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第二章 全てを見渡す島
episode 29 水中散歩
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水の流れが明らかに速くなり轟音が体を震わせる中、崖沿いに歩いて行くと水しぶきで前が見えないほどの滝に着いた。
「ここね。
ここからどうやって行くの!?
滝に落ちないように真っ直ぐ行くなんてムリよ!!」
大声を出さないと聞き取れないほどの予想外に大きかった滝壺を目の前にライズに頼る他なかった。
「誰が泳いで渡るって言った!?
オレが今から神秘術を施し水中を行く!
但し、長くは持たないと思っていてくれ!
みんな分かったか!?」
聞こえづらい中で全員が頷いて応える。
するとライズは直ぐに口を動かし、それが神秘術を唱えているのだと誰もが察した。
「…………。
…………。
…………。
良し!
いいか?
みんな手を繋いで飛び降りるぞ」
急に聞こえやすくなった声に戸惑いもさることながら飛び降りる発言に驚きを隠せなかった。
「はぁぁあ!?
この崖を飛び降りるっての!?」
「水の中を行くんだ、当たり前だろ?
飛んで行くなんて言ってないんだ、飛び降りる他ないと思うんだが」
「いやいや、結構な高さよ、ここ。
簡単に飛び降りるって言える高さじゃないって」
「だったらどうしろと?
行きたいんだろ?
だったら言う通りにしてくれ。
こうしてる間にも効力が無くなっていくんだぞ。
辿り着く前に溺れ死にたくなければさっさと準備を済ませることだ」
「んぬぁもぉ!
分かったわよ!!
飛べば良いんでしょ、飛べば」
ここまで言われるとやけくそになるしかなかった。
心の準備は半分しか整っていないがやるしかないと言われると覚悟を決めざるを得ない。
「ミーニャ、大丈夫?」
「は、はい、お嬢様と一緒であれば私は頑張ります」
「ミーニャがそう言うなら、あたしもやらなきゃね」
ミーニャの力があたしの力にもなり、ゆっくりと手を出すとミーニャがそっと握り返してくれた。
「よし。
いいか?
手は離すなのよ。
…………。
行くぞ!
せーのっ!!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「いやですぅぅぅ!!」
異様な浮遊感を感じたがそれどころではなく、迫り来る水面に絶叫することが精一杯だった。
と、してる間に足が地に着いてる感じがして目を開けた。
「あれ?
息が出来る。
それに少し……浮いてる?
ミーニャ、大丈夫よ息を止めなくても」
「ふはっ!
え?
ホントですね」
「どういうことよ、ライズ」
「あぁ、オレ達の周りには厚い空気の膜が張ってあるのさ。
だから外の音もあまり聞こえないし、足元も地面には着かないってことさ。
さぁ、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。
ねぇねぇ。
そんなこと出来るなら飛ぶことだって出来るんじゃないの?」
「一人ならな。
それにあの塔に空からは行けないのさ。
魔に対する強力な結界が張ってあるから人の持つ魔力にも反応してしまうってわけでね。
ただ、水中には張られてないから唯一の出入口がそこになる。
さぁ、急ぐぞ」
ライズの急ぎ足に冗談では済まない感じを受け、無言で足並みを揃えることにした。
疑問に思っていた幾つかのことを知ることが出来たのには納得したが、ただ一つ残っているのが『世界を見渡す塔』のことを何故詳しく知っているのかだった。
「ここね。
ここからどうやって行くの!?
滝に落ちないように真っ直ぐ行くなんてムリよ!!」
大声を出さないと聞き取れないほどの予想外に大きかった滝壺を目の前にライズに頼る他なかった。
「誰が泳いで渡るって言った!?
オレが今から神秘術を施し水中を行く!
但し、長くは持たないと思っていてくれ!
みんな分かったか!?」
聞こえづらい中で全員が頷いて応える。
するとライズは直ぐに口を動かし、それが神秘術を唱えているのだと誰もが察した。
「…………。
…………。
…………。
良し!
いいか?
みんな手を繋いで飛び降りるぞ」
急に聞こえやすくなった声に戸惑いもさることながら飛び降りる発言に驚きを隠せなかった。
「はぁぁあ!?
この崖を飛び降りるっての!?」
「水の中を行くんだ、当たり前だろ?
飛んで行くなんて言ってないんだ、飛び降りる他ないと思うんだが」
「いやいや、結構な高さよ、ここ。
簡単に飛び降りるって言える高さじゃないって」
「だったらどうしろと?
行きたいんだろ?
だったら言う通りにしてくれ。
こうしてる間にも効力が無くなっていくんだぞ。
辿り着く前に溺れ死にたくなければさっさと準備を済ませることだ」
「んぬぁもぉ!
分かったわよ!!
飛べば良いんでしょ、飛べば」
ここまで言われるとやけくそになるしかなかった。
心の準備は半分しか整っていないがやるしかないと言われると覚悟を決めざるを得ない。
「ミーニャ、大丈夫?」
「は、はい、お嬢様と一緒であれば私は頑張ります」
「ミーニャがそう言うなら、あたしもやらなきゃね」
ミーニャの力があたしの力にもなり、ゆっくりと手を出すとミーニャがそっと握り返してくれた。
「よし。
いいか?
手は離すなのよ。
…………。
行くぞ!
せーのっ!!」
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「いやですぅぅぅ!!」
異様な浮遊感を感じたがそれどころではなく、迫り来る水面に絶叫することが精一杯だった。
と、してる間に足が地に着いてる感じがして目を開けた。
「あれ?
息が出来る。
それに少し……浮いてる?
ミーニャ、大丈夫よ息を止めなくても」
「ふはっ!
え?
ホントですね」
「どういうことよ、ライズ」
「あぁ、オレ達の周りには厚い空気の膜が張ってあるのさ。
だから外の音もあまり聞こえないし、足元も地面には着かないってことさ。
さぁ、行くぞ」
「ちょ、ちょっと待ってよ。
ねぇねぇ。
そんなこと出来るなら飛ぶことだって出来るんじゃないの?」
「一人ならな。
それにあの塔に空からは行けないのさ。
魔に対する強力な結界が張ってあるから人の持つ魔力にも反応してしまうってわけでね。
ただ、水中には張られてないから唯一の出入口がそこになる。
さぁ、急ぐぞ」
ライズの急ぎ足に冗談では済まない感じを受け、無言で足並みを揃えることにした。
疑問に思っていた幾つかのことを知ることが出来たのには納得したが、ただ一つ残っているのが『世界を見渡す塔』のことを何故詳しく知っているのかだった。
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