349 / 363
太っちょのポンちゃん 社会人編9
唯ちゃんと、シェアハウスの住人(14)
しおりを挟む
「鈴木さんは、大学の帰りですか?」
「あ、はい……」
近くまで歩み寄って来た唯さんは、俺に気が付いてニッコリと笑った。
「お疲れ様です」
それからピョコリと香子さんの傍らに、寄り添うように立つ。その何気ない仕草からは二人の親しさが窺えた。そんな場合ではないのに、ついホッコリとさせられてしまう。
「おばあちゃん、入居者の鈴木さん。ホラ、この間収穫を手伝ってくれた……」
「あらあら、まぁ」
香子さんは意味ありげに笑って、相槌を打った。
妙な居心地の悪さを感じる。
最初唯さんの収穫を手伝ったのは、決して下心があっての事じゃ無かった―――いや、自覚してはいなかったけれど、少しはそう言う気持ちはあったのかもしれない。しかしどちらにせよ香子さんには俺の気持ちはバレバレなので、そうとしか思われないだろう。
でも最初から邪な気持ちで近づいたように思われたら困る。けれどもそれを今、大っぴらに否定できないのが辛い……!
頼む、どうか唯さんに余計なことは言わないでくれ……!!
無言かつ必死のメッセージが通じたのだろうか。意味ありげに笑いはしたものの、香子さんは俺の『取違い告白』の件については、その後おくびにも出さずにいてくれた。
作業を手伝いながら聞くところによると、彼女は大きな家庭菜園を持っていて、このシェアハウスの菜園の監修のような仕事をしているということだった。時折、生育状況をチェックし管理人達に指示を出しているらしい。
以前、三島君が『おばちゃんが菜園の世話をしている』と言うようなことを言っていた。だからこそ俺は唯さんをうっかり『おばちゃん』と呼んでしまった経験があるのだが、彼が以前見掛けたのは、もしかすると香子さんなのかもしれないと考えた。
その日は引き続き二人の作業を手伝い、雑草を抜いたり重たい肥料の袋を運んだりした。作業を終えた後、菜園横にあるベンチで休憩する。唯さんは荷物から水筒を取り出し、紙コップに入れて手渡してくれた。
「鈴木さん。お忙しいでしょうに、手伝っていただいて有難うございます」
「いえ、良い気分転換になりました」
日が傾き、さっきまで厳しめに降り注いでいた初夏の日差しが僅かに柔らいでいる。
ああ、本当に気持ちがスッキリした。農作業って言うのも、良いな。ずっと就職の事ばかり考えて緊張していたから―――。
とは言え、ここ数日は別の事に意識を捕らわれてしまった。でも日常から離れたようなこの空間で、再び頭を空っぽに出来た気がする。
就職に関してはこの間、四次選考を受けた所だった。これを通過すれば、後は最終選考の個人面接と英語のコミュニケーションテストとなる。
実はパーティで知り合った、大学で研究員をしているオーストラリア人に、面接の準備を手伝って貰えることになったのだ。代わりに試験後は俺が彼に付き合って、日本語を教える事になっている。どうやら英語に触れる機会を作ると言う、このシェアハウスに入居した当初の目的は果たせたみたいだ。
そう―――だから後俺に出来ることは、全力を尽くすことだけなのだ。
フッと肩の力が抜けて、同じようにお茶を飲む彼女の横顔に見入ってしまう。
額がキラリと光って見えるのは、少し汗を掻いているからだろう。前髪が濡れて、僅かに白い肌にはりついている。
ぼんやりその様に見入ってしまった俺の視線に気付いたらしい唯さんが、慌てたように顔に手を当てた。
「もしかして、土か何か付いてますか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
慌てる表情が可愛らしくて、思わず笑ってしまう。
理由を言うと気持ち悪がられるかと思い、言い訳を口にした。
「……美味しそうに飲むなって思って」
「アハハ、喉乾いちゃって。今日、暑いですよね? もう夏みたい」
屈託なく笑う彼女の笑顔に、心臓がキュッと音を立てた。
「……あの、俺―――」
「……」
本能に突き動かされて、つい何かを口走りそうになった時。
そこでやっと、俺と彼女の間にいる小柄な存在を思い出した。
そうだ、今俺達はこのベンチに二人切りで座っているワケではないのだ。間に彼女のお祖母ちゃんを挟んでいるんだった……!
「はい?」
上がったり下がったり大変なことになっている俺の心の中を知らない唯さんは、キョトンとした瞳で言葉に詰まった俺の続きを促す。俺はシドロモドロになって、またしても適当な言葉を探すのに躍起になった。
「あのっ……この間のゴミ箱の件、迅速に対応していただいて。有難うございます!」
「え? いいえ! 仕事ですから、当然です」
思ってもいない話題だったらしく、僅かに目を丸くしたものの、そう謙虚に返す彼女。
だが、何となく少し嬉しそうに見える。照れたようにはにかむ様子が可愛らしくて、つい目を細めてしまう。
「こちらこそ、指摘していただけて助かりました。また気付いたことがあったら教えていただけると有難いです」
「……」
ふと、俺達の遣り取りを面白そうに見ている視線に気が付いて、口元を引き締める。そんなに俺はだらしない顔をしていただろうか? と、やや焦った。
「あの、香子さん」
やはり口留めしなければ、と思いつつも何と言って良いか分からず逡巡していると、香子さんがポンポンと俺の背を優しく叩いてくれた。
何となく、分かってくれたというサインのように思えて、ホッと胸を撫で下ろす。
その親し気な遣り取りを見て、唯さんが目を丸くした。
「おばあちゃん。今日会ったばかりなのに、随分鈴木さんと仲良くなったんだね」
すると香子さんは、フフフと意味ありげに笑って―――こう発言したのだ。
「そうなの。さっきこの人ね、私のボーイフレンドなったのよ」
「え!」
唯さんも驚いたが、俺も驚いた。
思わず、お茶を噴き出しそうになったくらいだ。
「ね? 鈴木君?」
「っ……え? ええと……」
口籠る俺を、ニヤニヤと見上げる香子さん。
「……はい……」
俺は白旗を掲げつつ、頷くしか無かった。
どうやら意思疎通は出来ていなかったようだ。俺の無言のメッセージは、正しく彼女に届いていなかった……!
ここで否定したら何を言われるかわかったもんじゃない。俺は動揺しつつも、小さな声で肯定する道を選んだのだ。
「えー! じゃあ、伊藤のおじさんは?」
「あの人も『お友達』よ。男性の友達、つまり『ボーイフレンド』!」
すると唯さんは、呆れたように首を振る。
「もー……紛らわしい言い方して……」
「唯は、真面目過ぎるのよ」
「そうかなぁ」
そんな風に二人の女性が他愛無い遣り取りをしているのを聞きながら、香子さんの些細な言動に振り回されまくりの俺は、自分の心臓がドコドコと早鐘を打っている音を聞いていた。
もうヤダ……やっぱり俺には女心は分かりそうもない。
結局、唯さんに告白は出来なかった。
が、もともとそれは当初の予定になかったのだからこれで良かったのだ。と思う事にした。
取りあえず、前回の件のお礼を言えただけでも良しとするか。やはり未だ早いよな。神様は就職試験が終わるまでは、余所見などせず専念しろと言っているのだろう。
―――と、悠長に構えていた俺が、アッサリと彼女の真実を知る事になるのはこの後だ。
「あ、はい……」
近くまで歩み寄って来た唯さんは、俺に気が付いてニッコリと笑った。
「お疲れ様です」
それからピョコリと香子さんの傍らに、寄り添うように立つ。その何気ない仕草からは二人の親しさが窺えた。そんな場合ではないのに、ついホッコリとさせられてしまう。
「おばあちゃん、入居者の鈴木さん。ホラ、この間収穫を手伝ってくれた……」
「あらあら、まぁ」
香子さんは意味ありげに笑って、相槌を打った。
妙な居心地の悪さを感じる。
最初唯さんの収穫を手伝ったのは、決して下心があっての事じゃ無かった―――いや、自覚してはいなかったけれど、少しはそう言う気持ちはあったのかもしれない。しかしどちらにせよ香子さんには俺の気持ちはバレバレなので、そうとしか思われないだろう。
でも最初から邪な気持ちで近づいたように思われたら困る。けれどもそれを今、大っぴらに否定できないのが辛い……!
頼む、どうか唯さんに余計なことは言わないでくれ……!!
無言かつ必死のメッセージが通じたのだろうか。意味ありげに笑いはしたものの、香子さんは俺の『取違い告白』の件については、その後おくびにも出さずにいてくれた。
作業を手伝いながら聞くところによると、彼女は大きな家庭菜園を持っていて、このシェアハウスの菜園の監修のような仕事をしているということだった。時折、生育状況をチェックし管理人達に指示を出しているらしい。
以前、三島君が『おばちゃんが菜園の世話をしている』と言うようなことを言っていた。だからこそ俺は唯さんをうっかり『おばちゃん』と呼んでしまった経験があるのだが、彼が以前見掛けたのは、もしかすると香子さんなのかもしれないと考えた。
その日は引き続き二人の作業を手伝い、雑草を抜いたり重たい肥料の袋を運んだりした。作業を終えた後、菜園横にあるベンチで休憩する。唯さんは荷物から水筒を取り出し、紙コップに入れて手渡してくれた。
「鈴木さん。お忙しいでしょうに、手伝っていただいて有難うございます」
「いえ、良い気分転換になりました」
日が傾き、さっきまで厳しめに降り注いでいた初夏の日差しが僅かに柔らいでいる。
ああ、本当に気持ちがスッキリした。農作業って言うのも、良いな。ずっと就職の事ばかり考えて緊張していたから―――。
とは言え、ここ数日は別の事に意識を捕らわれてしまった。でも日常から離れたようなこの空間で、再び頭を空っぽに出来た気がする。
就職に関してはこの間、四次選考を受けた所だった。これを通過すれば、後は最終選考の個人面接と英語のコミュニケーションテストとなる。
実はパーティで知り合った、大学で研究員をしているオーストラリア人に、面接の準備を手伝って貰えることになったのだ。代わりに試験後は俺が彼に付き合って、日本語を教える事になっている。どうやら英語に触れる機会を作ると言う、このシェアハウスに入居した当初の目的は果たせたみたいだ。
そう―――だから後俺に出来ることは、全力を尽くすことだけなのだ。
フッと肩の力が抜けて、同じようにお茶を飲む彼女の横顔に見入ってしまう。
額がキラリと光って見えるのは、少し汗を掻いているからだろう。前髪が濡れて、僅かに白い肌にはりついている。
ぼんやりその様に見入ってしまった俺の視線に気付いたらしい唯さんが、慌てたように顔に手を当てた。
「もしかして、土か何か付いてますか?」
「いえ、大丈夫ですよ」
慌てる表情が可愛らしくて、思わず笑ってしまう。
理由を言うと気持ち悪がられるかと思い、言い訳を口にした。
「……美味しそうに飲むなって思って」
「アハハ、喉乾いちゃって。今日、暑いですよね? もう夏みたい」
屈託なく笑う彼女の笑顔に、心臓がキュッと音を立てた。
「……あの、俺―――」
「……」
本能に突き動かされて、つい何かを口走りそうになった時。
そこでやっと、俺と彼女の間にいる小柄な存在を思い出した。
そうだ、今俺達はこのベンチに二人切りで座っているワケではないのだ。間に彼女のお祖母ちゃんを挟んでいるんだった……!
「はい?」
上がったり下がったり大変なことになっている俺の心の中を知らない唯さんは、キョトンとした瞳で言葉に詰まった俺の続きを促す。俺はシドロモドロになって、またしても適当な言葉を探すのに躍起になった。
「あのっ……この間のゴミ箱の件、迅速に対応していただいて。有難うございます!」
「え? いいえ! 仕事ですから、当然です」
思ってもいない話題だったらしく、僅かに目を丸くしたものの、そう謙虚に返す彼女。
だが、何となく少し嬉しそうに見える。照れたようにはにかむ様子が可愛らしくて、つい目を細めてしまう。
「こちらこそ、指摘していただけて助かりました。また気付いたことがあったら教えていただけると有難いです」
「……」
ふと、俺達の遣り取りを面白そうに見ている視線に気が付いて、口元を引き締める。そんなに俺はだらしない顔をしていただろうか? と、やや焦った。
「あの、香子さん」
やはり口留めしなければ、と思いつつも何と言って良いか分からず逡巡していると、香子さんがポンポンと俺の背を優しく叩いてくれた。
何となく、分かってくれたというサインのように思えて、ホッと胸を撫で下ろす。
その親し気な遣り取りを見て、唯さんが目を丸くした。
「おばあちゃん。今日会ったばかりなのに、随分鈴木さんと仲良くなったんだね」
すると香子さんは、フフフと意味ありげに笑って―――こう発言したのだ。
「そうなの。さっきこの人ね、私のボーイフレンドなったのよ」
「え!」
唯さんも驚いたが、俺も驚いた。
思わず、お茶を噴き出しそうになったくらいだ。
「ね? 鈴木君?」
「っ……え? ええと……」
口籠る俺を、ニヤニヤと見上げる香子さん。
「……はい……」
俺は白旗を掲げつつ、頷くしか無かった。
どうやら意思疎通は出来ていなかったようだ。俺の無言のメッセージは、正しく彼女に届いていなかった……!
ここで否定したら何を言われるかわかったもんじゃない。俺は動揺しつつも、小さな声で肯定する道を選んだのだ。
「えー! じゃあ、伊藤のおじさんは?」
「あの人も『お友達』よ。男性の友達、つまり『ボーイフレンド』!」
すると唯さんは、呆れたように首を振る。
「もー……紛らわしい言い方して……」
「唯は、真面目過ぎるのよ」
「そうかなぁ」
そんな風に二人の女性が他愛無い遣り取りをしているのを聞きながら、香子さんの些細な言動に振り回されまくりの俺は、自分の心臓がドコドコと早鐘を打っている音を聞いていた。
もうヤダ……やっぱり俺には女心は分かりそうもない。
結局、唯さんに告白は出来なかった。
が、もともとそれは当初の予定になかったのだからこれで良かったのだ。と思う事にした。
取りあえず、前回の件のお礼を言えただけでも良しとするか。やはり未だ早いよな。神様は就職試験が終わるまでは、余所見などせず専念しろと言っているのだろう。
―――と、悠長に構えていた俺が、アッサリと彼女の真実を知る事になるのはこの後だ。
40
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな
みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」
タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。
私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる