イケメンなら間に合ってます(改稿版)〜 平民令嬢は公爵様に溺愛される 〜

コロ星人

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外堀が埋まっていく

エマ怒る

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 「ただいま~」

 エマがクタクタになって帰ってくると、アメリアが急いで台所から出てきた

 「エマちゃん!ああ、無事でよかった。お父様から何度も連絡が入って、帰ったら折り返し連絡を入れるようにって」

 「え?お父様から?一体なんだろう?」

 エマは着替えてから、携帯を取り出した

ーー あちゃ~~!地下鉄に乗るからと携帯をマナーモードにしてたの忘れてたよ!お父様からの着信の数がものすごいことになってるし!だからここの家電にかけてきたんだ ーー

 エマは急いでラファエルに電話した



 「もしもし、お父様?携帯をマナーモードにしてて、連絡が入ってたの気付かずにごめんなさい」

 「エマか!その……無事か!それとお前結婚するって本当か!?」

 「えええ?何それ!」

 「何それって、今日リンドールのヨーク公爵家から結婚の承諾を求める電話があったぞ!」

 「え?なんで!」

 「何でってこっちが聞きたいくらいだ!おまけにフランツの王室とリンドールの王室から、婚約祝いの花とメッセージがこっちに届いてるぞ」

 「はぁ?何それ!何でそんなことになってんの?私、ヨーク公爵とはまだ2回しか会ってないわよ!まぁ向こうは乗り気みたいだけど、私は承諾したつもりはないから!」

 「それは本当か?でもな、もうリンドールのニュース番組で二人の婚約のニュースが流れたらしいぞ」

 「うそぉ!!わぁ!最悪!」

 エマは、アーサーがセバスチャンと何やらコソコソ話をしていたことを思い出す

ーー ひょっとしてあの時のあれが……ーー

 やられた!

 気づいた時には、外堀がほぼ埋まっていた





 その夜、エマは怒りで眠れなかった

 帰りの車の中で

 「その眼鏡とマスクは公爵家以外で取るの禁止ね」

 なんて呑気なこと言ってた時のアーサーのにへら~とした顔が頭の中に浮かんできては怨みがふつふつと後から後から沸いてくる

ーー 明日の朝迎えにきたら、とっちめてやる!このまま良いようにされてたまるか!見てろよ!乙女の怒り、とくと思い知れ!ーー

 エマは明け方まで布団の中で逆襲の手立てを練りまくっていた






 「アメリアおば様、おはようございます。昨日はご心配をおかけして申し訳ありません」

 「嫌だわエマちゃんったら、結婚するの隠してたなんて。私ったら同じ屋根の下に住んでいながら何も知らなくて、恥ずかしいわ。今朝になって娘のマリに聞いて知ったのよ」

 アメリアがうっとりして顔を赤くしながら微笑んでいる

 「違うんです、おば様!私、婚約なんかしてません。あれはヨーク家の完全な勇み足です。今日、本人に問いただしてきますから!」

 「あらまぁエマちゃんったら、そんなに怒って。それに目の下ににクマができてるわよ。昨夜は眠れなかったの?」

 「えっ?クマ?」

 「ええ、せっかくの美人が台無しよ」

 エマは転がるようにして洗面所に行き、そこの鏡で自分の顔を確認する

ーー げっ!!なに、このクマ!最悪!おのれ、あのチャラ男!朝迎えにきたら引っ叩いてやる!ーー

 朝食時にエマに婚約の詳しい話を聞きたいと意気込んでいたアメリアの娘のマリとリコは、怒り心頭のエマを見て声をかける雰囲気ではないと悟り、逆に黙ってしまった。そしてその日の朝は皆が黙って食べるお通夜のような朝食になったのだった

 多分、今日大学に行けば色んな人からアーサーとの関係について質問ぜめにあうだろうことが、何となく想像できてしまうだけに、エマの表情はクマができている以上に暗かった

 「行ってきます…」

 エマは、いつもになくしょんぼりと出かけた

 アメリア邸の門を潜ると、直ぐにアーサーの車が目に付いた

 エマの姿をミラーで確認したアーサーがニコニコしながら車から降りてきた

 「おはよう、俺のエマ」

 (ぶっす~う)

 超不機嫌なエマは目を逸らしたまま伸ばされたアーサーの手を振り払う

 「あれ?朝から何を怒ってるの?まぁ、とりあえず乗って?」

 二人が車に乗ったとたん、大喧嘩が始まった

 「あのねぇ!私はまだあなたとの結婚に承諾したわけではないの!なのに、何でリンドールとフランツの王室から実家に婚約祝いが届いてんの?おまけに何でこの国のマスコミにリークしちゃってんのよ!昨日の夜、婚約のニュースが流れたって言うじゃないの!!ふざけるな!」

 アーサーが決まり悪そうにしている

「ああ、あれね?あれは国王様に俺が君を気に入ったって連絡入れたから、だからもう結婚の必要条件を充したってことで、国王様の中で既に婚約って事になったみたいな感じ?で、マスコミにリークしたのは俺じゃなくて国王様だからね。俺は悪くない。だから、もう観念して?」

ーー 犯人はここの国の王様か!てことは、もうどうしようもないじゃん!思いっきり詰んだよ ーー

 「それ、ほんと?」

 「嘘だと思ったら、今から王城に行って聞いてみる?ただし、その格好じゃぁね。君、この間のパーティで着てたドレスあったでしょ?あれでいいから、着替えてきて」

 エマは渋々了承して着替えに戻った

 「あら?エマちゃん、忘れ物?」

 さっき出かけたエマが戻ってきたので、アメリアが驚いている

 「うううん。今から王城に行って王様に会ってくるから着替えに戻ったの」

 「まあ!それって婚約の事で?」

 王城と聞いてアメリアが夢見る乙女のように瞳をうっとりさせている

 「うん、そんなところ。急いでるから、話は帰ってからね」


 エマは急いで着替えてメイクする。髪の毛は自分でハーフアップにしてアクセサリーで誤魔化した

 立派な淑女が出来上がる

 「よし!」
 
 エマは両頬を叩いて気合を入れた




 
 ドレスアップしたエマが現れると、アーサーの顔が蕩けんばかりにデレんとなって、本当に嬉しそうにしている

 「エマ!」

 思わず駆け寄って抱きつき、エマにキスの嵐を降らせてしまった

 バッチーン!

 エマの張り手が炸裂する

 「誰がキスしろって言った?今から王城に行くのに、これじゃぁお化粧が剥がれまくりじゃん!」

 「あ!ごめん。エマが可愛すぎて、気持ちが抑えられなかったんだから仕方ないじゃん!いいよ、俺も王城に行くのにこの格好じゃまずいから、ちょっと家に戻って着替える。君もその時に家で化粧をなおすといいよ」

ーー い、痛い(ヒリヒリ)ーー

 二日連続の張り手攻撃にあってしまった懲りないアーサーだった

 

 アーサーに連れられ、エマは不本意ながら、二日連続でヨーク公爵邸を訪れた
 しかし昨日と違って、今日のヨーク家の前にはマスコミが張り込んでいて、閑静な高級住宅街であるにもかかわらず、物凄い騒動だった
 しかし、流石に公爵家である。正門からは玄関がどこにあるのかすらわからない。今流行りのドローンも敷地内には入れないため、スクープを狙っていたマスコミは冷や飯を食わされた形になってしまった。エマは車の中でも変装を解かなくてよかったと安堵した

ーー 変装しといて正解だったよ。でもマスコミが張っているって事は、この人アメリアさん家に来る時はどうやってまいたんだろうか?なんだかヤバそうな臭いがプンプンするぞ。やっぱ聞くの怖いからやめとこ ーー

 エマはこの場面では、事なかれ主義でいくことにした。いや、御都合主義の方がピッタリかもしれない。とにかくエマは人の粗探しが大嫌いなので、こんな風にマスコミから追いかけられることも大嫌いだった

 ヨーク家の敷地内に入り、玄関に横付けにされた車からドレス姿で現れたエマを見つけたエリーゼが、歓喜の声を上げて突撃してきた

 「まぁ、まぁ!エマさん、今日はなんて素敵なの!ああ、早く家に嫁いでいらっしゃいな」

 「あ、あの……」

 「母上、俺が着替えてから二人で王城に行くので、エマは化粧直しをしたいのですよ。お手伝い願えますか?」

 「そんな事、お安い御用だわ!マーサ!マーサ、どこ?ちょっと手伝ってちょうだい」

 エリーゼはマーサと呼ばれた侍女頭と一緒にエマを引き連れて行ってしまった

 アーサーは公式謁見の服に着替え、国王に今からエマと二人で参内すると伝えてから、ロビーでエマの出来上がりを待っていた

 暫くすると、ドレスはそのままだが、髪型やメイクを一新したエマが現れた

 胸に光るネックレスと揃いのティアラは、確かヨーク家に伝わる逸品のはずだ

 そしてそれを身につけたエマは、まるで空から舞い降りた妖精のような美しさだった

 それを見たアーサーは言葉を失った

ーー 彼女と早く結婚したい ーー

 アーサーはそう強く思った

 「アーサー、どう?私の見立ては確かでしょ?」

 エリーゼがドヤ顔をしているが、事実そうなので、アーサーは我を忘れ無意識に言葉を発する

 「ええ。この世の者とは思えないほど綺麗だ……」

 「ふふふ。そうでしょ?私の最高傑作よ。あのネックレスとティアラは、もう彼女に引き継いでもらったわ。さぁ、私はこれから貴方達の結婚の準備で忙しいから、国王様によろしく言っといてね」

 そういうと、エリーゼはいそいそとその場を離れていった

 アーサーはエマの手を取り、そこにキスをするとにっこりと微笑んで言った

 「さあ行こう、俺の可愛いエマ」






 
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