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何故か演歌が流れてます
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今日がお見合い初体験の七海です。
私が思い描いているお見合いは、静かな和風料亭とか爽やかで小洒落たカフェなんかで、テーブルを挟んで向かい合って座り、静かに自己紹介などをしたあと
"あの、ご趣味は?"
"何処にお勤めですか?"
に始まり、最後は
"それでは、後は若いお2人にお任せして"
なんて言うテンプレで終わるものだと思ってました。
ええ、勝手に想像してましたとも!
なのに、今のこの状態は何なんでしょうか?
私の頭が固すぎるのでしょうか?
あれから、私達は先方のおば様が見つけて下さったお店に入り、一息ついて食事をしています。
していますが、そこは一応椅子はあるものの、カウンター席だけのうどん屋さんなんですがーー
一応お見合いなのに、みんなカウンターで同じ方向を向いて、奥から私、ウチの伯母様、先方のおば様、見合い相手の順で一列に並んで座って、演歌をBGMにうどんをすすってるんですがーー
初めて会った人と隣同士で並んで食事するのはハードルが高すぎるだろうと、おば様ズが気を利かせてこの並びになったんだけど、主役の私達2人そっちのけで、お友達同士って言うおば様達だけが話に花を咲かせています
このおば様2人組。見合いを取り持つ気あるのかしらね
あ!お見合い相手の彼の眼鏡が曇ってますよ。布でふきふきしているみたい。ちょっと可愛くて笑えますね。
何故うどん屋かと言いますとね、ど田舎だからって事ですかね。
先方のおば様が頑張って周辺を探してくださったんですけど、残念ながら近くの飲食店はこのうどん屋しかなかったんですよ。ただ私達以外の客が居なかったのは不幸中の幸いでした
せめてものお詫びにと恐縮したおば様方が、このお店で一番お高いうどんを注文して下さいました。
はい、一番お高いトッピング全乗せってやつですね。
玉子と肉とお揚げとかき揚げが全部のって、780円也!
リーズナブルですね。
鰹と昆布のお出汁がよくでて、大変美味しゅうございました。
先方のおば様は、カウンター席でうどん屋の大将を前にしながら
「こんな店で申し訳ないです。本当にごめんなさいね。こんなつもりじゃなかったんですよ。こんな店になってごめんなさいね」
と、何度も繰り返して頭を下げてきます。
おば様、この店の大将の前で、こんな店呼ばわりはちょっとまずいんじゃないかと思うのですがー
流石の大将も、顔が引きつって睨んでますよー
でも、大将は大人ですね 。
「何かあったんですか?」
と、こちらに向けて静かに聞いてきましたよ。
よくぞ聞いてくれましたとばかりに、先方のおば様が熱弁をふるいはじめました。
「もう、聞いてくださいよ!
今日は、この先の喫茶店の杢でお見合いをする予定だったんですよ。なのに、先程行ってみたら、今日から閉店しますって張り紙が貼ってあって、閉まってたんです。で、仕方なくこの近辺で食事処を探したんですが、もうここしかなくて。本当に今日はついてないです」
先方のおば様が扇子で仰ぎながらまくし立てました。
うどん屋の大将は驚いて目を見張った後、冷静に応えてくれました。
「ああ、あそこが潰れたんかね。儂も今聞いて初めて知ったよ。この辺りであそこ以外の飲食店は、もううちしかないね。見合いなら、どうして市役所辺りでせんやったんかね?市役所辺りなら色んな店があったろうに」
普通そう思いますよね。
私もこの見合いの場所を聞いた時に同じことを考えましたもん。
そしたら、おば様がサラッと問題発言をして下さいましたよ。
「こちらの誠くんがね。この奥の湖辺りに自宅があって、そこからだと市役所まで車でも1時間半はかかるから、間をとってこの辺りでしようと思ったのよね~」
え?この奥の湖辺りって言ったら、秘境じゃん!便利悪いし!
私、それ聞いてないよ⁉︎
すかさず大将が目の前の男性にツッコミを入れます。
「兄ちゃん、あんた湖の近くに住んどるんか?あそこは人より狸や猿の方が多かろう?」
狸や猿の方が数の多い秘境から毎日通勤するのは、ちょっとやだなぁー
などと本気で思ってしまいました。
そんな私を見て、慌てた表情の彼が直ぐに全力で否定してきました。
「いえ、結婚したら市内の便利の良い住宅地へ引っ越しますから、何も心配ありませんよ。僕も未来の我が子には、狸や猿以外の友達を作ってあげたいですから」
そう言い切った彼の笑顔が、若干引きつって見えたのは、きっと気のせいではないと思います。
私が思い描いているお見合いは、静かな和風料亭とか爽やかで小洒落たカフェなんかで、テーブルを挟んで向かい合って座り、静かに自己紹介などをしたあと
"あの、ご趣味は?"
"何処にお勤めですか?"
に始まり、最後は
"それでは、後は若いお2人にお任せして"
なんて言うテンプレで終わるものだと思ってました。
ええ、勝手に想像してましたとも!
なのに、今のこの状態は何なんでしょうか?
私の頭が固すぎるのでしょうか?
あれから、私達は先方のおば様が見つけて下さったお店に入り、一息ついて食事をしています。
していますが、そこは一応椅子はあるものの、カウンター席だけのうどん屋さんなんですがーー
一応お見合いなのに、みんなカウンターで同じ方向を向いて、奥から私、ウチの伯母様、先方のおば様、見合い相手の順で一列に並んで座って、演歌をBGMにうどんをすすってるんですがーー
初めて会った人と隣同士で並んで食事するのはハードルが高すぎるだろうと、おば様ズが気を利かせてこの並びになったんだけど、主役の私達2人そっちのけで、お友達同士って言うおば様達だけが話に花を咲かせています
このおば様2人組。見合いを取り持つ気あるのかしらね
あ!お見合い相手の彼の眼鏡が曇ってますよ。布でふきふきしているみたい。ちょっと可愛くて笑えますね。
何故うどん屋かと言いますとね、ど田舎だからって事ですかね。
先方のおば様が頑張って周辺を探してくださったんですけど、残念ながら近くの飲食店はこのうどん屋しかなかったんですよ。ただ私達以外の客が居なかったのは不幸中の幸いでした
せめてものお詫びにと恐縮したおば様方が、このお店で一番お高いうどんを注文して下さいました。
はい、一番お高いトッピング全乗せってやつですね。
玉子と肉とお揚げとかき揚げが全部のって、780円也!
リーズナブルですね。
鰹と昆布のお出汁がよくでて、大変美味しゅうございました。
先方のおば様は、カウンター席でうどん屋の大将を前にしながら
「こんな店で申し訳ないです。本当にごめんなさいね。こんなつもりじゃなかったんですよ。こんな店になってごめんなさいね」
と、何度も繰り返して頭を下げてきます。
おば様、この店の大将の前で、こんな店呼ばわりはちょっとまずいんじゃないかと思うのですがー
流石の大将も、顔が引きつって睨んでますよー
でも、大将は大人ですね 。
「何かあったんですか?」
と、こちらに向けて静かに聞いてきましたよ。
よくぞ聞いてくれましたとばかりに、先方のおば様が熱弁をふるいはじめました。
「もう、聞いてくださいよ!
今日は、この先の喫茶店の杢でお見合いをする予定だったんですよ。なのに、先程行ってみたら、今日から閉店しますって張り紙が貼ってあって、閉まってたんです。で、仕方なくこの近辺で食事処を探したんですが、もうここしかなくて。本当に今日はついてないです」
先方のおば様が扇子で仰ぎながらまくし立てました。
うどん屋の大将は驚いて目を見張った後、冷静に応えてくれました。
「ああ、あそこが潰れたんかね。儂も今聞いて初めて知ったよ。この辺りであそこ以外の飲食店は、もううちしかないね。見合いなら、どうして市役所辺りでせんやったんかね?市役所辺りなら色んな店があったろうに」
普通そう思いますよね。
私もこの見合いの場所を聞いた時に同じことを考えましたもん。
そしたら、おば様がサラッと問題発言をして下さいましたよ。
「こちらの誠くんがね。この奥の湖辺りに自宅があって、そこからだと市役所まで車でも1時間半はかかるから、間をとってこの辺りでしようと思ったのよね~」
え?この奥の湖辺りって言ったら、秘境じゃん!便利悪いし!
私、それ聞いてないよ⁉︎
すかさず大将が目の前の男性にツッコミを入れます。
「兄ちゃん、あんた湖の近くに住んどるんか?あそこは人より狸や猿の方が多かろう?」
狸や猿の方が数の多い秘境から毎日通勤するのは、ちょっとやだなぁー
などと本気で思ってしまいました。
そんな私を見て、慌てた表情の彼が直ぐに全力で否定してきました。
「いえ、結婚したら市内の便利の良い住宅地へ引っ越しますから、何も心配ありませんよ。僕も未来の我が子には、狸や猿以外の友達を作ってあげたいですから」
そう言い切った彼の笑顔が、若干引きつって見えたのは、きっと気のせいではないと思います。
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