BL異世界溺愛シリーズ『異世界ルーヴル』

Matcha45

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【第二章 宰相閣下はコミュ症の天才魔術師を溺愛する】

涙のあとに

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「美味しいです」


 後から注文したパフェは、今まで食べたどんなスイーツよりも美味しかった。


「……生クリームついてるよ」



 宰相閣下が口の端を指さしていたので、右の口元を拭ったが笑われてしまった。


「違うよ、もっと上」


 宰相閣下は手を伸ばすと、僕の口についている生クリームを手に取って舐めていた。


「甘いね」


「え? ええ……」


 宰相閣下の『行動』と『言葉』に、自分の顔が熱くなっていくのが分かった。よく、今まで独身だったな――と思う。


「大丈夫? 顔が赤いね」


 宰相閣下の手が伸びてきて僕の額に触れた。


「ひゃっ……」


「熱はないみたいだ」


「……もう、お腹いっぱいです」


「まだ、たくさん残ってるよ? いいの?」


「はい。何だか、胸がいっぱいで食べられそうにありません」


「そう。それじゃ、私がもらってもいい?」


「えっ? はい……」


 宰相閣下はそう言うと、口を開けて待っていた。


「あの……」


「あれ? 食べさせてくれるのかと思っちゃった。違ったのか、ごめん」


 よく見れば、僕の手はスプーンの上に生クリームをのせたまま止まっていた。


「いえ、違いません」


 僕は震える手を抑えながら、宰相閣下の口に生クリームを運んだ。宰相閣下は、生クリームを飲み込むと再び口を開けた──どうやら、この作業は繰り返し行われるらしい。


 僕は実験で貴重な薬品を使うときよりも緊張しながら、宰相閣下の口元へ残りのパフェを差し出す作業を続けた。


 魚が跳ねるようにドクドクと脈を打っている心臓の音が、宰相閣下に聞こえているのではないかと気が気じゃなかった。


 宰相閣下が最後の一口を食べ終えると、僕は達成感と開放感に浸った──けれど、ほっとしたのも束の間、宰相閣下の手が伸びてきて僕の頭を撫でていた。


「大丈夫? 疲れちゃった?」


「いえ、そんなことはありません」


 宰相閣下の言動に一喜一憂してしまっている自分の感情が、僕にはよく分からなかった。


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