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74.新しい命の芽生え
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※男性妊娠・出産の描写があります。次話も同様です。
━━━━━━━━━━━━━━━
この頃、エドワードの体調が優れない。
変性薬によって胎の造りを変えたうえで子作りに励んでから、一ヶ月半ほど経過している。
最初はあまり食欲がないくらいだったのが、今では頻繁に嘔吐を繰り返すようになり、食も随分と細くなってしまった。
もともとあまり体調を崩す人ではないし、これはもしや…ということで王宮医に診せたら「おめでとうございます。ご懐妊です」とにこやかに言われた。
食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状は、いわゆる悪阻だという。
俺たちは王宮医や侍従たちの前だっていうのも気にしていられないほど嬉しくて、顔を見合わせて満面の笑みを浮かべながら抱き合った。
「嬉しい……私たちの子供がここにいるんだな」
「うん。あぁ、本当に嬉しい……元気に生まれてきてほしいね」
まだふくらみのないおなかを撫でる彼の手のひらに、一回り大きな手のひらを重ね、一緒に優しく撫でる。
ここに小さな命が宿っていると思うと、なんだか感動して涙が出てきた。
「ありがとう、エディ。愛してる……」
「ふふ。私も愛しているよ、リアム」
ちょっと涙ぐみながらも真摯に感謝と愛の言葉を伝えたら、エドワードは幸せそうに微笑んで俺の頬にキスをしてくれた。
王宮医から「安定期に入るまでは、くれぐれも無理せず体調を第一に考えて行動してください」と釘を刺されているので、今後は無理のない範囲で公務をこなすことになった。
エドワードは悪阻が重い方のようで、症状はどんどん酷くなっていくばかりだった。
悪阻が始まったばかりの頃は、俺を安心させようと気丈に振る舞って見せることも多かったけど、今は水と果物くらいしか喉を通らないうえに吐き気が治まらず、見るからにぐったりしている。
俺は寝台に横たわっているエドワードの髪を撫でながら、そっと額に口付けた。
「俺の可愛いエディ。今日の気分はどう?気持ち悪くない?」
「うん。昨日より、随分と良くなったよ。さっき果物も少し食べられた」
そうは言うものの、やはり顔色は優れない。この世で最も愛しい伴侶がやつれていく姿を目にして平常心でいられるはずもなく、最近は俺も食事があまり喉を通らなくて痩せて始めている。
「そんなに心配そうな顔をしないで。私は大丈夫だから。この子のためにも、頑張らないと」
「うん……そうだね」
あまりにもエドワードが心配で、それが全部表情に出ていたのか、彼は青白い顔をして俺に微笑みかけた。
まだ平らな腹を慈しむように撫でる手のひらに、そっと自分の手を重ねる。
俺たちは新しい命の健やかな成長を祈りながら、そうして静かに寄り添っていた。
エドワードの悪阻が終わったのは、妊娠十五週目に差し掛かろうという頃だった。
終わったと言っても気持ち悪くなることはあるし吐くときは吐くのだが、一日に何度も嘔吐することはなくなり、食欲も戻っている。
俺はエドワードが生き生きと食事を楽しんでいる姿を見られるのが嬉しくて、その様子をにこにこしながら眺めていた。
妊娠二十週目を過ぎると、おなかもふっくらと膨らんで目立つようになってきた。
子供の性別は出産するまでわからないが、とても元気な子のようで、エドワードの腹をよく蹴っている。
「あ、また蹴った。今日はいつにも増してよく蹴るね。リアム、こっちにきて。赤ちゃんがおなかを蹴ってる」
俺はベッドの端に腰掛けているエドワードの隣に座って、おなかのふくらみにそっと手を当てた。ぽこぽこっ…と内側から蹴りあげてくる感触が手のひらに伝わってきて、自然と唇が綻ぶ。
「あっ、ほんとだ!ふふ、今日も元気だね。あんまりやんちゃして、母上を困らせたらダメだよ」
「ふふ。リアムは良い父親になりそうだな」
ゆっくりと優しくおなかをさすられながら、エドワードは小さく声を立てて笑った。その笑顔がどうしようもないほど可愛くて愛しくて、俺は彼の唇に触れるだけのキスをした。
「どうかこのまま元気に育って、俺たちに君の可愛い姿を見せてね」
「私たちの愛しい子……母上も父上も、お前に会えるのを楽しみに待っているよ」
俺たちはぴったりと寄り添いながら、おなかの中にいる子供に語りかける。
胎児はふたりからたっぷり愛情を注がれ、順調に育っていった。
そうして月日は流れ、やがてエドワードは臨月を迎える。
彼は長時間に及ぶお産の末に、元気な男の子を産み落とした。
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この頃、エドワードの体調が優れない。
変性薬によって胎の造りを変えたうえで子作りに励んでから、一ヶ月半ほど経過している。
最初はあまり食欲がないくらいだったのが、今では頻繁に嘔吐を繰り返すようになり、食も随分と細くなってしまった。
もともとあまり体調を崩す人ではないし、これはもしや…ということで王宮医に診せたら「おめでとうございます。ご懐妊です」とにこやかに言われた。
食欲不振、吐き気、嘔吐などの症状は、いわゆる悪阻だという。
俺たちは王宮医や侍従たちの前だっていうのも気にしていられないほど嬉しくて、顔を見合わせて満面の笑みを浮かべながら抱き合った。
「嬉しい……私たちの子供がここにいるんだな」
「うん。あぁ、本当に嬉しい……元気に生まれてきてほしいね」
まだふくらみのないおなかを撫でる彼の手のひらに、一回り大きな手のひらを重ね、一緒に優しく撫でる。
ここに小さな命が宿っていると思うと、なんだか感動して涙が出てきた。
「ありがとう、エディ。愛してる……」
「ふふ。私も愛しているよ、リアム」
ちょっと涙ぐみながらも真摯に感謝と愛の言葉を伝えたら、エドワードは幸せそうに微笑んで俺の頬にキスをしてくれた。
王宮医から「安定期に入るまでは、くれぐれも無理せず体調を第一に考えて行動してください」と釘を刺されているので、今後は無理のない範囲で公務をこなすことになった。
エドワードは悪阻が重い方のようで、症状はどんどん酷くなっていくばかりだった。
悪阻が始まったばかりの頃は、俺を安心させようと気丈に振る舞って見せることも多かったけど、今は水と果物くらいしか喉を通らないうえに吐き気が治まらず、見るからにぐったりしている。
俺は寝台に横たわっているエドワードの髪を撫でながら、そっと額に口付けた。
「俺の可愛いエディ。今日の気分はどう?気持ち悪くない?」
「うん。昨日より、随分と良くなったよ。さっき果物も少し食べられた」
そうは言うものの、やはり顔色は優れない。この世で最も愛しい伴侶がやつれていく姿を目にして平常心でいられるはずもなく、最近は俺も食事があまり喉を通らなくて痩せて始めている。
「そんなに心配そうな顔をしないで。私は大丈夫だから。この子のためにも、頑張らないと」
「うん……そうだね」
あまりにもエドワードが心配で、それが全部表情に出ていたのか、彼は青白い顔をして俺に微笑みかけた。
まだ平らな腹を慈しむように撫でる手のひらに、そっと自分の手を重ねる。
俺たちは新しい命の健やかな成長を祈りながら、そうして静かに寄り添っていた。
エドワードの悪阻が終わったのは、妊娠十五週目に差し掛かろうという頃だった。
終わったと言っても気持ち悪くなることはあるし吐くときは吐くのだが、一日に何度も嘔吐することはなくなり、食欲も戻っている。
俺はエドワードが生き生きと食事を楽しんでいる姿を見られるのが嬉しくて、その様子をにこにこしながら眺めていた。
妊娠二十週目を過ぎると、おなかもふっくらと膨らんで目立つようになってきた。
子供の性別は出産するまでわからないが、とても元気な子のようで、エドワードの腹をよく蹴っている。
「あ、また蹴った。今日はいつにも増してよく蹴るね。リアム、こっちにきて。赤ちゃんがおなかを蹴ってる」
俺はベッドの端に腰掛けているエドワードの隣に座って、おなかのふくらみにそっと手を当てた。ぽこぽこっ…と内側から蹴りあげてくる感触が手のひらに伝わってきて、自然と唇が綻ぶ。
「あっ、ほんとだ!ふふ、今日も元気だね。あんまりやんちゃして、母上を困らせたらダメだよ」
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ゆっくりと優しくおなかをさすられながら、エドワードは小さく声を立てて笑った。その笑顔がどうしようもないほど可愛くて愛しくて、俺は彼の唇に触れるだけのキスをした。
「どうかこのまま元気に育って、俺たちに君の可愛い姿を見せてね」
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俺たちはぴったりと寄り添いながら、おなかの中にいる子供に語りかける。
胎児はふたりからたっぷり愛情を注がれ、順調に育っていった。
そうして月日は流れ、やがてエドワードは臨月を迎える。
彼は長時間に及ぶお産の末に、元気な男の子を産み落とした。
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