悪役令息に転生したから断罪ルート回避しようとした結果、王太子殿下を溺愛してる

琥月ルル

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20.夏休み♡

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エドワードと俺は晴れて両思いになったが、期末試験が近かったため、いちゃいちゃするのは試験後の夏休みまでお預けということになった。
時折じゃれ合うようにハグしたりキスしたりするくらいで、極めて健全なお付き合いをしていた。

恋愛にうつつを抜かして成績が下がりました、なんて自分を律することができませんって言ってるようなものだし、みっともないからね。
まぁ、就寝前にエドワードの柔らかな唇の感触とか蕩けた瞳とかを思い出してムラムラしちゃうことはあったけど。恥ずかしいから内緒だ。

試験後の所感としては、しっかり勉強に集中した甲斐があって、今までと同じかそれ以上の成績は確実だろう。エドワードもなかなか手応えがありそうな反応をしていた。

セシリアはといえば、試験前の大切な時期に攻略対象であるリックを城下町デートに付き合わせたらしい。彼の兄であるカールが面白くなさそうな顔をしながら愚痴を零していた。

同じく攻略対象であり、いつもエドワードと首席争いを繰り広げているマーカスも『勉強を教えてくださいっ』とセシリアに頼まれたそうだ。正直そこまで親しくないし丁重に断ったって言ってたけど。マーカスルートだと試験前に図書館で一緒に勉強するイベントがあるから、それを狙ったんだろうな。

イザベラ曰く『セシリアさん、試験後に出来が良くなかったとさめざめ泣いて男子生徒の皆さんに慰められていましたけど、自業自得としか思えませんわ』とのこと。
俺も同感だ。

そんなこんなで期末試験が終わり、学園は夏休み期間に入った。
秋学期が始まるまで自由登校って形になるから、学園に通う貴族の子息たちにとって、夏休みは絶好の社交シーズンになる。
王都のあちこちでお茶会やパーティーが開かれ、将来のためにいろいろなコネクションを作ったり婚約者や友人たちと親交を深めたりするのだ。

もちろん王太子のエドワードもいろいろ予定が詰まってて多忙なんだけど、国王陛下の計らいで、最初の一週間だけは何の予定もない純然たる休暇として与えられている。
エドワードはその一週間を使い、今年は清涼宮に滞在して羽を伸ばすことになっていた。一週間といっても、悪天候で行き帰りに時間がかかる可能性を見越して、旅行自体は三泊四日の予定だ。

清涼宮は王都の中心から馬車で半日ほどの避暑地に建てられた離宮で、何代か前の国王が病気がちな王女のために造らせた建築だ。
別名を水晶宮と言って、クリスタルがあちこちに散りばめられた豪華で涼やかな外見をしている。

両思いになって間もない頃、ほわっと可愛らしく頬を染めたエドワードに『よかったら一緒に行かないか』と誘ってもらえたので、今回の小旅行には俺も同行できることになっていた。

王宮からエドワードを乗せた馬車がやってきて、イザベラと王都邸の使用人たちに見送られながら車内に乗り込む。
侍従によって扉が閉められ、外から中が見えなくなる遮断魔法をかけられた途端、エドワードが柔らかく微笑みながら腕を伸ばしてきた。

「リアム、会いたかった。試験前から君と休暇を過ごせるのが楽しみでたまらなかったんだ」
「俺もだよ。あなたとたくさん一緒に過ごせるなんて、本当に夢みたいだ。俺の可愛いエディ……」

俺は身を屈め、エドワードの体をぎゅっと優しく抱きしめた。相変わらず、花とレモンの爽やかな香りがして心が安らぐ。
どちらからともなく微笑みを交わし、ちゅっ、と唇に触れるだけのキスをする。

エドワードと向かい合うように腰掛けたが、彼に触れられないのが寂しい。せっかく密室にふたりきりだし、ちょっと大胆なことしてもいいかな。もしもエドワードが本気で嫌がったら謝ってすぐやめよう。

「ねぇ、エディ。こっちにおいで」

俺はエドワードの手首をそっと掴んで立たせ、さりげなく腰に腕を回して自分の方に抱き寄せた。
彼は「あっ」と小さな声をあげただけで、嫌がることなくされるがままになっている。

お互いの体に負担がかからないよう、俺の太腿を跨がせるように横向きに座らせ、左腕で腰を抱き込んで固定した。王宮の馬車は広いので、こんな体勢でもエドワードは楽に足を伸ばせる。

少し戸惑った表情で見上げてくるのが可愛くて、目元に優しく口付けた。なめらかな頬がふわりと赤らみ、アイスブルーの瞳が恥じらうように伏せられる。

「こうしてあなたとくっついていたいんだけど、いやだったかな」
「いやじゃない。私も君と、その、くっついていたいから……」

話しているうちにさらに恥ずかしくなったのか、言葉が尻すぼみになっていき、とうとう俺の首筋に顔を埋めてしまった。可愛すぎて自然と口角が上がる。

「嬉しいよ、エディ。この体勢がつらくなったらすぐに言ってね」

星を散りばめたみたいな美しい金髪にキスをすると、エドワードは小さく頷いた。
膝に抱くお許しをもらったついでに靴も脱がしてしまおうと思い、キッチリした上等な革靴に手をかける。

「あ、靴なんて自分で脱ぐのに」
「俺はあなたの恋人だよ。今はふたりきりだし、どうかお世話させてほしいな」
「もう……リアムはどれだけ私を甘やかすつもりなんだろう」
「ふふ、俺も自分がこんなに尽くしたがりとは知らなかったよ。いつも頑張ってるエディを甘やかせるのは、恋人である俺の特権だね」

ふわふわ微笑みながら顔を覗き込めば、エドワードも優しく眉を下げて微笑み返してくれる。
俺は丁寧な手つきで彼の靴を脱がせると、笑みを形取る唇にそっとキスをした。そのまま額や鼻の頭、目蓋など、顔中にキスの雨を降らせていく。

「あ、んっ……ん、りあむ、あっ、ふふっ……♡だめ、んぅ♡ほっぺた、かじらないで……♡」

なめらかな頬に噛みつくふりをして唇であむあむ食んでいると、エドワードがくすくす笑いながら俺の首筋に頭を擦り寄せた。
仕返しをするように耳たぶに口付けられ、耳元に吐息混じりの微笑が流し込まれる。エドワードの笑い声は清楚で無邪気なのに、どこか色っぽくて艶かしい。
俺は下半身が一瞬反応しかけたことに自分でも驚いて、己の耐性のなさを思い知りながら体を硬直させた。
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