幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第1章 幼子は、もふもふな幼子たちと子守役に出会う

1-5

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 始まった幼子たちの訓練は、誰にとってもとても地味なものに思えた。


 かすみの練習は、ゆっくりと地面近くを飛んで枯葉に後をついてこさせること、らしい。

ただ、かすみの通った後で舞い上がった枯れ葉がかすみの力なのかどうか、そこはわからなかった。


 ゆきの方は先ほどと同じく、岩をトントンしては水面を盛り上がらせ小山を作ってはそのまま維持できずに崩している。

だが、小山が少し大きくなっただろうか?


 そして残る幼子しずくは、低い岩棚に上り、そこから飛び降りることを繰り返していた…

師匠曰く、

 『しずくは先ずは、脚に、腕に、手にと、自由に力を流せるようになれ。

 岩に上るとき、飛び降りるとき、力が必要な場所はその時々で変わるぞ。』

なのだそうだ。


 そうやって、時には水を飲み休みながら再び力を溜め、時には枯れ葉の中でぐっすりと眠って心身を休ませながら、幼子たちは訓練を続けてた。


そのうちに、かすみの方ではその飛ぶ後を数枚の枯れ葉がついていこうとするようになった。

まだ、すぐにあえなくひらひら落ちるのだが。


ゆきに至っては、水面の小山から水玉が浮かび上がってぼちゃんと落ちることもあった。


 そしてしずくは、岩の昇り降りが少しす速くなった?かもしれない。

師匠からの助言として

 『しずく、岩から飛び降りるときに、脚に込める力をもっと増やせ。』

と言われて気を付けるようにしてから、高く跳べる様になったかもしれない。

もっとも本人には全く成果が感じられず、その為段々と元気を失くしていった。


 「ゆち(ゆき)も、かしゅみ(かすみ)も、しゅごかったでしゅね...

 じょうじゅに、なたでしゅね。

 しじゅくは、ダメダメでしゅ...」


だからか水飲みがてらの休憩時に、しずくがつい弱音を口に出してしまったが、ゆきもかすみも甘えるようにしずくに身を寄せるだけだった。

 (ああいけない、一人で落ち込むとこだった。

 一緒に頑張ろうと決めたのにね~

 少しゆきとかすみに、甘えさせてもらおうか~

 フワフワな毛と羽をなでなでさせてもらおう~)

休み毎にゆきやかすみを撫で回しては心を癒されて、何とかしずくも訓練を続けた。


 だからだろう、ある時明るい声で片方の師匠が目先を変えた訓練を提案してくれた。

 『枯れ葉を一枚体のどこかに乗せて、その葉を浮かせて保持するのよ~

 休憩がてら、試してみない~』


ゆきは、伏せたままで鼻先に葉を載せている。

かすみはその長い尾羽を、目近くに垂らしてその上に載せて試すようだ。

しずくは、無難に手のひらに載せた。



 皆がそれぞれ枯れ葉を見つめているが、誰も上手くいかないらしい。

ゆきとかすみからは枯れ葉がどこかへ飛んで行った。

しずくの手の上の葉っぱは、動きもしない。

(手に力を入れたら、潰しそうだし…)


まごまごしていると、もう片方の師匠が落ち着いた声で少し助言をくれた。


 『水が体の奥で力に変わりそれが体中に行き渡る。

 その時の感じ方使い方はそれぞれに異なる。

 例えば我はその力で浮くよう念じて枯れ葉に流す。

 まず最初は口に出せば念じ易いぞ。』

 
しずくはもう一度水を飲んだ時のことを思い出した。

 (水がおなかに溜まって、温まっていった。

 温まった水が、体中に広がっていった。

 あれが私の力の感じ方かな?

 ならばあの水を葉っぱまで流して、留めて見る感じでどうかな~

 それで、浮かんで~と頼んでみるか~)


しずくが手に乗せた葉をじっと見て念じながら、言葉にも出す。


「おみじゅ、ぬくぬく、ぽかぽかなって…

 ぽかぽか、はっぱを、ふわふわにちて…

 おねまいちまちゅ…」

  
 すると、葉っぱがふわりと浮いた...
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