紅蓮の鬼神と華印の乙女〜神隠しにあった穢れモノの私が、最愛に出逢うまで〜

五城楼スケ(デコスケ)

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01 プロローグ

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「──琴葉」

 私の名前を呼ぶ、優しい声。

「必ず迎えに行く。琴葉はもう俺の嫁だからな」

 そう言って嬉しそうに笑う、少年の笑顔はとても眩しくて。

 深い真紅の、紅玉のような瞳を持つ人間を見るのは初めてだった私は、この世にこんな美しいものがあるのか、と感動に打ち震える。

「……うん、待ってる……っ! ずっと待ってるから、絶対迎えに来てね……?」

 少年との別れはとても寂しくて悲しくて、泣かないように我慢していたのに、私の目から涙がぽろぽろと零れ落ちてしまう。

「──約束する。その証として、琴葉に”華印”を刻みたいんだけど……良いかな?」

「華印?」

「うん。琴葉は俺の花嫁だっていう印。それに琴葉を守ってくれるよ」

「本当? だったらすごく嬉しい!」

 私は少年に華印を付けて欲しいとお願いした。
 その印がある限り、私はこれからも頑張れる──そう思うから。

「……わかった。ちょっとごめんね?」

「え──……」

 どうして謝るんだろう、と思った瞬間、鎖骨の少し下辺りに、チリっとした痛みが走る。

「──っ?!」

 私は痛みより、今の状況に驚いた。何故なら、少年が私の胸元に口付けていたからだ。
 あまりの情景に私の顔が真っ赤に染まる。

「……痛かった? ごめんね。でもこれで琴葉は俺のものだよ」

「あっ……」

 少年が顔を上げた後、胸元を見てみると、赤い花のような、小さな痣がそこにあった。

「綺麗……」

 ただ口付けただけなのに、花のような痣が残っていることを不思議に思いつつ、これが華印なんだ、と──これで私は少年のものになれたのだと、心の底から喜びが溢れてくる。

「ここから出たら、琴葉は俺のことを忘れてしまうけれど、琴葉が大人になったら迎えに行くから……その時は、俺のこと思い出して?」

「うん! 絶対思い出すよ……っ! だから──……」

 泣きながらも自信満々に答える私を見て、少年は嬉しそうに微笑んだ。だけどその瞳には悲しみが滲んでいて。

「……だから、お願い……。そんな瞳で、壊れそうに笑わないで──……」

 私は薄れゆく意識の中、どうか少年の笑顔が曇りませんように──と、ただそれだけを願いながら、意識を手放したのだった。
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