イケメンなら間に合ってます(改稿版)〜 平民令嬢は公爵様に溺愛される 〜

コロ星人

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外堀が埋まっていく

公爵家の人々

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 「あっ!それから、これから毎日帰りに我が家に寄る事。これも決定事項ね」

 「えっ?なんで?」

 「それは、早く俺の事知ってもらわないと、信頼してもらえないみたいだから。信頼してもらえないと、警護に支障がでるからね。だから、決定事項なんだよ」

 アーサーがニヤリと笑った

 「それ、物凄く目立つから嫌なんですけど」

 「何で目立つの?」

 「そりゃ、公爵様の車に乗るだけで、目立つに決まってるじゃないですか!多分今頃、学内では私が貴方の車に乗って行ったって噂で持ちきりですよ」

 「ふ~ん。じゃぁ逆に目立って早く周りの人達に二人の仲を認めてもらわなきゃ。それについては、ちゃんと責任とるから気にしなくていいよ」

 「責任取るって、どう言う意味ですか!信じられない!」

 エマが必死に詰め寄ると、アーサーはけろっとして答えた

 「えっ?何でって?貴族の俺が責任取るって言ったら一つしかないじゃない。そんなの決まってるでしょ。だってね今のところ俺の結婚の条件にぴったりなのって、君だけなんだよね~。きみの安全を願うソフィア様の願いも叶えられるし、これって一石二鳥だよね~。つまりこれは俺にとっても君にとってもすっごく美味しい話なんだよ」

 そう言いながら、アーサーがウインクした

 かたやエマは絶望感でいっぱいだった

ーー この国に来たら何もかもストレスから解放されると思ってたのに、何故か逆にここに来たら違うストレスが湧いて出ちゃった。ソフィアおばあちゃんてば、孫が可愛いからっていたらんことを…… ーー

 これはソフィアに一言釘を刺しておいた方がいいかもしれないと、真剣に考えるエマだった




 その後、エマはアーサーに手を取られて食堂に移動し昼食を食べることになったが、何故かその場に前公爵ご夫妻がいたのだ

 二人は食堂の10mは軽くあろうかという長いテーブルの中央辺りに既に並んで座って待っていた

 「………………」

 必然的にアーサーがエマを紹介することになってしまう

 当のアーサーは満面の笑み、対してエマは絶望感で真っ青である

 「あれ?父上も母上も来てたの?」

 アーサーの態度が余りにもわざとらしい

ーー げっ!何、あの棒読みの台詞は!嘘っぽい!限りなく嘘っぽいよぉ!ーー

 エマは今にも心の声が漏れ出そうだったが必死でこらえている

 「ええ、ええ。セバスチャンからアーサーが高貴なお嬢さんを連れて早々に戻ってきたと聞いたものだから、気になってしまってちょっと見に来ちゃったのよ。ねえ、あなた?」

 「うん、うん。何せ初めてのことだからね。気になっちゃうよね」

 前公爵ご夫妻のニコニコが止まらない

ーー ちょっと見に来ちゃったじゃねえよ!これ、ちょっとじゃないじゃん!ーー

 エマが精一杯心の中で叫ぶ

 「わぁ!俺ってば目一杯期待されてるし!こりゃ俺の全力で口説き落とさなきゃならなくなったかな?」

 アーサーが笑顔でエマを見て、またウインクしている

 ぞぞぞぞぞぞぞ

ーー と、鳥肌が……ーー

 エマがどんどん追い込まれていく

 「父上、母上。先ずは座らせてくれないかな?」

 「ああ、そうだ。気がつかなくてすまなかったね。さぁ、落ち着いたら我らにそのお嬢さんを紹介してくれるかな?」

 「嬉しいのはわかるけど、そう急かさないでくれる?さぁ、君はここに座って?」

 エマは前公爵の前の席にセバスチャンから椅子を引かれて座った。そしてアーサーは前公爵夫人の前に座る

 「じゃぁ紹介するね?彼女は現アトランティス共和国大統領、元アトランティス候ベイリー公爵家ご令嬢のエマ嬢だよ。彼女の御祖母上様がこの国の国王様の妹君ソフィア姫、そして御母堂様がフランツ王国第一王女だったシャーロット姫。彼女は紛れもなくこの俺と同等かそれ以上のサラブレッドだよ」

 「まぁ、この前王城に呼ばれた時に国王様からご紹介されたのが彼女なのね?」

ーー これって変装とかないと、思いっきり不敬になる……よね。ああ~もう、どうにでもなれ!お祖母様の馬鹿!ーー

 エマは仕方なくゆっくりと眼鏡とマスクを取り変装を解いていった

 そして、世界の妹と呼ばれるエマの美しい顔が現れる

 アーサーは輝くようなその美しさに息を飲んだ

 「……………美しい………」

 この瞬間、彼は瞬きをする間にとっぷりと深い恋に落ちたのだった

 「おお!何と美しい!これ程までに美しい姫が我が家に嫁いできてくれるとは、なんと嬉しいことか……」

 前公爵様が溜息をついている

 「アーサー、あなた、身辺をきちんと綺麗に清算なさいね。いつまでもフラフラしているようなら、この母が許しません。それと、シャルル様!いつまで呆けてるんですか!しっかりなさってくださいまし!」

 母上様がアーサーを睨みながら父上様を叱咤激励する

 「はい、母上。直ぐにでも」

 そして暫く呆けていた前公爵様が、やっと我に戻った

 「いや、これは取り乱して失礼した。私は当家前公爵のシャルル、そして隣にいるのが妻の……」

 「妻のエリーゼですわ」

 前公爵夫妻はニコニコと微笑んでいる

 「エマ・ベイリーです。よろしくお願いします」

 エマは緊張で引きつった笑いを浮かべた

 アーサーが驚いて食い入るようにエマを見ている

 「君は世界の妹エマ・シュミットだよね?何故エマ・ベイリーがエマ・シュミットなの?」

 「それはシュミット家に養子に行ったテニスプレーヤーのユーゴ兄様の応援に行ってた妹だから、勝手にマスコミが勘違いしただけよ」

 「成る程、そうなんだぁ。それを聞いて安心したよ」

 アーサーは立ち上がると、徐にエマを抱きしめ、エマの頸に顔を埋めて熱い吐息交じりに囁いた

 「エマ、俺のお嫁さん。これから末永くよろしくね」

ーー なにぃ!俺のお嫁さんだと⁈馬鹿な!まだ、ほぼ初対面だぞ!ーー

 普段のエマなら、ここで引っ叩いているところだが、元公爵家令嬢の教育の賜物か、流石に初対面の前公爵ご夫妻の前で、その御子息の頬を引っ叩く勇気はない

ーー 後で覚えてろよ~~!八つ裂きにして畳んでのしてやる!ーー

 エマは復讐に燃えながら、何とかその場をやり過ごした

 「ところで、エマ嬢。失礼だがアトランティスの方のガタガタはまだ続いているのかい?」

 流石、前公爵様、職を辞してもなお世相に興味がおありだ

 「いえ、家は同時期に共和政に移行した他のところと違って、ただアトランティス公爵領がアトランティス共和国に名称が変わっただけですから。父も今は領主ではなく大統領に役職名が変わっただけで、内政はほぼ手付かずで済んでますし、民の生活も以前と少しも変わっていません。ただ、一緒に共和政に移行した他のところが混乱しているせいで、今もアトランティスが混乱していると噂されてるだけです」

 「そうか。それを聞いて安心した。いや、実はベイリー家が破産して没落したから共和政に移行せざるを得なかったと噂で聞いたもんでね。噂とはやはり噂に過ぎないな。ベイリー卿とも久しく会ってないんでね。これは我が家の嫁の実家を尋ねて、いつかアトランティスに行かなきゃならないな」

 「ええ、そうですわね、あなた」 

 前公爵ご夫妻が、見つめあって微笑んでいる

ーー もう既に私の事が嫁になってるよ~。これ、ここで否定したい!力一杯否定したい!!もしかして私、まんまとはめられた?ーー

 「あの……私まだ、結婚について承諾したわけではありませんから…」

 「あら、やだ!アーサー、あなた何をもたもたしてるの?」

 横を見ると、それまでセバスチャンと何やらコソコソ話していたアーサーが、エリーゼの追求に慌てている

 「母上、エマ嬢との事は、俺も全力で頑張りますよ。おそらく直ぐにでも吉報をお聞かせできるかと」

 そう言ってアーサーが蕩けるような瞳でエマを見た

ーー え~~、こんなチャラ男と結婚するとか、マジで勘弁だわ。金持ちのイケメンなら、我が家に帰れば掃いて捨てるほどいるんだから、それ、全然セールスポイントにならないからね~。私を落としたいなら、私一人を誠実に愛してくれるかどうかの一択だから!ーー

 昼食は終始相手のペースで進み、エマはイライラして、とにかく早く帰りたいとばかり考えていたので、殆ど味わう事が出来なかった

 午後からはエリーゼ様から、この公爵家で過ごす時用に着る服を作るためとかなんとか上手く丸め込まれて、エマはあちこち採寸をされてグッタリしてしまった。やっと夕刻になってエリーゼ様から解放され、アーサーの待つサロンへと戻ってきた

 「やぁ、お疲れ様。今日採寸して出来上がった服は順に家に届けられるようになってるから、楽しみにしといてね」

 能天気なアーサーの言葉に、エマはプチンとキレてしまった

 「楽しみにって、あなたねえ!私を警護するからって、ここに連れてきたんじゃないの?結婚なんて聞いてないわよ!それにあんなところで結婚の話を出されても、何も言えないじゃない!卑怯よ!」

 「卑怯って人聞き悪るいなぁ!あのねぇ、戦略って言って欲しいなぁ。それに、この話は俺が気に入れば良いだけだからって、国王様からもお墨付きもらってんだよ?で、俺、君のこと凄く気に入ったから、あとは結婚までまっしぐら!ってなるじゃない。それにさ、俺って公爵だし、ルックスもいいし、金持ちだし、結婚相手としてはすっごい優良物件だと思うんだよねぇ。だからさ、俺と結婚しよ?ね?」

 そう言ってアーサーが微笑みながら首をかしげる

 「あのねぇ、金持ちでイケメンなら我が家に帰れば掃いて捨てるほどいるの!そんなの何の魅力にもならないから!私は、私だけを愛してくれる誠実な男性が好みなの!だから、チャラいあなたなんか願い下げよ!」

 エマが顔を赤くして熱弁する

 それを見ていたアーサーがふいにエマの手を掴み唇に軽いキスをした

 「☆\$€%#*○+……な、何するのよ!」

 パァーン!!

 思わずエマがアーサーの頬を叩いた

 「あはは…手が勝手に動いちゃった~(テヘペロ)」

 「痛いなぁ、もう……。だって、顔を赤くして話す君が可愛い過ぎるのがいけないんだよ。俺だって男なんだからしかたないだろ?それに誠実な人がいいって?じゃぁ、今から俺は君にだけ誠実な男になるよ。それでいいよね?それからこの話はね、君にとっても悪い話じゃないんだよ。俺と結婚すれば、このヨーク家が君を表立って守れるようになる。君に言いよる馬鹿な貴族どもも、世界中の王室と姻戚関係にある我が家に逆らえる家はないよ。君の父上のベイリー卿がいくら頑張っても、爵位を無くした今では力不足は否めない。でも、公爵家である我が家なら、そこは全てカバーできる。だからこの国の王様もソフィア様も、この話を強引に勧めてるんだよ。おまけに、俺、君のこと大好きになっちゃったしね。とりあえず、今晩寝てからベッドの中で一度ゆっくりとよく考えてみて?」

 全てはエマを守るため

 そう言われると、エマは何も言えなくなってしまった

 
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