田舎でお見合いしたらギャグだった

コロ星人

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結納の日になりました

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 誠さんの描いた青写真通りに、私たちはその年の暮れ(天皇誕生日)に、駅前のホテルで親族紹介を兼ねた結納を交わすことになりました。

 参加メンバーは、我が家から両親と既に結婚して家を出たJR勤務の弟と義妹、相原家からは誠さんのご両親と2人のお姉様方(旦那様方は子守りのためにお留守番だそうです)で、なんだか胸騒ぎがします。うちの核爆弾=母親と相原家のお姉様方のコラボとか、怖すぎて考えたくもないんだけど……。などと密かに思ってることは内緒です。



 現在、大西家のメンバーはホテルのロビーにて相原家が結納の準備を整えるのを待っています。私はこれで最後かもしれない振り袖です。後で、誠さんに感想を聞かなくちゃ。

「いやぁ、良かったですね~。実家の父がお姉さんはいつになったら(嫁に)行くんだろうっていつも言ってたんですよ。これでやっと居なくなるねって、昨日もわざわざ電話かけてきて喜んでました」

 そう言って義妹がニコニコと微笑む。

 やっと居なくなるって?こいつ、ずっとそんな風に思ってたのか…

「そうでしょう?誰だってそう思うわよね。やっと行ってくれる気になってホッとしてるわよ」

 おい!核爆弾!テメエは黙ってろ!敵(義妹)に熨斗つけて塩を送る気か!やっぱりコイツ(母)は危険人物だ!頼むから今日一日は大人しくしといてくれよ…。

 てか、やっぱりここでも空気か……我が父よ、我が弟よ…。君らに期待していた私が馬鹿だった。



「お客様、先方の準備が整いましたので、ご案内致します」

 ホテルの制服をピシッと着こなしたホテルマンが、結納会場になっている部屋まで先導する。

「あのホテルマンカッコいいわね~。なっちゃん、結婚するならあんな人が良かったんじゃない?」

 核爆弾が、ヒソヒソ話をしてきた。

 コイツはもう無視しとこう。

「なんで返事しないのよ!結婚早まったと思ってるんでしょ?今ならまだやめられるわよ。言いにくかったら私がお父さんに言ってあげようか?」

 コイツ、殴りたい!

「私の気持ちは変わらないから」

「え?なんで?遠慮しなくても…」

「してません!冗談にしても、それシャレにならないから。それ以上言うと怒るよ!」

「お父さん!なっちゃんが怒った」

「七海。お祝いの席なんだから、和かにね。お母さんはこの話を潰すつもりか?誠君はいい青年じゃないか。もう、儂は息子だと思ってるよ」

 父よ!やっと空気から脱却してくれたか!助かる!



 それから結納会場にて、先程、私と誠さんの結納は滞りなく終わりました。
 今は、結納の後、親族紹介を兼ねた食事会をしています。



「まぁ、お姉様方の旦那様はお留守番なんですか?」
 予想に反して、母よりも義妹の方が喋り倒してます。母は黙々と食べてるし。食後に爆発しないか、それが怖い……。

「まだ子供が小さいものですから。でも、お式には子連れで参加しようと思ってます。七五三の時に着た衣装が、手直しすればまだ着れそうだし。披露宴で子供のお手伝いがいることもあるでしょう?誠?」

「式や披露宴のことは、これから本格的に詰めるけど、その中でそんな場面があれば、可愛い姪っ子達にお願いするよ。一応、もう式場はおさえてあるから」

「え?私、聞いてないけど」

「母さん、ごめん。俺、春休み中に結婚したくて。結納後だと式場空いてないかもしれないと思ってさ。日にちだけおさえておいたんだ。場所はここ。ダメかな?」

「七海さんはそれでいいの?」

「報告が遅れてすみません。一応、場所は2人で行って決めてきました。第一候補の日は、もう既に予約で埋まってましたけど、第二候補がギリギリで何とかおさえられました」

 ここで、何時もなら我が家の母がツッコミを入れてくるところなんだけど、今日は不思議に黙ってる。おかしい…解せぬ…。

 その後、我が家の母はホテルの食事が美味しいと、コースの他に自分だけちゃっかり単品を頼んでました。勿論、支払いは相原家持ちで…。

 で、その日の親族紹介は滞りなく終了しました。

 帰り際に、誠さんが
「着物、凄く似合ってる。後で一緒に写真撮ろう。地域の皆んなに自慢したいから」
 と言って、ホテルのロビーの螺旋階段で2人の写真を撮りました。



 帰宅後に母が大人しかった訳がわかりました。
結納の式場に入室後、父が母に「お前は今日はもう喋るな。喋ったら俺は家を出る」と言って、母に釘を刺したそうです。
 
 父よ!good job!


********************

 七海の母は、兎に角お嬢様育ちで、よく言えば天真爛漫。
 でも、それを知らない人から見れば、思った事を直ぐに口にする。悪気はないけれど、人の心を逆撫でする事を平気で言う。悪気がないから反省もなく、自分の発言で人が傷付く事もあるなんて思いもしない。はた迷惑な人です。年をとっても変わらない。
 ある意味幸せな人です。
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