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第六章 国家軍組織ベルトア
囲まれる二人
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ウォックは御者の男にニルを払い、ヴェノルに服のフードを頭に被せると軽々と背負って馬車から降りる。
それに続く様にマッドとティミーも降り、御者の男にお礼を言うと、馬車は来た道を引き返し、その姿は段々と小さくなっていく。
降り立った瞬間、日差しが容赦無く照りつけマッドとティミーは一気に汗が吹き出すのを感じた。
「やっべぇ! 何だこの暑さ! さっきよりも暑いぞ!?」
「ひ、干からびちゃう......暑い、袖捲ろうかな......」
茹だるような暑さに耐え兼ねたのか、ティミーは腕を捲ろうとするも、ウォックが慌てて静止した。
「待て、砂漠で肌を晒したら火傷するぞ」
「えぇっ、どうして?」
「ユーラス大陸と違って日差しがかなり強いんだ。熱気でじわじわと肌が火傷していくぞ」
「うっ......それは嫌だ」
ウォックに止められ、ティミーは小さく息を吐きながら袖を捲るのを諦めた。
しかし、この暑さは耐えられそうに無い。
「なぁ、さっさと建物の中に入ろうぜ。ヴェイトって人に会えれば良いんだろ?」
「あぁ、そうだが......。確か軍病院はこの軍基地とは少し離れた所に」
「じゃあさっさと行こうぜ! その辺の奴らみんな長袖着てても涼しそうだし、きっと建物の中は涼しいに違いねぇ! こんな暑さゴメンだぜ!」
「賛成! 早く行こう!」
「あっ、ちょっと待てお前ら!」
ウォックの静止を振り切り、マッドとティミーは涼しさを求めて目の前にそびえ立つ建物を目指して走り出した。
敷地内に入り建物に近付くにつれて、段々と涼しさを感じられた。
建物の空気が外に流れ出ているのだろうか。
そんな事はどうでも良く、マッドとティミーは広い敷地をひたすら走り、建物の扉に手を伸ばす。
マッドは大きなドアを乱暴に開き、そのままの勢いで建物の中に入り込んだ。
「はぁ~! 涼しい~!!」
建物の中に入った瞬間、冷気が身体を包み込み、マッドは思わず深呼吸をする。
その後を追うように、ティミーも建物の中に入ると、力無く座り込み、何処かホッとした表情を見せた。
「ふぅ......涼しいねマッド」
「あぁ。生き返ったぜ......」
そのまま入り口でのんびりしているも束の間、周りからとてつも無い視線を感じ、マッドとティミーは辺りを見回す。
辺りには軍服を来た軍人達が顔をしかめつつ、マッドとティミーを見ている。
どうやら視線は周りの軍人達のもので、マッドとティミーはただならぬ雰囲気に背筋に冷や汗が流れるのを感じた。
「あっ......えっと、こんにちは......」
「え、えへへ、お邪魔してます」
マッドとティミーは空笑いしながらも、徐々に入り口の方へと下がろうとする。
足を動かした瞬間、目の前にいた男の軍人が声を上げた。
「侵入者発見!! 総員、侵入者を拘束せよ!!」
軍人が叫ぶと同時に警報が鳴り響き、余りの煩さにマッドとティミーは耳を押さえた。
「うわっ、何だよコレ!?」
「ご、ごめんなさい、私達、泥棒なんかじゃ」
「問答無用だ、捕まえろ!」
周りにいた軍人達は一斉にマッドとティミーに向かって襲い掛かった。
マッドは慌ててティミーの手を引き、外へと飛び出す。
しかし、外にいた軍人達が既に此方に向かって来ていて、前後を囲まれてマッドとティミーは行き場を失ってしまった。
「やっべぇ......こうなったら」
マッドは剣を抜き、ティミーを庇うようにして目の前にいる軍人を威嚇するかのように睨み付ける。
しかし、ティミーは震えながらマッドの肩を叩いた。
「マッド、どうしよう......囲まれちゃった」
「どうするもこうするも、コイツら蹴散らすしかねぇだろ」
マッドがジリジリと目の前にいる軍人に剣を振り下ろそうと様子を伺っていると、突如乾いた音と同時にマッドとティミーの頬に何かが掠った感じがした。
ふと掠った場所に目線を向けると、頬から血が流れていて、マッドは音がした方へ視線を向ける。
「ったく、うるせぇな。何事だ騒々しい」
視線を向けた先に、大型の銃を構えた人物がいた。
白衣を身につけ、青緑色の髪から覗き込む赤い瞳を細めた目付きの悪い男性が、此方を睨んでいる。
周りの軍人達とは服装があからさまに違い、マッドとティミーは警戒した。
「てめぇがコイツらのボスか?」
「ボス? まぁ地位的に言ったらそうなのかもしれねぇが、こんな弱い軍人の奴らと一緒にすんじゃねぇよ。てめぇら、一般人だな? 軍の本部に侵入して、何が目的だ」
白衣を着た男は大型銃を構え、マッドとティミーを睨み付ける。
マッドはティミーを庇うように立ち、剣先を男に向けた。
「俺達は病人を連れて来たんだ。それと、会いたい奴がいる。やろうってんなら相手になるぜ」
「へぇ? 病人が何処にいんだよ。嘘ついてんじゃねぇぞこのガキ!」
「今だ! 空撃破!」
マッドは白衣の男に向けて凄まじい勢いで剣を振り下ろす。
しかし男はそれを銃で受け止め、そのまま体重をかけつつマッドの剣ごと押し返した。
「くっ......」
「ホラホラどうしたよ? 威勢が良いのは口だけか?」
そのままマッドの腹を目掛けて蹴りを入れると、マッドはティミーのいる場所まで吹っ飛ばされてしまった。
「マッド! 大丈夫!?」
「ぐっ......畜生っ」
マッドはフラフラと立ち上がり体制を治すも、男はニヤリと笑いそのままマッドとティミーを見下ろすように睨みつける。
「ここはガキが遊びに来る場所じゃねぇんだよ。さっさと帰りやがれ!」
男が叫ぶと同時に、凄まじい風の刃がマッド達を目掛けて襲い掛かって来る。
風属性の陽術だとマッドは直感したが、結界を張れない為剣で受け止めるしか無い。
マッドが剣を持ちティミーを庇うように身構えると、マッドと風の刃の間に何かが入り込み、大きな爆発音と同時に当たりに砂埃が舞った。
「うっ、何だ......!?」
マッドが辺りを見回すと、目の前にヴェノルを背負ったウォックが立っていた。
「全く、待てって言っただろ」
「ウォック!」
間に入ったのはウォックだったようで、どうやら瞬時に結界を張り風の刃を防いでくれた様だ。
「サンキューウォック!」
「サンキュー、じゃねぇよ! 先に行くなって言っただろ!」
そのままウォックはマッドの頭を殴り、冷ややかにマッドを見下ろす。
少し反省したのか、マッドとティミーは大人しくウォックに謝り、ウォックは小さく溜息を吐いた。
「全く。よりによって会いたくも無い不良軍医に会っちまったし......」
ウォックは嫌そうに白衣の男を見ると、男は口元を上げ銃を肩に背負いウォックを睨む様に視線を向けた。
「随分なご挨拶じゃねぇかよウォック。そんな人間のガキ共を連れてよ」
「行く前に兄さんから連絡した筈だが。来るって分かっていただろう、ベルス」
それに続く様にマッドとティミーも降り、御者の男にお礼を言うと、馬車は来た道を引き返し、その姿は段々と小さくなっていく。
降り立った瞬間、日差しが容赦無く照りつけマッドとティミーは一気に汗が吹き出すのを感じた。
「やっべぇ! 何だこの暑さ! さっきよりも暑いぞ!?」
「ひ、干からびちゃう......暑い、袖捲ろうかな......」
茹だるような暑さに耐え兼ねたのか、ティミーは腕を捲ろうとするも、ウォックが慌てて静止した。
「待て、砂漠で肌を晒したら火傷するぞ」
「えぇっ、どうして?」
「ユーラス大陸と違って日差しがかなり強いんだ。熱気でじわじわと肌が火傷していくぞ」
「うっ......それは嫌だ」
ウォックに止められ、ティミーは小さく息を吐きながら袖を捲るのを諦めた。
しかし、この暑さは耐えられそうに無い。
「なぁ、さっさと建物の中に入ろうぜ。ヴェイトって人に会えれば良いんだろ?」
「あぁ、そうだが......。確か軍病院はこの軍基地とは少し離れた所に」
「じゃあさっさと行こうぜ! その辺の奴らみんな長袖着てても涼しそうだし、きっと建物の中は涼しいに違いねぇ! こんな暑さゴメンだぜ!」
「賛成! 早く行こう!」
「あっ、ちょっと待てお前ら!」
ウォックの静止を振り切り、マッドとティミーは涼しさを求めて目の前にそびえ立つ建物を目指して走り出した。
敷地内に入り建物に近付くにつれて、段々と涼しさを感じられた。
建物の空気が外に流れ出ているのだろうか。
そんな事はどうでも良く、マッドとティミーは広い敷地をひたすら走り、建物の扉に手を伸ばす。
マッドは大きなドアを乱暴に開き、そのままの勢いで建物の中に入り込んだ。
「はぁ~! 涼しい~!!」
建物の中に入った瞬間、冷気が身体を包み込み、マッドは思わず深呼吸をする。
その後を追うように、ティミーも建物の中に入ると、力無く座り込み、何処かホッとした表情を見せた。
「ふぅ......涼しいねマッド」
「あぁ。生き返ったぜ......」
そのまま入り口でのんびりしているも束の間、周りからとてつも無い視線を感じ、マッドとティミーは辺りを見回す。
辺りには軍服を来た軍人達が顔をしかめつつ、マッドとティミーを見ている。
どうやら視線は周りの軍人達のもので、マッドとティミーはただならぬ雰囲気に背筋に冷や汗が流れるのを感じた。
「あっ......えっと、こんにちは......」
「え、えへへ、お邪魔してます」
マッドとティミーは空笑いしながらも、徐々に入り口の方へと下がろうとする。
足を動かした瞬間、目の前にいた男の軍人が声を上げた。
「侵入者発見!! 総員、侵入者を拘束せよ!!」
軍人が叫ぶと同時に警報が鳴り響き、余りの煩さにマッドとティミーは耳を押さえた。
「うわっ、何だよコレ!?」
「ご、ごめんなさい、私達、泥棒なんかじゃ」
「問答無用だ、捕まえろ!」
周りにいた軍人達は一斉にマッドとティミーに向かって襲い掛かった。
マッドは慌ててティミーの手を引き、外へと飛び出す。
しかし、外にいた軍人達が既に此方に向かって来ていて、前後を囲まれてマッドとティミーは行き場を失ってしまった。
「やっべぇ......こうなったら」
マッドは剣を抜き、ティミーを庇うようにして目の前にいる軍人を威嚇するかのように睨み付ける。
しかし、ティミーは震えながらマッドの肩を叩いた。
「マッド、どうしよう......囲まれちゃった」
「どうするもこうするも、コイツら蹴散らすしかねぇだろ」
マッドがジリジリと目の前にいる軍人に剣を振り下ろそうと様子を伺っていると、突如乾いた音と同時にマッドとティミーの頬に何かが掠った感じがした。
ふと掠った場所に目線を向けると、頬から血が流れていて、マッドは音がした方へ視線を向ける。
「ったく、うるせぇな。何事だ騒々しい」
視線を向けた先に、大型の銃を構えた人物がいた。
白衣を身につけ、青緑色の髪から覗き込む赤い瞳を細めた目付きの悪い男性が、此方を睨んでいる。
周りの軍人達とは服装があからさまに違い、マッドとティミーは警戒した。
「てめぇがコイツらのボスか?」
「ボス? まぁ地位的に言ったらそうなのかもしれねぇが、こんな弱い軍人の奴らと一緒にすんじゃねぇよ。てめぇら、一般人だな? 軍の本部に侵入して、何が目的だ」
白衣を着た男は大型銃を構え、マッドとティミーを睨み付ける。
マッドはティミーを庇うように立ち、剣先を男に向けた。
「俺達は病人を連れて来たんだ。それと、会いたい奴がいる。やろうってんなら相手になるぜ」
「へぇ? 病人が何処にいんだよ。嘘ついてんじゃねぇぞこのガキ!」
「今だ! 空撃破!」
マッドは白衣の男に向けて凄まじい勢いで剣を振り下ろす。
しかし男はそれを銃で受け止め、そのまま体重をかけつつマッドの剣ごと押し返した。
「くっ......」
「ホラホラどうしたよ? 威勢が良いのは口だけか?」
そのままマッドの腹を目掛けて蹴りを入れると、マッドはティミーのいる場所まで吹っ飛ばされてしまった。
「マッド! 大丈夫!?」
「ぐっ......畜生っ」
マッドはフラフラと立ち上がり体制を治すも、男はニヤリと笑いそのままマッドとティミーを見下ろすように睨みつける。
「ここはガキが遊びに来る場所じゃねぇんだよ。さっさと帰りやがれ!」
男が叫ぶと同時に、凄まじい風の刃がマッド達を目掛けて襲い掛かって来る。
風属性の陽術だとマッドは直感したが、結界を張れない為剣で受け止めるしか無い。
マッドが剣を持ちティミーを庇うように身構えると、マッドと風の刃の間に何かが入り込み、大きな爆発音と同時に当たりに砂埃が舞った。
「うっ、何だ......!?」
マッドが辺りを見回すと、目の前にヴェノルを背負ったウォックが立っていた。
「全く、待てって言っただろ」
「ウォック!」
間に入ったのはウォックだったようで、どうやら瞬時に結界を張り風の刃を防いでくれた様だ。
「サンキューウォック!」
「サンキュー、じゃねぇよ! 先に行くなって言っただろ!」
そのままウォックはマッドの頭を殴り、冷ややかにマッドを見下ろす。
少し反省したのか、マッドとティミーは大人しくウォックに謝り、ウォックは小さく溜息を吐いた。
「全く。よりによって会いたくも無い不良軍医に会っちまったし......」
ウォックは嫌そうに白衣の男を見ると、男は口元を上げ銃を肩に背負いウォックを睨む様に視線を向けた。
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