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俺のねーちゃんは人見知りがはげしい【俺の事情】
◆ 森家長女 晶の当惑
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『俺の事情』最終話です。
清美の姉 晶視点です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
清美が倒れ掛かってきた。
ふざけてるのか?それとも急に調子が悪くなったのか?
私は心配になって、振り返ろうとした。
その時何故か、はむ、と頬を食べられてしまった。
吃驚して固まっていると、耳に熱い息が掛かる。
途端にブワっと、全身に汗が噴き出した。
「俺もう、子供じゃないから」
事態を理解する機能が、ショートした。
何?―――何って言ったの……?
自分の身に何が起こったのか、把握できなかった。
清美はそうボソリと呟くと、私の手からサラリとノブを奪い玄関を開けた。
私は促されるまま中に入り、ドックドックと跳ねる心臓の音が鼓膜を震わせるのを聞きながら―――ぼんやりと部屋に戻った。
後ろ手に扉を閉めて、ずるずるとその場にしゃがみ込む。
腰が抜けてしまったようだ。
えーと、えーと……。
理解しようと懸命に、脳を働かそうとした。
しかしかっと熱を帯びた体が徐々に冷えていくに連れ―――
……ね、眠い……。
私は腰を抜かしたまま、ずるずるとベットへ這って行った。
だだ……駄目だ……まずは寝よう……。
ベットに凭れかかったまま何とか上の服だけは脱ぎ捨てて、シーツと毛布の間に潜り込んだ。
考える事を放棄して―――私は意識の沼の中へとっぷりとダイブしたのだった。
** ** **
眩しさに目をしょぼしょぼさせると、カーテンの隙間からちょうど私の目の位置に太陽の光が差しこんでいた。
朝―――。
もぞもぞとうつ伏せになった体を反転すると、ひどく強張っているのが分かった。
私は着替えもせずに意識を失うように寝てしまったらしい。
ジーンズの硬さが不快だった。
口の中も何だか気持ち悪い。
そういえば、歯を磨いていない。
「あーー……」
呻いてずるずるとベットから這い出る。
なんか、忘れているような気がする。
気がするけど……。
とりあえず歯、磨いて―――シャワー浴びよう。
シャワーを浴びて、頭をガシガシとタオルで拭いた。
歯を磨きながらドライヤーで髪を乾かす。
器用だと言われるかもしれないが、効率はあんまり良くない。
面倒臭がりなのです。
「また、一遍にやろうとしてる」
ドキンッ。
心臓がひとつ跳ねた。
一瞬で忘れていた記憶が蘇る。
そこに現れたのは―――
―――清美だ。私の後ろに大きな壁が出現した。
「ひ…ひよみ……」
歯ブラシが口に入ったままで、モゴモゴ言う。
清美は無表情で、洗面所の私の横に割り込んできた。
距離の近さはいつものコトなのに、何故だか落ち着かない。
歯を磨きに来たのかと思って少し体を避けたのだが、清美が歯ブラシを手に取る気配はない。
代わりに私の手からヒョイっとドライヤーを奪った。
「歯磨きに専念しな」
私の髪の毛をサラサラと梳きながら、ドライヤーで乾かし始める。
「は……はりがと……」
慣れたもので、手付きが良い。
今まで気にならなかったけど、年頃の男の子が自ら姉の髪の毛を乾かしてくれるって―――普通じゃないよね。私の要領の悪さに苛ついてつい手を出してしまうのだろうけど。
自分でやるより遙かに手早く私の髪を乾かしてくれた清美は、ドライヤーをしまった。
いつもなら任務終了とばかりに、そのまま何も云わず立ち去る処なのだけれど。
クンクン。
何故か、清美が身を屈めて私の頭頂部の匂いを嗅いだ。
「な……なに?」
「イイ匂い」
「へ?清美と同じシャンプーだよ」
「うん」
ちゅっ。
「?!」
つむじに吸い付かれた感触に、私はまた固まってしまった。
そして含んでいたうがい用の水を、ダバーっと零してしまう。
既に、清美は消えていた。
「なっ……なっ……」
我に返った私は、慌ててタオルで顔を拭った。
な……なんなんだっ!?
清美がオカシクなった……!!
昨日と言い、今日と言い―――
もしかして練習のし過ぎ?
ハードな受験が終わった途端、春休みも休めずに練習漬けの日々で―――壊れちゃったのか……?
弟の奇妙な行動に、激しい違和感を感じずにはいられない。
これはもう『シスコン』なんて笑ってスルー出来ない域なのでは。
……ねーちゃんは……。
ねーちゃんは、清美が心配だよ……!!
【俺の事情・終】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『俺の事情』最終話でした。
前作『おとうとが私にかまい過ぎる』と対応する部分はここまでとなります。お読みいただき、ありがとうございました。
次話から新章になります。
清美の姉 晶視点です。
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清美が倒れ掛かってきた。
ふざけてるのか?それとも急に調子が悪くなったのか?
私は心配になって、振り返ろうとした。
その時何故か、はむ、と頬を食べられてしまった。
吃驚して固まっていると、耳に熱い息が掛かる。
途端にブワっと、全身に汗が噴き出した。
「俺もう、子供じゃないから」
事態を理解する機能が、ショートした。
何?―――何って言ったの……?
自分の身に何が起こったのか、把握できなかった。
清美はそうボソリと呟くと、私の手からサラリとノブを奪い玄関を開けた。
私は促されるまま中に入り、ドックドックと跳ねる心臓の音が鼓膜を震わせるのを聞きながら―――ぼんやりと部屋に戻った。
後ろ手に扉を閉めて、ずるずるとその場にしゃがみ込む。
腰が抜けてしまったようだ。
えーと、えーと……。
理解しようと懸命に、脳を働かそうとした。
しかしかっと熱を帯びた体が徐々に冷えていくに連れ―――
……ね、眠い……。
私は腰を抜かしたまま、ずるずるとベットへ這って行った。
だだ……駄目だ……まずは寝よう……。
ベットに凭れかかったまま何とか上の服だけは脱ぎ捨てて、シーツと毛布の間に潜り込んだ。
考える事を放棄して―――私は意識の沼の中へとっぷりとダイブしたのだった。
** ** **
眩しさに目をしょぼしょぼさせると、カーテンの隙間からちょうど私の目の位置に太陽の光が差しこんでいた。
朝―――。
もぞもぞとうつ伏せになった体を反転すると、ひどく強張っているのが分かった。
私は着替えもせずに意識を失うように寝てしまったらしい。
ジーンズの硬さが不快だった。
口の中も何だか気持ち悪い。
そういえば、歯を磨いていない。
「あーー……」
呻いてずるずるとベットから這い出る。
なんか、忘れているような気がする。
気がするけど……。
とりあえず歯、磨いて―――シャワー浴びよう。
シャワーを浴びて、頭をガシガシとタオルで拭いた。
歯を磨きながらドライヤーで髪を乾かす。
器用だと言われるかもしれないが、効率はあんまり良くない。
面倒臭がりなのです。
「また、一遍にやろうとしてる」
ドキンッ。
心臓がひとつ跳ねた。
一瞬で忘れていた記憶が蘇る。
そこに現れたのは―――
―――清美だ。私の後ろに大きな壁が出現した。
「ひ…ひよみ……」
歯ブラシが口に入ったままで、モゴモゴ言う。
清美は無表情で、洗面所の私の横に割り込んできた。
距離の近さはいつものコトなのに、何故だか落ち着かない。
歯を磨きに来たのかと思って少し体を避けたのだが、清美が歯ブラシを手に取る気配はない。
代わりに私の手からヒョイっとドライヤーを奪った。
「歯磨きに専念しな」
私の髪の毛をサラサラと梳きながら、ドライヤーで乾かし始める。
「は……はりがと……」
慣れたもので、手付きが良い。
今まで気にならなかったけど、年頃の男の子が自ら姉の髪の毛を乾かしてくれるって―――普通じゃないよね。私の要領の悪さに苛ついてつい手を出してしまうのだろうけど。
自分でやるより遙かに手早く私の髪を乾かしてくれた清美は、ドライヤーをしまった。
いつもなら任務終了とばかりに、そのまま何も云わず立ち去る処なのだけれど。
クンクン。
何故か、清美が身を屈めて私の頭頂部の匂いを嗅いだ。
「な……なに?」
「イイ匂い」
「へ?清美と同じシャンプーだよ」
「うん」
ちゅっ。
「?!」
つむじに吸い付かれた感触に、私はまた固まってしまった。
そして含んでいたうがい用の水を、ダバーっと零してしまう。
既に、清美は消えていた。
「なっ……なっ……」
我に返った私は、慌ててタオルで顔を拭った。
な……なんなんだっ!?
清美がオカシクなった……!!
昨日と言い、今日と言い―――
もしかして練習のし過ぎ?
ハードな受験が終わった途端、春休みも休めずに練習漬けの日々で―――壊れちゃったのか……?
弟の奇妙な行動に、激しい違和感を感じずにはいられない。
これはもう『シスコン』なんて笑ってスルー出来ない域なのでは。
……ねーちゃんは……。
ねーちゃんは、清美が心配だよ……!!
【俺の事情・終】
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『俺の事情』最終話でした。
前作『おとうとが私にかまい過ぎる』と対応する部分はここまでとなります。お読みいただき、ありがとうございました。
次話から新章になります。
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