51 / 369
使い魔達の喧騒2
しおりを挟む
保健室のベッドの中でニーナは自分の事を語り出した。
ニーナの実家は王家につながりの深い大商人で、彼女は小さい頃から魔法にはあまり精通しなくても良いと教えられてきたそうだ。商人だから商売に精通せよと言う事なのか。だがニーナは寡黙な子供ではあったが魔法に深く関心を持ち、魔法学院に通う事を両親に幾度も懇願した。それで両親も渋々魔法学院への入学を許可したそうだ。ちなみにエレンはニーナと親戚関係にあり、エレンと一緒ならと言う両家のやり取りもあって入寮も許可されている。
とりあえず鑑定してみようかしら。
そう思ってリリスはニーナの話を聞きながら鑑定スキルを発動させた。
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
秘匿領域
スキル:探知 レベル1(発動不可)
隠形 レベル1(発動不可)
罠解除 レベル1(発動不可)
暗視 レベル1(発動不可)
千里眼 レベル1(発動不可)
魔力吸引 レベル1(発動不可)
呪縛要素:商人の枷 ステージ1
商人の枷 ステージ2
商人の枷 ステージ3
**************
これって何?
あまりにも謎が多いわね。
ニーナのステータスに秘匿領域がある事自体が謎だ。
これって分析できる?
リリスは思わず鑑定スキルに問い掛けた。
『人為的にスキルや魔法の発動を制限されていますね。』
それってこの<商人の枷>の事?
『そうです。これは呪いに近いものですね。その為に魔力の回路そのものが閉塞気味です。』
商人の娘としての道を歩ませるためにこんな制限を掛けたのかしら?
そうだとしたら理不尽よねえ。
元々の魔力量もあるし、特殊なスキルを幾つも持っている。
覚醒すればそれなりの魔法の使い手になりそうだわ。
外せるものなら外してあげようかしら。でもそれってお節介なのかしら?
『いえ。お節介では無さそうです。』
それってどう言う意味?
『本人の持つ素養と枷の呪縛との間での軋轢が極度に高まっています。本人の元々の素養が高い上に呪縛の掛け方に無理があるようですね。』
『このまま放置するといずれ魔力の回路が絶たれてしまいます。』
それじゃあ放置できないじゃない。
何とかならないの?
『そもそも同じ呪縛を三重に掛けること自体が異常ですね。おそらく魔力誘導である程度まで枷を外せますよ。』
それなら外してあげようかしら。だって魔力の回路が絶たれちゃったら魔法学院に居られないわよ。
お節介な事とは思いながらリリスは行動に出た。ニーナの目を見つめて邪眼を発動させると、ニーナは視点が定まらなくなってしまった。
即座にリリスは魔力誘導を発動させ、朦朧としているニーナの身体に魔力の触手を撃ち込んだ。魔力の回路を辿っていくと、その流れを制限するような多数の障害物の存在を感じる。これが枷なのか? そうに違いない。
魔力の触手の先にヒールの波動を流しながら、魔力の回路を押し広げるように進んでいく。障害物を感じなくなるまで幾度となく繰り返す。邪眼の制限時間は5分間だ。その間に出来るだけ多くの障害物を取り除こう。
4分以上の間、リリスは魔力誘導を駆使した。その上で魔力の触手を解除して再度ニーナのステータスを鑑定すると、
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000+
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
スキル:探知 レベル1
隠形 レベル1
罠解除 レベル1
暗視 レベル1
千里眼 レベル1
秘匿領域
スキル:魔力吸引 レベル1
(阻害要素により発動不可)
呪縛要素:
商人の枷 ステージ1(残余20%)
商人の枷 ステージ2(無効化処置完了)
商人の枷 ステージ3(無効化処置完了)
**************
完全には枷を外せなかったものの、大半は取り除いたようだ。
これでどう?
『上出来ですね。まだ若干阻害要素として残っていますが、魔力回路に支障をきたすような枷は全て無効化されました。』
それなら良いわと思っているうちに、ニーナの意識が戻ってきた。それと共に顔色が良くなっている。魔力の流れが良くなったからだろう。
「あれっ? 私、今寝てたの?」
リリスに向けられたニーナの目にも力を感じる。
「疲れていたんじゃないの? それで体調はどうなの?」
「それが・・・・・」
ニーナは急にベッドから上半身を起こした。
「身体が熱くなってきたように感じるの。力が漲ってきたような・・・」
身体のあちらこちらを摩りながら、ニーナはリリスに笑顔を向けた。
「まだしばらく横になっていたら良いわよ。念のために保健の先生にも声を掛けておくから。」
そう言ってニーナを再びベッドに寝かしつけると、リリスは手を振って保健室を出て行こうとした。
「リリス、ありがとう。でも保健の先生が来なくても、次の授業には出るわね。何だかじっとして居られなくて・・・・・」
ニーナは満面の笑みでリリスを送り出した。
何時になく饒舌なニーナだ。枷が外れたからなのだろうか?
まあ、結果オーライよね。
そう思ってリリスは教室に戻っていった。
その後、放課後の多忙な生徒会の雑務を終えてリリスが学生寮に戻ると、何故かドアの向こうから複数の人の声が聞こえてくる。
また、殿下の使い魔が来ているのかしら?
そう思いながらドアを開けると、リリスの目の前には異様な光景が広がっていた。
ソファの上で幾つもの使い魔が絡み合いながら蠢いている。
2体のピクシーはユリアとタミアだ。小人はフィリップ王子の使い魔だが、ピクシーの下で踏みつけられている使い魔が居る。よく見るとノームだ。
農事を司る精霊・・・・・と言う事は、土魔法の絡みでチャーリーか?
「「「「リリス。お帰り!」」」」
一斉に4体の使い魔が言葉を発した。
「お帰りじゃないわよ。この状況は何事なの?」
リリスの言葉に真っ先に反応したのは赤い服装のピクシーだ。
「ストーカーを捕まえたのよ!」
そう言いながらタミアの使い魔のピクシーがノームを強く踏みつけた。
「痛いな! 誰がストーカーやねん!」
あっ、やっぱりチャーリーだ。
「だってあんた、いつも私達を付け回しているじゃないの。」
「それは君たちの監視が僕の使命やからね。」
ノームの言葉にブルーの衣装のピクシーが反応して大声をあげた。
「誰が監視対象なのよ!冗談じゃないわ!適当な理由を造って付きまとうのは止めなさいよ!」
ユリアもお怒りの様子だ。
「そんな事言うても、僕に使命を授けたのは創造神やからね。文句があったらそっちに言って。」
「あんた、創造神に会った事があるの?」
「・・・・・いや、無いけどね・・・」
「適当な事を言うんじゃないわよ!」
ピクシーとノームの諍いの傍らで小人が腕組みをして考え込んでいる。
「それで殿下はどうしたんですか?」
「ああ。」
そう言ってフィリップ王子の使い魔の小人が顔をあげた。
「僕はリースの地下神殿のダンジョンの事を君に話そうと思って来たんだ。それで部屋に入るとサラ君が倒れていて、ピクシーとノームが争っていて、しかもそれがすべて亜神の使い魔で・・・・・」
殿下も唖然としているのね。
うん?
サラ?
「そう言えばサラは?」
「ああ、亜神の使い魔が眠らせてしまったようだ。ピクシー達が器用にベッドに運び込んでいたよ。話の邪魔だからと言って・・・」
酷いわね。
サラも病み上がりなのに。
「そうそう。」
ノームを足蹴にしながらブルーの衣装のピクシーがこちらに顔を向けた。
「私達はリースの地下神殿のダンジョンの様子と感想をリリスに聞きに来たのよね。そうしたらこいつが居て・・・」
「あんたは何をしに来たのよ。私達よりも先にこの部屋に入っていたわよね。」
「僕はリリスに授けたスキルの感想を聞きに来ただけやないか。そしたら監視対象の君らが入ってきて・・・」
「「だから誰が監視対象なのよ!」」
「痛いって!」
2体のピクシーに踏みつけられたノームが悲鳴をあげて悶絶している。
だが踏みつけられて喜んでいるようにも見えるのは何故だろうか?
変態性が高そうな亜神だ。
「でも私はまだリースのダンジョンには行ったことが無いわよ。」
「そう言うと思って、映像を用意してきたのよ。今から見せてあげるわ。フィリップ!あんたも見るのよ!」
あっ、王子を呼び捨てにしちゃったわ。まあ、亜神だから人族の身分なんて気にしないでしょうけど。
ブルーの衣装のピクシーが手をかざすと、部屋の壁に映像が映し出された。
「映像の大きさは50インチ程度で良いかしらね。」
この世界にインチなんてない筈よ。私の記憶領域から吸い取った知識で話さないで欲しいわね。
そう思いつつもリリスは壁に鮮明に映し出された映像を見つめた。
ふと横を見るとフィリップ王子の使い魔の小人がソファの上で正座して眺めている。
何故に正座?
テレビの開局当時、モノクロのテレビの前で子供達が正座してテレビを見ている画像が思い出されたリリスである。
「フィリップ。あんたこの前このダンジョンの調査の為に冒険者を送り込んだでしょ?」
「ええ。腕利きの冒険者を雇って調査させましたね。Aランクの冒険者達です。」
「これはその時の映像よ。よく見ておきなさい。彼等の調査報告は聞いているだろうけど、映像で見るなんて滅多に無いでしょうからね。」
「はい!ありがたく見せていただきます!」
あらあら。
亜神の前では王子の立場も何も無いわね。
フィリップ王子とリリスが見つめる中、地下神殿のダンジョンの映像が始まった。
ニーナの実家は王家につながりの深い大商人で、彼女は小さい頃から魔法にはあまり精通しなくても良いと教えられてきたそうだ。商人だから商売に精通せよと言う事なのか。だがニーナは寡黙な子供ではあったが魔法に深く関心を持ち、魔法学院に通う事を両親に幾度も懇願した。それで両親も渋々魔法学院への入学を許可したそうだ。ちなみにエレンはニーナと親戚関係にあり、エレンと一緒ならと言う両家のやり取りもあって入寮も許可されている。
とりあえず鑑定してみようかしら。
そう思ってリリスはニーナの話を聞きながら鑑定スキルを発動させた。
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
秘匿領域
スキル:探知 レベル1(発動不可)
隠形 レベル1(発動不可)
罠解除 レベル1(発動不可)
暗視 レベル1(発動不可)
千里眼 レベル1(発動不可)
魔力吸引 レベル1(発動不可)
呪縛要素:商人の枷 ステージ1
商人の枷 ステージ2
商人の枷 ステージ3
**************
これって何?
あまりにも謎が多いわね。
ニーナのステータスに秘匿領域がある事自体が謎だ。
これって分析できる?
リリスは思わず鑑定スキルに問い掛けた。
『人為的にスキルや魔法の発動を制限されていますね。』
それってこの<商人の枷>の事?
『そうです。これは呪いに近いものですね。その為に魔力の回路そのものが閉塞気味です。』
商人の娘としての道を歩ませるためにこんな制限を掛けたのかしら?
そうだとしたら理不尽よねえ。
元々の魔力量もあるし、特殊なスキルを幾つも持っている。
覚醒すればそれなりの魔法の使い手になりそうだわ。
外せるものなら外してあげようかしら。でもそれってお節介なのかしら?
『いえ。お節介では無さそうです。』
それってどう言う意味?
『本人の持つ素養と枷の呪縛との間での軋轢が極度に高まっています。本人の元々の素養が高い上に呪縛の掛け方に無理があるようですね。』
『このまま放置するといずれ魔力の回路が絶たれてしまいます。』
それじゃあ放置できないじゃない。
何とかならないの?
『そもそも同じ呪縛を三重に掛けること自体が異常ですね。おそらく魔力誘導である程度まで枷を外せますよ。』
それなら外してあげようかしら。だって魔力の回路が絶たれちゃったら魔法学院に居られないわよ。
お節介な事とは思いながらリリスは行動に出た。ニーナの目を見つめて邪眼を発動させると、ニーナは視点が定まらなくなってしまった。
即座にリリスは魔力誘導を発動させ、朦朧としているニーナの身体に魔力の触手を撃ち込んだ。魔力の回路を辿っていくと、その流れを制限するような多数の障害物の存在を感じる。これが枷なのか? そうに違いない。
魔力の触手の先にヒールの波動を流しながら、魔力の回路を押し広げるように進んでいく。障害物を感じなくなるまで幾度となく繰り返す。邪眼の制限時間は5分間だ。その間に出来るだけ多くの障害物を取り除こう。
4分以上の間、リリスは魔力誘導を駆使した。その上で魔力の触手を解除して再度ニーナのステータスを鑑定すると、
**************
ニーナ・メル・ハーネスト
種族:人族 レベル10
年齢:13
体力:500
魔力:1000+
属性:火・水
魔法:ファイヤーボール レベル1
ウォータースプラッシュ レベル2
ウォーターカッター レベル2
スキル:探知 レベル1
隠形 レベル1
罠解除 レベル1
暗視 レベル1
千里眼 レベル1
秘匿領域
スキル:魔力吸引 レベル1
(阻害要素により発動不可)
呪縛要素:
商人の枷 ステージ1(残余20%)
商人の枷 ステージ2(無効化処置完了)
商人の枷 ステージ3(無効化処置完了)
**************
完全には枷を外せなかったものの、大半は取り除いたようだ。
これでどう?
『上出来ですね。まだ若干阻害要素として残っていますが、魔力回路に支障をきたすような枷は全て無効化されました。』
それなら良いわと思っているうちに、ニーナの意識が戻ってきた。それと共に顔色が良くなっている。魔力の流れが良くなったからだろう。
「あれっ? 私、今寝てたの?」
リリスに向けられたニーナの目にも力を感じる。
「疲れていたんじゃないの? それで体調はどうなの?」
「それが・・・・・」
ニーナは急にベッドから上半身を起こした。
「身体が熱くなってきたように感じるの。力が漲ってきたような・・・」
身体のあちらこちらを摩りながら、ニーナはリリスに笑顔を向けた。
「まだしばらく横になっていたら良いわよ。念のために保健の先生にも声を掛けておくから。」
そう言ってニーナを再びベッドに寝かしつけると、リリスは手を振って保健室を出て行こうとした。
「リリス、ありがとう。でも保健の先生が来なくても、次の授業には出るわね。何だかじっとして居られなくて・・・・・」
ニーナは満面の笑みでリリスを送り出した。
何時になく饒舌なニーナだ。枷が外れたからなのだろうか?
まあ、結果オーライよね。
そう思ってリリスは教室に戻っていった。
その後、放課後の多忙な生徒会の雑務を終えてリリスが学生寮に戻ると、何故かドアの向こうから複数の人の声が聞こえてくる。
また、殿下の使い魔が来ているのかしら?
そう思いながらドアを開けると、リリスの目の前には異様な光景が広がっていた。
ソファの上で幾つもの使い魔が絡み合いながら蠢いている。
2体のピクシーはユリアとタミアだ。小人はフィリップ王子の使い魔だが、ピクシーの下で踏みつけられている使い魔が居る。よく見るとノームだ。
農事を司る精霊・・・・・と言う事は、土魔法の絡みでチャーリーか?
「「「「リリス。お帰り!」」」」
一斉に4体の使い魔が言葉を発した。
「お帰りじゃないわよ。この状況は何事なの?」
リリスの言葉に真っ先に反応したのは赤い服装のピクシーだ。
「ストーカーを捕まえたのよ!」
そう言いながらタミアの使い魔のピクシーがノームを強く踏みつけた。
「痛いな! 誰がストーカーやねん!」
あっ、やっぱりチャーリーだ。
「だってあんた、いつも私達を付け回しているじゃないの。」
「それは君たちの監視が僕の使命やからね。」
ノームの言葉にブルーの衣装のピクシーが反応して大声をあげた。
「誰が監視対象なのよ!冗談じゃないわ!適当な理由を造って付きまとうのは止めなさいよ!」
ユリアもお怒りの様子だ。
「そんな事言うても、僕に使命を授けたのは創造神やからね。文句があったらそっちに言って。」
「あんた、創造神に会った事があるの?」
「・・・・・いや、無いけどね・・・」
「適当な事を言うんじゃないわよ!」
ピクシーとノームの諍いの傍らで小人が腕組みをして考え込んでいる。
「それで殿下はどうしたんですか?」
「ああ。」
そう言ってフィリップ王子の使い魔の小人が顔をあげた。
「僕はリースの地下神殿のダンジョンの事を君に話そうと思って来たんだ。それで部屋に入るとサラ君が倒れていて、ピクシーとノームが争っていて、しかもそれがすべて亜神の使い魔で・・・・・」
殿下も唖然としているのね。
うん?
サラ?
「そう言えばサラは?」
「ああ、亜神の使い魔が眠らせてしまったようだ。ピクシー達が器用にベッドに運び込んでいたよ。話の邪魔だからと言って・・・」
酷いわね。
サラも病み上がりなのに。
「そうそう。」
ノームを足蹴にしながらブルーの衣装のピクシーがこちらに顔を向けた。
「私達はリースの地下神殿のダンジョンの様子と感想をリリスに聞きに来たのよね。そうしたらこいつが居て・・・」
「あんたは何をしに来たのよ。私達よりも先にこの部屋に入っていたわよね。」
「僕はリリスに授けたスキルの感想を聞きに来ただけやないか。そしたら監視対象の君らが入ってきて・・・」
「「だから誰が監視対象なのよ!」」
「痛いって!」
2体のピクシーに踏みつけられたノームが悲鳴をあげて悶絶している。
だが踏みつけられて喜んでいるようにも見えるのは何故だろうか?
変態性が高そうな亜神だ。
「でも私はまだリースのダンジョンには行ったことが無いわよ。」
「そう言うと思って、映像を用意してきたのよ。今から見せてあげるわ。フィリップ!あんたも見るのよ!」
あっ、王子を呼び捨てにしちゃったわ。まあ、亜神だから人族の身分なんて気にしないでしょうけど。
ブルーの衣装のピクシーが手をかざすと、部屋の壁に映像が映し出された。
「映像の大きさは50インチ程度で良いかしらね。」
この世界にインチなんてない筈よ。私の記憶領域から吸い取った知識で話さないで欲しいわね。
そう思いつつもリリスは壁に鮮明に映し出された映像を見つめた。
ふと横を見るとフィリップ王子の使い魔の小人がソファの上で正座して眺めている。
何故に正座?
テレビの開局当時、モノクロのテレビの前で子供達が正座してテレビを見ている画像が思い出されたリリスである。
「フィリップ。あんたこの前このダンジョンの調査の為に冒険者を送り込んだでしょ?」
「ええ。腕利きの冒険者を雇って調査させましたね。Aランクの冒険者達です。」
「これはその時の映像よ。よく見ておきなさい。彼等の調査報告は聞いているだろうけど、映像で見るなんて滅多に無いでしょうからね。」
「はい!ありがたく見せていただきます!」
あらあら。
亜神の前では王子の立場も何も無いわね。
フィリップ王子とリリスが見つめる中、地下神殿のダンジョンの映像が始まった。
40
あなたにおすすめの小説
異世界転生した女子高校生は辺境伯令嬢になりましたが
初
ファンタジー
車に轢かれそうだった少女を庇って死んだ女性主人公、優華は異世界の辺境伯の三女、ミュカナとして転生する。ミュカナはこのスキルや魔法、剣のありふれた異世界で多くの仲間と出会う。そんなミュカナの異世界生活はどうなるのか。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
天才魔導医の弟子~転生ナースの戦場カルテ~
けろ
ファンタジー
【完結済み】
仕事に生きたベテランナース、異世界で10歳の少女に!?
過労で倒れた先に待っていたのは、魔法と剣、そして規格外の医療が交差する世界だった――。
救急救命の現場で十数年。ベテラン看護師の天木弓束(あまき ゆづか)は、人手不足と激務に心身をすり減らす毎日を送っていた。仕事に全てを捧げるあまり、プライベートは二の次。周囲からの期待もプレッシャーに感じながら、それでも人の命を救うことだけを使命としていた。
しかし、ある日、謎の少女を救えなかったショックで意識を失い、目覚めた場所は……中世ヨーロッパのような異世界の路地裏!? しかも、姿は10歳の少女に若返っていた。
記憶も曖昧なまま、絶望の淵に立たされた弓束。しかし、彼女が唯一失っていなかったもの――それは、現代日本で培った高度な医療知識と技術だった。
偶然出会った獣人冒険者の重度の骨折を、その知識で的確に応急処置したことで、弓束の運命は大きく動き出す。
彼女の異質な才能を見抜いたのは、誰もがその実力を認めながらも距離を置く、孤高の天才魔導医ギルベルトだった。
「お前、弟子になれ。俺の研究の、良い材料になりそうだ」
強引な天才に拾われた弓束は、魔法が存在するこの世界の「医療」が、自分の知るものとは全く違うことに驚愕する。
「菌?感染症?何の話だ?」
滅菌の概念すらない遅れた世界で、弓束の現代知識はまさにチート級!
しかし、そんな彼女の常識をさらに覆すのが、師ギルベルトの存在だった。彼が操る、生命の根幹『魔力回路』に干渉する神業のような治療魔法。その理論は、弓束が知る医学の歴史を遥かに超越していた。
規格外の弟子と、人外の師匠。
二人の出会いは、やがて異世界の医療を根底から覆し、多くの命を救う奇跡の始まりとなる。
これは、神のいない手術室で命と向き合い続けた一人の看護師が、新たな世界で自らの知識と魔法を武器に、再び「救う」ことの意味を見つけていく物語。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る
伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。
それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。
兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。
何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。
異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~
存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?!
はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?!
火・金・日、投稿予定
投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる