【完結】月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

五城楼スケ(デコスケ)

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決着1

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 アレクシスが振り下ろした剣が、”ギィイイイイイインッ!!”と音を立て、火花を散らしながらツヴァイハンダーと激突する。
 その衝撃は風となり、強風が辺り一面に吹き荒れていく。

「……えっ?!」

 二人の様子を固唾を飲んで見守っていたティナは、意外な光景に目を疑う。
 そしてトールと切り結んでいたアレクシスもまた、自分の手元を見て驚愕の表情を浮かべている。

「ば、馬鹿な……っ?! 何故剣が折れるっ?! 祝福を受けた剣が、どうして……っ?!」

 アレクシスは、真っ二つに切られた白い剣を見て絶句する。先程まで光り輝いていた剣は光を失い、ただのガラクタと化していたのだ。

 聖騎士が持つ剣は、ラーシャルード神の加護を授かっている。そして神聖力を注ぎ込むことによって強度が増し、大岩でさえも真っ二つに切ることが出来るはずなのだ。
 もしアレクシスの剣が伝説の聖剣であったなら、その威力は空を裂き月にまで届いていただろう。

「どうしてって、信仰心が足りないんじゃないの?」

 アレクシスの首元に、ツヴァイハンダーの刃を突きつけたトールが辛辣な一言を放つ。

「……っ!!」

「ちょ、ちょっとトール、それは……っ」

 歯を食いしばりながら項垂れるアレクシスを見て、ティナは少し可哀想に思う。自業自得とは言え、アレクシスがどれだけラーシャルード神に献身してきたか知っているからだ。

「まあ、どっちでも良いけど、この決闘は俺の勝ちってことで。異論はないよね?」

 肝心の剣を折られたアレクシスに反論の余地はない。きっと素手で戦ってもアレクシスはトールに勝てないだろう。

「…………っ、わかった。俺の負けを認めよう」

 観念するようにアレクシスが負けを認めた。

 ある意味ティナを賭けた戦いは終わり、お互い怪我もなく済んだことに、ティナはホッと胸を撫で下ろす。

「じゃあ約束通り、聖国と王国はティナに金輪際関わらないこと。ティナが望まない以上、聖女として扱わないこと。あ、これには神聖力の行使も含まれるから。それと──」

 トールが次々とアレクシスに要求を突きつける。しかし決闘したのはトールなのに、その内容はティナを守るためのものばかりだ。
 そんなトールに、ティナはどんどん彼に惹かれていく自分を自覚する。

「出来る限りのことはするが、全ての約束を守るのは……っ」

 トールの要求を聞いたアレクシスが言い淀む。

 実際、全ての要求を飲むのはアレクシスの立場ではさすがに無理だろう、とティナは思っていたのだが、どうやらトールはそう思っていないようだ。

「そこは死ぬ気で頑張って貰わないと。命を助けたんだし、必死にやれば約束は守れるはずだよ。それに…………アレクシス卿には頼りになるお父さんやお兄さんがいるじゃないか」

「──っ?! な──っ?!」

 トールの言葉の後半は声が小さく、ティナにはよく聞こえなかったが、言われたアレクシスは驚愕した表情をトールに向けている。

「ティナに嫌われたくなかったら、ちゃんと約束を守ってくれ。じゃないとアレクシス卿がティナを手に入れるために今まで何をしていたか……彼女に話さなきゃいけなくなる」
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