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新妻・卯月の仙台暮らし
21.まだ、眼鏡屋さんにいます。
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結局、最初に勧めて貰った眼鏡を購入することになった。視力確認のため技術担当の男性に伴われ丈さんは奥の部屋へと消えて行く。幾つか検査を終えた後、そのデータをもとにカウンターでレンズを選ぶ手順らしい。
店員のお姉さんがカウンターの向こう側に座り、一覧表で色んなレンズを紹介してくれる。常に両目二.〇をクリア!しつこいようだが眼鏡屋さんとの接点がこれまで全く無かった私には何もかもが、物珍しい。薄いレンズの方がちょっとお高いとか初めて知った。オプションでブルーライトをカットする仕様に出来たり、紫外線の量に対応してレンズの色が濃くなる仕様もあるらしい。
そう言えば小学校の教頭先生の眼鏡がそうだったかも。運動会で黒い眼鏡を掛けた殺し屋みたいなオジサンがいて驚いた。担任の先生と普通に話していて、よくよく見ると教頭先生だった。あれは野外で強い日差しを浴びてサングラスのようにレンズが変色した結果なのだろう。
フレームには食い付いたけど、レンズ選びに要望がある訳では無い。だから暫くの間、私は丈さんの隣で大人しく店員さんの説明に耳を傾けていた。
「以前と同じで、左目のみ乱視が入っていますね。でも酷くはないので……あら?視力が少し上がってますね?」
「え……もしかして、老眼?」
その時つい、ポロリと口から出てしまった。アハハ、と笑って隣を見ると。
「……」
丈さんが真顔で固まっていた。ヤバい。
「な、なーんてね?!違いますよね!アハハ!」
「……」
「そうですね!まだ三十代ですし。パソコンとかスマホとか一日中眺めているご職業であればそう言うこともあるかもしれませんが……」
慌てて冗談にしようとした私を、店員のお姉さんがすかさずフォローしてくれる。
「最近外回りが減ったので、パソコンを見る機会は増えていますね……」
丈さんは思い当たる所があるらしく、重苦しくそう答えた。そう言えばお仕事が忙しくて、土日もパソコン三昧だったものね。
私と店員のお姉さんはチラリと視線を交わした。これ以上はキケン!空気を換えないと!
「で、でもまだ老眼鏡がいる、とかじゃないですよね?」
「ええ!それに、最近はレンズも境目のない遠近両用があって、老眼鏡を特別に作る必要はありませんし」
「……老眼鏡……」
ヤバい。丈さんの瞳が虚ろになって来た。これ以上話題を引っ張るのはヤブヘビだ。焦る私とお姉さんの目が再び合う。お姉さんは微かに頷き、話題をサラリと移した。
「パソコン作業が多いのでしたら、こちらのレンズにブルーライトカットを付けましょうか。光に当たると少し色が着くくらいで目立ちませんし、このタイプだとオプションを付けても値段は変わりませんので……」
「お願いします」
やっとキケンな泥沼から抜け出すことが出来たようだ。さすがに丈さんは大人だから、お姉さんがビジネスライクに話し始めると何事も無かったように対応してくれる。態度には出さないけれども、お姉さんもホッとしたように見えた。
それにしても近頃の丈さんは、涙脆かったり弱音をポロリとこぼしたりと、随分以前より考えていることが表に出て来るようになっている。これはやはり漸く私と言う存在に慣れてくれたと受け取って良い……のかな?
それとも新しいお仕事が大変で、お疲れ気味だと言うことなのかな?
それともそれとも、丈さんってもともとデリケートだったり……?
―――なんて、私は自分の不用意な台詞を棚に上げて、彼の隣で口を噤みそんな事を考えていたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注釈つけ忘れていましたが、前々話からの眼鏡屋さんエピソードは、
『結婚するまでのお話』「24.そして春になりました。」以降のお話です。
書きたいエピソードになかなか辿り着けません( ゚Д゚)
本題に入れないまま、亀田の傷ばかりが増えて行きます…。
おおざっぱ卯月(26)の不用意な台詞に振り回される、意外とデリケートな亀田(39)でした(^^;)
次こそ本題に入りたいです。亀田をオチに使うのはほどほどにして…!
店員のお姉さんがカウンターの向こう側に座り、一覧表で色んなレンズを紹介してくれる。常に両目二.〇をクリア!しつこいようだが眼鏡屋さんとの接点がこれまで全く無かった私には何もかもが、物珍しい。薄いレンズの方がちょっとお高いとか初めて知った。オプションでブルーライトをカットする仕様に出来たり、紫外線の量に対応してレンズの色が濃くなる仕様もあるらしい。
そう言えば小学校の教頭先生の眼鏡がそうだったかも。運動会で黒い眼鏡を掛けた殺し屋みたいなオジサンがいて驚いた。担任の先生と普通に話していて、よくよく見ると教頭先生だった。あれは野外で強い日差しを浴びてサングラスのようにレンズが変色した結果なのだろう。
フレームには食い付いたけど、レンズ選びに要望がある訳では無い。だから暫くの間、私は丈さんの隣で大人しく店員さんの説明に耳を傾けていた。
「以前と同じで、左目のみ乱視が入っていますね。でも酷くはないので……あら?視力が少し上がってますね?」
「え……もしかして、老眼?」
その時つい、ポロリと口から出てしまった。アハハ、と笑って隣を見ると。
「……」
丈さんが真顔で固まっていた。ヤバい。
「な、なーんてね?!違いますよね!アハハ!」
「……」
「そうですね!まだ三十代ですし。パソコンとかスマホとか一日中眺めているご職業であればそう言うこともあるかもしれませんが……」
慌てて冗談にしようとした私を、店員のお姉さんがすかさずフォローしてくれる。
「最近外回りが減ったので、パソコンを見る機会は増えていますね……」
丈さんは思い当たる所があるらしく、重苦しくそう答えた。そう言えばお仕事が忙しくて、土日もパソコン三昧だったものね。
私と店員のお姉さんはチラリと視線を交わした。これ以上はキケン!空気を換えないと!
「で、でもまだ老眼鏡がいる、とかじゃないですよね?」
「ええ!それに、最近はレンズも境目のない遠近両用があって、老眼鏡を特別に作る必要はありませんし」
「……老眼鏡……」
ヤバい。丈さんの瞳が虚ろになって来た。これ以上話題を引っ張るのはヤブヘビだ。焦る私とお姉さんの目が再び合う。お姉さんは微かに頷き、話題をサラリと移した。
「パソコン作業が多いのでしたら、こちらのレンズにブルーライトカットを付けましょうか。光に当たると少し色が着くくらいで目立ちませんし、このタイプだとオプションを付けても値段は変わりませんので……」
「お願いします」
やっとキケンな泥沼から抜け出すことが出来たようだ。さすがに丈さんは大人だから、お姉さんがビジネスライクに話し始めると何事も無かったように対応してくれる。態度には出さないけれども、お姉さんもホッとしたように見えた。
それにしても近頃の丈さんは、涙脆かったり弱音をポロリとこぼしたりと、随分以前より考えていることが表に出て来るようになっている。これはやはり漸く私と言う存在に慣れてくれたと受け取って良い……のかな?
それとも新しいお仕事が大変で、お疲れ気味だと言うことなのかな?
それともそれとも、丈さんってもともとデリケートだったり……?
―――なんて、私は自分の不用意な台詞を棚に上げて、彼の隣で口を噤みそんな事を考えていたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
注釈つけ忘れていましたが、前々話からの眼鏡屋さんエピソードは、
『結婚するまでのお話』「24.そして春になりました。」以降のお話です。
書きたいエピソードになかなか辿り着けません( ゚Д゚)
本題に入れないまま、亀田の傷ばかりが増えて行きます…。
おおざっぱ卯月(26)の不用意な台詞に振り回される、意外とデリケートな亀田(39)でした(^^;)
次こそ本題に入りたいです。亀田をオチに使うのはほどほどにして…!
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