水曜日の彼女

揣 仁希

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バイトと帰り道と金曜日

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「・・・で、心の友よ!いつ俺に女の子を紹介してくれるんだ?」
ジャイ○○かよ?お前は?
あれから以降、毎日僕はリョータに絡まれている。気持ちは分からなくもないが、ウザい。かなりウザい。
「あ~まぁ聞いてみないとわからないしね、ってかリョータも自分で探したらいいんじゃないの?」

「無理!気になる子にはすでにアタック済!もちろん撃沈済だ!」
無駄に胸を張ってサムズアップするリョータに溜息がでる。
はぁ~、とりあえず1回鈴羽に聞いてみるか・・・いや、どうでもいいか?
リョータに聞くだけ聞いてみることを一応約束し教室をでる。


「ありがとうございました~またお越しくださいませ~」
ふぅ、ピークは過ぎたかな、時計を見ると9時を少し回ってくらいだった。週末は結構忙しいんだよな。土日が休みだから金曜の夜はみんな遊びに出かけるしね。

「いらっしゃいませ~」
僕はそんなことを考えながらずいぶんと減ってしまったお弁当の棚を補充していた。

「あれ?確か・・・九条先輩の彼氏さん?」
そう声をかけられて振り向くとゆるいウエーブのかかったロングヘアに水色のワンピース、少しほわっとした感じの女の子が
こちらを見ていた。

誰だっけ?九条先輩ってことは・・・あっ!あの時の。
「えっと?・・・瀬尾さんでしたっけ?」
「わぁ覚えてくれてたんですね~うれしい~九条先輩にしか興味ないのかと」
危なかった、3択セーフ。以前会ったときはスーツ姿だったから全然わからなかったや。印象、結構変わるんだなぁ。

「ちゃんと覚えてますよ。今日は仕事休みですか?」
「杏奈ちゃんのとこに遊びに行く途中でお菓子でも買っていこうかなって思って」
お菓子が満載入ったカゴを見せてニコニコと笑っている。
「彼氏さんがここでバイトしてるって知ってたら杏奈ちゃんも連れてきたのになぁ~」
「いやいや、かんべんして下さい」
ほんと、マジでかんべんして下さい。

「立花く~ん、時間だからもう上がってもらっていいよ~お疲れさん」
「あっ、は~い、お疲れ様です。お先に失礼します」
ちょうど終わる時間か。
「じゃあ、彼氏さん、私はレジ行ってきますね」
「ありがとうございます。」


しばらくしてバイトが終わって出てきた僕を何故か瀬尾さんが待っていた。
「あれ?どうしたんですか?」
「彼氏さん、お疲れ様。せっかくだから杏奈ちゃんのとこに行くまでに彼氏さんといる時の九条先輩の話なんて聞きたいなぁ~と思って」

ああ、そっか。鈴羽の部下になるんだよな、この子は。仕事中の鈴羽ってどんな感じなんだろ?いつもビシッとしてるって言ってたけど。

「瀬尾さんはどっちに?僕は駅北だけど」
「私は車なんで駐車場までかな、じゃあそこまでご一緒で」
そうして僕と瀬尾さんは駐車場までちょっと話をしながら歩いていった。

「・・・意外。九条先輩って隙を見せないっていうか、いつもビシッと決まっててちょっと怖いイメージもあったんですよ?最近はなんだか柔らかくなりましたけど、彼氏さんのおかげですね」
やっぱクールな出来る女的なイメージなんだよな、鈴羽って。全然違うんだよな、多分話し方とかも。

「ふ~ん、僕といるときとは全然違うんだね、鈴羽は」
「そりゃそうですよ~彼氏さん優しそうですもん。そんなとこに九条先輩もコロッといったんじゃないかなぁ~」

そんな話をしているとあっという間に駐車場に到着した。そんなに遠くないからね。

「じゃあ、私はこれで、また!」
「うん、夏木さんにもよろしく。あっ、さっきの話は鈴羽には言わないでね。出来ればだけど」
「いっ言いませんよ~あの時だって翌日大変だったんですから・・・」
瀬尾さんは、遠い目をしながらなにやら思いだしたみたいで、ブルッと震えて手を振りながら駐車場に入っていった。


いったい翌日、なにがあったんだ?






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