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結婚するまでの裏話
二、余裕ですね。 <大谷>(★)
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『一、余裕はありません』の裏側、大谷視点の短い小話です。
※なろう版には掲載されておりません。
※R表現まで行きませんが大人っぽい表現がありますので苦手な方は回避して下さい。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
入浴剤があって助かった。
真っ白な湯船の中に肩までしっかり浸かって、彼の視線から逃れる事が出来たのだと安堵していた。―――が、すぐに苦境に立たされることになる。
体の大きな丈さんと二人で浴槽に浸かるなんて無理だろうって、浅はかにも考えていたのだ。しかし浅くて広めの浴槽は、向かい合って座らなければ結構余裕があるのだと実践で知ってしまった。だけどこの体勢……確かに私は彼の方を見ずにいられるけど……背中に彼の胸板がチラチラ当たって、とてもとても恥ずかしい。恥ずかしいから密着しないようにキュッと体を縮こませてはいるのだけれど、どうしても肌同士が一部触れ合ってしまう。
いや、あなた今更!って思うよね?
確かに普段、お布団の中でぴったり重なったりする事もあるし、人肌って気持ち良いなぁ……なんて思えるくらいの余裕は出て来たと思う。だけど大抵部屋は薄暗くして貰っているし、布団を被ってなるべく正視されないように注意を払って来た。だから改めてこう思ってしまう。
お風呂って―――こんなに明るかったっけ?!
こうして一緒に入るまでは浴室の中の照明ってそれほど明るく無いって思っていた。だけどこれ、明るいっ!入浴剤が無かったら、ま……丸見えじゃないですかっ!
ああ、今更自分の台詞を後悔しても遅すぎる。でも、もう丈さん、本当は気付いているよね……?私が『一人で』お風呂に入るって言いたかったんだって。
マッハで先に体を洗って入浴剤で視線を遮断した浴槽にぴっちり浸かった私を一瞥して、思わず、と言った調子で笑い出した丈さんを恨みがましく睨んでしまった。が、まともに彼の意外と筋肉質な躰が目に飛び込んで来て、慌てて俯く。その時の揶揄うような視線から、彼が私の気持ちを察している事が伝わって来たんだ。
全く……余裕ですよね!
私は顔を火照らせながらソッポを向いた。が、シャワーの音が聞こえてから視線を恐る恐る戻してみる。すると体を洗う丈さんの広い背中が目に入って、恥ずかしくてまた慌てて視線を戻すことになってしまったのだった……。
そして今はこれだ。何この体勢……ああ、もう恥ずかし過ぎて、後ろも振り向けないし言葉も掛けられない。
現在お互い全裸(!)と言う恥ずかしい状況ではあるけれども、具体的に不埒な事は何もされていない。それなのに、私の体に緩く回された腕が私の二の腕にチョコンと当たる度にドキドキしてしまう。まるで何かを期待しているかのようだと、頭の中の誰かが囁いたから打ち消すようにフルフルと首を振った。ちょっと大人な恋愛小説では、恋人同士が一緒にお風呂入るって設定はそれほど珍しくないと思う。そう言う知識だけはしっかりあるから、ちょっとだけ、本当に少しだけそう言う状況になったらどうしよう?なんて想像した事もある。だけど―――もう無理!これ以上この状態でいたら……うん。きっと私、鼻血吹くと思う。色んな意味で逆上せて。
そこで私はグッと決意を固めた。出よう!まだ髪も洗って無い状態だけど―――このままじゃ、酷い醜態を晒してしまうこと必至だっ……!私は勇気を奮い起こして口を開いた。
「丈さん私、もう……ひぁっ!」
思わず変な声が出た。私の剥き出しのうなじに何か柔らかい物が触れたからだ。ぞくぞくぞくっと背筋が導火線になったみたいに、何かが這い上がった気がした。思わずギュッと瞼を閉じて快感を堪える。
固まっている隙に状況が一変した。それまでやんわりと私を囲うだけに留めていた長い腕が、しっかりと私のお腹の辺りを捕まえているのだ。ぐいと腰を抱き寄せられ、先ほどよりピッタリと体が密着してしまう。それこそ彼の息遣いを耳のすぐ傍で感じる程に。
「たけしさ……あ、ぅんっ!」
再び同じ場所に吸い付いた柔らかいものは、おそらく彼の唇で―――チロリとその隙間から現れた舌が、私のうなじを撫でたから、思わず体をぶるりと震わせてしまう。すると成果に満足したかのように、そのままその唇がその場所から下の方へゆっくりと移動して。今度は肩甲骨の上の辺り、誰かに舐めらるなんて経験がほとんど無いような場所に再び吸い付いた。
「あっ……」
思わず声が漏れてしまう。くすぐったいし、くすぐったいだけじゃない何かが込み上げて来て……衝動的に逃げ出したくなって体を捩るのだけれど、ガッチリと下腹を固定されているから、逃げ出そうにも逃げ出せない。
「背中、弱いんだな」
って、ポソリと呟く息が背中に掛かって、ぞわっと其処から痺れが拡がって行く。何だか色々とってもヤバい!そして丈さんの声の調子が冷静過ぎて、体の芯から恐れおののいてしまう―――まるで今の私はまな板の上の鯉、若しくは理科の実験で解剖される蛙のようなものだ。
「わたし、もう……うぁっ」
チュッと再びうなじに吸い付かれた!かと思うと、同時に腰を捕まえていた掌が私の胸のふくらみに伸びて来る……!
「っ……!」
大きな声を出しそうになって、思わず堪える。
そう言えばお風呂って結構響くんじゃなかったっけ?!少なくとも私が前いたアパートではそうだった。古い造りだからか、たまたまそこがそう言う構造だったのかは分からないけれど……水が流れる音で上階の誰かがお風呂を使っているのが分かったし、何処の部屋からか歌声みたいな音が漏れ聞こえて来た事もある。その歌声みたいな音は小さかったし何を歌っているか鮮明には分からなかったけど―――もしここもそう言う構造だったら?!もし上階の人にちょっとでも聞こえて、特定されてしまったなら……分譲だから逃げ場がないっ!は、恥ずかし過ぎる……!
わわわっ……それに丈さんの様子が何やらヤバい。さっきまでそんな事無かったのに!ピッタリとくっついた腰の辺りにですね……その……当たってます、変化し始めたアレが。
そんな風に冷静に判断する部分が脳の一部に存在しつつも、体は新しい刺激に応えるように、素直に熱くなっていく。へっぴり腰でワタワタ慌てるしか出来ない私を翻弄するのは、背後を取った彼にとっては、さぞ簡単だったに違いない。
―――何とか彼の甘い檻から抜け出した頃には、色々な意味ですっかり逆上せてしまっていた。さっきまで、私の胸に縋りついていた可愛いあの人は何処へ……?
何とかお風呂場でコトに至らず、ホッとしたのも束の間。水滴をバスタオルで拭う間も惜しそうに、彼は私を寝室へ連行したのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本編の流れが落ち着いたので、漸く蛇足部分を投稿出来ました。
大谷さんの脳内の声がやや雰囲気を台無しにしちゃってスイマセン。お色気ポイント、三割がたダウンしていると思います。コメディと思っていただければ有難いです。
お読みいただき、誠に有難うございました!
※なろう版には掲載されておりません。
※R表現まで行きませんが大人っぽい表現がありますので苦手な方は回避して下さい。
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入浴剤があって助かった。
真っ白な湯船の中に肩までしっかり浸かって、彼の視線から逃れる事が出来たのだと安堵していた。―――が、すぐに苦境に立たされることになる。
体の大きな丈さんと二人で浴槽に浸かるなんて無理だろうって、浅はかにも考えていたのだ。しかし浅くて広めの浴槽は、向かい合って座らなければ結構余裕があるのだと実践で知ってしまった。だけどこの体勢……確かに私は彼の方を見ずにいられるけど……背中に彼の胸板がチラチラ当たって、とてもとても恥ずかしい。恥ずかしいから密着しないようにキュッと体を縮こませてはいるのだけれど、どうしても肌同士が一部触れ合ってしまう。
いや、あなた今更!って思うよね?
確かに普段、お布団の中でぴったり重なったりする事もあるし、人肌って気持ち良いなぁ……なんて思えるくらいの余裕は出て来たと思う。だけど大抵部屋は薄暗くして貰っているし、布団を被ってなるべく正視されないように注意を払って来た。だから改めてこう思ってしまう。
お風呂って―――こんなに明るかったっけ?!
こうして一緒に入るまでは浴室の中の照明ってそれほど明るく無いって思っていた。だけどこれ、明るいっ!入浴剤が無かったら、ま……丸見えじゃないですかっ!
ああ、今更自分の台詞を後悔しても遅すぎる。でも、もう丈さん、本当は気付いているよね……?私が『一人で』お風呂に入るって言いたかったんだって。
マッハで先に体を洗って入浴剤で視線を遮断した浴槽にぴっちり浸かった私を一瞥して、思わず、と言った調子で笑い出した丈さんを恨みがましく睨んでしまった。が、まともに彼の意外と筋肉質な躰が目に飛び込んで来て、慌てて俯く。その時の揶揄うような視線から、彼が私の気持ちを察している事が伝わって来たんだ。
全く……余裕ですよね!
私は顔を火照らせながらソッポを向いた。が、シャワーの音が聞こえてから視線を恐る恐る戻してみる。すると体を洗う丈さんの広い背中が目に入って、恥ずかしくてまた慌てて視線を戻すことになってしまったのだった……。
そして今はこれだ。何この体勢……ああ、もう恥ずかし過ぎて、後ろも振り向けないし言葉も掛けられない。
現在お互い全裸(!)と言う恥ずかしい状況ではあるけれども、具体的に不埒な事は何もされていない。それなのに、私の体に緩く回された腕が私の二の腕にチョコンと当たる度にドキドキしてしまう。まるで何かを期待しているかのようだと、頭の中の誰かが囁いたから打ち消すようにフルフルと首を振った。ちょっと大人な恋愛小説では、恋人同士が一緒にお風呂入るって設定はそれほど珍しくないと思う。そう言う知識だけはしっかりあるから、ちょっとだけ、本当に少しだけそう言う状況になったらどうしよう?なんて想像した事もある。だけど―――もう無理!これ以上この状態でいたら……うん。きっと私、鼻血吹くと思う。色んな意味で逆上せて。
そこで私はグッと決意を固めた。出よう!まだ髪も洗って無い状態だけど―――このままじゃ、酷い醜態を晒してしまうこと必至だっ……!私は勇気を奮い起こして口を開いた。
「丈さん私、もう……ひぁっ!」
思わず変な声が出た。私の剥き出しのうなじに何か柔らかい物が触れたからだ。ぞくぞくぞくっと背筋が導火線になったみたいに、何かが這い上がった気がした。思わずギュッと瞼を閉じて快感を堪える。
固まっている隙に状況が一変した。それまでやんわりと私を囲うだけに留めていた長い腕が、しっかりと私のお腹の辺りを捕まえているのだ。ぐいと腰を抱き寄せられ、先ほどよりピッタリと体が密着してしまう。それこそ彼の息遣いを耳のすぐ傍で感じる程に。
「たけしさ……あ、ぅんっ!」
再び同じ場所に吸い付いた柔らかいものは、おそらく彼の唇で―――チロリとその隙間から現れた舌が、私のうなじを撫でたから、思わず体をぶるりと震わせてしまう。すると成果に満足したかのように、そのままその唇がその場所から下の方へゆっくりと移動して。今度は肩甲骨の上の辺り、誰かに舐めらるなんて経験がほとんど無いような場所に再び吸い付いた。
「あっ……」
思わず声が漏れてしまう。くすぐったいし、くすぐったいだけじゃない何かが込み上げて来て……衝動的に逃げ出したくなって体を捩るのだけれど、ガッチリと下腹を固定されているから、逃げ出そうにも逃げ出せない。
「背中、弱いんだな」
って、ポソリと呟く息が背中に掛かって、ぞわっと其処から痺れが拡がって行く。何だか色々とってもヤバい!そして丈さんの声の調子が冷静過ぎて、体の芯から恐れおののいてしまう―――まるで今の私はまな板の上の鯉、若しくは理科の実験で解剖される蛙のようなものだ。
「わたし、もう……うぁっ」
チュッと再びうなじに吸い付かれた!かと思うと、同時に腰を捕まえていた掌が私の胸のふくらみに伸びて来る……!
「っ……!」
大きな声を出しそうになって、思わず堪える。
そう言えばお風呂って結構響くんじゃなかったっけ?!少なくとも私が前いたアパートではそうだった。古い造りだからか、たまたまそこがそう言う構造だったのかは分からないけれど……水が流れる音で上階の誰かがお風呂を使っているのが分かったし、何処の部屋からか歌声みたいな音が漏れ聞こえて来た事もある。その歌声みたいな音は小さかったし何を歌っているか鮮明には分からなかったけど―――もしここもそう言う構造だったら?!もし上階の人にちょっとでも聞こえて、特定されてしまったなら……分譲だから逃げ場がないっ!は、恥ずかし過ぎる……!
わわわっ……それに丈さんの様子が何やらヤバい。さっきまでそんな事無かったのに!ピッタリとくっついた腰の辺りにですね……その……当たってます、変化し始めたアレが。
そんな風に冷静に判断する部分が脳の一部に存在しつつも、体は新しい刺激に応えるように、素直に熱くなっていく。へっぴり腰でワタワタ慌てるしか出来ない私を翻弄するのは、背後を取った彼にとっては、さぞ簡単だったに違いない。
―――何とか彼の甘い檻から抜け出した頃には、色々な意味ですっかり逆上せてしまっていた。さっきまで、私の胸に縋りついていた可愛いあの人は何処へ……?
何とかお風呂場でコトに至らず、ホッとしたのも束の間。水滴をバスタオルで拭う間も惜しそうに、彼は私を寝室へ連行したのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本編の流れが落ち着いたので、漸く蛇足部分を投稿出来ました。
大谷さんの脳内の声がやや雰囲気を台無しにしちゃってスイマセン。お色気ポイント、三割がたダウンしていると思います。コメディと思っていただければ有難いです。
お読みいただき、誠に有難うございました!
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