自称!!美少女剣士の異世界探求 2

七海玲也

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第二章 全てを見渡す島

episode 30 塔の番人

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 水中の無数の泡が視界を遮る中、ひたすら真っ直ぐに無言で進んで行くと黒い影のような物が見え始めた。

「あれだ。
 あそこに入り口がある。
 それを上ると地上に出られる」

「分かったわ、急ぎましょ」

 ようやく目的地に辿り着くとなれば嫌でも足早になっていく。
 実際のところ、激流の水中だと砂嵐あらず泡嵐で周りが見えず気が狂いそうになっていた。

「ぶはっっ!!」

「別に水中から出たわけでもないだろうに」

 入り口から階段を少し上がると水もなくなり、ついつい息を止めていたかのように振る舞うとすかさずレディが否定した。

「水中は水中よ。
 感覚的に息苦しかったのよ」

「あたいは何もなかったがね。
 視覚に囚われすぎなのさ」

「そうなのかしら。
 魔法ってのに慣れてないからね」

神秘術カムイなんだがな。
 さ、ここでゆっくりしていても仕方ないだろ。
 ここから少し上がると広い通路がある。
 そこで注意してくれ。
 これより先に有るものに一切手を触れるな。
 いいな、面倒はごめんだからな」

「何も触らなきゃいいのね?
 了解、着いて行くだけにするわ」

 何事かは分からないがそうした方が良いと言うなら従うのが得策なのだろうと、後ろ手にしながらライズの後を着いて行く。

「何ここ、凄い広いわね」

「塔の地下だ。
 ここを進めば地上に出られる」

「あれは何?」

 柱とは別に石像が数体ならび瞳は魔石のように輝いている。

「ここの守護者とでも言うべきだろうな」

「ふぅん」

 と近づいて瞳を見つめると、心の中が温かく幸せな感じに包まれていく。
 こんな場所で不思議と穏やかな気持ちになり、何か秘めた物が解放される気持ちに両手を胸にあてうつむき目を閉じた。

「愛してるよ」

 ふと耳元で囁かれる言葉に心は踊りつつ暖かさで満たされると、声のした方へ手を伸ばす。

「触るなっ!!」

 急な怒声に気がつくと手は石像の瞳に触れていた。

「あれほど言ったのに何故触る!?」

「え?
 あたしはただ声のした方に手を伸ばしただけで……」

「幻惑にかかるのが早すぎだろ。
 あれは魔石。
 魔力のこもった石でここにあるのは全て幻惑の魔石。
 侵入者の内に秘めた想いを引き出し触れさせるのさ」

「それならそうと言ってよ!」

「言ったところで幻惑か分からないだろ!
 だから触れるなと」

「でも触れたからってなによ」

「魔石に触れることが引き金トリガーになり、石像が動き出す」

 言ってるそばから石の擦り合う音が響き、言葉が信憑性を持った。
 四つん這いだった石像はゆっくりと床から手を離し立ち上がると、人の倍はあるであろう体を軋ませていた。

「なるほどね、泥人形ゴーレムってわけか」

「知ってるの?
 レディ」

「魔法で造りあげた人形さ。
 ただ厄介なのが、壊れないってことかな」

「どうするのこれ!?
 囲まれてるじゃない!!」

「ここの泥人形は一つと全て繋がっている。
 その一つを破壊すれば全てが止まる」

「それってどれよ!」

「知るかそんなのは!
 どれかに魔言語マジックワードが刻まれてる。
 それの最後の文字を消してしまえばいい!」

「それはどこに書いてあるのよ」

「知るかっての!」

 数体の巨体があたし達を取り囲み足音を響かせなが近寄って来る。

「だったらどうすんのよ!!」

「ライズ!
 あたいとアテナの剣に付加能力エンチャントは掛けれるかい!?」

「誰に言っている!」

「頼んだよ!
 アテナ、二人で一体の足を切り道を開くよ。
 ミーニャとライズは構わず奥へと走る。
 逃げきれないとは思うから、あたいらが活路を見出だすのを待っていてくれ。
 アテナは足を中心に剣を振るえばいい!」

「分かったわ!
 すると目の前のあれを突破しましょ!!」

「よし、いいぞ!
 これで二人の剣は硬いものでも斬り裂くことが出来る」

 レディと顔を見合せ互いに頷くのが合図となり、剣を眼前に構えると機会タイミングを伺った。

「行くよ!」

 レディも相手を見据えたまま号令を出すと一斉に走り出し、あたしは右の足を斬ることだけに集中する。

「はぁぁぁ!!」

 すれ違いざまに力を込めた剣を横に振るうと、刃の食い込む感触が伝わりつつ泥人形の隣を駆け抜けた。

「やったわ!」

 手応えを感じその場で振り返ると、レディの方は膝から足が離れていた。
 それが意味するところはあたしとレディが斬り付ける瞬間に差があったということ。
 そうなると自ずと結果が見えてくる。

「アテナ!!
 危ない!!!」

 体勢を崩した泥人形は半身を翻し腕を振るう。
 近づいてくる腕に恐怖心も抱かぬまま、あたしの見た光景はそれが最後だった。
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