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第二章 全てを見渡す島
episode 26魔の住まう地
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あれから急ぎ航路を南へ変更してから二日、何事もなくライズの言う場所へと船を停めることが出来た。
「さて着いたわね。
ここから歩いて行くんでしょ?」
「あぁ、そうだ。
川沿いに行くが気をつけてくれよ。
何せ、人が立ち入らない場所だ。
あちこちに魔者が住み着いているからな」
「だったら人数は多めの方が良いかもね」
「そいつは無理だな。
ちょいと術が必要になるもんでね、人数は限らせてもらうよ」
「ってことは、あたしら以外は船を守りつつ待機しててもらうってこと?」
「そうしてくれたら有難いね。
術にも限界があるし、帰る手段は必要だろ?」
両手を軽く広げたライズに軽く首を縦に振ったあたしはレディにこの事を告げ、ミーニャと共に甲板へと出た。
「あたし達は準備良いわよ」
「遅くなったね。
さぁ、行こうか」
レディも甲板へと上がってくるとすぐに浅瀬へと#縄梯子__なわばしご__「を下ろし、一人ずつ陸地へ降り立った。
「うわっ。
靴がびっちゃびちゃだわ」
「そいつは我慢してくれ。
海賊達を待たせるんだ、気の長い連中ばかりじゃないんでね」
「分かってるわよ、レディ。
さ、行きましょ」
ライズを先頭にミーニャを挟むようにあたしとレディは後ろを歩く。
幸いまだ砂地であることから靴を手に持ったまま歩くあたし達は、いささか冒険者とは見えない様な格好であった。
「一応はこの辺りも気をつけてくれよ。
向こうの森から合鶏獣やら獅子蠍が出てくるとも限らないからな」
「何それ?
マンティなんとか?
知ってる、レディ?」
「むしろ知らないのかい、アテナ。
ひとえに言ったら魔獣さ。
悪神の生み出した凶暴な獣で、目力だけで焼き殺したり尻尾の毒針で死に至らしめることが出来る魔獣。
かなりの手練れじゃない限りは逃げることをおすすめするよ」
「そんなにやばいとこなの!?」
「それだけじゃないのさ。
空からは女面鳥人もやってくるから厄介なところなのさ」
「女面鳥人ってのは下位魔人の一種でね、歌惑人魚が海の下位魔人なら空の下位魔人ってとこさ」
「なに、魔人にも階級みたいなのがあるわけ?」
「ホントに何も知らなかったんだね。
ひとえに魔者と言っても魔人も魔獣も含まれていてね、悪魔と言われるのが醜悪魔や食人鬼、それにあたいらが出会った喰妖魔といった人とも獣ともならざる異形の者で、それぞれに強さで分けてあるんだよ。
下位の魔者であれば一般兵士と同じくらいに思ってくれていいが、下位の魔人だけは一般騎士じゃないと相手にならないだろうね。
それだけ魔人ってのは厄介ってことさ」
「ってことは、あたしらが相手にしようとしてるのは?」
この質問を口に出そうか一瞬躊躇した。
それは聞いてはならないような気がしてだった。
「実際その場に居たわけじゃないからな、何とも言えないが、城を持つほどの魔人だとしたら上位魔人だとしてもおかしくないね。
そうなると、剣一本手にしたところで敵う相手じゃないだろうさ」
「その言い草だと何か手がある?」
「いや、今のところは何もないね。
ただ、一人が強大なだけであれば人数に頼るしかないかとは思っているが」
確かに聞こえは悪いかも知れないが、質より量であればなんとかなるかもしれない。
「おっと!
話してるところ悪いが、早速お出ましのようだぞ」
ライズが不意に立ち止まり逸らした視線の先の森からゆっくりと狼らしき動物が一匹、また一匹と群れを成して姿を現した。
「あれは魔狼。
簡単にいく相手じゃないな。
どうする?」
「どうするも何も……」
獣が相手だと話も通じないとなれば避けられない状況だと理解し、ゆっくりと鞘から剣を抜く。
六匹の唸り声が緊張感を高める中、視線を逸らすことなく向き合い、どうすべきか試行錯誤を繰り返した。
「さて着いたわね。
ここから歩いて行くんでしょ?」
「あぁ、そうだ。
川沿いに行くが気をつけてくれよ。
何せ、人が立ち入らない場所だ。
あちこちに魔者が住み着いているからな」
「だったら人数は多めの方が良いかもね」
「そいつは無理だな。
ちょいと術が必要になるもんでね、人数は限らせてもらうよ」
「ってことは、あたしら以外は船を守りつつ待機しててもらうってこと?」
「そうしてくれたら有難いね。
術にも限界があるし、帰る手段は必要だろ?」
両手を軽く広げたライズに軽く首を縦に振ったあたしはレディにこの事を告げ、ミーニャと共に甲板へと出た。
「あたし達は準備良いわよ」
「遅くなったね。
さぁ、行こうか」
レディも甲板へと上がってくるとすぐに浅瀬へと#縄梯子__なわばしご__「を下ろし、一人ずつ陸地へ降り立った。
「うわっ。
靴がびっちゃびちゃだわ」
「そいつは我慢してくれ。
海賊達を待たせるんだ、気の長い連中ばかりじゃないんでね」
「分かってるわよ、レディ。
さ、行きましょ」
ライズを先頭にミーニャを挟むようにあたしとレディは後ろを歩く。
幸いまだ砂地であることから靴を手に持ったまま歩くあたし達は、いささか冒険者とは見えない様な格好であった。
「一応はこの辺りも気をつけてくれよ。
向こうの森から合鶏獣やら獅子蠍が出てくるとも限らないからな」
「何それ?
マンティなんとか?
知ってる、レディ?」
「むしろ知らないのかい、アテナ。
ひとえに言ったら魔獣さ。
悪神の生み出した凶暴な獣で、目力だけで焼き殺したり尻尾の毒針で死に至らしめることが出来る魔獣。
かなりの手練れじゃない限りは逃げることをおすすめするよ」
「そんなにやばいとこなの!?」
「それだけじゃないのさ。
空からは女面鳥人もやってくるから厄介なところなのさ」
「女面鳥人ってのは下位魔人の一種でね、歌惑人魚が海の下位魔人なら空の下位魔人ってとこさ」
「なに、魔人にも階級みたいなのがあるわけ?」
「ホントに何も知らなかったんだね。
ひとえに魔者と言っても魔人も魔獣も含まれていてね、悪魔と言われるのが醜悪魔や食人鬼、それにあたいらが出会った喰妖魔といった人とも獣ともならざる異形の者で、それぞれに強さで分けてあるんだよ。
下位の魔者であれば一般兵士と同じくらいに思ってくれていいが、下位の魔人だけは一般騎士じゃないと相手にならないだろうね。
それだけ魔人ってのは厄介ってことさ」
「ってことは、あたしらが相手にしようとしてるのは?」
この質問を口に出そうか一瞬躊躇した。
それは聞いてはならないような気がしてだった。
「実際その場に居たわけじゃないからな、何とも言えないが、城を持つほどの魔人だとしたら上位魔人だとしてもおかしくないね。
そうなると、剣一本手にしたところで敵う相手じゃないだろうさ」
「その言い草だと何か手がある?」
「いや、今のところは何もないね。
ただ、一人が強大なだけであれば人数に頼るしかないかとは思っているが」
確かに聞こえは悪いかも知れないが、質より量であればなんとかなるかもしれない。
「おっと!
話してるところ悪いが、早速お出ましのようだぞ」
ライズが不意に立ち止まり逸らした視線の先の森からゆっくりと狼らしき動物が一匹、また一匹と群れを成して姿を現した。
「あれは魔狼。
簡単にいく相手じゃないな。
どうする?」
「どうするも何も……」
獣が相手だと話も通じないとなれば避けられない状況だと理解し、ゆっくりと鞘から剣を抜く。
六匹の唸り声が緊張感を高める中、視線を逸らすことなく向き合い、どうすべきか試行錯誤を繰り返した。
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