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武器1
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ティナはベルトルドから貰った魔法鞄をトールから受け取ると、中の装備の確認をする。
この鞄は盗難防止の魔法が掛かっており、魔力を登録した人間にしか中の物の出し入れが出来なくなっているのだ。
ベルトルドが予めティナの魔力を登録してくれていたので、ティナは難なく鞄を開くことが出来た。
ティナが魔法鞄の中に手を入れると、頭の中にリストが浮かび上がる。ティナは予想以上の量の物資に驚きの声を上げる。
「え……っ?! こ、これは……?!」
「どうしたの? 何か変なものでも入ってた?」
トールに声を掛けられたティナは我に返ると、その鞄の中身について説明する。
「えっとね、簡単に言うと、この中に入ってるものだけで三年間は暮らせそうなんだ。保存食も大量に入っているし……まったく、どれだけ過保護なんだか……」
ティナが呆れたように呟くが、その顔はとても嬉しそうだ。きっとベルトルドのことを思い出して、感謝しているのだろう。
ベルトルドのお陰でトールも快適な旅が出来るだろう。それに関してはトールもベルトルドに深く感謝する。
だけど、折角二人っきりなのに、こうして時々ベルトルドの影がチラつくのを、トールは少し不満に思う。
「……ギルド長には感謝しないとね。それで、武器は何が入ってる?」
「あ! そうだったね、ごめんごめん! えっと……どうやら剣みたいだよ」
ティナが魔法鞄からズルっと長い何かを取り出した。しかし普通の剣より更に長いので、一瞬槍と勘違いしそうになる。
「それは……ツヴァイハンダー?」
剣だと思っていた物は、ギルドでティナが言っていた長剣、ツヴァイハンダーだった。
鋼で作られたツヴァイハンダーの剣身は銀色なのだが、ティナが持つツヴァイハンダーは黒曜石で作られたかのように黒く輝いている。
「それ、何だかすごくレベルが高い武器みたいだけど……って、ティナ、どうしたの?」
魔法鞄からツヴァイハンダーを取り出したティナが、ずっと無言なのに気付いたトールが声を掛ける。
「すごい……これ、お父さんが使っていた剣だ……」
「え? ティナの?」
「うん、ベルトルドさんが持っていてくれてたなんて知らなかったけど、なるほどだね。確かにお父さんの剣はピッタリかも!」
ティナがうんうんと頷いて一人で何かを納得していると思ったら、再び魔法鞄に手を入れた。
トールが不思議そうに見ていると、ティナが革で出来た鞘を取り出して見せる。
「ほらこれ、そのツヴァイハンダーの鞘! 確か、魔力で反応して刀身がすぐ抜けるようになってるの!」
背中に背負うような長身の剣は、鞘から抜く動作が多いため、奇襲を受けた場合不利になることがある。しかし、ティナの父親が使っていたらしい鞘は魔道具の一種で、魔力を流すと固定具が外れ、剣の抜き差しがとても簡単な仕様になっているという。
「ほらほら! これ付けてみて!」
とても楽しそうなティナに気圧されたトールは、されるがままにツヴァイハンダーと鞘を装着した。
この鞄は盗難防止の魔法が掛かっており、魔力を登録した人間にしか中の物の出し入れが出来なくなっているのだ。
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「え……っ?! こ、これは……?!」
「どうしたの? 何か変なものでも入ってた?」
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「えっとね、簡単に言うと、この中に入ってるものだけで三年間は暮らせそうなんだ。保存食も大量に入っているし……まったく、どれだけ過保護なんだか……」
ティナが呆れたように呟くが、その顔はとても嬉しそうだ。きっとベルトルドのことを思い出して、感謝しているのだろう。
ベルトルドのお陰でトールも快適な旅が出来るだろう。それに関してはトールもベルトルドに深く感謝する。
だけど、折角二人っきりなのに、こうして時々ベルトルドの影がチラつくのを、トールは少し不満に思う。
「……ギルド長には感謝しないとね。それで、武器は何が入ってる?」
「あ! そうだったね、ごめんごめん! えっと……どうやら剣みたいだよ」
ティナが魔法鞄からズルっと長い何かを取り出した。しかし普通の剣より更に長いので、一瞬槍と勘違いしそうになる。
「それは……ツヴァイハンダー?」
剣だと思っていた物は、ギルドでティナが言っていた長剣、ツヴァイハンダーだった。
鋼で作られたツヴァイハンダーの剣身は銀色なのだが、ティナが持つツヴァイハンダーは黒曜石で作られたかのように黒く輝いている。
「それ、何だかすごくレベルが高い武器みたいだけど……って、ティナ、どうしたの?」
魔法鞄からツヴァイハンダーを取り出したティナが、ずっと無言なのに気付いたトールが声を掛ける。
「すごい……これ、お父さんが使っていた剣だ……」
「え? ティナの?」
「うん、ベルトルドさんが持っていてくれてたなんて知らなかったけど、なるほどだね。確かにお父さんの剣はピッタリかも!」
ティナがうんうんと頷いて一人で何かを納得していると思ったら、再び魔法鞄に手を入れた。
トールが不思議そうに見ていると、ティナが革で出来た鞘を取り出して見せる。
「ほらこれ、そのツヴァイハンダーの鞘! 確か、魔力で反応して刀身がすぐ抜けるようになってるの!」
背中に背負うような長身の剣は、鞘から抜く動作が多いため、奇襲を受けた場合不利になることがある。しかし、ティナの父親が使っていたらしい鞘は魔道具の一種で、魔力を流すと固定具が外れ、剣の抜き差しがとても簡単な仕様になっているという。
「ほらほら! これ付けてみて!」
とても楽しそうなティナに気圧されたトールは、されるがままにツヴァイハンダーと鞘を装着した。
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