自称!!美少女剣士の異世界探求 2

七海玲也

文字の大きさ
30 / 70
第二章 全てを見渡す島

episode 26魔の住まう地

しおりを挟む
 あれから急ぎ航路を南へ変更してから二日、何事もなくライズの言う場所へと船を停めることが出来た。

「さて着いたわね。
 ここから歩いて行くんでしょ?」

「あぁ、そうだ。
 川沿いに行くが気をつけてくれよ。
 何せ、人が立ち入らない場所だ。
 あちこちに魔者が住み着いているからな」

「だったら人数は多めの方が良いかもね」

「そいつは無理だな。
 ちょいと術が必要になるもんでね、人数は限らせてもらうよ」

「ってことは、あたしら以外は船を守りつつ待機しててもらうってこと?」

「そうしてくれたら有難いね。
 術にも限界があるし、帰る手段は必要だろ?」

 両手を軽く広げたライズに軽く首を縦に振ったあたしはレディにこの事を告げ、ミーニャと共に甲板へと出た。

「あたし達は準備良いわよ」

「遅くなったね。
 さぁ、行こうか」

 レディも甲板へと上がってくるとすぐに浅瀬へと#縄梯子__なわばしご__「を下ろし、一人ずつ陸地へ降り立った。

「うわっ。
 靴がびっちゃびちゃだわ」

「そいつは我慢してくれ。
 海賊達を待たせるんだ、気の長い連中ばかりじゃないんでね」

「分かってるわよ、レディ。
 さ、行きましょ」

 ライズを先頭にミーニャを挟むようにあたしとレディは後ろを歩く。
 幸いまだ砂地であることから靴を手に持ったまま歩くあたし達は、いささか冒険者とは見えない様な格好であった。

「一応はこの辺りも気をつけてくれよ。
 向こうの森から合鶏獣コカトリスやら獅子蠍マンティコアが出てくるとも限らないからな」

「何それ?
 マンティなんとか?
 知ってる、レディ?」

「むしろ知らないのかい、アテナ。
 ひとえに言ったら魔獣さ。
 悪神の生み出した凶暴な獣で、目力だけで焼き殺したり尻尾の毒針で死に至らしめることが出来る魔獣。
 かなりの手練れじゃない限りは逃げることをおすすめするよ」

「そんなにやばいとこなの!?」

「それだけじゃないのさ。
 空からは女面鳥人ハーピーもやってくるから厄介なところなのさ」

「女面鳥人ってのは下位魔人の一種でね、歌惑人魚セイレーンが海の下位魔人なら空の下位魔人ってとこさ」

「なに、魔人にも階級みたいなのがあるわけ?」

「ホントに何も知らなかったんだね。
 ひとえに魔者と言っても魔人も魔獣も含まれていてね、悪魔と言われるのが醜悪魔オーク食人鬼オーガ、それにあたいらが出会った喰妖魔グールといった人とも獣ともならざる異形の者で、それぞれに強さで分けてあるんだよ。
 下位の魔者であれば一般兵士と同じくらいに思ってくれていいが、下位の魔人だけは一般騎士じゃないと相手にならないだろうね。
 それだけ魔人ってのは厄介ってことさ」

「ってことは、あたしらが相手にしようとしてるのは?」

 この質問を口に出そうか一瞬躊躇した。
 それは聞いてはならないような気がしてだった。

「実際その場に居たわけじゃないからな、何とも言えないが、城を持つほどの魔人だとしたら上位魔人だとしてもおかしくないね。
 そうなると、剣一本手にしたところで敵う相手じゃないだろうさ」

「その言い草だと何か手がある?」

「いや、今のところは何もないね。
 ただ、一人が強大なだけであれば人数に頼るしかないかとは思っているが」

 確かに聞こえは悪いかも知れないが、質より量であればなんとかなるかもしれない。

「おっと!
 話してるところ悪いが、早速お出ましのようだぞ」

 ライズが不意に立ち止まりらした視線の先の森からゆっくりと狼らしき動物が一匹、また一匹と群れを成して姿を現した。

「あれは魔狼ウォーグ
 簡単にいく相手じゃないな。
 どうする?」

「どうするも何も……」

 獣が相手だと話も通じないとなれば避けられない状況だと理解し、ゆっくりと鞘から剣を抜く。
 六匹の唸り声が緊張感を高める中、視線を逸らすことなく向き合い、どうすべきか試行錯誤を繰り返した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

処理中です...