7 / 11
第一章:何度でも癒して差し上げましょう
06
しおりを挟む
屋敷の大広間に、蝋燭の光が揺れていた。
磨き上げられた銀の燭台。白いテーブルクロス。並べられた食器の上で、炎の光が細かく反射している。壁には絵画が掛けられ、隅には花瓶に活けられた白百合が甘い香りを漂わせていた。
今晩、夫人が開く食事会に招待された貴族は五名。いずれも王都で顔の知れた中流以上の当主や夫人たちばかりだ。席について食前酒を手にしながら、穏やかに歓談している。
「夫人、また素敵な絵画を取り寄せたのね」
壁の一枚を眺めながら、客の夫人が感心したように言った。
屋敷の女主人は、待っていましたとばかりに微笑む。
「まあ、お恥ずかしい。お気づきになりました?」
扇で口元を隠しながら、わざとらしく肩をすくめた。
「近頃、輸入商がこちらの屋敷にも出入りするようになりましてね。珍しい品が入るたび、つい目移りしてしまうのですわ」
くすくすと笑いながら続ける。
「夫には『また増やすのか』と呆れられてしまいましたけれど……せっかく良い物が手に入るのなら、飾らないのももったいないでしょう?」
客の一人が頷いた。
「確かに。最近は王都でも珍しい品はなかなか手に入りませんな」
「そうでしょう?」
夫人は満足げに頷く。
「こうして皆さまをお招きする以上、少しは目を楽しませるものがなければと思いまして。せっかくの晩餐会ですもの」
その言葉に、客たちは笑顔で頷いた。
だが、その誰もが――夫人の自慢話には、すでに何度も付き合わされていた。
やがて開宴から少しして、最後の招待客が到着を告げられた。
「――お招きいただき、ありがとうございます」
広間の入り口に立った人影を見た瞬間、会話が途切れた。
若い貴族令嬢だった。淡い金色の髪を繊細に結い上げ、深い藍色のドレスをまとっている。歩み入る所作のひとつひとつが絵画のように整っており、紫がかった瞳が静かに広間を見渡した。
その半歩後ろには従者が控えている。その従者もまた、美しい少年だった。
広間に、小さな沈黙が落ちる。客たちの視線が自然と二人へ吸い寄せられていった。
「あのドレス……見て。素敵。どこで仕立てたのかしら?」
「どちらの家の方?」
夫人が立ち上がり、笑顔で迎える。
「ようこそおいでくださいました。ええっと……」
「ルミナ・ユフテインでございます。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
(ユフテイン? うちより格下の家じゃない)
夫人は令嬢の整った顔立ちを一瞥した。
(……身分もわきまえないで、ずいぶん派手に着飾っていること)
ちらりと周囲を見る。客たちの視線は、ことごとくその令嬢に向けられていた。誰もが二人を見つめ、興味を隠そうともしない。
(ちょっと……何よ、この空気!)
ここは自分の屋敷で、自分の晩餐会だ。主役は当然、女主人である自分のはずなのに。
(まるで、あの娘が主役みたいじゃないの!?)
夫人は笑顔を貼り付けたまま、声をかけた。
「こ、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます、夫人」
令嬢は柔らかな声で答え、優雅な所作で席に着いた。従者が椅子を引き、彼女の杯にワインを注ぐ。動きは静かで無駄がない。その様子すら、客たちの目を引いていた。
夫人は面白くない思いを押し殺しながら席へ戻る。
食事が始まった。前菜が運ばれ、温かなスープが注がれ、白ワインが杯に満たされていく。会話は政治や社交の話題へ移り、穏やかに進んでいった。
令嬢は決して出しゃばらない。だが適切なところで言葉を差し込み、洗練された話題を添える。気がつけば、テーブルの会話は自然と彼女の周囲に集まっていた。
誰もが彼女の言葉に耳を傾け、彼女が微笑むたびに空気がやわらぐ。まるで、この屋敷の主人が彼女であるかのように。
(ちょっと!)
夫人の指がナイフの柄を強く握った。
(どうしてあの娘が、こんなに注目されているわけ!?)
二皿目が下げられた頃だった。令嬢はワインの杯をゆるく揺らしながら、ふと思い出したように口を開いた。
「ところで――最近、このあたりで少し物騒なお話を耳にしましたの」
「物騒な話?」
向かいに座る男爵が眉をひそめる。
令嬢は静かに頷いた。
「ええ。屋敷の使用人を……奴隷として売り飛ばしている貴族がいるとか」
空気が、動いた。
一拍。
ほんのわずかな沈黙が流れる。
夫人の指が、杯の脚をわずかに握りしめた。
だがすぐに笑みを作る。
「まあ……恐ろしいこと。そんな話、聞いたこともございませんわ」
「そうですの?」
令嬢は微笑んだ。その紫の瞳が、ほんの一瞬だけ夫人を見た。
「私はてっきり、この場のどなたかがご存知かと思いましたのに」
「おほほ……ご冗談を」
夫人は笑った。声は少しだけ高くなっていた。
話題は別の話へ移り、空気はいったん弛緩する。
だがテーブルの下で、夫人の手はかすかに震えていた。
(何……今のは)
(まさか、バレてるの?)
背筋に冷たいものが走る。
(奴隷商のあの男……余計なことを喋ったんじゃないでしょうね!?)
脳裏に浮かぶ。あの日、袋に詰められ、裏口から運び出された使用人の姿。
(……誰か、見ていたの?)
夫人は気づかれぬようワインを口に含んだ。
――そのときだった。
ガシャン。
皿が床に落ち、割れる音が響いた。
振り向くと、客の一人が椅子から崩れ落ちている。
「……え?」
それからだった。
ばたん。ばたん。
一人、また一人と客たちが倒れていく。
「な、なに……?」
夫人は凍りついた。
(な、なんでみんな倒れて……まさか……毒!?)
「本日のメインディッシュでございます」
メイドが料理を運んでくる。
「料理どころじゃないわよ!見えないの!?お客様が倒れているのよ!早く医者を呼びなさい!」
「――大丈夫ですわ、夫人」
声がした。
優雅に食事を続けているのは――あの令嬢だった。
「男爵様もご安心ください。他の方々は、少し眠っているだけですから」
「な、なんですって……?」
令嬢はゆっくりとメインディッシュを指さす。
「その蓋を開けてごらんなさい。きっと、面白いものが見られますわ」
夫人は動かなかった。
「まぁ、ご覧にならないの?では、申し訳ないけれどそこのあなた、開けていただけます?」
「はい」
メイドが蓋に手をかける。
嫌な予感がして、夫人は叫んだ。
「やめなさい!何を勝手なことをしているの!」
だが、蓋は開かれた。
皿の上にあったのは――料理ではなく、一枚の写真だった。
そこには、夫人と男爵ではない男が親密に抱き合い、深く口づけを交わしている姿が写っていた。
磨き上げられた銀の燭台。白いテーブルクロス。並べられた食器の上で、炎の光が細かく反射している。壁には絵画が掛けられ、隅には花瓶に活けられた白百合が甘い香りを漂わせていた。
今晩、夫人が開く食事会に招待された貴族は五名。いずれも王都で顔の知れた中流以上の当主や夫人たちばかりだ。席について食前酒を手にしながら、穏やかに歓談している。
「夫人、また素敵な絵画を取り寄せたのね」
壁の一枚を眺めながら、客の夫人が感心したように言った。
屋敷の女主人は、待っていましたとばかりに微笑む。
「まあ、お恥ずかしい。お気づきになりました?」
扇で口元を隠しながら、わざとらしく肩をすくめた。
「近頃、輸入商がこちらの屋敷にも出入りするようになりましてね。珍しい品が入るたび、つい目移りしてしまうのですわ」
くすくすと笑いながら続ける。
「夫には『また増やすのか』と呆れられてしまいましたけれど……せっかく良い物が手に入るのなら、飾らないのももったいないでしょう?」
客の一人が頷いた。
「確かに。最近は王都でも珍しい品はなかなか手に入りませんな」
「そうでしょう?」
夫人は満足げに頷く。
「こうして皆さまをお招きする以上、少しは目を楽しませるものがなければと思いまして。せっかくの晩餐会ですもの」
その言葉に、客たちは笑顔で頷いた。
だが、その誰もが――夫人の自慢話には、すでに何度も付き合わされていた。
やがて開宴から少しして、最後の招待客が到着を告げられた。
「――お招きいただき、ありがとうございます」
広間の入り口に立った人影を見た瞬間、会話が途切れた。
若い貴族令嬢だった。淡い金色の髪を繊細に結い上げ、深い藍色のドレスをまとっている。歩み入る所作のひとつひとつが絵画のように整っており、紫がかった瞳が静かに広間を見渡した。
その半歩後ろには従者が控えている。その従者もまた、美しい少年だった。
広間に、小さな沈黙が落ちる。客たちの視線が自然と二人へ吸い寄せられていった。
「あのドレス……見て。素敵。どこで仕立てたのかしら?」
「どちらの家の方?」
夫人が立ち上がり、笑顔で迎える。
「ようこそおいでくださいました。ええっと……」
「ルミナ・ユフテインでございます。本日はお招きいただき、ありがとうございます」
(ユフテイン? うちより格下の家じゃない)
夫人は令嬢の整った顔立ちを一瞥した。
(……身分もわきまえないで、ずいぶん派手に着飾っていること)
ちらりと周囲を見る。客たちの視線は、ことごとくその令嬢に向けられていた。誰もが二人を見つめ、興味を隠そうともしない。
(ちょっと……何よ、この空気!)
ここは自分の屋敷で、自分の晩餐会だ。主役は当然、女主人である自分のはずなのに。
(まるで、あの娘が主役みたいじゃないの!?)
夫人は笑顔を貼り付けたまま、声をかけた。
「こ、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます、夫人」
令嬢は柔らかな声で答え、優雅な所作で席に着いた。従者が椅子を引き、彼女の杯にワインを注ぐ。動きは静かで無駄がない。その様子すら、客たちの目を引いていた。
夫人は面白くない思いを押し殺しながら席へ戻る。
食事が始まった。前菜が運ばれ、温かなスープが注がれ、白ワインが杯に満たされていく。会話は政治や社交の話題へ移り、穏やかに進んでいった。
令嬢は決して出しゃばらない。だが適切なところで言葉を差し込み、洗練された話題を添える。気がつけば、テーブルの会話は自然と彼女の周囲に集まっていた。
誰もが彼女の言葉に耳を傾け、彼女が微笑むたびに空気がやわらぐ。まるで、この屋敷の主人が彼女であるかのように。
(ちょっと!)
夫人の指がナイフの柄を強く握った。
(どうしてあの娘が、こんなに注目されているわけ!?)
二皿目が下げられた頃だった。令嬢はワインの杯をゆるく揺らしながら、ふと思い出したように口を開いた。
「ところで――最近、このあたりで少し物騒なお話を耳にしましたの」
「物騒な話?」
向かいに座る男爵が眉をひそめる。
令嬢は静かに頷いた。
「ええ。屋敷の使用人を……奴隷として売り飛ばしている貴族がいるとか」
空気が、動いた。
一拍。
ほんのわずかな沈黙が流れる。
夫人の指が、杯の脚をわずかに握りしめた。
だがすぐに笑みを作る。
「まあ……恐ろしいこと。そんな話、聞いたこともございませんわ」
「そうですの?」
令嬢は微笑んだ。その紫の瞳が、ほんの一瞬だけ夫人を見た。
「私はてっきり、この場のどなたかがご存知かと思いましたのに」
「おほほ……ご冗談を」
夫人は笑った。声は少しだけ高くなっていた。
話題は別の話へ移り、空気はいったん弛緩する。
だがテーブルの下で、夫人の手はかすかに震えていた。
(何……今のは)
(まさか、バレてるの?)
背筋に冷たいものが走る。
(奴隷商のあの男……余計なことを喋ったんじゃないでしょうね!?)
脳裏に浮かぶ。あの日、袋に詰められ、裏口から運び出された使用人の姿。
(……誰か、見ていたの?)
夫人は気づかれぬようワインを口に含んだ。
――そのときだった。
ガシャン。
皿が床に落ち、割れる音が響いた。
振り向くと、客の一人が椅子から崩れ落ちている。
「……え?」
それからだった。
ばたん。ばたん。
一人、また一人と客たちが倒れていく。
「な、なに……?」
夫人は凍りついた。
(な、なんでみんな倒れて……まさか……毒!?)
「本日のメインディッシュでございます」
メイドが料理を運んでくる。
「料理どころじゃないわよ!見えないの!?お客様が倒れているのよ!早く医者を呼びなさい!」
「――大丈夫ですわ、夫人」
声がした。
優雅に食事を続けているのは――あの令嬢だった。
「男爵様もご安心ください。他の方々は、少し眠っているだけですから」
「な、なんですって……?」
令嬢はゆっくりとメインディッシュを指さす。
「その蓋を開けてごらんなさい。きっと、面白いものが見られますわ」
夫人は動かなかった。
「まぁ、ご覧にならないの?では、申し訳ないけれどそこのあなた、開けていただけます?」
「はい」
メイドが蓋に手をかける。
嫌な予感がして、夫人は叫んだ。
「やめなさい!何を勝手なことをしているの!」
だが、蓋は開かれた。
皿の上にあったのは――料理ではなく、一枚の写真だった。
そこには、夫人と男爵ではない男が親密に抱き合い、深く口づけを交わしている姿が写っていた。
0
あなたにおすすめの小説
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる
みおな
恋愛
聖女。
女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。
本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。
愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。
記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。
しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。
(完)聖女様は頑張らない
青空一夏
ファンタジー
私は大聖女様だった。歴史上最強の聖女だった私はそのあまりに強すぎる力から、悪魔? 魔女?と疑われ追放された。
それも命を救ってやったカール王太子の命令により追放されたのだ。あの恩知らずめ! 侯爵令嬢の色香に負けやがって。本物の聖女より偽物美女の侯爵令嬢を選びやがった。
私は逃亡中に足をすべらせ死んだ? と思ったら聖女認定の最初の日に巻き戻っていた!!
もう全力でこの国の為になんか働くもんか!
異世界ゆるふわ設定ご都合主義ファンタジー。よくあるパターンの聖女もの。ラブコメ要素ありです。楽しく笑えるお話です。(多分😅)
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路
藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。
この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。
「聖女がいなくても平気だ」
そう言い切った王子と人々は、
彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、
やがて思い知ることになる。
――これは、聖女を追い出した国の末路を、
静かに見届けた者の記録。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる