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ストーリークエストの秘密

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「鬼を倒した時に、一定の条件でドロップするアイテムがそれ、鬼神の仮面なんよ。その仮面がないとストーリークエストが解放されへんのよ」

この仮面がないとストーリー出来ないってそれ、ゲームとしてどうなんだ?

「レナは何でそんなこと知ってるんだ?昨日始めたばかりだよな?」

「何でって、普通にホームページに書いてあるで?ストーリが先行でできるってだけで、アプデ後に正式実装されるし」

「ホームページに書いてあるんだ....」

俺の苦労って一体?
たぶん大体の人は、ホームページ見ないよな。

それにこの仮面、先行プレイが出来るだけの装備だったんだな....。

続けてレナが話した。
「でもな、先行プレイできるのは、装備品の所持者か、その人が入ってるパーティーだけらしいねん」

つまり、このゲームの世界で先行プレイできるのは、所持してる俺とこのパーティーだけってことか。

「ストーリークリアしたら報酬とかあるのか?」

「それはわからんわ。なんせ、クエスト受けれる人おらんのやから」

それはそうか、仮面は俺が持ってるから他の人にクエストが表示されるわけがないのか。

「僕思ったんですけど、ゲームのパッケージに仮面なんて書かれてないですよね?」

俺とレナの話を聞いていたレンが、話し始めた。

「噂だとその先行ストーリー、難易度調整ミスの没シナリオだったから、正式なストーリはアップデート後に配信されるんじゃないかって、聞いたことがあります」

「だとすると、EX職業の俺の所にドロップしたのも偶然じゃなくて必然だったてことか?」

それなら、他のプレイヤーのところに出たドロップ品は別の物なのか?
まぁ誰も確かめれてないから、謎のままだけど。

「そろそろいいかしら?」
痺れを切らした楓が話をぶった斬った。

「考えてても仕方ないし、クエスト受ければいいじゃない?そのクエスト、どうやったら受けられるの?」

俺、レン、レナは口を揃えて言った。
「さー、わかんない」

「みんな分からないなら、誰も分からないじゃない!」

どこにもその情報が書いて無いから、分からないのは当然だろ。

「とりあえず、仮面の説明欄にゴブリンって書いてあるから、ゴブリン関係のクエストを探せばいいんじゃないか?」

「それなら、早く確認しましょうよ!」

全員でクエストを見た。

「僕の所にゴブリン関係のクエストは、ないですね」

「私もなーい」

「うちの所は、ゴブリンゾンビの討伐やし関係ないと思うわ」

「俺の所に、ゴブリン集落の調査ってのがあるけど?」

「それね」
「それやな」
「それですね」
「これだな」

皆同じようなリアクションをした。

「じゃあ早速受けるぞ」

クエストを受けようとしたら、注意書きが出た。

推奨LV12
※このクエストは特別なクエストです。
パーティーが全滅してしまうと再度受ける事は出来なくなりますがよろしいですか?なお、クエスト途中でも自由に行動はできます。

「こんなんでましたけど、どうします?」

「やるに決まってるじゃない!」

「装備とかアイテムを揃えなくても大丈夫でしょうか?」

「せやなー、流石にレベルは上げといた方がええんとちゃう?自分ら4レベやで?」

「確かに、全滅したら元も子もないからな」

「急がば回れとも言いますからね!」

レンはなんだか楽しそうだ。

「レベル上げついでに、ドロップ品狙いでダンジョンでも潜ってみる?」

このゲームには、クエストの他に最大20階まであるダンジョンが3時間おきに生成される。

「そうですね、5階まで行けば15レベルくらいにはなると思います」

「5階までいかんでも、モンスター全部倒しながら進んだら3階くらいで終わるやろ?」

「結構なモンスター量が報告されてるけど?」

「それがどしたん?」
レナは不思議そうな顔をした。

「すいません皆さん、姉はこう見えて脳筋なんです」

「誰が脳筋やねん!」

「まぁ、上がれば上がるほど良い宝箱や、ドロップ品があるはずだから、とりあえず俺たちが目指すのは5階って事で」

やる事は決まった。あとは、ダンジョンの場所だが....

「今のダンジョンってどこにあったかしら?」

「マップを見る限り、ここから東にある王都近くの墓地みたいですよ。しかも、さっき生成されたばかり!」

「じゃあ、そのダンジョンに挑みましょうよ!ねぇ、タイガ?」

「あと3時間待ってもいいんじゃないか...」

「なに、寝ぼけた事言っとるん?自分もしかしてお化け怖いんか?」

「こ、怖いわけないだろ。ただ攻撃が通らないから時間かかるなーと思っただけだ」

「それなら大丈夫や、うちの職業シスターやで?攻撃通せるようにしたる!」

そうだ、レナはシスターだった。

「あーもう、ぐちぐち言わない!リーダーの私が行くって言ってるんだから行くわよ!」 

「いざとなれば僕が守りますから」

流石に年下に守られるのはカッコ悪い。

「わかった、わかりました!行きますよ」

そうして俺たちは、ダンジョンのある墓地へ出発した。
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