落ちこぼれ子女の奮闘記

木島廉

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魔剣に込められた思い

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ローラが空間魔法によって造り上げた仮想空間。

その中で展開されていた映像は、魔剣キングマークスの過去の戦歴なのだろうか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔族の大軍団と人族や獣人達の混成軍との戦い。

それは熾烈極まりないものだった。
何よりも魔族軍からの攻撃の物量が凄まじい。

大量の火球が寸断無く撃ち込まれ、張り巡らされたシールドが幾たびも破壊される。
そのタイミングで従魔達がサンダーボルトを大量に放ち、上空からは召喚獣のワイバーンがブレスを放ってきた。
魔族軍の中には突出した魔法の技量を持つ者もいて、時折放たれてくる巨大な火球はその威力が強大だ。

混成軍も反撃するが、その戦局はどう見ても劣勢だ。
既に混成軍の犠牲者は1000人近くになっている。

その困難な状況の中、勇者レッドは唇を嚙み締め気持ちを奮い立たせた。
近くに居た魔導士とヒーラーを傍に呼び寄せ、ヒーラーから大量の魔力を供給してもらいながら、魔導士と連携して大技を繰り出そうとしている。

勇者レッドの身体が明るく光りを放つと同時に、振り上げた魔剣キングマークスが光の剣となって上空にまで伸び上がる。
同時に魔導士が大量の魔法陣を上空に出現させた。
その魔法陣の一つに魔剣キングマークスからの光が吸い込まれると、天空を埋め尽くすほどの魔法陣から地上に向けて激しい雷撃が豪雨のように降り注いだ。

バリバリバリバリバリッと言う雷鳴と幾重にも重なりあった眩い稲光で、混成軍の前方が真っ白になってしまった。

ここで勇者レッドは更に追撃を加える。

ヒーラーから再度魔力の供給を受け、稲光を放つ魔剣キングマークスを横に振り回す。
その魔剣から大量に放たれた強烈なサンダーボルトが、前方に広角度で広がり相互に干渉し、地面を嘗め尽くす様に埋め尽くしていった。

その直後に魔導士も追撃を開始した。

魔導士が放った10本のファイヤーストームが縦横無尽に動き回り、あらゆるものを焼き尽くしていく。

さすがに魔族軍からの反撃も止まってしまった。

ほどなく炎熱と稲光が収まると、混成軍の目の前には朽ち果てた魔族軍の遺骸が累々と横たわっていた。
だがそれでもまだ生き残っている者が居る。

魔族軍の屍の間から数十体の召喚獣が出現し、混成軍に襲い掛かってきた。
更に100本以上の火球が遠方から放たれてくる。

戦いはまだ終わらない。

まだ終わらないのか?
何処まで戦えば良いのだ?
混成軍の戦士達の思いが交錯する。

ヒーラーは持てる魔力を振り絞ってエリアヒールを掛け、その上に個別に高度なヒールを掛ける事で、疲労困憊した勇者レッドやその仲間を再生させた。

漲る気力に奮い立つ勇者レッド。

既に戦局は混成軍が優勢だ。

勇者レッドは再度号令を掛け、混成軍を進軍させた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


映像が徐々に薄れ、暗転していく中、暗闇の中から微かな声が聞こえてきた。

「紗季、俺の相棒キングマークスを修復してくれてありがとう。」

その微かな声にリリスは胸が熱くなった。

ローラ女王が空間魔法で造り上げた仮想空間が消えていく。
だが薄っすらと謁見の間の床が見えてきたその時、突然リリスの足首がじんじんと熱くなり、異世界通行手形が発動してしまった。

ええっ!
どうしてこのタイミングで発動するのよ!

リリスの目に薄っすらと見えていた謁見の間の光景が、幻のように再び暗転していく。
軽い眩暈がして目を閉じていると、どこかに転送されているような体感がある。
不安で動揺するリリスの視界に小さな灯りが見えてきた。
どことなく懐かしいようなその灯りは徐々に近づき、カッと大きく光を放って視界を遮った。

その光が落ち着くと、リリスの目の前にはあの喫茶店の店内の光景が広がっていた。
少し薄暗い照明、仄かに漂ってくる珈琲の香り、アンティーク調の家具や調度品。
店の奥から小さな音量でジャズが流れてくる。

またここに来ちゃったの?

躊躇いながらカウンターに近付くと、マスターと赤いワンピースを着た少女が笑顔で出迎えてくれた。

「また会えたわね、お姉ちゃん。」

嬉しそうな表情の少女の傍で、マスターがグラスを拭きながら口を開いた。

「お連れ様がお待ちだよ。まあ、二人ともこの世界の出身者だから、僕としても大歓迎だけどね。」

うん?
どう言う事?

意味が分からず店内を見回すと、奥のテーブルに顔見知りの男女が座って珈琲を飲んでいた。

一人はマキだ。

もう一人は20代後半の男性だが、こちらに向けた顔つきと気配でそれが勇者レッドだと気が付いた。

どうして勇者レッドがここに居るのよ。
確かに地球からの転移者だけど・・・。

状況を把握出来ないまま、リリスはそのテーブルの椅子に腰を降ろした。

「なかなか良い店だね。ここは紗季のお気に入りの店なのか?」

「まあ、そう言う事じゃないんだけどね。」

そうとしか答えようがない。

「それでどうしてあんたがここに居るのよ?」

リリスの言葉に勇者レッドは少し首を傾げた。

「それが俺にも分からないんだ。覇竜の加護のお陰で多少実体化出来たから、紗季と久し振りに話が出来れば良いと思っていたんだけど、それがお前の持つスキルの発動を促したのか?」

「う~ん。その程度の事で発動するとは思えないんだけどね。ただ、このスキルは私にも全貌が把握出来ていないから、どう言う動きをするのか予測がつかないのよ。」

リリスはそう言いながら、隣に座っているマキにすまなそうな表情を向けた。

「ごめんね。マキちゃんまで巻き込んじゃったわね。」

「ああ、私の事は良いんですよ。それに勇者レッドさんが紗季さんの友達だったって聞いて驚きましたよ。」

「まあ、友達って言うか、近所に住んでいた幼馴染なのよね。中学の入学式の直前に失踪しちゃって、町中大騒ぎになっちゃったわよ。」

リリスの言葉に勇者レッドはうんうんと頷いた。

「俺もまさか異世界に召喚されるとは思わなかったからな。」

勇者レッドはそう言うと珈琲を一口飲み、カップを置いてリリスに話し掛けた。

「そう言えば、紗季。お前って俺があげたスキルを使わなかったんだな。」

勇者レッドの言葉にリリスは自分の記憶を巡らせた。
確かに中途半端な身体強化スキルを貰った記憶がある。

「あれって中途半端なんだもの。使い勝手が悪いから、覇竜の加護が統合しちゃったと思うけど。」

リリスの言葉に勇者レッドは不満そうな表情を見せた。

「そうなんだよな。キングドレイクの爺さんも中途半端なスキルだって言ってたよ。でもそれって覇竜の視点から見ればそうなんだろうが、人族としてはそれなりに使えるスキルだと思うぞ。」

そう言うと、勇者レッドはふっとため息をついた。

「まあ、紗季にそれを言っても仕方が無いよな。お前は既に人族のレベルを超えちゃっているようだし・・・」

「魔剣に残されていた記憶を映像化して見ただろうけど、お前が俺の立場ならあの魔族の大軍団を前にして、どうやって戦う?」

急に話しを振られてリリスは考え込んだ。
あれだけの物量の敵を前にして、単独では立ち向かえない。

「私の分担としては溶岩流を発動させて、ある程度の数を削っていく事になるでしょうね。あとは闇を使って広範囲の敵を魔素に分解していく。闇のオーブがあれば、スイーパーとして活用させると一気に殲滅出来るけどね。」

「それとは別に、魔力でキングドレイクさんを数分間実体化させて、ブレスを吐きまくる手もアリだけど・・・」

リリスの言葉に勇者レッドは呆れたような表情を見せた。

「お前に聞いたのが間違いだったかも知れん。今のお前から見れば、俺ですら雑魚なんだろうな。」

「そんな風に卑下しないでよ。あんたはあんたであの時代に、数えきれないほどの人族や獣人達を守ってきたんだから。」

リリスはそう言いながら、勇者レッドの手の上に自分の手を添えた。

「まあ、そう言ってもらえると嬉しいよ。俺だってあの当時、大陸全体が魔族に支配されるのを阻む事に必死だったんだ。」

勇者レッドの言葉にリリスは目を細め、うんうんと笑顔で頷いた。

マスターがテーブルに近付き、リリスの目の前に淹れたての珈琲を運んできた。
その馥郁とした香りがリリスの鼻をくすぐる。

その珈琲を一口飲むと、マスターはリリスに向けてにこやかに話し掛けた。

「君達がこの時空の歪に舞い込んだのは偶然ではなさそうだね。異世界に召喚された者同士が元の世界で、元々つながりを持っていたから、相互の思念の交錯がスキルの発動に関与したのだろう。もちろんこれは稀有な事例ではあるけどね。」

「あと数分はこの状態を維持出来そうだから、心置きなく話をしておきなさい。」

マスターはそう言いながらカウンターに戻って行った。
その傍で少女が笑顔で頷いている。

3人はそれぞれの召喚時の事や現状を話しながら時間を過ごした。

そして数分後、少女がテーブルに近付いてきた。

「お姉ちゃん。そろそろお別れの時間だね。また遠慮なくここに来てよ。」

そう言って少女が手を上にあげると、リリスの周囲の光景が薄れてきた。

「元の世界に戻った時の時空のズレは僅かだから、気にしないでね。そちらの世界に生じる時空の歪はアルバ様が修復してくれるって言ってたわ。」

薄れゆく喫茶店の光景の中で、マスターと少女が手を振っていた。

暗転する光景が元に戻ると、リリスとマキは謁見の間に立っていた。
マキの様子を見ると何があったのか良く分からないような表情だ。

そのリリスの傍にユリアスが走り寄ってきた。

「リリス、大丈夫か? 時空の歪に迷い込んでしまったと聞いたぞ。」

えっ?
どうしてそれを知っているの?

「聞いたって誰からですか?」

「ああ、アルバ殿だよ。ほらっ、そこに・・・」

ユリアスの指し示す方に目を向けると、タキシードを着たコオロギが空中に浮かんでいた。
間違いなくアルバの使い魔だ。

「アルバ様。こんなところでどうしたんですか?」

コオロギはリリスの言葉にフンッと鼻息を吐いた。

「どうしたもこうもあるまい。お前が生じさせた時空の歪を修復する為に来たんだよ。何もせずに放置しているとロキがうるさいのでな。」

「それは申し訳ないと思うんですが、それにしても王城の謁見の間に、しかもローラ女王様の目の前に現われるなんて・・・」

そう言いながら周囲を見回すと、リリスはウッと唸ってその状況を把握した。
マキとユリアス以外の人物の動きが全て停止している。

アルバは時空を少しの間、停止させてしまったようだ。
ユリアスとは面識があるので停止させなかったのだろう。

「まあ、生じた時空の歪は僅かだから気にするな。既に修復済みだ。時空のズレも5分程度で収まったからな。」

そう言うとコオロギは手を振りながら舞い上がり、そのまま消えていった。

その次の瞬間、周囲の人々が動き出し、何事もなかったかのように話し始めた。
その様子に戸惑うマキに、リリスは小声で囁いた。

「マキちゃん。何事も無かったかのように振舞うのよ。良いわね。」

リリスの言葉にマキは無言で頷いた。

ローラ女王は振り上げていた魔剣キングマークスを、執務官が運んできたテーブルの上に降ろした。

「凄いものを見せられましたね。リリス様、あれは魔剣の中に残っていた記憶なのでしょうか?」

ローラ女王の言葉にリリスはどう表現すべきか迷い、う~んと唸って少し考え込んだ。
その横からマキが口を開いた。

「女王様。私の聖剣に宿る剣聖アリアが教えてくれたのですが、魔剣キングマークスは久し振りに善王の所有となって、大変喜んでいるのだそうです。」

「ほうっ! そうなのですか?」

ローラ女王の言葉にマキは強く頷いた。

「アリアの話によると、魔剣キングマークスには小さな剣聖が宿っていたのだそうです。今は消滅してしまって、それ故に本来の雷属性まで失われていたと言う事です。それで女王様がよろしければ、アリアが自分の小さな分身をキングマークスに宿らせると言っています。女王様の治世の間だけになりますが、それでもよろしければと。」

「それはありがたい。是非お願いしたい。」

ローラ女王は嬉しそうに答えた。
マキはその返答を受けてアリアとの交信を始めた。
マキの身体が仄かに光り始める。
そのマキの頭頂部から一筋の光が魔剣キングマークスに向かい、その剣身に吸い込まれていった。

「女王様。もう一度キングマークスの柄を握り、魔力を流してみてください。」

マキに言われるまま、ローラ女王は魔剣の柄を握り魔力を流し込んだ。
魔力を循環させるとローラ女王の顔に驚きの表情が現われた。

「これは・・・凄い。まるで私の姉妹のような繋がりと信頼感が伝わってくる。実に頼もしい!」

「マキ様。そして剣聖アリア様に感謝しますぞ。」

ローラ女王は嬉々とした表情で魔剣をテーブルに戻した。

その後女王は賢者達と少しの間歓談し、奉呈式は無事に終了した。
賢者達がそれぞれ転移していく中、ゴート族の賢者リクードがジーナに呼び止められていた。

呼び止められて怪訝そうな表情のリクードに、ジーナは話を始めた。

「実は我が国内の商人や貴族から、オアシス都市との交易を望む声が多くあるのです。その手助けをリクード様にお願い出来ないかと思いまして。」

ジーナの言葉にリクードはその穏やかな笑顔を取り戻した。

「それなら私がイオニアの管理官に話をしてあげましょう。とりあえず転移ルートの開設が出来れば良いのですな?」

「はい、それで結構です。最初は小さなルートでも、交易の規模が大きくなってくれば、いずれは転移門の設置も視野に入れますので、よろしくお願いします。」

ジーナの言葉にリクードはうんうんと頷いた。

そのやり取りを聞きながら、マキがリリスの傍ににじり寄ってきた。

「ねえ、リリスちゃんはイオニアに何度も行ったことがあるわよね? 私も連れて行ってくれないかな?」

「えっ? イオニアに行きたいの?」

「うん、ゴート族の民族衣装を手に入れたいのよ。仮装ダンスパーティも近いからね。」

うっ!
ゴート族の民族衣装で仮装ダンスパーティに参加するつもりなの?
マキちゃんったら毎回コスプレ感覚なんだから・・・。

リリスは内心呆れながら、嬉しそうに話すマキに話しを合わせていたのだった。










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