの。それで、エルドノアに必死に懇願したのよ。『彼を愛してるの。殺さないで』って。そしたらエルドノアは何て言ったと思う?」
 私の髪を撫でるシトレディスの手が止まった。
「『愛? 馬鹿馬鹿しい。そんなもののために世界の法則を乱さないでくれないか? 人は時が経てば死ぬんだ。そいつがそんなに好きなら死んで生まれ変わったそいつを探してまた愛せばいいだろう』って」

 顔にぽたぽたと水滴が落ちてきた。シトレディスを見たら、目から涙が溢れていた。
「エルドノアったら、酷いのよ。死んで生まれ変わったとしても、それは同じ人間じゃないの。肉体は勿論別物よ。今までとは全く違う器に入ることになるから。それはいいの。私は彼がどんな見た目であっても愛せる自信があるから。問題は魂よ。死んだ人間の魂は変質するの。人生で積み重ねてきた良いものも悪いものも削ぎ落とされて。他の誰かの魂と混ざり合って新しい魂になる」
 そこまで言ってシトレディスは涙を拭った。
「ただの人間が私を慰めるために言った言葉なら許せた。でもエルドノアはだめ。彼は生命の神よ。そういう事情を一番理解している存在なの。それなのに、私の愛した彼とは違う、別物をまた愛せばいいなんて。・・・・・・酷すぎるわ。だから、私は彼を異次元に閉じ込めてやったの」
 シトレディスはしゃくりあげると、もう一度涙を拭った。

「ごめんね。話を戻すわ。今回、エルドノアを天界に戻した"個人的な嫌がらせ"っていうのは、エルドノアからティアちゃんを奪うことなの」
 そう言うなり、シトレディスは私の胸を揉みしだいた。
「ふぁっ」
「うんうん、かわいい声で鳴いてね。エルドノアは天界であなたのことを見てるから」
「エルドノア様、が」
「うん。信徒の声は案外よく聞こえるものよ? それにあなたは眷属なんでしょう? 隷属関係にあるならあなたの置かれている状況が手に取るように分かるはずよ」
「そんなっ、いやっ」
 シトレディスは胸を揉むのをやめてくれない。身体をよじろうにもなぜか力が入らなかった。
「ひゃうっ、あっ、だめっ」
 乳首を弄られて一際大きな声が漏れる。
「あっ、ああっ、んんっ」
 口からよだれが垂れてきた。
「あら、そんなに気持ちいいの?」

 シトレディスはようやく手を止めた。指で私の顎についたよだれを拭うと、乳首に塗り付けてきた。
「ひゃっ」
「お話の途中だから、これくらいにしましょうね」
「んあっ、はあっ」
「ティアちゃん、お返事は?」
 急に胸を強く掴まれた。指が食い込むほどの力で掴まれて痛くてたまらない。
「お返事!」
「はいっ」
「いい子ね」
 シトレディスはくすくすと笑うと胸を掴むのをやめた。でも、胸をに手を当てたままで、また何をされるのか分かったものじゃない。

「何の話をしようと思ったのかしら」
 そう言いいながら、シトレディスは胸を撫でた。やっぱり、また何かをするつもりだ。
 今度は優しく撫でて、撫でて、胸の先を指先で弾いた。
「んあっ」
「気が散るから声を出さないで頂戴」
 私は唇を噛んだ。シトレディスは笑いながら胸の先を弾き続ける。声が出そうになって、私は手で口を抑えた。
 シトレディスは見世物を見るような目で私を見ている。本当は、次に話す内容を忘れてなんかいないのだろう。

「ああ、やっと思い出したわ」
 シトレディスは大袈裟な口調で言うと、私の胸から手を離した。
「あら、目に涙を溜めちゃって。長く待たせてごめんね」
 口では謝っているけど、その顔はにやけていて、全く悪びれた様子はない。彼女は指先で私の目尻に溜まった涙を拭った。

「次は、ティアちゃんがエルドノアを喚び出した時の話をしてあげる」
 シトレディスはそう言うと話を始めた。
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