トリート選んだら異世界で愛され魔女になってました

星野 千織

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第1話 ハロウィン転生

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 ハロウィンなんて、私の子どもの頃にはなかった。

 カボチャは煮物で、仮装は学芸会でしか見たことがない。
 それが今じゃ、十月になればスーパーの棚はオレンジ一色。どこの誰が仕掛けたのか知らないけれど、たいしたマーケティングだ。

 広報をしていたころ、秋って本当に困ったんだよ。
 夏は祭り、冬はクリスマス。春は桜。でも秋って、紅葉と食欲くらいしかネタがない。
 ……たぶん、そういう「困った人間」が、ハロウィンを流行らせたんだろうね。

 仮装して、街を歩いて、写真を撮って。
 雑にコスプレすれば”ハロウィン”。お手軽なもんだ。

 だから、あの夜も深く考えずに――
 百均で買った魔女帽子を被って、カボチャ柄のマントを羽織った。
「今年は仮装もどきでもしてみようかな」なんて軽い気持ちで。

 駅前の広場では、若者たちが笑っていた。
 ゾンビに吸血鬼、メイドに悪魔。
 その中に、ひときわ凝った衣装の集団がいた。
 ――ああ、最近の子は凝ってるなあ。衣装、手作りだろうか。

 そう思って近づいた瞬間。
 ひやりと風が頬を撫でた。
 耳の奥で、鈴のような声が響いた。

「ようこそ、真なるハロウィンの夜へ」

 ――え、なにそれ?
 次の瞬間、視界が、暗転した。
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