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捕獲されまして。<大谷視点>
17.連絡先を交換しました。
しおりを挟む「今日は悪かったな。明日はもう少し早い時間に来る」
「えっ……」
帰り際に亀田がトンデモない事を口走ったから、思わず耳を疑った。戸惑う私を見た亀田は、恐縮したような口調で更に続けた。
「あ、そうだよな。大谷だって用事があるよな。俺は大抵休日はミミと過ごす為に家に籠っていたものだが……」
いや、私も同じようなものだ。出掛けるのは買い出しくらいだし。
「いえ、私も休みは基本、うータンと家で戯れてます」
「そうか……」
ホッとした亀田が胸に手を当ててニコリと笑った。
だから……ギャップ!!
何でそんな不意打ちをかまして来るんだっ!
私は柔らかい笑顔でホッと胸を撫で下ろす亀田にドキリとしてしまった。その所為かスマホのメルアドと電話番号を聞かれて、思わずツルっと教えてしまう。直ぐに亀田の連絡先がスマホに送られてきた。
「好き嫌いは無いか?」
「あ、はい。うータンは……」
「お前だ。大谷は好き嫌いは無いのか?」
「へ? あ、はい。何でも美味しく食べるよう、躾けられましたから」
「良い事だな」
ニコリと亀田が笑う。飲み会並みに雰囲気が柔らかな亀田を見ていると呆気に取られるばかりで―――私はツッコミを入れる事を忘れて、ついつい普通に対応してしまう。
そうして何故か亀田がお昼ご飯を買って持参してくれる事になり、また明日も―――しかも昼間っから彼が私の部屋に遊びに来る事を了承してしまったのだった……!
そして土曜日の昼間、お土産持参で亀田が現れた。
うータンには牧草お試しセット。何種類か牧草が入っていて、ウサギに少量与えて好みを探れるってヤツ。うータンは牧草をあまり好まないので、正直気になっていたから嬉しかった。
私には何と『タイメイ軒』のカツサンド! ドンピシャ好みど真ん中のセレクトに、思わず頬が緩んでしまった。
「わー……嬉しいです。課長も『タイメイ軒』好きなんですか?」
「え? いや、たまたま入ったデパートの地下で目に付いただけだ。何処が美味しいか、とか何が美味しいかとか俺にはよく分からないからな」
「会社の食堂で売っているオムライス弁当とか『タイメイ軒』ですよ!私大好きなんです」
「ああ……そう言えば、あれは旨いな」
「ですよね! この間めっちゃ、美味しかったんです。いつもお弁当だから滅多に食堂行きませんけど」
「大谷はいつも弁当持参だったか」
「はい! やっぱ生活苦しいですからね、正社員になるまでは節約しないと」
「の、わりにウサギグッズは結構充実しているな……」
亀田課長はうータンのケージ周りに視線を向けながら言った。
「自分の食費は削れても、うータンの食費は削れませんから!」
ぶはッと噴き出す音がして、私は顔を上げた。
するとめっちゃ笑っている……亀田が……コワモテの銀縁眼鏡が。
思わず目が点になってしまった。
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