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占い1

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 王都から出立してから、初めての新月を迎えた今夜、ティナはようやくイロナに占って貰うことになった。

 以前もイロナはティナを占おうとしたのだが、占おうとする度に邪魔が入り、結局占うことが出来なかったのだ。

「うわぁ……! これで占うんですね……すごく不思議……!」

 イロナから占いに使う石を見せて貰ったティナは、石に刻まれた古代アルカナ文字に興味津々だ。

「その石は<アンズーツ>……言葉や交流を司る文字ね。交流を通じて知識や情報を得られるという意味があるわ。丁度今の状況ね」

「あっ! 本当だ! 今正に占って貰う所ですもんね! うわぁ! すごいなぁ!」

 何となく取り出した石なのに、既に現在の状況を表している文字に興奮する。

「じゃあ、何が知りたいのかしら? それによって選ぶ石の数が違うのだけれど……」

 イロナは占う事柄によって、石の数や並べ方が違うのだと説明する。

 単に「はい」か「いいえ」で知りたければ石は一つでいいし、「結果」と「対策」が知りたければ二つの石を選び、石の意味を読み解くのだという。
 他にも「過去・現在・未来」が知りたければ三つ、それに加え「障害」や「解決方法」など、知りたいことが増えるごとに石の数も増えていく。
 しかし石の数が多ければ良いということはなく、占いの目的に合わせて最適な石の数を選ぶ方が的中率は上がるのだと、イロナはティナに教えてくれた。

「……念の為、石の数は少なめにしましょうか。あまり詳しく占おうとすると、例え新月でも妨害されるかもしれないわ」

 イロナはティナの「運命値」が高く、神に愛されているために占いが出来ないと思っているようだ。ティナ自身にそんな自覚は全く無いが、イロナが言うと妙な説得力がある。

「……そうなんですね。じゃあ、私の捜し物が見付かって、やりたいことが成功するかどうか占って貰えますか?」

「あら、恋占いじゃなくていいの? 「えっ?!」……なんてね、フフ、冗談よ。じゃあ、知りたいことを思い浮かべながら、ここから石を取ってくれる?」

 イロナにからかわれたティナは、赤面しながらも月下草のことを頭に浮かべながら石を選んだ。

「一つ目は右に置いて、二つ目は左に置いてくれる? 右は「対策」で、左は「結果」を表すのよ」

 イロナに言われた通り、ティナは石を選んでテーブルに置いた。

「……」

 ティナが選んだ石をじっと見ながら、イロナは何かを考えているようだ。石に刻まれた古代アルカナ文字の意味をリーディングしているのだろう。

 占って貰う前はどんな結果でも受け止めるつもりだったが、実際にイロナが石をリーディングしているのを見て、彼女の初めて見る真剣な顔に、ティナの緊張はどんどん増していく。

(うわ~~! どんな結果が出たんだろう……。でも結果が悪くても対策がわかるんだから有り難いよね)

 ”幻の花”と呼ばれている月下草の自生地や栽培方法が、そう簡単にわかるはずがないのはティナも理解している。でも占いの結果に少しの可能性があるのなら、諦めたくない、とティナは思う。
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