50 / 79
聖女追放の後1
しおりを挟む
ブレンドレル魔法学院で起こったフレードリクの婚約破棄騒ぎと、大神殿で起こったアンネマリーの出来事は、速やかにセーデルルンド王国の王宮へと伝わり、国王の耳に届くこととなった。
「……ったく!! 何を考えとるんだあのバカ息子はっ!!」
事の顛末を聞いた国王──グスタフは、フレードリクの愚行に怒りを顕にしていた。
「既にこの一件は、ブレンドレル魔法学院の生徒全員が知ることとなりました。最早事態の収拾は不可能かと」
国王に報告に来た参事官から、疲労の色が滲み出ていた。生徒からの聞き取りや神殿とのやり取りで相当疲弊してしまったようだ。
「うぅぬ……!! フレードリクを連れて来いっ!! 奴に土下座でも何でもさせてクリスティナ嬢に許しを請うのだ!!」
グスタフは国王として、大神殿と揉めるわけにはいかないと考えている。
大神殿の大神官であるオスカリウスは、ラーシャルード教の中でも強い権力を持ち、次期教皇だと噂されるほどの人物であった。
そんな人物と敵対するようなことは絶対にあってはならないのだ。
穏便に済ますことが出来ないなら、フレードリクの廃嫡まで視野に入れなければ、とグスタフは考えている。
「……それが、どうやらクリスティナ様が行方を晦ましたとのことで、未だ発見に至っていないと聞いています」
「何だとっ?!」
この国を瘴気から守る役目を負う聖女の失踪など前代未聞であった。近隣諸国に知られれば冷笑されるだろう。
聖女を我が手に、と望む者は世界中にいる。隙あらば取り込もうと欲する国も一つや2つではない。
ラーシャルード神を崇拝する宗教の総本山があるアコンニエミ国からも、聖女の身柄を渡すように、と通達が何度も来るほどだ。
クリスティナとフレードリクの婚約も、フレードリクからの強い希望があったものの、本当の目的はクリスティナをこの国に繋ぎ止めておくための楔だったのだ。
「そしてフレードリク殿下ですが、現在精神的ショックを受け療養中です。お連れしても会話にならないかと」
オスカリウスの怒りを買ったフレードリクは、殺気が混じった怒気の直撃を受け、それがトラウマになったらしく、部屋に籠もって出てこないらしい。
「何ということだ……!」
グスタフは絶望的な事態に頭を抱えこむ。
しかし、こうしてはいられないと思考を切り替えると、参事官へと指示を飛ばした。
「……とにかく、使える人員全てを動員し、クリスティナ嬢の行方を追うのだ!!」
「かしこまりました」
参事官が退出すると、入れ替わるかのように側近が急いで入ってきた。
「陛下! 大神官様と聖騎士殿がお越しです!」
「何っ?! すぐにお通ししろ!」
「は、はいっ!!」
グスタフはオスカリウスとアレクシスを謁見の間へと招き入れた。
「……ったく!! 何を考えとるんだあのバカ息子はっ!!」
事の顛末を聞いた国王──グスタフは、フレードリクの愚行に怒りを顕にしていた。
「既にこの一件は、ブレンドレル魔法学院の生徒全員が知ることとなりました。最早事態の収拾は不可能かと」
国王に報告に来た参事官から、疲労の色が滲み出ていた。生徒からの聞き取りや神殿とのやり取りで相当疲弊してしまったようだ。
「うぅぬ……!! フレードリクを連れて来いっ!! 奴に土下座でも何でもさせてクリスティナ嬢に許しを請うのだ!!」
グスタフは国王として、大神殿と揉めるわけにはいかないと考えている。
大神殿の大神官であるオスカリウスは、ラーシャルード教の中でも強い権力を持ち、次期教皇だと噂されるほどの人物であった。
そんな人物と敵対するようなことは絶対にあってはならないのだ。
穏便に済ますことが出来ないなら、フレードリクの廃嫡まで視野に入れなければ、とグスタフは考えている。
「……それが、どうやらクリスティナ様が行方を晦ましたとのことで、未だ発見に至っていないと聞いています」
「何だとっ?!」
この国を瘴気から守る役目を負う聖女の失踪など前代未聞であった。近隣諸国に知られれば冷笑されるだろう。
聖女を我が手に、と望む者は世界中にいる。隙あらば取り込もうと欲する国も一つや2つではない。
ラーシャルード神を崇拝する宗教の総本山があるアコンニエミ国からも、聖女の身柄を渡すように、と通達が何度も来るほどだ。
クリスティナとフレードリクの婚約も、フレードリクからの強い希望があったものの、本当の目的はクリスティナをこの国に繋ぎ止めておくための楔だったのだ。
「そしてフレードリク殿下ですが、現在精神的ショックを受け療養中です。お連れしても会話にならないかと」
オスカリウスの怒りを買ったフレードリクは、殺気が混じった怒気の直撃を受け、それがトラウマになったらしく、部屋に籠もって出てこないらしい。
「何ということだ……!」
グスタフは絶望的な事態に頭を抱えこむ。
しかし、こうしてはいられないと思考を切り替えると、参事官へと指示を飛ばした。
「……とにかく、使える人員全てを動員し、クリスティナ嬢の行方を追うのだ!!」
「かしこまりました」
参事官が退出すると、入れ替わるかのように側近が急いで入ってきた。
「陛下! 大神官様と聖騎士殿がお越しです!」
「何っ?! すぐにお通ししろ!」
「は、はいっ!!」
グスタフはオスカリウスとアレクシスを謁見の間へと招き入れた。
22
あなたにおすすめの小説
聖女の紋章 転生?少女は女神の加護と前世の知識で無双する わたしは聖女ではありません。公爵令嬢です!
幸之丞
ファンタジー
2023/11/22~11/23 女性向けホットランキング1位
2023/11/24 10:00 ファンタジーランキング1位 ありがとうございます。
「うわ~ 私を捨てないでー!」
声を出して私を捨てようとする父さんに叫ぼうとしました・・・
でも私は意識がはっきりしているけれど、体はまだ、生れて1週間くらいしか経っていないので
「ばぶ ばぶうう ばぶ だああ」
くらいにしか聞こえていないのね?
と思っていたけど ササッと 捨てられてしまいました~
誰か拾って~
私は、陽菜。数ヶ月前まで、日本で女子高生をしていました。
将来の為に良い大学に入学しようと塾にいっています。
塾の帰り道、車の事故に巻き込まれて、気づいてみたら何故か新しいお母さんのお腹の中。隣には姉妹もいる。そう双子なの。
私達が生まれたその後、私は魔力が少ないから、伯爵の娘として恥ずかしいとかで、捨てられた・・・
↑ここ冒頭
けれども、公爵家に拾われた。ああ 良かった・・・
そしてこれから私は捨てられないように、前世の記憶を使って知識チートで家族のため、公爵領にする人のために領地を豊かにします。
「この子ちょっとおかしいこと言ってるぞ」 と言われても、必殺 「女神様のお告げです。昨夜夢にでてきました」で大丈夫。
だって私には、愛と豊穣の女神様に愛されている証、聖女の紋章があるのです。
この物語は、魔法と剣の世界で主人公のエルーシアは魔法チートと知識チートで領地を豊かにするためにスライムや古竜と仲良くなって、お力をちょっと借りたりもします。
果たして、エルーシアは捨てられた本当の理由を知ることが出来るのか?
さあ! 物語が始まります。
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
聖女の力は「美味しいご飯」です!~追放されたお人好し令嬢、辺境でイケメン騎士団長ともふもふ達の胃袋掴み(物理)スローライフ始めます~
夏見ナイ
恋愛
侯爵令嬢リリアーナは、王太子に「地味で役立たず」と婚約破棄され、食糧難と魔物に脅かされる最果ての辺境へ追放される。しかし彼女には秘密があった。それは前世日本の記憶と、食べた者を癒し強化する【奇跡の料理】を作る力!
絶望的な状況でもお人好しなリリアーナは、得意の料理で人々を助け始める。温かいスープは病人を癒し、栄養満点のシチューは騎士を強くする。その噂は「氷の辺境伯」兼騎士団長アレクシスの耳にも届き…。
最初は警戒していた彼も、彼女の料理とひたむきな人柄に胃袋も心も掴まれ、不器用ながらも溺愛するように!? さらに、美味しい匂いに誘われたもふもふ聖獣たちも仲間入り!
追放令嬢が料理で辺境を豊かにし、冷徹騎士団長にもふもふ達にも愛され幸せを掴む、異世界クッキング&溺愛スローライフ! 王都への爽快ざまぁも?
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる