平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

ねがえり太郎

文字の大きさ
184 / 363
後日談 黛家の新婚さん2

(62)カレーの日

しおりを挟む
美味しい夜ご飯のお話です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

比較的早く帰れた平日、簡単にシャワーを浴びて着替えた所で食卓に振る舞われたのはカレーだった。黛はカレー好きだ。近頃台頭してきているスープカレーよりルーカレー派。そしてレトルトでも、特に手の込んでいない市販ルーの簡単カレーでもルーカレーであれば満足してしまう。
今日も無言でカプカプ掻き込んでいたが、ふと味の違いに気が付いて顔を上げた。

「七海のカレーって旨いよな。この間のも美味しかったけど、今日のはまた違う味だな」
「ふふふ……」

不敵に笑う七海を問いかけるように見つめると、彼女は得意げに胸を張った。

「実はそれ、なんと『海軍カレー』なんです!」
「海軍……カレー?」
「唯のお父さんに教えて貰ったの!」
「鹿島の父さん?そう言えば自衛官だったんだっけ?でも料理担当じゃないだろう?」

黛も唯の父親が海上自衛官だった事は知っていた。詳しい事は分からないが(おそらく守秘義務もあるだろう)何か設備関係の担当をしているような話を聞いた事があった。黛の雑学知識では確か食事担当は専門職だったように思う。

「そうなんだけど、定年してから料理に嵌ってるんだって。それで今は海軍カレーを片っ端から作ってるの。私も教えて貰ったんだ」
「『海軍カレー』って一種類じゃないのか?」
「船や基地によって色々レシピがあるみたい……こうやってレシピを公開してるんだって」

七海がタブレットで海上自衛隊のカレーレシピのページを開いて見せた。

「ちなみに今日は東京音楽隊の『チキンカレー』です。この間は潜水艦あらしおの『野菜カレーライス』でした」
「へー」
「次はこれ、那覇航空隊のカレーにしようかな?面白いでしょ?桃缶を使うんだって、甘いのかな?」
「ほー」

タブレットを覗き込んだ黛はニヤリと笑った。

「『愛情たっぷりカレー』ね」
「え?……あっ……!」

カレーレシピの名前に特に注目していなかった七海は、揶揄からかうような口調に恥ずかしくなる。

「もう!揶揄うなら違うのにするから……!」
「ええ!」
「あ、これにしよっ。『れんこんカレー』美味しそう」
「『愛情たっぷりカレー』は?!」
「ふーんだ、当分なし!」
「ええー!そんなっ」

―――余計なちょっかいを掛けて、お預けを食らった黛でした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

しかし『れんこんカレー』も大層美味しかったので、今回珍しく黛にとってノーダメージ!と相成りました(笑)ちなみに『れんこんカレー』は岩国航空基地隊の海軍カレーだそうです。

お読みいただき、有難うございました。

しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

私に姉など居ませんが?

山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」 「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」 「ありがとう」 私は婚約者スティーブと結婚破棄した。 書類にサインをし、慰謝料も請求した。 「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」

処理中です...