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第二章 全てを見渡す島
episode 27 魔の渦
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真紅に光る両目と逆立つ獣毛。
低い唸り声を発する口は赤く鋭い牙が剥き出しの魔狼。
徐々に近づいてくる圧力に、あたし達は刺激しないように足を砂地から離さず後退りする。
「どうしようレディ」
小声で目を離すことなく問いかけると、少し間があった。
「……あたいの合図で海に入る。
そこで戦うのが最善かと思うよ」
「分かったわ。
ミーニャ聞こえた?」
「は、はい。
大丈夫です」
「ミーニャは肩が浸かるくらい下がっていいわよ。
その前にあたし達が食い止めるから」
ミーニャは無言だが分かっていると信じている。
後退るより魔狼が近づいてくる方が早く、段々と距離が近くなる。
そして、あたしが海への距離を確認するので目を離した瞬間だった。
「今だよ!!
走って!」
レディの掛け声に各々が持っていた靴を空に投げ、一目散に海へ向かった。
と、同時に魔狼も吠えると砂を激しく擦る音が後ろから聞こえる。
「もっと奥に!
腰まで入るんだアテナ!」
「分かってるわよ!」
レディやライズと違って身長の低いあたしは腰まで浸からなければならなかった。
「追って来ないわね」
「そうだろうさ。
来たところで不利なのは本能で分かるだろ。
ただ、入ってこないんじゃあたいらもどうすることも出来ないね」
「このままじゃ風邪ひくわ」
「分かっているが……」
「だったらオレが何とかして見せようか」
「出来るの?」
あたしの問いに応えることなく、目を伏せると小さく手を動かし何かを言っている。
「魔法ね!!
だったらさっさとやってよね!」
愚痴ったところで詠唱が止まることはなかったが、片方の眉が一瞬上にあがった。
「……赤く滾る破壊の舞。
我が行く手を阻む者へその力を示せ……。
紅蓮炎渦!」
最後の聞き取れた部分に危険を察知し腕で顔を隠すと、ライズの伸ばした手の平から炎の球が飛んで行く。
それは目にも止まらぬ速さで魔狼の元へ到達すると、球体から姿を変え炎の渦となり一瞬にして魔狼を飲み込んだ。
「熱っ!!」
ここまで届く熱にあたしは驚きを隠せず動くことが出来なかった。
「一網打尽ってこのことね」
「さぁ、もう大丈夫だろう」
高く上がった渦は地上から離れると徐々に消えていき、そこに魔狼の姿はなかった。
「あれで終わり?」
「ああ。
魔狼くらいだとあれで骨すら残らないな。
……だが、さっき何て言ったんだ?」
「ん?
な、何がよ」
「早くやれとか言ってなかった?」
「あっ!
まぁ、言ったけど……
多分この場の全員が思ったことよ」
「おい、アテナ。
あたいは頼ろうと思ってなかったからな」
「私もそんな風には……」
「……だそうよ、ライズ。
あたしの思い違いだったみたいだわ」
それから砂場で少し服が乾くのを待ったが、誰もあたしの話を聞いてはくれなかった。
低い唸り声を発する口は赤く鋭い牙が剥き出しの魔狼。
徐々に近づいてくる圧力に、あたし達は刺激しないように足を砂地から離さず後退りする。
「どうしようレディ」
小声で目を離すことなく問いかけると、少し間があった。
「……あたいの合図で海に入る。
そこで戦うのが最善かと思うよ」
「分かったわ。
ミーニャ聞こえた?」
「は、はい。
大丈夫です」
「ミーニャは肩が浸かるくらい下がっていいわよ。
その前にあたし達が食い止めるから」
ミーニャは無言だが分かっていると信じている。
後退るより魔狼が近づいてくる方が早く、段々と距離が近くなる。
そして、あたしが海への距離を確認するので目を離した瞬間だった。
「今だよ!!
走って!」
レディの掛け声に各々が持っていた靴を空に投げ、一目散に海へ向かった。
と、同時に魔狼も吠えると砂を激しく擦る音が後ろから聞こえる。
「もっと奥に!
腰まで入るんだアテナ!」
「分かってるわよ!」
レディやライズと違って身長の低いあたしは腰まで浸からなければならなかった。
「追って来ないわね」
「そうだろうさ。
来たところで不利なのは本能で分かるだろ。
ただ、入ってこないんじゃあたいらもどうすることも出来ないね」
「このままじゃ風邪ひくわ」
「分かっているが……」
「だったらオレが何とかして見せようか」
「出来るの?」
あたしの問いに応えることなく、目を伏せると小さく手を動かし何かを言っている。
「魔法ね!!
だったらさっさとやってよね!」
愚痴ったところで詠唱が止まることはなかったが、片方の眉が一瞬上にあがった。
「……赤く滾る破壊の舞。
我が行く手を阻む者へその力を示せ……。
紅蓮炎渦!」
最後の聞き取れた部分に危険を察知し腕で顔を隠すと、ライズの伸ばした手の平から炎の球が飛んで行く。
それは目にも止まらぬ速さで魔狼の元へ到達すると、球体から姿を変え炎の渦となり一瞬にして魔狼を飲み込んだ。
「熱っ!!」
ここまで届く熱にあたしは驚きを隠せず動くことが出来なかった。
「一網打尽ってこのことね」
「さぁ、もう大丈夫だろう」
高く上がった渦は地上から離れると徐々に消えていき、そこに魔狼の姿はなかった。
「あれで終わり?」
「ああ。
魔狼くらいだとあれで骨すら残らないな。
……だが、さっき何て言ったんだ?」
「ん?
な、何がよ」
「早くやれとか言ってなかった?」
「あっ!
まぁ、言ったけど……
多分この場の全員が思ったことよ」
「おい、アテナ。
あたいは頼ろうと思ってなかったからな」
「私もそんな風には……」
「……だそうよ、ライズ。
あたしの思い違いだったみたいだわ」
それから砂場で少し服が乾くのを待ったが、誰もあたしの話を聞いてはくれなかった。
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