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第四章 新たなる魔人王
episode 60 帰還
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船が町へ着いたのは既に日が上り始めようとする明け方だった。
疲労困憊の海賊達を少しでも休ませようと途中帆を上げ停泊させたからだったのだが、あたしは全く気づかず寝ていた。
「ミーニャ、ただいま」
「お帰りなさい、お嬢様。
怪我はありませんか?」
「ん、打ち身程度で特には大丈夫だったわよ」
船が町へ着くと出迎えの海賊に加え、ミーニャもしっかりと待っていてくれた。
「何とも良かったです。
魔人はどうされたんですか?」
「え?
あ、あーーーーーー、何と言うか……。
簡単に言えば逃げて来たわ」
「そうなんですね。
無事に帰って来れただけでも嬉しいです」
「でね、その話なんだけどさ。
これから海賊の人らと話し合いがあるんだけど、ミーニャも一緒に来て欲しいのよ」
「わ、私が?」
「そうなの。
魔人王が復活した時に一緒にいたからさ、その説明にちょっとね」
「なるほど。
それでしたらしっかりお話出来ますから大丈夫ですよ」
「助かるわ。
そしたら今から行きましょ。
テティーアンっ!
ミーニャも一緒に行くわ」
「お!
これはこれは。
貴女がアテナの連れのミーニャだね。
私はテティーアン。
よろしくね」
「ミーニャです。
よろしくお願いします」
ミーニャとテティーアンに並んで屋敷の部屋に向かう途中お互いの経緯を話し、今回のことを聞かせてあげた。
「カルディアさんが!?」
「そうなのよ。
まさかもいいところよね。
しかも、眷属まで操ってたんだから偽りがないのよね」
「本当に魔人なってしまったんですね。
それだと海賊の皆さんはこれから戦えないですし、どうするんですかね」
「そこよね。
こっちの手の内だって知ってるから攻めてくるならこの町からだと思うし。
ここまで来ちゃったら、あたしにはどうすることもってことなの。
さ、この奥で説明して頂戴ね」
隠れ家の部屋に並べられた席に着くと、見知った顔とそうでない顔と二十名ほどが部屋に入ってきた。
「いいかい、みんな。
まず先に今回のことで亡くなった奴らに冥福を述べる」
レディが一声発すると部屋は静まり、左胸に拳をあてがうと軽く目を閉じた。
「そして、みんなよく生き残ってくれた。
心から感謝する」
「よせやい、そんな畏まった言い方なんざ。
オレらは海賊だぜ?
自分の命が大事だから死なないようにしただけさ。
誰もレディやクリスティアンのせいだとか為だとか思ってないですぜ。
そうだろ、みんな」
いかつい海賊がレディに言って述べると他の海賊達も同調し出した。
「それよりも悪い知らせがあるから撤退したんだろ?」
「ああ、そうだ。
聞いてはいるだろうが、カルディアが生きていた。
それも魔人になってだが。
そして、彼女は新たな魔人王と成り代わった」
「そいつは本当なんだな?
前から魔人だった。
もしくは今、魔人のふりをしているって話じゃないのかい?」
「それについてはそこのアテナとミーニャが目撃していてね、説明してくれるかい?」
「いいわ。
あたしとミーニャだけが見たから、そのままを話すわね」
カルディアがドラキュリアに首筋を咬まれ、生気を失っていく様とそこに並んだ配下となった海賊のことをミーニャと共に交互に語った。
「アテナ達が見てきた事実とあたいが船長室で見つけた古文書を照らし合わせると合点がいくのさ。
眷属に咬まれた者は配下となり、魔人王に咬まれ血を与えられた者は同等の力を得るってね。
カルディアは血を吸われたと同時に血を与えられたと考えるのが妥当な線なわけさ。
そして、アテナの剣でドラキュリアを滅ぼし自らが魔人王となったのが今回の敗走に繋がった」
「よし。
そうなるとだ、これからオレ達はどうすべきか、その為に集まってもらったってことなんだが」
レディに代わり今後のことはクリスティアンが話を進めようと切り出した。
「あたしから言わせてもらっていいかしら?」
「どうぞ、アテナちゃん」
「カルディアが魔人だとしても生きてる以上は敵討ちって気持ちは無くなるわよね。
それで皆は戦えるのかしら?
それと、戦う必要はないと言っても多分この町から攻めてくるわよ?
しかも夜にね。
カルディアは自分の世界を創造し、人を統べる者となると言ってたから向こうから魔者を引き連れて来るのは間違いないわ。
それを踏まえて考えるのが無難だと思うの。
ちなみに、夜襲の理由は古文書に載ってたみたいだから詳しく知りたければレディに聞いてね」
海賊達のことだから逐一口を挟むだろうと思い、先に状況説明だけさせてもらった。
「他に何か、誰かいないか?
オレが思うに、頭なら手の内を知ってるここを襲い配下を増やすだろうな。
その後に他の街を襲い準備が整ったら公都を攻め落とすだろう。
そうなると、これはオレらだけの問題じゃなくなるってことだと思ってな、国に動いて貰おうと思うのだが、どうだ?」
クリスティアンの提案に皆が頭を抱えるのは当然のことだろうと見回すと、テティーアンが手を挙げた。
「私達は海賊だよ?
カルディアと戦う以前に私らが処刑になっちまうと思うんだが?」
「ま、バレたらそうだろうな。
ただし、裏を返せばそこを切り抜けられたら魔者との戦力差は埋まるとも言えるってことさ」
「どうやってさ」
「どうと言われてもな。
これから考えるしかないだろうさ、それでいくのであればだが。
どうだい?
乗りかかった船に乗ってみるってヤツはいるか?」
顔立ちからは想像を遥かに超えた頭の回転力を持った優男からの問いに、海賊達はちらほらと手を挙げ始めた。
「どうやら決まったようだね。
後はあたいとクリスティアンとで考えて見るよ。
今日はこれで解散にする。
みんなゆっくり休んでくれ」
レディの締めの言葉で続々と席を立ち海賊は部屋を出て行った。
海賊達の今後は委ねられた形で収まったが、あたしの今後は決まっておらず中々席を立てずにいると、レディの方から『後で部屋に行く』と言い残しこの場から出て行った。
疲労困憊の海賊達を少しでも休ませようと途中帆を上げ停泊させたからだったのだが、あたしは全く気づかず寝ていた。
「ミーニャ、ただいま」
「お帰りなさい、お嬢様。
怪我はありませんか?」
「ん、打ち身程度で特には大丈夫だったわよ」
船が町へ着くと出迎えの海賊に加え、ミーニャもしっかりと待っていてくれた。
「何とも良かったです。
魔人はどうされたんですか?」
「え?
あ、あーーーーーー、何と言うか……。
簡単に言えば逃げて来たわ」
「そうなんですね。
無事に帰って来れただけでも嬉しいです」
「でね、その話なんだけどさ。
これから海賊の人らと話し合いがあるんだけど、ミーニャも一緒に来て欲しいのよ」
「わ、私が?」
「そうなの。
魔人王が復活した時に一緒にいたからさ、その説明にちょっとね」
「なるほど。
それでしたらしっかりお話出来ますから大丈夫ですよ」
「助かるわ。
そしたら今から行きましょ。
テティーアンっ!
ミーニャも一緒に行くわ」
「お!
これはこれは。
貴女がアテナの連れのミーニャだね。
私はテティーアン。
よろしくね」
「ミーニャです。
よろしくお願いします」
ミーニャとテティーアンに並んで屋敷の部屋に向かう途中お互いの経緯を話し、今回のことを聞かせてあげた。
「カルディアさんが!?」
「そうなのよ。
まさかもいいところよね。
しかも、眷属まで操ってたんだから偽りがないのよね」
「本当に魔人なってしまったんですね。
それだと海賊の皆さんはこれから戦えないですし、どうするんですかね」
「そこよね。
こっちの手の内だって知ってるから攻めてくるならこの町からだと思うし。
ここまで来ちゃったら、あたしにはどうすることもってことなの。
さ、この奥で説明して頂戴ね」
隠れ家の部屋に並べられた席に着くと、見知った顔とそうでない顔と二十名ほどが部屋に入ってきた。
「いいかい、みんな。
まず先に今回のことで亡くなった奴らに冥福を述べる」
レディが一声発すると部屋は静まり、左胸に拳をあてがうと軽く目を閉じた。
「そして、みんなよく生き残ってくれた。
心から感謝する」
「よせやい、そんな畏まった言い方なんざ。
オレらは海賊だぜ?
自分の命が大事だから死なないようにしただけさ。
誰もレディやクリスティアンのせいだとか為だとか思ってないですぜ。
そうだろ、みんな」
いかつい海賊がレディに言って述べると他の海賊達も同調し出した。
「それよりも悪い知らせがあるから撤退したんだろ?」
「ああ、そうだ。
聞いてはいるだろうが、カルディアが生きていた。
それも魔人になってだが。
そして、彼女は新たな魔人王と成り代わった」
「そいつは本当なんだな?
前から魔人だった。
もしくは今、魔人のふりをしているって話じゃないのかい?」
「それについてはそこのアテナとミーニャが目撃していてね、説明してくれるかい?」
「いいわ。
あたしとミーニャだけが見たから、そのままを話すわね」
カルディアがドラキュリアに首筋を咬まれ、生気を失っていく様とそこに並んだ配下となった海賊のことをミーニャと共に交互に語った。
「アテナ達が見てきた事実とあたいが船長室で見つけた古文書を照らし合わせると合点がいくのさ。
眷属に咬まれた者は配下となり、魔人王に咬まれ血を与えられた者は同等の力を得るってね。
カルディアは血を吸われたと同時に血を与えられたと考えるのが妥当な線なわけさ。
そして、アテナの剣でドラキュリアを滅ぼし自らが魔人王となったのが今回の敗走に繋がった」
「よし。
そうなるとだ、これからオレ達はどうすべきか、その為に集まってもらったってことなんだが」
レディに代わり今後のことはクリスティアンが話を進めようと切り出した。
「あたしから言わせてもらっていいかしら?」
「どうぞ、アテナちゃん」
「カルディアが魔人だとしても生きてる以上は敵討ちって気持ちは無くなるわよね。
それで皆は戦えるのかしら?
それと、戦う必要はないと言っても多分この町から攻めてくるわよ?
しかも夜にね。
カルディアは自分の世界を創造し、人を統べる者となると言ってたから向こうから魔者を引き連れて来るのは間違いないわ。
それを踏まえて考えるのが無難だと思うの。
ちなみに、夜襲の理由は古文書に載ってたみたいだから詳しく知りたければレディに聞いてね」
海賊達のことだから逐一口を挟むだろうと思い、先に状況説明だけさせてもらった。
「他に何か、誰かいないか?
オレが思うに、頭なら手の内を知ってるここを襲い配下を増やすだろうな。
その後に他の街を襲い準備が整ったら公都を攻め落とすだろう。
そうなると、これはオレらだけの問題じゃなくなるってことだと思ってな、国に動いて貰おうと思うのだが、どうだ?」
クリスティアンの提案に皆が頭を抱えるのは当然のことだろうと見回すと、テティーアンが手を挙げた。
「私達は海賊だよ?
カルディアと戦う以前に私らが処刑になっちまうと思うんだが?」
「ま、バレたらそうだろうな。
ただし、裏を返せばそこを切り抜けられたら魔者との戦力差は埋まるとも言えるってことさ」
「どうやってさ」
「どうと言われてもな。
これから考えるしかないだろうさ、それでいくのであればだが。
どうだい?
乗りかかった船に乗ってみるってヤツはいるか?」
顔立ちからは想像を遥かに超えた頭の回転力を持った優男からの問いに、海賊達はちらほらと手を挙げ始めた。
「どうやら決まったようだね。
後はあたいとクリスティアンとで考えて見るよ。
今日はこれで解散にする。
みんなゆっくり休んでくれ」
レディの締めの言葉で続々と席を立ち海賊は部屋を出て行った。
海賊達の今後は委ねられた形で収まったが、あたしの今後は決まっておらず中々席を立てずにいると、レディの方から『後で部屋に行く』と言い残しこの場から出て行った。
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