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第一章
勉強
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王子と過ごす日々にも慣れ、ミカエラに家庭教師がつくことになった。ミカエラは、勉強に対して意欲的で、好奇心旺盛だったため、色んな学問を学んだ。特に他国の話に興味をそそられ、自国では当たり前でも他国では全く違うという事実に興味津々だった。
お茶会が開かれてから、ミカエラに対して、縁談の申し込みや、他家のお茶会などのお誘いがあったが、またあの人数の男の子たちに囲まれると思うと、恐怖で体が震えて顔を横に振ることしかできなかった。
お母様たちも少し困惑しつつ、急ぐことはないと、無理矢理縁談をまとめることも、お茶会に参加させることもなかった。
そんな日々が過ぎ、エマのお腹も大きくなり、冬の寒い日にルビーの目をした女の子が産まれた。
ミカエラは、初めて見る産まれたばかりの赤ちゃんを見て、
「天使だぁ…」
と、目を輝かせると、兄二人がクスクスと笑い出し、
「ミアも天使だったよ」
と、頭を撫でられ、照れながら、飽きることなくいつまでも、ローズマリーと名付けられた産まれたばかりの妹を見つめていた。
一つの家に女の子が1人産まれるだけでも珍しいのに、1人以上産まれることは本当に珍しく、当時、ランスロット家はとても注目を浴びた。
数十年ぶりに侯爵家に女児が2人も産まれたことで、王家の式典に呼ばれ、お母様とお父様たちが新しい領土を授かり、父たちの仕事での階級も上がり、ミカエラはそんな輝かしい両親に誇らしい気持ちになった。その式典には、もちろん他の王族の王子もおり、チラリと周りを見ると、クラウドと目が合い、お互いに微笑み合う。
あっという間に歳月は経ち、ローズマリーも3歳になった。焦げ茶色のストレートヘアを後ろで編み込み、ミカエラと一緒に庭園で遊んでいる。
…そろそろローズマリーもお茶会が開かれるのよね…
7歳になったミカエラは、あの日以降お茶会には一度も参加せず、歳の近い御子息との触れ合いは王子だけ。そろそろ父親たちもミカエラのために動かなければならないと考えるようになっていた。
ある日、カイルによって広間に父たちは集められる。
「今回の話はミカエラの件だ。ローズマリーも3歳になってお茶会の開催が決まった。一貴族として、ミカエラだけお茶会に参加せず、このまま過ごす訳にはいかない。そこでだ。宰相様の御子息が歳も近いし、勉学に意欲的なミカエラと会話が弾むのではと、一度、2人を会わせてみないかとご提案頂いた。もちろん男の子が少々苦手ということも話しご理解頂いた上で、有難い申し出だと俺は思う。皆はどう思う?意見を聞きたい。」
「俺はいいと思うぜー。ミアも苦手意識を克服しなきゃならねーだろうし。少しずつ慣れさすのは良いんじゃねーか?」
「僕も賛成だよ。ミカエラの教訓でローズマリーに対してのお茶会もまずは少人数制からにしたし、このまま男の子が苦手だとミアも今後苦労すると思う」
「そうだな…ミアは最近ますます美しくなってきている。他の者がほってはおかないだろう。」
レオナルドは顎に手を当て少し考え込み、提案を受け入れることにする。
こうして、ミカエラの知らないところで苦手意識を克服するべく父たちが様々な男の子と触れ合う機会を作ろうとし、そんなことに全く気づくことなく、ミカエラは忙しい日々を過ごしていた。
お茶会が開かれてから、ミカエラに対して、縁談の申し込みや、他家のお茶会などのお誘いがあったが、またあの人数の男の子たちに囲まれると思うと、恐怖で体が震えて顔を横に振ることしかできなかった。
お母様たちも少し困惑しつつ、急ぐことはないと、無理矢理縁談をまとめることも、お茶会に参加させることもなかった。
そんな日々が過ぎ、エマのお腹も大きくなり、冬の寒い日にルビーの目をした女の子が産まれた。
ミカエラは、初めて見る産まれたばかりの赤ちゃんを見て、
「天使だぁ…」
と、目を輝かせると、兄二人がクスクスと笑い出し、
「ミアも天使だったよ」
と、頭を撫でられ、照れながら、飽きることなくいつまでも、ローズマリーと名付けられた産まれたばかりの妹を見つめていた。
一つの家に女の子が1人産まれるだけでも珍しいのに、1人以上産まれることは本当に珍しく、当時、ランスロット家はとても注目を浴びた。
数十年ぶりに侯爵家に女児が2人も産まれたことで、王家の式典に呼ばれ、お母様とお父様たちが新しい領土を授かり、父たちの仕事での階級も上がり、ミカエラはそんな輝かしい両親に誇らしい気持ちになった。その式典には、もちろん他の王族の王子もおり、チラリと周りを見ると、クラウドと目が合い、お互いに微笑み合う。
あっという間に歳月は経ち、ローズマリーも3歳になった。焦げ茶色のストレートヘアを後ろで編み込み、ミカエラと一緒に庭園で遊んでいる。
…そろそろローズマリーもお茶会が開かれるのよね…
7歳になったミカエラは、あの日以降お茶会には一度も参加せず、歳の近い御子息との触れ合いは王子だけ。そろそろ父親たちもミカエラのために動かなければならないと考えるようになっていた。
ある日、カイルによって広間に父たちは集められる。
「今回の話はミカエラの件だ。ローズマリーも3歳になってお茶会の開催が決まった。一貴族として、ミカエラだけお茶会に参加せず、このまま過ごす訳にはいかない。そこでだ。宰相様の御子息が歳も近いし、勉学に意欲的なミカエラと会話が弾むのではと、一度、2人を会わせてみないかとご提案頂いた。もちろん男の子が少々苦手ということも話しご理解頂いた上で、有難い申し出だと俺は思う。皆はどう思う?意見を聞きたい。」
「俺はいいと思うぜー。ミアも苦手意識を克服しなきゃならねーだろうし。少しずつ慣れさすのは良いんじゃねーか?」
「僕も賛成だよ。ミカエラの教訓でローズマリーに対してのお茶会もまずは少人数制からにしたし、このまま男の子が苦手だとミアも今後苦労すると思う」
「そうだな…ミアは最近ますます美しくなってきている。他の者がほってはおかないだろう。」
レオナルドは顎に手を当て少し考え込み、提案を受け入れることにする。
こうして、ミカエラの知らないところで苦手意識を克服するべく父たちが様々な男の子と触れ合う機会を作ろうとし、そんなことに全く気づくことなく、ミカエラは忙しい日々を過ごしていた。
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