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第三章 解き放ち神具
episode 45 呪術
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あたし達が追い付く前にカマルは戦闘を始めていたが、それは得体の知れない者だった。
「なにあれ!?
何者なの!?」
「やつらは包死体!
呪術で甦った死体さ」
「あんな気持ち悪いのが十体以上!?
よくあんな曲がった剣で相手してるわ」
「湾曲刀はこの土地じゃ一般的さ。
暑いから軽装であるが故に切り裂く事に長け軽いからね。
さあ、あたいらも蹴散らすよ!」
レディはあたしよりも先に剣を抜きカマルの後ろにいる包死体に斬りかかるとそのままカマルの背中に張りついた。
「背中は任せな!
アテナもタグも後ろにいるから前だけ見てればいい!」
「ふん!
余計な事を!!」
声とも違うような低い唸りを上げる包死体を次々と切り裂く二人の邪魔にならない程度に援護していると、矢が飛んで来るのが見えた。
「弓矢よ!
この場から退かなきゃ!!」
と言ったが即座に矢が在らぬ方向へと突き刺さる。
「大丈夫。
私が休んでいた風の精霊にお願いしました!
とは言っても長くは持ちませんからね。
お願いしただけで契約していないのですから」
「どいつもこいつも……オレの邪魔をするな!!」
カマルは怒号と共に弓矢を飛ばした先へと走り出した。
「本当に死にたがっているのね」
「あと数体で片が付く。
アテナとタグはカマルを追って!」
「分かったわ!」
行く手を阻むように包死体は立ち塞がるが、難なく避けて通ると黒装束の人々を切り裂くカマルが目に映る。
凄惨な光景とはこのことで、それはその場に血の雨が降り注いでいた。
「あれが戦場……」
人同士が切り合う戦場は今まで経験はなかった。
あたしの国は他国と小競り合いを起こしていると聞いてはいたが、王都の隣街で戦場とは程遠い所で平和に暮らしていたから。
血飛沫が舞うあの場から目を背けたくなるのは剣士として資格があるのか一瞬脳裏を過るが、今は考えないように黒装束の輪の奥に目を向けた。
「タグ、あそこにいる全員の動きを止められないの!?」
「精霊使いは万能でないですよ!
風が吹いてれば話は別だけど今は無理です。
カマルと相手を止めるしか無理」
「それだともう遅--何あれ!?
カマル!!
気をつけて!」
大声で叫んだが届いていないように不乱に湾曲刀を振るうカマルの奥で一人が薄黒い膜を張り出していた。
「カマル終わりよ!
相手は無抵抗になったわ」
やっとのことで追いついた頃には黒装束に顔に模様を描いた相手は三人になっていた。
「……うるさい!」
と肩にかけた手を振りほどき一人ずつ切り裂くと最後の一人、黒い膜を張った男は血を吐きながら何か言いたそうにしていた。
「ふふ、ぐっ。
貴様にかけた呪い……味わうがいい。
死の恐怖を……ぶふっ」
「オレは--死など恐れてはいない」
カマルは低く応えると一刀し、ここで息をしているのはあたし達だけになった。
「カマル……。
何も殺さなくても」
「奴等は最後までオレを殺すつもりだった。
だからそれに応えたまでだ」
「だからって……。
そんなことしても亡くなった想い人は喜ばないわ」
あたしが不意にした言葉にカマルは横目であたし達を睨み返した。
「話したのか、タグリード」
「もう辞めて欲しかったから、カマルに……死んで欲しくなかったから」
「あたしはその亡くなった女性のことは分からないけど、こんなことしたりあんたが死んでもその人は喜ばないのよ」
「……お前に……お前にあいつの何が分かる!」
バチンっ!!
あたしの右手が衝撃に痺れている。
「分かるわよ!
……分かるのよ……。
あたしだから言えるの。
人は亡くなっても想いは生きているの、忘れない限りその人は願い続けるの。
だから、死に急ぐことはないのよ。
全うに生きて幸せに生きて、そのあとで自分の元へ来て欲しいと死者も想いを持っているの、見守っているの」
「……ふん!
今更そんなこと言ったとしても、もう遅いがな」
「どういうこと?」
「これが奴等にかけられた呪いだ」
自分の服を左半分引き剥がすと、露になった素肌には見たことのない模様が描かれていた。
「なにあれ!?
何者なの!?」
「やつらは包死体!
呪術で甦った死体さ」
「あんな気持ち悪いのが十体以上!?
よくあんな曲がった剣で相手してるわ」
「湾曲刀はこの土地じゃ一般的さ。
暑いから軽装であるが故に切り裂く事に長け軽いからね。
さあ、あたいらも蹴散らすよ!」
レディはあたしよりも先に剣を抜きカマルの後ろにいる包死体に斬りかかるとそのままカマルの背中に張りついた。
「背中は任せな!
アテナもタグも後ろにいるから前だけ見てればいい!」
「ふん!
余計な事を!!」
声とも違うような低い唸りを上げる包死体を次々と切り裂く二人の邪魔にならない程度に援護していると、矢が飛んで来るのが見えた。
「弓矢よ!
この場から退かなきゃ!!」
と言ったが即座に矢が在らぬ方向へと突き刺さる。
「大丈夫。
私が休んでいた風の精霊にお願いしました!
とは言っても長くは持ちませんからね。
お願いしただけで契約していないのですから」
「どいつもこいつも……オレの邪魔をするな!!」
カマルは怒号と共に弓矢を飛ばした先へと走り出した。
「本当に死にたがっているのね」
「あと数体で片が付く。
アテナとタグはカマルを追って!」
「分かったわ!」
行く手を阻むように包死体は立ち塞がるが、難なく避けて通ると黒装束の人々を切り裂くカマルが目に映る。
凄惨な光景とはこのことで、それはその場に血の雨が降り注いでいた。
「あれが戦場……」
人同士が切り合う戦場は今まで経験はなかった。
あたしの国は他国と小競り合いを起こしていると聞いてはいたが、王都の隣街で戦場とは程遠い所で平和に暮らしていたから。
血飛沫が舞うあの場から目を背けたくなるのは剣士として資格があるのか一瞬脳裏を過るが、今は考えないように黒装束の輪の奥に目を向けた。
「タグ、あそこにいる全員の動きを止められないの!?」
「精霊使いは万能でないですよ!
風が吹いてれば話は別だけど今は無理です。
カマルと相手を止めるしか無理」
「それだともう遅--何あれ!?
カマル!!
気をつけて!」
大声で叫んだが届いていないように不乱に湾曲刀を振るうカマルの奥で一人が薄黒い膜を張り出していた。
「カマル終わりよ!
相手は無抵抗になったわ」
やっとのことで追いついた頃には黒装束に顔に模様を描いた相手は三人になっていた。
「……うるさい!」
と肩にかけた手を振りほどき一人ずつ切り裂くと最後の一人、黒い膜を張った男は血を吐きながら何か言いたそうにしていた。
「ふふ、ぐっ。
貴様にかけた呪い……味わうがいい。
死の恐怖を……ぶふっ」
「オレは--死など恐れてはいない」
カマルは低く応えると一刀し、ここで息をしているのはあたし達だけになった。
「カマル……。
何も殺さなくても」
「奴等は最後までオレを殺すつもりだった。
だからそれに応えたまでだ」
「だからって……。
そんなことしても亡くなった想い人は喜ばないわ」
あたしが不意にした言葉にカマルは横目であたし達を睨み返した。
「話したのか、タグリード」
「もう辞めて欲しかったから、カマルに……死んで欲しくなかったから」
「あたしはその亡くなった女性のことは分からないけど、こんなことしたりあんたが死んでもその人は喜ばないのよ」
「……お前に……お前にあいつの何が分かる!」
バチンっ!!
あたしの右手が衝撃に痺れている。
「分かるわよ!
……分かるのよ……。
あたしだから言えるの。
人は亡くなっても想いは生きているの、忘れない限りその人は願い続けるの。
だから、死に急ぐことはないのよ。
全うに生きて幸せに生きて、そのあとで自分の元へ来て欲しいと死者も想いを持っているの、見守っているの」
「……ふん!
今更そんなこと言ったとしても、もう遅いがな」
「どういうこと?」
「これが奴等にかけられた呪いだ」
自分の服を左半分引き剥がすと、露になった素肌には見たことのない模様が描かれていた。
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