平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

ねがえり太郎

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後日談 黛家の新婚さん2

(48)揶揄わないで(★)

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(46)話の翌朝の話です。
後半、女性の生理現象について触れる部分がありますので、苦手な方は閲覧を回避願います。

※なろう版とは一部表現に変更があります。

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平日だと言うのに疲れている七海が寝落ちするくらいまでしつこく迫った黛は、翌朝更にデリカシーの無い台詞で七海を恥ずかしがらせ―――真っ赤になった七海は堪えきれずに黛をベッドへ突き飛ばし、部屋を逃げ出した。

その恥ずかしがる七海が可愛らしくて、どうしてももう一度見たくなってしまった黛は、その朝逃げられたばかりだと言うのに夜にも再度しつこく絡んで七海を揶揄って―――とうとう彼女を怒らせてしまった。

結果として久々に石頭のクリーンヒットを受ける事になる。
頭を抱えて痛みに耐えきれず蹲っていると―――そんな黛を放ったまま七海がせっせとベッドの中心に細長く丸めたタオルケットを設置し始めた。

「……何やってんだ?」

痛む頭を抑えつつ尋ねると、

「ここから入って来ないでね。ではお休みなさ~い!」
「えー!」

とうとう寝場所を分けられてしまった。

しかし諦めの悪い黛は境界線を匍匐前進よろしくその堰を乗り越えて、七海の体に抱き着いた。
背中にピッタリと張り付いたデリカシー無しに振り向きもせず、七海は抑揚の無い声で言った。

「放してちょうだい」
「なあ、悪かった。ゴメン!」
「……悪いと思って無いくせに……私の事揶揄って、そんなに面白い?」

「……」

返事は無かった。

「面白いんだ」

『この正直者め』―――と内心、七海は溜息を吐いた。
しかし温かい大きな体に包まれた背中から、ポカポカと眠気のモトが全身の血管を伝わって広がって行くと―――それ以上言葉を継ぐ事もかなわずに、ほどなく沼に足を獲られるように眠りの世界にはまり込んでしまった。

囲い込んだ温かい体から規則的な寝息が聞こえて来て「七海?おーい」と何度か声を掛けたが寝惚けた七海に押し退けられてしまう。
黛はショボンと肩を落としつつタオルケットの堰を端に寄せて、またゴソゴソと七海に近付き体を寄せると……今度こそ諦めて目を閉じたのだった。








翌日から黛は忙しくなり、七海と顔を合わせるのは出勤時朝ご飯を食べる時だけ……と言う日が暫く続いた。
寝不足らしく口数も少なくなって目の下の隈も濃くなってくる。しきりにタブレットを覗き込み考え事をしていたので心配になったが、仕事関係で何か抱え込んでいるのだろうと察して、七海は彼をそっとしておく事にした。

それからまた暫く経ったある休日、宅配便が届いた。
七海が立ち上がろうとすると「俺が!」と言って、黛がイソイソと玄関へ向かう。

そして戻ってくると、彼はズイっと七海へその箱を差し出した。

「七海、これやる」

大手ショッピングサイトのマークが印字された茶色い箱だが、手にするととても軽い。

「何これ?」
「毎日朝、使ってくれ」
「えっと……」
「これで対策はバッチリだな!」
「……」

とても良い笑顔で親指をグッと立てた黛に、七海は戸惑いながら箱を開けてみた。
すると更に商品の入った小さい箱が現れる。

「最近何か悩んでいたのって……もしかして仕事の事じゃなかったの?」
「うん?仕事は大変だったけど、それはインフルエンザで休んだ奴の代わりで忙しかったからだ、別にひどく悩むような仕事は無かったな」
「もしかして調べていたのって……これの事?」

箱の中身は婦人体温計だった。

「いやー色んなタイプがあるから、迷ったなぁ……けどやっぱり、これがイイかなって。検温も十秒で済むし、スマホアプリに登録すれば排卵日も月経開始日も知らせてくれるし。便利なもんだなあ!」
「……まさかそのアプリ……」
「心配すんな!俺も同じアプリ入れたから使い方もバッチリ指導するぞ!」

喜々として張り切る黛を前に『もう何も言うまい……』と七海は諦めの境地に至ったのだった。

その後黛は七海のスマホにもアプリを登録し、使い方を懇切丁寧に教えてくれた。
結果的にそれらは七海の役に立った。
体調管理や予定を立てるのにアプリが意外と重宝したのだが―――何となくそれを少しだけ悔しく思ってしまう七海であった。


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元々勘は良い方ですが、とうとう黛は妻の周期を完全に把握する事に成功しました。ますます七海には逃げ場がなくなるのでした……。

ちなみに小競り合いは高校の頃から慣れているので、揉めても次の朝には二人はケロリとしています。長引きません。

お読みいただき有難うございました。
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