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占い3

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「わふ」

「あ、アウルムおいで」

 アネタと遊んでいたアウルムが、トコトコとティナのところへやって来た。どうやらアネタが眠ったらしい。

 アウルムはティナの膝の上に登るとコロッと丸くなる。まるで”撫でて”と言わんばかりのアウルムの行動に、ティナはくすっと笑いが漏れる。

「ふふ、アウルムは可愛いなぁ……。よしよーし」

 ティナはアウルムを撫でる時、いつも手に<神聖力>を纏っていた。可愛がると同時に瘴気の浄化もしているのだ。
 そんなティナを見回りから帰ってきたトールがじっと見つめている。

「トールどうしたの?」

「……ん? ああ、何だかティナの表情が明るくなったなって」

「え? そうかな? そんなに違う?」

「うん。ギルドで会った時も違ったけど、更に明るくなって可愛くなった」

「……っ?! か、可愛……っ!!」

「ティナをずっと見ていたからわかるよ。学院にいる時と比べたら全然違う」

「?! ~~っ!?」

 トールは時々こうして爆弾を落とす。しかも段々物言いもストレートになってきた……と思う。
 ティナは体中真っ赤になっているのを自覚し、恥ずかしくて仕方がない。それでも何か返事しなければ、と一生懸命言葉を探す。

「……あ、有難う……っ、多分、イロナさんに占って貰って心がすごくスッキリしたから……そのおかげかも……」

「そうか、イロナさんの占いは凄いんだな。出来れば俺がティナの憂いを晴らしてあげたかったのに」

「!?」

 さすがのティナも、もう駄目だった。トールの言葉に、最早どう返していいのかわからない。

(な、何かっ!! 何か言葉は……っ!! もうトールってば、どうしてそんな事言うのーーーーっ!!)

 茹だった頭では全く考えがまとまらず、ティナは呻き声をあげることしか出来ない。

「アウルムは良いなぁ。ティナに甘えられて。俺も甘えたい」

「ふぁっ?!」

 今日のトールはどこかおかしい。心の声がだだ漏れだ。

(え? え? 何? 何なのっ?! この状況は一体何? 何が起こっているの?!)

 最早混乱の粋に達しているティナに気づいているのかいないのか、トールはティナを見て優しく微笑んだ……ような気がする。

「たまには俺もかまってよ」

 そう意地悪く、いたずらっぽく言うトールに、ティナはとうとう撃沈した。
 恥ずかしくて恥ずかしくて、トールの顔を見ることが出来ず、俯いてしまう。

(……………………もうダメ……助けて……っ)

 混乱しながらもよく考えれば、確かに旅の間中ずっと、ティナはアネタに構いっぱなしだった。更にアウルムを拾ってからは、トールと二人っきりの時間はほとんど無かったのだ。

 ならば、これからはもう少しトールとの時間を大切にしよう、とティナは思う。

「…………うん」

 何とか返事をしたティナだったが、その声はとてもか細くて、トールに聞こえたかわからない。
 だけどトールが笑う気配がしたからきっと、ティナの声はちゃんと届いたのだろう。
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