悪役令息に転生したから断罪ルート回避しようとした結果、王太子殿下を溺愛してる

琥月ルル

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33.ふたりきりでダンスを♡

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「リアム」

人の波をかき分け、待ち合わせをしていたバルコニーに出る。
俺より先に来ていたエドワードは、俺の姿を見つけると、小さく片手を上げて柔らかく微笑んだ。

「エディ!」

ふたりきりになれたのが嬉しくて、ぎゅっと彼を抱きしめる。俺は挨拶をするように頬に口付け、ふわふわの甘い笑顔を浮かべてエドワードを見つめた。

「そんなにはしゃいで……可愛らしいな」
「だって、これからあなたと踊れるのが嬉しくて仕方ないんだ。ずっと楽しみにしてたから」
「ふふ、拗ねないでくれ。私も君とのダンスを心待ちにしていたよ」

ちょっと拗ねたふりをして視線を逸らすと、宥めるように頬を撫でられる。
俺はすぐにエドワードと目を合わせ、にこっと微笑んだ。そっと彼の手首を掴み、ちゅっ、と指先にキスをする。それだけで目元をほわほわ染めて恥じらう姿が、愛しくてたまらない。

「エドワード。私と踊っていただけますか」
「喜んで」

恭しく差し出した手に一回り小さなエドワードの手が重なる。もう片方の手で腰を抱き、自分の方に優しく引き寄せると、ふたりの体がぴったりと密着した。
ホールから流れてくる音楽に合わせ、ゆったりとしたステップを踏む。俺が得意なワルツなので、リードは完璧だ。
踊り慣れない女性パートというのもあって、最初は少しぎこちない動きをしていたエドワードも、次第にリラックスした様子で踊り始めた。
俺にリードを任せてのびのびと好きなように踊る彼を見ていると、胸の奥から、言葉にしてもまだ足りないほどの愛しさが込み上げてくる。

「あっ……すまない」
「ふふ、気にしないで。俺の足なんかいくらでも踏んでいいからね」
「ありがとう。後日、君に新しい靴をプレゼントするよ」

別に誰に見られているわけでもないから、たまにうっかり足を踏まれそうになったり踏まれたりしても、俺たちが顔を見合わせて笑うだけだ。
エドワードが俺の腕の中で楽しそうに踊っているという事実がどうしようもなく幸せで、自然と柔らかな微笑みが零れる。
そうしてバルコニーで二曲ほど踊ったあと、いちおう怪しまれないように時間差でホールに戻ろうという話になったんだけど、俺は正直なところ、エドワードと離れるのが名残惜しかった。

「エディ」

ホールに背を向けるようにして、人の目から彼を隠すように抱きしめる。びっくりしたのか反射的に肩を掴まれるが、気にすることなく腕の力を強めれば、エドワードは長いまつげをふるりと震わせて目を伏せた。

「んっ……♡」

柔らかな唇に触れるだけの口付けをすると、彼はうっとりと甘い吐息を零す。それに煽られて何度も口付けを繰り返していると、エドワードが頬を染めながら俺の胸板を手のひらで軽く押した。

「あ、りあむ、んっ……♡だめだ、ん、こんなところで……」
「ごめんね。あなたが好きすぎて我慢できない。それにもし誰かに見られても、ここは暗いから俺たちかどうかなんてわからないよ」
「んんっ……♡そう、だろうか……?」

とろりと蕩けたアイスブルーの瞳で見上げられ、理性の糸が切れていく音がする。トドメを刺さんばかりに、きゅっ…と甘えるようにシャツを握られてしまったらもうダメだった。
腰に腕を回して抱き寄せ、そっと後頭部に手を添えて固定する。唇の隙間から舌を入れて歯列をなぞり、奥に引っ込んでいる臆病な舌を追いかけて捕まえた。

「あっ、んぅ……♡んっ、ふぁっ……♡」

柔らかな唇を優しく貪っているうちに、エドワードの体から力が抜けていく。最初は抵抗するために押し付けられていた手のひらも、今は縋り付くように胸元のシャツを握るだけになっていた。

「は、んんっ♡ちゅ、ふ、はぁっ……♡」

重なっていた唇が離れていき、ふたりの唇の間に唾液の糸が引く。
白い肌を桃色に染め、乱れた呼吸を必死に整えているエドワードを見ていたら、ぞくっ…と興奮が背中を駆け抜けた。
むくむくと欲望がもたげそうになるのを抑えて、俺は手のひらで優しく彼の背中を擦る。

「ごめんね、ちょっと強引だったよね……嫌じゃなかった?」
「ん……大丈夫だ。その、実を言うと私も、君とキスしたかったから……」

そこまで言うと、恥ずかしくなってしまったのか俺の首筋に顔を埋めてしまう。恥ずかしがり屋なところも可愛い。
彼の言葉に嬉しくなって、いっぱいぎゅっと抱きしめた。本音を言えばずっとこうしていたかったけど、そういうわけにもいかない。
俺たちは微笑みを交わし、最後にもう一度、唇に触れるだけのキスをした。

先にホールに戻っていくエドワードの背中を見送り、しばらくしてから、俺も豪華なシャンデリアに照らされた明るいホールに足を踏み入れる。
ずっと壁の花でいたら、社交嫌いという噂を立てられるかもしれない。そろそろ真面目に社交親睦に興じようと思い、顔見知りの貴族たちと挨拶を交わして彼らの話に加えてもらった。
貴族らしい控えめな微笑を浮かべて相槌を打ちながら、エドワードとの蕩けるようなキスを思い出す。そうしたら無意識のうちに自分の唇を指先でなぞっていて、俺は頬が熱くなっていくのを感じた。
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